2024.04.30
損害賠償請求控訴事件
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LEX/DB25573456/東京高等裁判所 令和 6年 1月19日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第3422号
焼き肉チェーン店を運営する第1審原告が、〔1〕第1審被告において、その運営する飲食店ポータルサイト(食べログ)において飲食店ごとに掲載される評点を算出するためのアルゴリズムについて、令和元年5月21日(本件基準日)、第1審被告が運営する飲食店を含むチェーン店の評点を下方修正するような変更を実施し、現在までこれを継続しているところ、本件アルゴリズムを変更する上記行為(本件変更等)は独占禁止法に違反する行為に当たり、これにより著しい損害を生ずるおそれがあるなどと主張して、第1審被告に対し、独禁法24条に基づき、本件アルゴリズムにおいて、第1審原告が運営するチェーン店の評点を算出するに当たり、チェーン店であることを理由に当該評点を、非チェーン店の評点に比して下方修正して設定するアルゴリズムを使用することの差止めを求めるとともに、〔2〕第1審被告の本件行為は不法行為を構成し、これによって、第1審原告が運営する飲食店の食べログにおける評点が下落し、来店者数及び売上げが減少するなどの損害を被ったと主張して、第1審被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として9億3195万6952円の一部である6億3905万4422円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、第1審被告の本件行為が優越的地位の濫用に該当し、独禁法違反行為に当たると認められるなどとして、第1審原告の各請求のうち不法行為に基づく損害賠償請求については、3840万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容してその余の請求を棄却したが、独禁法24条所定の要件があるとは認められないとして同条に基づく差止請求については棄却する判決をしたところ、当事者双方がいずれも敗訴部分を不服として各控訴をした事案(なお、第1審原告は、当審で、第1審被告の本件行為が第1審原告に対する債務の不履行に当たるとして、債務不履行に基づく損害賠償請求に係る訴えを、不法行為に基づく損害賠償請求とは選択的併合の関係に立つ請求として追加したほか、独禁法違反行為に当たる第1審被告の本件行為の内容について、当審における第1審被告の主張を踏まえた主張を予備的に追加した。)で、本件変更等は、「取引条件等の差別取扱い」(独禁法2条9項6号イ、一般指定4項)にも「優越的地位の濫用」(同法2条9項5号ハ)にも当たるとは認められないから、第1審被告に独禁法違反行為を認めることはできないとし、独禁法違反行為以外を理由とする不法行為及び債務不履行に基づく各損害賠償請求は、その余の点を判断するまでもなく、いずれも理由がないとし、第1審原告の各請求(当審で追加された選択的請求を含む。)はいずれも理由がないから、これを棄却すべきところ、これと異なり、独禁法違反行為を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求を一部認容した原判決は失当であるとして、第1審原告の控訴を棄却し、当審で追加された債務不履行に基づく損害賠償請求を棄却し、第1審被告の控訴は、原判決中第1審被告敗訴部分を取消し、上記取消部分につき、第1審原告の請求を棄却した事例。
2023.10.03
審決取消請求事件(福野段ボール工業(株)による審決取消請求事件)
★「新・判例解説Watch」経済法分野 令和5年10月中旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25595929/東京高等裁判所 令和 5年 6月16日 判決 (第一審)/令和3年(行ケ)第10号
段ボール製品の製造業者による特定段ボールシートの販売に係る不当な取引制限(第1事件)及び特定段ボールケースの販売に係る不当な取引制限(第2事件)があったとして、被告・公正取引委員会が、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律に基づいて行った各排除措置命令及び各課徴金納付命令について、原告が他の事業者とともに、これらの命令を不服として取消しを求めて審判請求をしたところ、被告がこれら審判請求に対して行った本件審決に対し、原告が、原告の審判請求を棄却する部分の取消しを求めた事案で、本件審決がその基礎として認定した事実にはいずれも実質的証拠があると認められ、また、本件審決が採用した解釈が独占禁止法に違反するものとも認められないので、本件審決に取消事由は認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2023.07.25
審決取消請求事件(ダイレックス(株)による審決取消請求事件)
★「新・判例解説Watch」経済法分野 令和5年9月下旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25595467/東京高等裁判所 令和 5年 5月26日 判決 (第一審)/令和2年(行ケ)第5号
