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2024.06.25
窃盗、道路交通法違反、殺人被告事件 new
LEX/DB25573554/最高裁判所第一小法廷 令和 6年 5月27日 判決 (上告審)/令和5年(あ)第292号
被告人が、無差別に狙った2名の被害者にトラックを衝突させて殺害したとして、殺人、窃盗、道路交通法違反の罪に問われ、第一審が被告人に死刑を言い渡したため、被告人が控訴し、控訴審が、第一審判決が死刑の選択をやむを得ないと認めた判断には、具体的、説得的な根拠が示されているということはできず、不合理な判断をしたものといわざるを得ないとして、第一審判決を破棄し、被告人を無期懲役に処したところ、検察官が上告した事案で、検察官の上告趣意は、判例違反をいう点を含め、実質は量刑不当の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとしたうえで、本件は被害者2名に対する殺人を含む事件であり、その動機は身勝手かつ自己中心的であるというほかなく、被告人の刑事責任は誠に重いものの、犯情を総合的に評価すると、死刑を選択することが真にやむを得ないとまではいい難く、第一審の死刑判決を破棄し、被告人を無期懲役に処した控訴審判決が、刑の量定において甚だしく不当であってこれを破棄しなければ著しく正義に反するものということはできないとして、本件上告を棄却した事例。
2024.06.25
覚醒剤取締法違反(変更後の訴因覚醒剤取締法違反、関税法違反)被告事件 new
LEX/DB25599348/東京地方裁判所 令和 6年 3月12日 判決 (第一審)/令和4年(合わ)第49号
被告人が、氏名不詳者らと共謀のうえ、営利の目的で、みだりに、アラブ首長国連邦において、覚醒剤であるフェニルメチルアミノプロパンを含有する固形物約14万8210.8グラムを隠し入れた航空小口急送貨物1個を、埼玉県春日部市「B」宛てに発送し、もって覚醒剤を本邦に輸入するとともに、東京税関成田航空貨物出張所において、同出張所職員による検査を受けさせ、もって関税法上の輸入してはならない貨物である覚醒剤を輸入しようとしたが、同職員に発見されたため、その目的を遂げなかったとして、覚醒剤取締法違反(変更後の訴因 覚醒剤取締法違反、関税法違反)の罪で懲役18年及び罰金800万円、覚醒剤8個の没収を求刑された事案で、検察官が指摘する事情をみても、被告人が本件貨物内に違法な物が入っているかもしれないと認識していたといえる決定的な事情はなく、また、検察官が指摘する事情の中には、そのような認識を有していた方向で理解できるものもあるが、被告人の供述等を踏まえると、別の見方もできるものでもあり、その推認力は乏しいから、検察官が指摘する事情を総合しても、被告人が本件貨物内に違法な物が入っているかもしれないという認識があったと推認することはできず、本件で取り調べた証拠によっては、被告人において、本件貨物内に覚醒剤を含む違法薬物はもとより違法な物が入っているかもしれないという認識があったと認めるには合理的な疑いが残るとして、被告人に無罪を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2024.06.18
損害賠償請求事件 
LEX/DB25599625/函館地方裁判所 令和 6年 5月 8日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第175号
原告P1が、被告八雲町が運営する病院の産婦人科で被告P3ら医師から処方を受けていた経口避妊薬であるアンジュ28錠の服用により脳静脈洞血栓症を発症し、重度の身体障害等を負ったとして、(1)原告P1が、主位的に、被告P3に対しては不法行為に基づき、被告八雲町に対しては使用者責任に基づき、連帯して金員の支払を求めるとともに、予備的に、被告八雲町に対し、債務不履行に基づき、上記と同額の損害賠償金等の支払を求め(原告P1の主位的請求及び予備的請求1)、(2)原告P1が、更に予備的に、被告P3には、本件薬剤を投与する前に原告P1の血圧を測定しなかった過失があり、これにより、原告P1への投与は本件薬剤が適正に使用された場合に当たらないとされ、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)から副作用救済給付を受けられなかった旨主張し、被告らに対し、不法行為に基づき、連帯して、損害賠償金等の支払を求め(原告P1の予備的請求2)、(3)原告P1の夫である原告P2が、原告P1に対する被告P3の前記の不法行為によって自身も精神的苦痛を被った旨主張し、被告P3に対しては不法行為に基づき、被告八雲町に対しては使用者責任に基づき、損害賠償金等の支払を求めた(原告P2の請求)事案で、本件処方には、添付文書上要求される血圧測定等を行わずに漫然と本件薬剤を処方した注意義務違反が認められ、原告P1と被告八雲町との間の診療契約に基づいて行われたものであるから、説明義務違反の有無等について判断するまでもなく、被告八雲町には債務不履行に基づく損害賠償責任が認められるとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2024.06.18
