TKC全国会 中堅・大企業支援研究会(中大研)

掲載日:2013.08.26

消費税増税に向けた実務対応

第13回 消費税にもグループ概念導入!? 新設法人の免税点制度の改正

税理士 畑中 孝介

TKC全国会
中堅・大企業支援研究会

税理士 畑中 孝介

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課税売上高が5億円を超える事業者が50%超の出資をして設立した法人は、事業者免税点制度が適用されなくなります。

 この改正は「特定新規設立法人の納税義務の免除の特例」といわれ、基準期間相当期間(基準期間に相当する期間)の課税売上高が5億円を超える事業者等が50%超の出資をして設立した資本金1,000万円未満の特定新規設立法人については、事業者免税点制度が適用されなくなります。
 また事業者等として、法人の直接支配関係だけでなく間接支配関係も含まれますし、グループ法人税制同様に六親等等の親族を含む関係も勘案して判定され、範囲は広範に及ぶこととなりますので注意が必要です。
 この改正は、企業グループが事業部制の場合と子会社制の場合での税負担が異なるのは不適当であるため、消費税にも法人税と同様にグループの概念を導入したものと考えられます。平成22年度税制改正でのグループ法人税制の導入に続き、今回の改正で消費税にもグループ概念が導入されたといえるでしょう。

1.特定新規設立法人の納税義務の免除の特例

 法人を新規設立した場合、基準期間が存在しないこととなるため、設立から2年間は納税義務が免除されることになっていました。その後、平成9年度税制改正において、資本金1,000万円以上の法人については、納税義務が免除されないこととなりました。
 しかし、大企業が設立した新設法人等であっても資本金が1,000万円未満であれば納税義務が免除されるため、一部の企業で子法人の設立、解散を繰り返すことにより消費税を免れるような租税回避が行われていたことから、その防止等を目的として今回このように改正されたといわれています。
 今回の改正により、平成26年4月1日以後に設立される新規設立法人(基準期間がない資本金1,000万円未満の法人)のうち、事業年度開始の日において特定要件に該当し、親法人等の課税売上高が5億円を超える法人(特定新規設立法人)については、納税義務の免除の規定は適用されなくなります。

2.特定要件

(1)特定要件の内容について(消法12の3、消令25の2)
他の者により50%超の株式等を直接又は間接に保有される
他の者及び当該他の者と特殊関係にある法人(※)をあわせて50%超の株式等を直接又は間接に保有される

※法人だけでなく次のケースも含まれます。

  1. 他の者の親族等(六親等等の親族・特殊関係人等を含む)
  2. 他の者(親族等を含む)が他の法人を完全に支配(直接・間接)している場合の他の法人

特定要件イの例

(2)新規設立法人が特定要件に該当する旨の判定の基礎となった他の者と特殊な関係にある法人の範囲(消令25の3)
  1. 当該他の者が他の法人を完全に支配している場合における当該他の法人
  2. 当該他の者およびこれと上掲aに規定する関係のある法人が他の法人を完全に支配している場合における当該他の法人
  3. 当該他の者およびこれと上掲aまたはbに規定する関係のある法人が他の法人を完全に支配している場合における当該他の法人
  4. 上掲法人のうち、非支配特殊関係法人以外の法人

特定要件ロの例

3.種類株における議決権の取り扱い

 上掲2における直接・間接の支配関係については、通常の議決権だけでなく、種類株式を発行している場合においては、重要な決議ができる株式の議決権についても含まれることとなります。

  1. 事業の全部若しくは重要な部分の譲渡、解散、継続、合併、分割、株式交換、株式移転、又は現物出資に関する議決権
  2. 役員の選任・解任に関する議決権
  3. 役員報酬・賞与その他の職務執行の対価に関する事項についての議決権
  4. 配当に関する議決権

プロフィール

税理士 畑中孝介(はたなか たかゆき)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員
TKC企業グループ税務システム小委員会委員
TKC中央研修所税制改正プロジェクトメンバー

著書等

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