更新日 2013.08.05
反動減ばかりが注目されがちですが、まずは駆け込み需要を取り逃さないことにより収益機会を確保すべきでしょう。特に駆け込み需要期に生産が間に合わないなどで欠品など機会損失を生まないような準備も必要です。また、増税後にもセールの開催や需要減を踏まえた仕入れ交渉などで、その反動減を最小限に抑え、利益確保が可能になるような対応策も考えられるのではないでしょうか。
1.まずは駆け込み需要を取り逃さないこと
高級品や高価格品、特に住宅や自動車等では増税前の駆け込み需要が多く発生すると言われています。
その駆け込み需要を逃さないためには、逆算し、自社にとっての最適なタイミングでの販売増が考えられるのかを検討すべきでしょう。
素材であれば半年前、材料等であれば数カ月前など、需要のピークは業種や取扱商品によって異なります。生産に当たっての人材や材料の確保、また増産や在庫の積み増し等に対する資金の確保等、早めの準備が重要です。現に大手住宅メーカーでは、経過措置等も踏まえた駆け込み需要急増に備え、退職者や高齢の作業員を確保したり材料の手当てを開始したりという動きがあるようです。中小企業も駆け込み需要を取り逃さないような準備と計画性が必要でしょう。また、駆け込み需要時期には資材や工賃等の高騰も起こりがちですので値上がり前に早めにそれらの確保をすることも必要でしょう。
2.反動減への対策
反動減の対策は、反動減という冬の時代を乗り越えるために、駆け込み需要期にどれだけ貯金を作れるかという点が挙げられます。
また、前回の消費税増税時には増税後の消費税還元セールなどで需要減を抑える戦略をとった企業もありました。単なる消費税還元セールでは値引きになり収益を圧迫しますので、仕入れや製造でのコスト削減など、粗利益をきちんと確保できるような対策も同時に検討する必要があります。
なお、前回の消費税増税時には、各社で消費税還元セール等が行われ、かなりの需要喚起効果があったようですが、今回は、原則として消費税還元セール等は禁止されています(詳細については第10回「特別措置法への対応① 値下げセール等の禁止」を参照してください)。
需要の減少による売り上げ減という副作用はあるかもしれませんが、裏を返せば利益を削ってのセールやその協賛といったデフレ圧力=利幅の減少は起こりにくいとも言えます。そのような視点も含めた利益確保策・価格戦略の立案も重要になります。
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テーマ
プロフィール
税理士 畑中 孝介(はたなか たかゆき)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 幹事
TKC企業グループ税務システム普及部会会員
TKC企業グループ税務システム小委員会委員
TKC全国会中央研修所租税法小委員会委員
- 略歴
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ビジネス・ブレイン税理士事務所所長、株式会社ビジネス・ブレイン代表取締役CEO
大手・上場企業の連結納税コンサルティング業務や組織再編アドバイザー業務を行う。上場企業から中小企業・ベンチャー企業・ファンドまで幅広い企業の税務会計顧問業務に従事。TKC企業グループ税務システムの専門委員、中堅・大企業支援研究会幹事等に就任。 - 著書等
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- 『消費税インボイス制度の実務対応』(TKC出版)
- 『令和6年度 すぐわかるよくわかる 税制改正のポイント』(TKC出版)
- 『企業グループの税務戦略-グループ法人税制・連結納税制度の戦略的活用-』(TKC出版)
- 『CFOのためのサブスクリプション・ビジネスの実務対応』(中央経済社)
- 「旬刊・経理情報」「税務弘報」などにも執筆
- システム・コンサルティング事例
- ホームページURL
- ビジネス・ブレイン税理士事務所
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