各電子計算機使用詐欺被告事件 
「新・判例解説Watch」刑法分野 解説記事が掲載されました
LEX/DB25599425/大阪地方裁判所 令和 6年 5月 8日 判決 (第一審)/令和5年(わ)第589号 等
被告人3名が、それぞれ電子計算機使用詐欺で起訴され、被告人Aにつき懲役1年6か月、被告人Bにつき懲役1年、被告人Cにつき懲役10か月を求刑された事案で、本件ETCシステムにおいて、本件ETCカードを使用するのは名義人本人のみであり、名義人である被告人Cが同乗していない状態で、被告人Aと被告人Bが本件ETCカードを使用することは、「虚偽の情報」を与えたといえるとし、また、被告人Cは、本件ETCカードを被告人Aらが使用することを認識しながら、被告人Aらに貸したのであるから、電子計算機使用詐欺罪の共謀があったと認められ、また、被告人らの行為は、共謀による電子計算機使用詐欺罪の構成要件を充足するものと認められるから、被告人らは電子計算機使用詐欺罪の共同正犯の罪責を負うものと判断するとしたうえで、被告人Aは、異種とはいえ累犯前科があるのに本件各犯行に及んでおり、実刑とせざるを得ないが、被告人Bには考慮すべき前科はなく、被告人Cには前科がないことなどを踏まえると、両名については、それぞれ懲役刑を科したうえで、刑の執行を猶予するのが相当であるとして、被告人3名をそれぞれ懲役10か月に処し、被告人B及び被告人Cに対し、3年間、それぞれその刑の執行を猶予した事例。
2024.06.11
難民不認定処分取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」国際公法分野 令和6年10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25599424/名古屋地方裁判所 令和 6年 5月 9日 判決 (第一審)/令和3年(行ウ)第38号
シリア国籍を有する外国人男性である原告が、出入国管理及び難民認定法61条の2第1項の規定に基づき本件難民申請をしたところ、名古屋入管局長から難民の認定をしない旨の本件不認定処分を受けたため、同法61条の2の9第1項に基づく本件審査請求をしたが、法務大臣から本件審査請求を棄却する旨の本件棄却裁決を受けたことから、被告・国を相手として、本件不認定処分及び本件棄却裁決の各取消し並びに難民の認定の義務付けを求めた事案で、原告は、その政治的意見(それに基づく兵役忌避)を理由として、シリア政府から通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃又は圧迫であって、生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を受けるおそれがあるという恐怖を抱くような個別的かつ具体的な事情が認められるから、「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」と認められるというべきであり、また、原告が「国籍国の外にいる者であって、その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないもの」であることも明らかであるから、原告は難民に該当するものと認められるなどとして、原告の請求をいずれも認容した事例。
2024.06.11
罷免訴追事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年7月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25599459/裁判官弾劾裁判所 令和 6年 4月 3日 判決 /令和3年(訴)第1号
平成6年4月13日、判事補に任命され、その後、平成31年4月1日仙台高等裁判所判事兼仙台簡易裁判所判事に補せられ、今日に至っている被訴追者は、平成9年頃からホームページを作成し、法律に携わる人に有益な情報提供をするための媒体にしていったが、コメント欄への不適切な書き込みによりそのサイトは平成18年に閉鎖せざるを得なくなり、平成20年、法律情報を法律関係の方々に伝達する手段として被訴追者の実名が付されたアカウントによるツイッターを始めたところ、被訴追者は、裁判官であることが他者から認識することができる状態で当該投稿等を行い、不特定多数の者が閲覧可能な状態にしたとして、訴追委員会が、被訴追者を罷免することを求めた事案で、被訴追者による刑事事件投稿等行為群(〔3〕〔10〕を除く)につき、裁判官弾劾法31条2項但書に基づき、本件審理に関与した裁判員の3分の2以上の多数意見により、同法2条2号を適用するとして、被訴追者を罷免した事例。
