注目の判例

民事保全法

2024.10.01
債権処分禁止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25620832/東京高等裁判所  令和 5年 1月25日 決定 (抗告審)/令和4年(ラ)第2326号
本件金等を氏名不詳者に詐取された抗告人が、本件金を氏名不詳者から預かり、本件金を警察に任意提出した相手方に対し、所有権に基づく本件金の引渡請求権を被保全権利として、本件金を押収物として保管する第三債務者から本件金の引渡しを受け、又は相手方が第三債務者に対して有する上記目録記載の引渡請求権(本件押収物引渡請求権)の処分をすることを禁止するとともに、第三債務者に対し、相手方に対して本件金を引き渡したり、相手方の指図に従って処分することを仮に禁止することを求めたところ、原審が、抗告人が相手方に対して本件引渡請求権を有することは一応認められるものの、抗告人が本件引渡請求権を被保全権利として本件申立てに係る債権の処分禁止等の仮処分命令を求めることは不適法であるとして、本件申立てを却下したことから、抗告人が抗告した事案で、本件金については、相手方が第三債務者から還付処分を受けた場合、抗告人が相手方を被告として、本件引渡請求権に基づき、本件金の引渡しを求める本案訴訟を提起し、その請求が認容された場合には、第三債務者は、相手方に対して本件金を引き渡す義務を負うため、民事執行法170条1項により、執行裁判所が相手方の第三債務者に対する本件押収物引渡請求権を差し押さえ、その行使を抗告人に許す旨の命令を発する方法により本件金の引渡しの執行がされることになり、抗告人は、第三債務者に対し、本件金を直接抗告人に引き渡すよう請求することができるのであるから、本件仮処分は、本案請求の範囲を超えるものとはいえず、また、第三債務者は、その禁止が解かれるまでの間、第三債務者が相手方に対して本件金を引き渡すことなどを禁止されたとしても、第三債務者が本来負っている上記保管義務が継続することになるに過ぎず、第三債務者に対して不利益を課すものともいえないとして、抗告人に300万円の担保を立てさせて本件申立てを認容した事例。
2023.10.24
仮処分命令申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25573090/最高裁判所第三小法廷 令和 5年10月 6日 決定 (許可抗告審)/令和5年(許)第9号 
抗告人が、いずれも1筆である本件各土地について、その各一部分の所有権を時効により取得したなどと主張して、本件各土地の所有権の登記名義人である相手方らに対し、当該各一部分についての所有権移転登記請求権を被保全権利として本件各土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立て等をしたところ、原審は、本件申立てをいずれも却下したため、抗告人が許可抗告をした事案において、1筆の土地の一部分についての所有権移転登記請求権を有する債権者が登記請求権を被保全権利として土地の全部について処分禁止の仮処分命令の申立てをした場合に、当該債権者において当該一部分について分筆の登記の申請をすることができない又は著しく困難であるなどの特段の事情が認められるときは、当該仮処分命令は、当該土地の全部についてのものであることをもって直ちに保全の必要性を欠くものではないと解するのが相当であるとし、これと異なる見解に立ち、本件各土地の分筆の登記に関する登記官の回答を記載した抗告代理人の報告書が提出されているにもかかわらず、当該回答を裏付ける資料による疎明を求めるなどして抗告人が地積測量図等の分筆の登記の申請に必要な事項としての情報を提供することの障害となる客観的事情があるか否かを検討せず、特段の事情が認められるか否かについて審理を尽くさないまま、保全の必要性があるとはいえないとして、本件申立てをいずれも却下すべきものとした原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原決定を破棄し、特段の事情の有無、本件登記請求権の存在や内容、相手方らの不利益の内容や程度等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2022.09.06
投稿記事削除仮処分申立事件
LEX/DB25592824/大阪地方裁判所岸和田支部 令和 4年 7月 1日 決定 (第一審)/令和4年(ヨ)第6号