原告は、被告(公正取引委員会)が原告に対してした排除措置命令及び課徴金納付命令について、それぞれその全部の取消しを求める審判請求をし、被告は、本件排除措置命令を変更し、本件課徴金納付命令を一部取り消す旨の審決をした。本件は、原告が、本件審決について、原告の審判請求を棄却した部分につき私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律82条1項各号所定の取消事由がある旨を主張して、同項に基づき、その取消しを求めた事案で、本件各命令(本件審決後において、なお効力を有するもの)はいずれも適法であり、本件審決に独占禁止法82条1項各号所定の取消事由があるとは認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2023.05.02
排除措置命令取消、課徴金納付命令取消請求控訴事件(マイナミ空港サービス(株)による排除措置命令等取消請求控訴事件)
★「新・判例解説Watch」経済法分野 令和5年6月中旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25594716/東京高等裁判所 令和 5年 1月25日 判決 (控訴審)/令和4年(行コ)第70号
被控訴人(原審被告。公正取引委員会)が、控訴人(原審原告)は、八尾空港における機上渡し給油による航空燃料の販売に関して〔1〕自社の取引先需要者に対し、S航空から機上渡し給油を受けた場合には自社からの給油は継続できない旨等を通知し、〔2〕S航空から機上渡し給油を受けた自社の取引先需要者からの給油に係る依頼に応じる条件として、S航空の航空燃料と自社の航空燃料の混合に起因する事故等が発生した場合でも控訴人に責任の負担を求めない旨等が記載された文書への署名又は抜油を求めることにより、自社の取引先需要者にS航空から機上渡し給油を受けないようにさせており、これが令和元年法律第45号による改正前の独占禁止法2条5項の私的独占に該当し、独占禁止法3条に違反するとして、令和2年7月7日、独占禁止法7条1項に基づき、排除措置を命じるとともに、令和3年2月19日、控訴人に対し、令和元年法律第45号による改正後の独占禁止法7条の9第2項に基づき、課徴金として612万円を国庫に納付することを命じたのに対して、控訴人が、被控訴人に対し、上記排除措置命令及び上記課徴金納付命令の各取消しを求め、原判決は、上記〔1〕及び〔2〕の行為は、独占禁止法2条5項の「私的独占」に当たり、同法3条の規定に違反すると判断し、控訴人が主張するその余の取消事由の存在も認められないとして、控訴人の請求をいずれも棄却する旨の判決をしたため、控訴人が原判決を不服として控訴した事案で、控訴人の請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2022.12.13
損害賠償請求事件
LEX/DB25593696/東京地方裁判所 令和 4年 6月16日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第12735号
複数の焼き肉店を運営する原告が、〔1〕被告が運営する飲食店ポータルサイトにおいて、飲食店の点数(評点)を算出するためのアルゴリズムについて、同一運営主体が複数店舗を運営している飲食店(チェーン店)の評点を下方修正するような変更を実施し、現在までこれを継続しているところ、上記行為は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律に違反する行為(取引条件等の差別取扱い〔独禁法2条9項6号イ、不公正な取引方法〕又は優越的地位の濫用〔独禁法2条9項5号ハ〕に該当し、独禁法19条に違反するもの)であり、これにより著しい損害を生ずるおそれがあるなどと主張して、被告に対し、独禁法24条に基づき、本件アルゴリズムにおいて、原告が運営するチェーン店の評点の算出に当たり、チェーン店であることを理由に、当該評点を、チェーン店でない飲食店(非チェーン店)の評点に比して下方修正して設定するアルゴリズム(ルール)を使用することの差止めを求めるとともに、〔2〕被告の上記独禁法違反行為により、原告が運営する飲食店の評点が下落し、来店者数及び売上が減少したなどと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として、売上の減少及びブランド価値等の毀損による損害金の支払等を求めた事案で、被告が本件変更を行ったことは、優越的地位の濫用(独禁法2条9項5号ハ)に該当し、独禁法19条に違反すると認め、原告の請求のうち、不法行為に基づき損害賠償を求めた部分につき、一部認容した事例。
2022.11.08
審決取消請求事件((株)トーモクほか1名による審決取消請求事件)
★「新・判例解説Watch」経済法分野 令和4年12月下旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25593484/東京高等裁判所 令和 4年 9月16日 判決 (第一審)/令和3年(行ケ)第12号 等