2024.06.04
法人税青色申告承認取消処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和6年8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」租税法分野 令和6年7月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573500/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 5月 7日 判決 (上告審)/令和5年(行ツ)第334号
上告代理人の上告理由のうち憲法31条違反をいう部分について、税務署長が上告人に対してした、上告人の平成30年7月1日から令和元年6月30日までの事業年度以後の法人税に係る青色申告の承認の取消処分(本件処分)につき、事前に防御の機会が与えられなかったことをもって、本件処分が違憲であるとの論旨で、法人税法127条1項の規定による青色申告の承認の取消処分については、その処分により制限を受ける権利利益の内容、性質等に照らし、その相手方に事前に防御の機会が与えられなかったからといって、憲法31条の法意に反するものとはいえないなどとして、本件上告を棄却した事例(反対意見、補足意見がある)。
2024.06.04
虐待認定違法確認等請求控訴事件
LEX/DB25599317/東京高等裁判所 令和 6年 4月18日 判決 (控訴審)/令和5年(行コ)第255号
障害児通所支援事業(放課後等デイサービス)を行う事業所を運営する控訴人(原告)が、被控訴人(被告)・大田区から、同事業所に通所していた児童に対する控訴人代表者の行為が心理的虐待及びネグレクトに該当する旨の認定(本件虐待認定等)、並びに、上記控訴人代表者の行為に関する改善案等の提出による報告の求め(本件報告の求め)を受けたことにつき、本件虐待認定等は前提とする事実を誤り、その評価も不合理なものであって違法であり、また、本件虐待認定等が適法であることを前提とする本件報告の求めに従う義務もないなどとして、本件虐待認定等が違法であることの確認を求める(本件各違法確認請求)とともに、本件報告の求めに応じる義務がないことの確認を求め(本件義務不存在確認請求)、併せて、被控訴人から本件虐待認定等及び本件報告の求めを受けたことにより控訴人の事業に多大な損害が生じたなどとして、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償金等の支払を求め、原審が本件訴えのうち、本件各確認請求に係る部分をいずれも却下し、控訴人のその余の請求を棄却したところ、控訴人がこれを不服として控訴した事案で、本件各違法確認請求が控訴人の有する権利又は法律的地位に存する危険又は不安を除去するために必要かつ適切であるということはできず、同請求に係る訴えには確認の利益がないとし、被控訴人の担当職員らによる本件虐待認定、及び、本件ネグレクト認定が国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとして、原判決は結論において相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.05.28
サケ捕獲権確認請求事件
「新・判例解説Watch」国際公法分野 令和6年7月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25599018/札幌地方裁判所 令和 6年 4月18日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第22号
北海道十勝郡浦幌町内に居住するアイヌで構成される団体であって、権利能力なき社団である原告が、被告・国及び被告・北海道に対し、原告はアイヌの集団としての固有の権利である内水面におけるサケ捕獲権(本件漁業権)を有する旨主張するとともに、内水面におけるさけの採捕を原則として禁止する水産資源保護法28条が原告の漁業(本件漁業)に関する限り無効である旨主張して、原告が本件漁業権を有することの確認を求めるとともに、水産資源保護法28条は本件漁業に関する限り無効であることの確認を求めた事案で、現行法上、北海道の内水面においてさけの漁業を営むことはできず、アイヌの人々の文化享有権の行使との関係において、さけの採捕は最大限尊重されるべきものであることを考慮しても、原告が本件漁業権を文化享有権の一環又は固有の権利として有すると認めることはできないところ、原告の本件無効確認の訴えは確認の利益を欠き不適法であるとして却下し、本件漁業権確認の訴えに係る請求は理由がないとして棄却した事例。
