ユーザー事例

株式会社大和証券グループ本社

グループ一体で精度の高い連結納税申告書を作成

「大和証券グループ」は日本を代表する証券グループ。同社では、タックスマネジメントの一環として、TKC連結納税システム『eConsoliTax』を導入して申告業務を行っている。その活用法などを同社の阪上光財務部長、矢野貴大財務部経理課課長代理、畑中孝介税理士に聞いた。

株式会社大和証券グループ本社

リテールとホールセールを軸に証券業務を展開

――御社は日本を代表する「証券会社」ですが、国内上場会社として初めて「持株会社制度」を導入した企業であることでも知られています。現在のグループ体制について簡単に説明していただけませんか。

阪上光財務部長 1999年4月にリテール証券業務とホールセール証券業務の分社化を行い、持株会社体制へ移行しました。リテールとは、主に個人投資家や非上場法人などを対象に幅広い金融商品・サービスを提供して、お客様の資産運用をサポートすることです。この業務を担っているのが「大和証券」です。一方、ホールセールとは、機関投資家や事業法人などのお客様を対象にエクイティ、債券、デリバティブの売買仲介等や、株式・債券の引き受け、新規公開などによる投資銀行業務のことを指します。要するに“商品”を組成するセクションであり、これを担当しているのが「大和証券キャピタル・マーケッツ」(旧大和証券SMBC/2010年1月1日に社名変更)です。大和証券キャピタル・マーケッツが組成した商品を、全国の店舗網を通じて個人のお客様などに販売するのが大和証券なわけです。
 この2社がクルマの両輪で、それぞれの専門性を生かしてグループ展開していこうと考えたわけです。両社の他に、アセット・マネジメント事業を担当する「大和証券投資信託委託」や、コンサルティング・システム業務を行う「大和総研」などの子会社があり、現在(09年9月)の連結子会社数は53社です。

――10年ほど前に三井住友フィナンシャルグループと合弁で設立した大和証券SMBCの株式を、今回、御社がすべて(三井住友フィナンシャルグループが保有する40%分を)取得し、社名を大和証券キャピタル・マーケッツに変更したわけですね。

阪上 そうです。確かにそのとき(10年ほど前)は戦略の1つとして銀行と合弁会社を作って、一緒にホールセール証券業務を行うことにしたわけですが、ここにきて以前のように銀行と証券とを分離する動きが世界的に出てきたこともあり、合弁事業を発展的に解消することにしたわけです。解消したからといって、三井住友フィナンシャルグループとの友好・信頼関係は今後も継続しますし、また、三井住友銀行が引き続き当社のメーンバンクであることに変わりありません。

――現在、新グループ中期経営計画「“Passion for the Best” 2011」(09年4月~12年3月)を策定して取り組んでいますが、その内容を教えてください。

阪上 これは「ステークホルダーから信頼される日本を代表するエクセレントカンパニー」を経営ビジョンとして掲げ、それを実現するための方法(重点課題)として、主に次の3つを展開しています。
 1つは「リテール業務の強化」です。我々の強みの1つである販売網(大和証券の全国118店舗/09年11月現在)をより強化して、お客様から支持されるサービスを提供することです。具体的には株式投資信託などの販売において、販売手数料を稼ぐことよりも、これまで以上に預かり資産の純増を重視した営業活動を行っていくということです。2つ目は「アジア・新興国関連ビジネスの拡大」をはかることです。これはお客様にリターンを取っていただくために、高度経済成長を続ける中国やインド、ブラジルなどへの“投資機会”を作るということです。3番目は基盤となる販売網を強化するのと同様、そこに対する商品開発・供給能力(投資銀行業務)を高めるということです。
 こうした手法を用いることによって、最終年度の2012年3月期には連結経常利益2000億円以上、連結ROE(株主資本利益率)10%以上の達成を目標としています。