被告(公正取引委員会)が令和3年2月8日付けでした平成26年(判)第139号ないし第142号排除措置命令及び課徴金納付命令審判事件に係る本件審決について、段ボール原紙を加工して段ボールシートを製造するとともに、段ボールシートを加工して段ボールケースを製造する事業者の原告らが、本件審決の基礎となった事実を立証する実質的な証拠に欠けるとともに、法令の解釈を誤るものであるなどと主張して、同審決の取消しを求めた事案で、本件審決に独占禁止法82条1項1号及び2号に該当する取消事由はないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2022.03.29
措置命令処分取消請求事件
★「新・判例解説Watch」憲法分野 令和4年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25572006/最高裁判所第三小法廷 令和 4年 3月 8日 判決 (上告審)/令和3年(行ツ)第33号
上告人(健康食品販売会社)が、サプリメントの広告が優良誤認に該当するとして、措置命令処分を受けたため、被上告人に対し、本件処分の取消しを求めた事案の上告審において、不当景品類及び不当表示防止法7条2項は、事業者がした自己の供給する商品等の品質等を示す表示について、当該表示のとおりの品質等が実際の商品等には備わっていないなどの優良誤認表示の要件を満たすことが明らかでないとしても、所定の場合に優良誤認表示とみなして直ちに措置命令をすることができるとすることで、事業者との商品等の取引について自主的かつ合理的な選択を阻害されないという一般消費者の利益をより迅速に保護することを目的とするものであり、公共の福祉に合致することは明らかであるとし、不当景品類及び不当表示防止法7条2項は、憲法21条1項、憲法22条1項に違反しないとして、本件上告を棄却した事例。
2022.03.22
課徴金納付命令処分取消請求控訴事件
LEX/DB25591763/東京高等裁判所 令和 3年11月24日 判決 (控訴審)/令和3年(行コ)第31号
株式会社M社の取締役である被控訴人(1審原告)が、M社の「業務執行を決定する機関」が株式会社D社との「業務上の提携」を「行うことについての決定」をした旨の重要事実を知りながら、法定の除外事由がないのに、本件重要事実の公表がされた平成27年12月11日よりも前にM社株式(本件株式)合計400株を買い付けたことが金融商品取引法166条1項1号及び同条2項1号ヨの内部者取引に当たるとして、金融庁長官(処分行政庁)から、金融商品取引法185条の7第1項に基づき、課徴金として133万円を国庫に納付することを命ずる決定を受けたことについて、本件納付命令が違法である旨主張して、控訴人(1審被告。国)に対し、その取消しを求め、原判決は、被控訴人が上記買付けをした時までにM社の「業務執行を決定する機関」が「業務上の提携」を「行うことについての決定」をしていたとは認められず、本件納付命令は違法であるとして、これを取消したため、控訴人が、これを不服として控訴した事案において、本件納付命令は違法であり、被控訴人の請求は理由があるものと判断し、原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2021.08.03
措置命令取消請求事件
LEX/DB25590216/大阪地方裁判所 令和 3年 4月22日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第73号
通信販売事業者である原告は、平成29年12月にお節料理である本件7商品の取引について、原告各ウェブサイトに歳末特別価格により販売する旨の本件各広告表示を掲載したところ、消費者庁長官は、本件各表示が不当景品類及び不当表示防止法5条2号(有利誤認表示)に該当するとして、景品表示法7条1項に基づき、原告に対し、平成31年3月6日付けで本件各表示が景品表示法に違反するものであることを一般消費者に周知徹底するなどの措置を講ずることを命ずる旨の措置命令をしたため、原告が本件命令の取消しを求めた事案において、本件各表示はいずれも景品表示法5条2号に該当するものであり、また、本件命令に平等原則、適正手続等に反する違法があるとはいえないから、本件命令は適法であるとして、原告の請求を棄却した事例。
2021.03.16
不正競争防止法違反被告事件
LEX/DB25571332/最高裁判所第一小法廷 令和 3年 3月 1日 決定 (上告審)/平成30年(あ)第10号
電子書籍に施されているDRM(デジタル著作権管理)技術による影像のキャプチャ防止措置を、専用ビューア以外でも視聴することを可能にするプログラムにより無効化したことが、不正競争防止法2条1項10号(平成27年法律第54号による改正前のもの)にいう「技術的制限手段の効果を妨げる」という要件に該当するとし、原判決は第1審判決を是認したため、被告人が上告した事案で、本件ビューア以外で影像の視聴ができないよう影像の視聴等を制限するプログラムGの機能により得られる効果は技術的制限手段の効果に当たり、これを無効化するF3は、技術的制限手段の効果を妨げることにより影像の視聴を可能とする機能を有するプログラムに当たると認め、F3を提供した被告人両名の行為は、不正競争防止法2条1項10号の不正競争に当たり、同法21条2項4号に該当するとし、同号の罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判断は結論において正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2020.11.10