2024.05.28
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25599174/東京高等裁判所 令和 6年 1月17日  判決 (控訴審)/令和5年(ネ)第3826号
控訴人(原告)は、かつて、「金融商品取引法」に改題される前の旧証券取引法違反の罪により逮捕及び起訴され、有罪判決を受けて服役したことがある者であるが、被控訴人(被告)会社がそのウェブページに控訴人の実名と共に上記前科等の事実を摘示したことは、控訴人の名誉を毀損し、プライバシーを侵害するものであるとして、控訴人が、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償金等の支払を求め、原審が控訴人の請求を棄却したことから、控訴人が控訴した事案で、本件記述は、控訴人が当該報道をされるような人物であるとの印象を閲覧者に与える面があること自体は否定できず、その意味において、控訴人の社会的評価を低下させる要素を含むものといわざるを得ないが、被控訴人の行為は、被控訴人の株主等に対して投資判断の材料となる情報を迅速かつ的確に提供することを目的としていたものと認められ、閲覧者が本件記述の意味内容、性格等について誤解を生ずる余地はないから、控訴人の社会的評価を違法に低下させる行為には当たらないと解するのが相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.05.21
損害賠償等請求事件
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和6年8月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573488/最高裁判所第二小法廷 令和 6年 4月26日 判決 (上告審)/令和5年(受)第604号
被上告人に雇用されていた上告人が、被上告人から、職種及び業務内容の変更を伴う配置転換命令を受けたため、同命令は上告人と被上告人との間でされた上告人の職種等を限定する旨の合意に反するなどとして、被上告人に対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求等をしたところ、原審は本件損害賠償請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、上告人と被上告人との間には、上告人の職種及び業務内容を本件業務に係る技術職に限定する旨の本件合意があったというのであるから、被上告人は、上告人に対し、その同意を得ることなく総務課施設管理担当への配置転換を命ずる権限をそもそも有していなかったとし、被上告人が上告人に対してその同意を得ることなくした本件配転命令につき、被上告人が本件配転命令をする権限を有していたことを前提として、その濫用に当たらないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中、不服申立ての範囲である本判決主文第1項記載の部分(本件損害賠償請求に係る部分)を破棄し、本件配転命令について不法行為を構成すると認めるに足りる事情の有無や、被上告人が上告人の配置転換に関し上告人に対して負う雇用契約上の債務の内容及びその不履行の有無等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2024.05.21
勾留の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25573490/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 4月24日  決定 (特別抗告審)/令和6年(し)第262号
刑事訴訟法207条の2の規定について、被疑者を勾留するに当たり、その理由を被疑事件を特定して告げるものとはいえず、また、被疑者が弁護人に依頼する権利を侵害するとして、憲法34条違反の主張につき、前提を欠き、刑事訴訟法433条の抗告理由に当たらないとして、抗告を棄却した事例。
2024.05.14
各株券引渡請求及び独立当事者参加事件
LEX/DB25573475/最高裁判所第二小法廷 令和 6年 4月19日 判決 (上告審)/令和4年(受)第1266号
上告人が、被上告人会社に対し、株式会社U社の設立に当たり、その株式200株(本件株式1)を有する株主であることの確認等を求め、また、被上告人Y1に対し、上告人が株式会社U社の募集株式310株のうち240株(本件株式2)を有する株主であることの確認等を求めた事案の上告審において、本件株券1及び2につき、それぞれA及びCに交付されたことをもって、本件株式1及び2に係る株券としての効力を有しないということはできないから、上記両名から本件株券1及び2の交付を受けた上告人は、本件株式1及び2に係る株券の交付を受けたと認められる余地があるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2024.05.14