電子申告がスムーズにできる点が「魅力」

――御社では、2005年3月期から「連結納税制度」を導入していると聞いています。

矢野貴大財務部経理課課長代理 はい。連結納税制度を採用した目的の1つは、持株会社体制であるグループの経営実態に合った税負担の実現です。当社の連結子会社53社のうち連結納税子法人はわずか16社に過ぎませんが、導入の効果は実現できていると考えています。
 確かに同制度を採用すると子法人の繰越欠損金は切り捨てられるなどのデメリットがありますが、それ以上に(1)所得通算による節税効果、(2)親法人の繰越欠損金使用――というメリットのほうが大きかったことから導入に踏み切りました。導入初年度は実務へのインパクトを見極めるということもあって手書きで申告書を作成しましたが、費用対効果の点から次年度以降は連結納税システムを利用しています。当初は他社のシステムを利用していたのですが、08年3月期決算にTKCさんの連結納税システム『eConsoliTax』へ切り替えさせていただきました。

――他社システムから『eConsoliTax』に切り替えていただいた理由(メリット)は。

矢野 第1の理由は、『eConsoliTax』だと連結納税の電子申告がスムーズに行えるということです。当社はグループ全体としてCSR(企業の社会的責任)に取り組んでおり、その観点から紙の削減を進めています。それと同時に、申告業務の効率化もはかろうとすれば、電子申告は当然行うべきだと前々から考えていました。調べてみると、電子申告への取り組み状況はシステムベンダー間でも大きな開きがあることがわかり、その中でも実績のあるTKCさんなら安心できるということで、『eConsoliTax』の導入を決断したわけです。
 加えて、データ入力に関して『eConsoliTax』の信頼性が高かったこともシステム切り替えを決断する材料になりました。

――それはどういうことを指しているのですか。

矢野 システムのユーザービリティのことです。他社システムの場合、連結納税申告書(別表)の様式が「スプレッドシート」上で再現されていて、担当者は申告書で表現したいデータをそのまま入力することになります。入力統制が効いていない場合、申告データの正確性は担当者の技能レベルに依存することになり、当社の税務リスクを高める一因になっていました。一方、『eConsoliTax』は入力欄を簡素化した上でわかりやすさを重視する画面構成になっているため、担当者が指定された一定範囲のデータ入力を行えば、システムで申告書を作成してくれる仕組みになっています。これによって、申告書の作成に慣れていない人でも適切にできるようになり、誤りが減少しましたね。

充実したサポート体制が担当者に安心感を与える

――『eConsoliTax』の導入に際しては、親法人・子法人の経理担当者にオペレーション研修などが行われることになっているのですが、御社の場合はどうでしたか。

矢野 今、お話ししました入力業務などについて、TKC会員の畑中孝介税理士に詳しく教えていただきました……。電子申告が簡単に行えること、精度の高い申告書が作成できることに加え、このサポート体制が充実していることも(導入の)大きなメリットだと感じています。

畑中孝介税理士 矢野さんが今おっしゃったように、入力統制が緩いシステムであれば、子法人側で誤った金額を入れられてしまうことがあるわけですが、『eConsoliTax』では、親法人側がきちんとチェックできる、統率を取ることができるシステムになっています。ここを中心にシステム研修を行いました。

矢野 連結納税の運営では、親法人のスケジュール管理やグループ統率力が業務の効率性に大きな影響を及ぼすと考えていますが、効率的な業務運営を実現する上で非常に役立っている『eConsoliTax』の機能が「進捗管理機能」です。システム内に「各法人の処理状況の確認」というボタンがあり、これをクリックすると親法人側で子法人担当者が法人税や地方税データの入力処理や計算処理をいつ頃行ったのかなどを確認することができます。また、地方公共団体ごとに税額(地方税)を一覧で見ることができるというのも、ありがたい機能ですね。
 いずれにしろ、『eConsoliTax』の使いやすさやサポート体制が充実している点をうまく活用して、タックスマネジメントのレベルアップを一段とはかっていきたいと考えています。

会社概要
名称 株式会社大和証券グループ本社
業種 証券業
代表者 鈴木茂晴
本社 東京都千代田区丸の内1-9-1
TEL 03-5555-1111
営業収益 4139億円(連結ベース/2008年度)
社員数 1万5224名(同上)
URL http://www.daiwa-grp.jp/

『戦略経営者』2010年1月号より転載

掲載の内容、および当社製品の機能、サービス内容などは、2010年1月現在のものです。
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