保有個人情報不開示決定処分取消請求事件
LEX/DB25566775/大阪地方裁判所 令和 2年 9月11日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第159号
大阪刑務所収容中の原告が、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律13条に基づき、保有個人情報の開示を請求したところ、大阪矯正管区長から、本件情報は同法45条1項により開示請求等の規定の適用が除外されている情報に該当するとして、その全部を開示しない旨の決定を受けたことから、本件決定は同項の解釈を誤ったものである、又は、憲法によって保障されている被収容者が自己の医療情報を知る権利等を侵害するため違憲であるなどと主張して、本件決定の取消しを求めた事案で、受刑者に対して講じられた医療上の措置に係る個人情報で刑事施設が保有するものについては、同法45条1項の「刑事事件に係る裁判に係る保有個人情報」及び「刑の執行に係る保有個人情報」に該当すると解するのが相当であり、また、憲法13条が行政機関の保有する個人情報の開示請求権を具体的権利として保障したものではないなどとして、原告の請求を棄却した事例。
2020.11.04
地位確認等請求事件
LEX/DB25571116/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/令和1年(受)第777号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して勤務している時給制契約社員である第1審原告らが、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と第1審原告らとの間で、年末年始勤務手当、病気休暇、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償を求めるなどの請求をし、原審は、第1審原告らの労働契約上の地位確認請求及び主位的請求はいずれも理由がないとして第1審の判断を維持したうえで、予備的請求につき、第1審の支払額を増加した内容で変更したため、双方が上告した事案において、私傷病による病気休暇として、郵便の業務を担当する正社員に対して有給休暇を与えるものとする一方で、同業務を担当する時給制契約社員に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であり、原審の判断は正当として是認することができるとし、また、郵便の業務を担当する時給制契約社員である第1審原告らについて、無給の休暇を取得したなどの事実の主張立証がないとして、夏期冬期休暇を与えられないことによる損害が生じたとはいえないとした原審の判断には、不法行為に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決のうち第1審原告らの夏期冬期休暇に係る損害賠償請求に関する部分を破棄し、損害額について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻すとともに、第1審被告の上告及び第1審原告らのその余の上告を棄却した事例。
2020.02.25
免責条項等使用差止請求事件(モバゲー規約一部差し止め判決)
LEX/DB25564780/さいたま地方裁判所 令和 2年 2月 5日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第1642号
適格消費者団体である原告が、被告(ゲームのポータルサイト運営会社)が不特定かつ多数の消費者との間で本件ポータルサイトに関するサービス提供契約を締結するに当たり、消費者契約法8条1項に規定する消費者契約の条項に該当する条項を含む契約の申込み又は承諾の意思表示を現に行い、又は行うおそれがあると主張して、被告に対し、消費者契約法12条3項に基づき、契約の申込み又は承諾の意思表示の停止を求めるとともに、これらの行為の停止又は予防に必要な措置として、上記意思表示を行うための事務を行わないことを被告の従業員らに指示するよう求めた事案において、被告は、不特定かつ多数の消費者との間で、免責条項に当たる本件ポータルサイト会員規約7条3項を含む「消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示を現に行い又は行うおそれ」(消費者契約法12条3項)があると認め、原告の請求を一部認容した事例。
2019.11.12
排除措置命令等取消請求事件
LEX/DB25564042/東京地方裁判所 平成31年 3月28日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第443号 等
原告らが、本件排除措置命令、及び、本件課徴金納付命令の各命令はその処分要件を欠く違法なものであるなどと主張して、原告R社が本件アルミ排除措置命令及び本件アルミ課徴金納付命令(原告R社)の取消しを、原告N社が本件アルミ排除措置命令、本件アルミ課徴金納付命令(原告N社)及び本件タンタル課徴金納付命令(原告N社)の取消しを、原告M電機が本件タンタル排除措置命令及び本件タンタル課徴金納付命令(原告M電機)の各一部の取消しを、被告(公正取引委員会)に対し、それぞれ求めた事案において、原告M電機の請求を一部認容し、その余の原告M電機の請求並びに原告R社及び原告N社の請求を棄却した事例。