債権者会社が、債務者法人が設置・運営・管理するウェブサイトに投稿された各投稿記事により人格権を侵害されていると主張して、債務者に対し、人格権に基づき、本件記事の仮の削除を求めた事案で、本件各記事は、債権者の社会的評価を低下させるものとはいえず、仮に、本件各記事が社会的評価を低下させるものであるとしても、公共の利害に関する事実に係るものでないとはいえないし、また、特段公益を図る目的以外の目的で投稿されたとうかがわせる事情は認められず、専ら公益を図る目的によるものでないとはいえないところ、被保全権利の存在について疎明があるとはいえないとして、本件申立てを却下した事例。
2022.08.30
債権差押命令申立て却下決定に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572287/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 8月16日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第6号
刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律98条の定める作業報奨金の支給を受ける権利は、その性質上、他に譲渡することが許されず、強制執行の対象にもならないと解するのが相当であり、上記権利に対して強制執行をすることはできないとし、上記権利に対する強制執行としてその差押えを求める抗告人の申立てを却下すべきものとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2022.07.12
閲覧謄写申立て却下決定に対する抗告却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25572206/最高裁判所第一小法廷 令和 4年 6月20日 決定 (許可抗告審)/令和3年(許)第13号
保佐開始の審判事件を本案とする財産の管理者の選任等の保全処分を申し立てた抗告人が、上記保全処分の事件において選任された財産の管理者から家庭裁判所に提出された書面の謄写の許可を申し立てたところ、即時抗告審で却下されたため、これに不服の抗告人が許可抗告した事案で、保佐開始の審判事件を本案とする保全処分の事件において選任された財産の管理者が家庭裁判所に提出したその管理すべき財産の目録及び財産の状況についての報告書は、上記保全処分の事件の記録には当たらないとし、本件申立ての対象となる書面は、抗告人を当事者とする審判前の保全処分の事件の記録には当たらず、抗告人を当事者としない別個の手続の資料として提出されたものであるから、本件申立ては第三者からの申立てであり、これを却下した裁判に対する抗告人の即時抗告は不適法であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.08.03
投稿記事削除仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25569760/東京高等裁判所 令和 3年 6月17日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和3年(ラ)第791号
強制わいせつの被疑事実により逮捕され、その後不起訴になった抗告人が、インターネット関連のサービスを提供・運営する相手方法人に対して、氏名不詳者が公開しているブログ上に投稿した本件逮捕事実に関する画像付きニュース記事が、抗告人の更生を妨げられない利益を侵害している旨主張して、人格権に基づき、本件各投稿記事を仮に削除するよう求め、原審が抗告人の申立てを却下したところ、抗告人が即時抗告した事案で、本件逮捕事実は、社会における正当な関心事として公共の利害に関する事項であり、本件各投稿記事の公益性を否定することはできないのであり、抗告人が、会社に迷惑が及ぶことを懸念して会社役員を辞任していること、被害者と示談し不起訴処分となっていることなどの事情を考慮しても、本件逮捕事実を公表されない利益が、本件逮捕事実を公表する理由に明らかに優越するというのは困難であるところ、抗告人の申立てを却下した原決定は正当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2021.01.19
損害賠償等請求事件
LEX/DB25571240/最高裁判所第三小法廷 令和 3年 1月12日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1166号
