2019.02.05
文書提出命令申立てについてした決定に対する抗告審の取消決定等に対する許可抗告事件
LEX/DB25449935/最高裁判所第三小法廷 平成31年 1月22日 決定 (許可抗告審)/平成30年(許)第7号
抗告人が、大阪府警察の違法な捜査により傷害事件の被疑者として逮捕されたなどとして、相手方に対し国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めた訴訟で、相手方が所持する本件傷害事件の捜査に関する報告書等の各写し(本件文書1、本件文書2)、並びに上記の逮捕に係る逮捕状請求書、逮捕状請求の疎明資料及び逮捕状の各写し(本件文書3)について、民訴法220条1号ないし3号に基づき、文書提出命令の申立てをした事件で、本件傷害事件の捜査は大阪府警察が担当し、抗告人は、平成27年1月に本件傷害事件の被疑者として逮捕された。その後、抗告人は、本件傷害事件について起訴され、有罪判決を受け、同判決は平成29年12月に確定した。本件各文書も、その元となる各文書(本件各原本)も、本件傷害事件の公判に提出されなかったため、原審は、本件文書1については、民訴法220条1号所定の「当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき」に、本件文書2及び本件文書3については、同条3号所定の「挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき」に、それぞれ該当するとした上で、本件申立てを却下したため、抗告人が抗告した事案で、本件各原本及びその写しである本件各文書は、本件傷害事件の捜査に関して作成された書類であり,公判に提出されなかったものであるところ、本件各文書は、本件傷害事件の捜査を担当した大阪府警察を置く相手方が所持し、これらについて本件申立てがされているのであるから、本件各原本を大阪地方検察庁の検察官が保管しているとしても、引用文書又は法律関係文書に該当するものとされている本件各文書の提出を拒否した相手方の判断が、裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用するものであると認められるときは、裁判所は、その提出を命ずることができることになると判示し、これと異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。