2019.05.21
排除措置命令取消請求事件
LEX/DB25562718/東京地方裁判所 平成31年 3月28日 判決 (第一審)/平成29年(行ウ)第196号
農業協同組合が、自ら以外の者になすを出荷することを制限する条件を付けて、その組合員から、なすの販売を受託しており、これは不公正な取引方法に該当し、独占禁止法19条に違反するとして、同組合に対し、同法20条2項に基づき、公正取引委員会が、当該行為を行っていない旨を確認することなどを命ずる排除措置命令(本件命令)をしたところ、農業協同組合を吸収合併した原告が、本件命令には違反行為をした主体の認定に誤りがあり違法であるなどと主張して、被告(公正取引員会)に対し、本件命令の取消しを求めた事案において、上記行為が排除されたことを取引の相手方に確実に認識させる必要があると判断して本件命令をしたことが、合理性を欠き、裁量権の範囲を超え又はその濫用があったとはいえないとし、本件命令は「特に必要があると認めるとき」(独禁法20条2項、7条2項本文)に当たるとして、原告の請求を棄却した事例。
2018.12.18
不正競争防止法違反被告事件
LEX/DB25449846/最高裁判所第二小法廷 平成30年12月 3日 決定 (上告審)/平成30年(あ)第582号
自動車の開発、製造、売買等を業とするA社(自動車の開発、製造、売買等を業とする会社)の商品企画部の従業員として勤務し、同社のサーバーコンピュータに保存された情報にアクセスするためのID及びパスワードを付与されて、同社が秘密として管理している同社の自動車の商品企画に関する情報等で公然と知られていないものを示されていた被告人が、同社が保有する自動車の商品企画等に関する営業秘密に当たるデータファイルを、不正の利益を得る目的で、あらかじめ同社のサーバーコンピュータにアクセスして、被告人が同社から貸与されていたパーソナルコンピュータに保存していた番号1から8までのデータファイル8件等が含まれたフォルダを、同パーソナルコンピュータから自己所有のハードディスクに転送させて、複製を作成(判示1)し、同パーソナルコンピュータを使用して同社サーバーコンピュータにアクセスして、番号9から12までのデータファイル4件等が含まれたフォルダを同サーバーコンピュータから自己所有のハードディスクに転送させて、複製を作成(判示2)し、その営業秘密の管理に係る任務に背き、それぞれ営業秘密を領得した不正競争防止法違反事件で、1審判決は、被告人に対し、判示1につき懲役1年(執行猶予3年)、判示2につき無罪を言い渡したため、双方が控訴し、控訴審判決は、1審判決を維持し、双方の控訴を棄却した。このため、被告人が上告した事案において、被告人は、当該複製が被告人自身又は転職先その他の勤務先以外の第三者のために退職後に利用することを目的としたものであったことは合理的に推認できるとし、被告人には不正競争防止法21条1項3号にいう「不正の利益を得る目的」があったとして、同旨の第1審判決を是認した原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2017.12.26
審決取消請求事件
LEX/DB25449104/最高裁判所第三小法廷 平成29年12月12日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第233号
被上告人(被告。公正取引委員会)は、上告人を含む事業者らがテレビ用ブラウン管の販売価格に関して国外で合意をすることにより、独占禁止法2条6項所定の「不当な取引制限」(価格カルテル)をしたとして、上告人に対し,独占禁止法7条の2第1項に基づく課徴金納付命令を発したが、上告人が、当該合意について独禁法を適用することはできないなどとして上記課徴金納付命令の取消しを求める審判請求をしたものの、これを棄却する旨の審決を受けたため、被上告人を相手に、上記審決の取消しを求め、原判決は、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件合意は、日本国外で合意されたものではあるものの、我が国の自由競争経済秩序を侵害するものといえるから、本件合意を行った上告人に対し、我が国の独禁法の課徴金納付命令に関する規定の適用があるものとし、また、本件合意の対象である本件ブラウン管が現地製造子会社等に販売され日本国外で引渡しがされたものであっても、その売上額は、独禁法7条の2第1項にいう当該商品の売上額に当たるとし、原審の判断を正当として是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2017.03.07
不正競争防止法による差止等請求本訴、商標権侵害行為差止等請求反訴事件
LEX/DB25448483/最高裁判所第三小法廷 平成29年 2月28日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1876号