上告人が、被上告人に対し、上告人が本件差押転付命令により取得した本件各損害賠償請求権に基づき、4822万3907円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、上告人が被上告人に対して本件示談において合意された損害賠償金の額である4063万2940円(本件示談金額)を超える額の請求をすることができるか否かが争われ、原審が、上告人の請求を、本件示談金額から本件相続人らが支払を受けた3000万1100円を差し引いた1063万1840円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余を棄却した判決したことに対し、上告人が上告した事案において、上告人が被上告人に対して本件示談金額を超える額の請求をすることができないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件各損害賠償請求権の金額等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき原審に差し戻した事例。
2020.06.30
LEX/DB25565727/大阪地方裁判所 令和 2年 4月22日 決定 (第一審)/令和2年(ヨ)第30016号
S社の発行する株式を6箇月以上引き続き保有する株主である債権者(S社の取締役でもある。)が、債務者(S社の取締役兼代表取締役)に対し、定時株主総会を招集する旨取締役会で決議し、令和2年4月6日、株主に対し招集通知等を発送した後、債務者は、令和2年4月15日、S社の代表取締役として、本件定時総会の場所をホテル大宴会場からその北隣にある本社入居ビルの35階空きフロアにした変更は、招集手続に関する法令に違反した債務者の違法行為であり、本件変更を前提に35階空きフロアで本件定時総会を開催することは債務者のS社に対する善管注意義務違反の違法行為であるとして、会社法360条3項において読み替えて適用する同条1項に基づく差止請求権を被保全権利として、本件定時総会の開催禁止を求める仮の地位に基づく仮処分命令の申立てをした事案において、本件仮処分命令申立ては、被保全権利の疎明を欠くものとし、却下した事例。
2020.04.21
仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25565004/大阪高等裁判所 令和 2年 3月 4日 決定 (抗告審)/令和2年(ラ)第80号
抗告人(債権者)が、相手方(債務者)の管理・運営するウェブサイト上に投稿された記事により債権者の人格権(名誉権)が侵害されていると主張して、相手方に対し、人格権(名誉権)に基づき、上記記事の削除を求める仮処分命令申立てをしたところ、原審は、本件記事の削除請求を基礎付ける被保全権利の存在について疎明があるとはいえないとしたため、抗告人が即時抗告した事案において、本件仮処分命令申立てを却下した原決定は相当であるとし、本件抗告を棄却した事例。
2020.01.28
投稿記事削除仮処分命令申立事件
LEX/DB25580250/大阪地方裁判所堺支部 令和 1年12月27日 決定 (第一審)/令和1年(ヨ)第66号
債権者(歯科医院)が、債務者の管理・運営するウェブサイト上に投稿された記事により債権者の人格権(名誉権)が侵害されていると主張して、債務者に対し、人格権(名誉権)に基づき、上記記事の削除を求める仮処分命令の申立てをした事案において、本件記事の削除請求を基礎付ける被保全権利の存在について疎明があるとはいえないとして、債権者の申立てを却下した事例。
2019.09.24
投稿動画削除等の仮処分命令申立事件
LEX/DB25563840/徳島地方裁判所 令和 1年 8月 8日 決定 (第一審)/平成30年(ヨ)第24号
動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿された動画で製品や職場環境を中傷され、社会的信用が損なわれる恐れがあるとして、日亜化学工業(債権者)がユーチューブ社(債務者)に動画の削除などを求めた事案で、債務者に各動画のタイトル及び各動画の紹介記事の削除と、投稿者の情報開示を求める仮処分命令を出した事例。
2019.01.16
仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25561705/大阪高等裁判所 平成30年11月28日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成30年(ラ)第656号
抗告人(債権者)は、インターネット上の口コミサイトにされた書込によって信用を毀損されたとして、その書込をした者にインターネット接続サービスを提供した相手方(債務者)に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)4条1項の発信者情報開示請求権を被保全権利として、同書込の発信者情報の開示を命ずる仮処分命令を申立て、相手方は、本件では、被保全権利が存在せず、また、保全の必要性もないと主張して,本件申立ての却下を求めたところ、原審は、本件申立てについて、被保全権利の存在を認めることはできないとして、これを却下する決定(原決定)をしたため、抗告人は、原決定の取消し及び本件申立ての認容を求めて、即時抗告をした事案で、抗告人の本件申立ては却下すべきであり、これと同旨の原決定は相当であるとして、本件即時抗告を棄却した事例。
2018.02.13
暴力団事務所使用差止仮処分命令申立事件
(対立2組事務所 同時使用差し止め 全国初の同時命令)
LEX/DB25548291/福井地方裁判所 平成29年10月20日 決定 (第一審)/平成29年(ヨ)第32号
本件土地建物の付近に居住する住民らから委託を受けた債権者が、本件土地建物が本件暴力団事務所として使用されていることにより、本件住民の生命や身体に危険が及ぶおそれがあるとして、組長である債務者に対し、本件土地建物につき、指定暴力団事務所としての使用差止めの仮処分を求めた事案において、本件土地が今後も本件暴力団事務所として使用されることにより、本件土地建物の付近を日常的に通行する機会のある一般市民の人格権が受忍限度を超えて違法に侵害されるおそれがあるということができるところ、本件住民については、人格権侵害のおそれが疎明されているものというのが相当であり、債権者は債務者に対し、本件土地建物を本件暴力団事務所として使用することの差止めを求めることができるとし、申立てを認容した事例。
2018.02.13
暴力団事務所使用差止仮処分命令申立事件
(対立2組事務所 同時使用差し止め 全国初の同時命令)
LEX/DB25548293/福井地方裁判所 平成29年10月20日 決定 (第一審)/平成29年(ヨ)第33号
本件土地建物の付近に居住する住民等から委託を受けた債権者が、本件土地建物が本件暴力団事務所として使用されていることにより、本件住民等の生命や身体に危険が及ぶおそれがあるとして、債務者に対し、本件土地建物につき、指定暴力団事務所としての使用差止めの仮処分を求めた事案において、本件土地建物が今後も本件暴力団事務所として使用されることにより、本件土地建物の付近を日常的に通行する機会のある一般市民の人格権が受忍限度を超えて違法に侵害されるおそれがあるということができるところ、本件住民等は、人格権侵害のおそれが疎明されているものというのが相当であり、債権者は債務者に対し、本件土地建物を暴力団事務所として使用することの差止めを求めることができるとし、申立てを認容した事例。
2018.01.09
債権仮差押命令を取り消す決定に対する保全抗告審の債権仮差押命令一部認可決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25449149/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成29年(許)第10号
相手方(学校用品、教材の販売等を目的とする会社)が、本件違約金条項に基づく違約金債権のうち1億8550万円を被保全債権として、抗告人(土木建築請負業等を主たる事業とする会社)の第三債務者に対する請負代金債権につき、仮差押命令の申立てをし、抗告人は、吸収分割がされたことを理由に、違約金債権に係る債務を負わないと主張した事案の許可抗告審において、抗告人が相手方に対し、本件吸収分割がされたことを理由に本件違約金債権に係る債務を負わないと主張することは、信義則に反して許されず、相手方は、本件吸収分割の後も、抗告人に対して同債務の履行を請求することができるというべきであるとし、原審の判断は、是認することができるとして、抗告を棄却した事例。
2017.08.15
保全異議申立事件(平成29年7月21日高松高等裁判所(平成29年(ラ)第11号)の原審)
LEX/DB25546305/徳島地方裁判所 平成29年 1月13日 決定 (第一審)/平成28年(モ)第61号
基本事件(投稿記事削除仮処分命令申立事件)は、債権者が、債務者が管理・運営するインターネット上の検索エンジンサービスにおいて債権者の氏名等を入力して検索をすると、債権者の犯罪歴に関する情報が検索結果として表示され、このままでは債権者が重大な損害を受けるおそれがあると主張して、人格権に基づく妨害排除請求権を被保全権利として、債務者に対し、原決定の検索結果表示目録1から17までに記載の本件検索結果表示の仮の削除を求め、原決定は、本件検索結果表示を仮に削除することを債務者に命じたところ、債務者が保全異議を申し立てた事案において、債権者が本件有罪判決後現在に至るまで罪を犯すことなく生活していることその他の債権者の主張を考慮してもなお、債権者が本件犯罪に係る情報を実名で公表されない利益がその余の利益に優越するものとはいうことはできず、債権者が本件検索結果表示の削除請求権を有するものとは認められないとして、投稿記事削除仮処分命令申立事件について、地方裁判所が平成28年6月23日にした仮処分決定を取り消し、債権者の仮処分命令の申立てを却下した事例。