A社(米国法人)との間で同社の製造する電気瞬間湯沸器につき日本国内における独占的な販売代理店契約を締結し、「エマックス」、「EemaX」又は「Eemax」の文字を横書きして成る被上告人使用商標を使用して本件湯沸器を販売している被上告人が、上記湯沸器を独自に輸入して日本国内で販売している上告人に対し、被上告人使用商標と同一の商標を使用する上告人の行為が不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当するなどと主張して、その商標の使用の差止め及び損害賠償等を求めた事案(本訴)、上告人が、被上告人に対し,各登録商標につき有する各商標権に基づき、上記各登録商標に類似する商標の使用の差止め等を求めた事案(反訴)の上告審において、商標法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後であっても、当該商標登録が不正競争の目的で受けたものであるか否かにかかわらず、商標権侵害訴訟の相手方は、その登録商標が自己の業務に係る商品等を表示するものとして当該商標登録の出願時において需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であるために同号に該当することを理由として、自己に対する商標権の行使が権利の濫用に当たることを抗弁として主張することが許されると解するのが相当であるとし、本件各登録商標につき同号該当性を認めた原審の判断には、法令の適用を誤った違法があるとし、原判決中、本訴請求のうち不正競争防止法に基づく請求に関する部分及び反訴請求に関する部分は破棄し、破棄部分については、被上告人による上記湯沸器の具体的な販売状況等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻し、その余の上告は、上告受理申立ての理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例(補足意見がある)。
2017.02.28
立替金等請求本訴、不当利得返還請求反訴事件
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LEX/DB25448465/最高裁判所第三小法廷 平成29年 2月21日 判決 (上告審)/平成27年(受)第659号
被上告人(信販会社。原告・控訴人)が、上告人ら(被告・被控訴人)に対し、被上告人の加盟店であったA社との間で宝飾品等の売買契約を締結したとして、被上告人との間で購入代金に係る立替払契約に基づく未払金の支払等を求めた事案(本訴)、上告人Y2が、被上告人に対し、割賦販売法35条の3の13第1項により上記立替払契約の申込みの意思表示を取消したこと等を理由として、不当利得返還請求権に基づき、上記立替払契約に基づく既払金の返還等を求めた事案(反訴)した。(本件反訴は、原審で提起され、その後、上告人Y2に対する本訴は、取り下げられた。)上記立替払契約のうち、平成20年法律第74号の施行日である平成21年12月1日以降に締結されたものについては、割賦販売法35条の3の13第1項により立替払契約の申込みの意思表示を取り消すことができるか否かが、同日より前に締結されたものについては、改正法による改正前の割賦販売法30条の4第1項により本件販売業者に対して生じている売買契約の無効等の事由をもって被上告人に対抗することが信義則に反するか否かが争われ、改正前契約に係る売買契約は民法93条ただし書又は民法94条1項により無効であるとし、被上告人の本訴請求を認容し、上告人Y2の反訴請求を棄却したため、上告人らが上告した事案において、個別信用購入あっせんで、販売業者が名義上の購入者となることを依頼する際にした上告人らに対する告知の内容は、割賦販売法35条の3の13第1項6号にいう「購入者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの」に当たるとして、原判決を破棄し、高等裁判所に差し戻しを命じた事例(反対意見がある)。
2017.02.14
措置命令取消等請求事件(断熱フィルムメーカー敗訴 消費者庁の措置命令取消等請求事件)
LEX/DB25544720/東京地方裁判所 平成28年11月10日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第161号
原告らが、窓ガラスに貼って使用する「シーグフィルム」という名称の商品の販売等を行い、そのリーフレットやウェブページで、本件商品を窓ガラスに貼付すると、夏季における遮熱効果及び冬季における断熱効果があり、冷暖房効率を向上させる旨を具体的な数値を挙げるなどして表示していたところ、消費者庁長官から、本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出がされておらず、不当景品類及び不当表示防止法4条2項により同条1項1号に該当する優良誤認表示とみなされるとして、不当景品類及び不当表示防止法6条に基づき、本件各表示が法に違反するものであることを一般消費者に対して周知徹底すること等を命ずる各措置命令を受けたため、原告らは合理的根拠資料を提出しており、本件各措置命令は違法であるなどと主張して、本件各措置命令の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、被告(国)に対し、原告らが本件各措置命令により受けたと主張する損害金の一部支払を求めた事案において、本件各措置命令に国家賠償法上の違法があるとはいえなどとして、請求を棄却した事例。