2017.08.15
保全異議申立決定に対する保全抗告事件(平成29年1月13日徳島地方裁判所(平成28年(モ)第61号)の抗告審)
LEX/DB25546306/高松高等裁判所 平成29年 7月21日 決定 (抗告審)/平成29年(ラ)第11号
抗告人(原審債権者)が、相手方(原審債務者)が管理・運営するインターネット上の検索エンジンサービスにおいて抗告人の氏名等を入力して検索をすると、URL並びにウェブサイトの表題及び抜粋から成る検索結果において、抗告人の犯罪歴に関する情報が表示されると主張して、人格権ないし人格的利益に基づく妨害排除請求権を被保全権利として、相手方に対し、基本事件の仮処分決定(原々決定)添付の本件検索結果表示について仮の削除を命じる仮処分を申し立て、原々決定は、本件検索結果表示について仮の削除を命じたが、これに対して相手方が保全異議を申し立て、原々決定の取消し及び同取消しに係る申立ての却下を求めたところ、原審(異議審)は、原々決定を取り消して、同取消しに係る申立てを却下する旨の原決定をしたため、これを不服とする抗告人が、本件抗告をし、当審で、著作権法47条の6に基づく権利を被保全権利として追加する旨主張した事案において、当抗告審も原々決定を取消し、同取消しに係る申立てを却下するのが相当であると判断し、抗告を棄却した事例。
2017.03.14
フェンス撤去、工事妨害禁止仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
(平成28年3月4日東京地方裁判所(平成28年(ヨ)第217号)の抗告審) 
LEX/DB25545031/東京高等裁判所 平成28年 5月17日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第484号
抗告人(債権者)が、自己所有地に隣接し、建築基準法42条2項の規定による指定を受けた私道の所有者である相手方(債務者)に対し、土地所有権又は人格権としての通行権に基づき、本件道路上のフェンス等の撤去、相手方がフェンス等を撤去しないときは、東京地方裁判所執行官に相手方の費用で撤去させること、抗告人が行う抗告人の土地上の擁壁設置工事及び建物建築工事を妨害してはならないことを求め、原審が申立てを却下したため、抗告人が即時抗告した事案において、原決定は相当であるとし、抗告を棄却した事例。
2017.03.14
フェンス撤去、工事妨害禁止仮処分命令申立事件
(平成28年5月17日東京高等裁判所(平成28年(ラ)第484号)の原審) 
LEX/DB25545032/東京地方裁判所 平成28年 3月 4日 決定 (第一審)/平成28年(ヨ)第217号
債権者が、自己所有地に隣接し、建築基準法42条2項の規定による指定を受けている私道の所有者である債務者に対し、土地所有権又は人格権としての通行権に基づき、債務者が債務者土地上に設置したフェンス、及び債務者が同土地上に設置したブロック塀の撤去、及び債権者の土地上の擁壁設置工事、及び建物建築工事の妨害の禁止を求めた事案において、債権者の仮処分命令の申立ては、被保全権利の疎明がなく、保全の必要性を判断するまでもなく理由がないとして却下した事例。
2016.04.12
投稿記事削除仮処分保全異議申立事件
(逮捕歴「忘れられる権利」認定 検索結果の削除決定)
LEX/DB25542268/さいたま地方裁判所 平成27年12月22日 決定 (第一審)/平成27年(モ)第25159号
グーグル検索で債権者の住所の県名と氏名を入力して検索すると、3年余り前の児童買春の罪での逮捕歴に関する記事が検索結果の表示により、債権者は、「更生を妨げられない利益」が違法に侵害されているから、人格権に基づく妨害排除又は妨害予防の請求として検索結果の削除請求権を有すると主張し、民事保全法23条2項の仮の地位を定める仮処分として、検索結果の削除を求める仮処分の申立てをし、原決定が、債権者の主張を認め、人格権に基づき検索エンジンの管理者である債務者に対し検索結果の削除を求めることができ、検索結果が今後表示し続けられることにより回復困難な著しい損害を被るおそれがあるとして、検索結果を仮に削除することを債務者に命じたため、債務者が、原決定の取消しを求めて保全異議を申し立てた事案において、検索結果のリンク先ウェブサイトが3年以上前から発信されているものであり、検索結果としても相当長期間表示されてきたものであるからといって、保全処分による必要性や緊急性が否定されると考えるのは背理であり、債務者の主張はあたらないとし、債権者の検索結果の削除を求める仮処分の申立てを認可した事例。