死刑の執行告知と同日の死刑執行受忍義務不存在確認等請求事件
LEX/DB25599034/大阪地方裁判所 令和 6年 4月15日 判決 (第一審)/令和3年(行ウ)第122号
死刑確定者である原告らが、被告に対し、死刑執行告知と同日にされる死刑執行が違法である旨主張して、〔1〕行政事件訴訟法4条後段の実質的当事者訴訟として、死刑執行告知と同日にされる死刑執行を受忍する義務がないことの確認を求める(本件確認の訴え)とともに、〔2〕死刑執行に関わる公務員らは、死刑確定者に対し、死刑執行告知と同日に死刑執行を行うという執行方法による死刑執行をしてはならない義務を負うにもかかわらず、同義務に違反し、このような死刑執行方法を維持していることにより原告らが精神的苦痛を被っている旨主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害金各1100万円(慰謝料各1000万円及び弁護士費用各100万円)等の支払を求めた(本件各賠償請求)事案で、本件確認の訴えは不適法であるとして却下し、また、本件各賠償請求は理由がないとして棄却した事例。
2024.05.07
損害賠償等請求本訴、損害賠償請求反訴事件
LEX/DB25573468/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 4月16日 判決 (上告審)/令和5年(受)第365号
本訴請求は、上告人(外国人の技能実習に係る監理団体)に雇用されていた被上告人(監理団体の指導員)が、上告人に対し、時間外労働、休日労働及び深夜労働に対する賃金の支払を求め、上告人は、被上告人が事業場外で従事した業務の一部(本件業務)については、労働基準法38条の2第1項(本件規定)にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるため、被上告人は所定労働時間労働したものとみなされるなどと主張し、これを争っている事案の上告審において、原審は、業務日報の正確性の担保に関する具体的な事情を十分に検討することなく、業務日報による報告のみを重視して、本件業務につき本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるとはいえないとしたものであり、このような原審の判断には、本件規定の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中、本件本訴請求に関する上告人敗訴部分は破棄し、本件業務につき本件規定にいう「労働時間を算定し難いとき」に当たるといえるか否か等に関し更に審理を尽くさせるため、上記部分につき、本件を原審に差し戻すこととした事例(補足意見がある)。
2024.05.07
消費税等更正処分等取消請求事件
LEX/DB25598781/広島地方裁判所 令和 6年 1月10日 判決 (第一審)/令和5年(行ウ)第3号
パチンコ店を営む原告は、本件課税期間(平成31年1月1日から令和元年12月31日までの課税期間)の消費税及び地方消費税に係る確定申告をする際、B社から受け取った2億円(本件金銭)は、原告がC社との賃貸借契約を解除し、目的不動産から退去撤退することに伴い支払われた損失補償金であるとして、本件金銭を課税標準額に含めなかったことに対し、処分行政庁は、本件金銭は、原告の賃借人としての地位をB社に譲渡したことへの対価であり、消費税法2条1項9号の「課税資産の譲渡等」の対価の額に該当するとして更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行ったため、原告が、被告(国)に対して本件各処分の取消しを求めた事案において、本件金銭は、本件原契約上の地位という資産が消滅することに対する対価として支払われたものといえ、「資産の譲渡等」の対価とはいえないと判示し、本件更正処分によって新たに納付すべき税額は存在しないこととなるから、本件賦課決定処分は、課税要件を欠く違法なものであるとして、原告の請求を認容した事例。
2024.04.30
「結婚の自由をすべての人に」訴訟事件
LEX/DB25598385/東京地方裁判所 令和 6年 3月14日 判決 (第一審)/令和3年(ワ)第7645号
法律上同性の者同士の婚姻を希望する原告らが、現行の法律婚制度を利用できる者を法律上異性の者同士の婚姻に限定している民法及び戸籍法の本件諸規定が、憲法14条1項、24条1項及び同条2項に違反するにもかかわらず、被告(国)が、正当な理由なく長期にわたって、同性カップル等の婚姻を可能とする立法措置を講ずるべき義務を怠っているなどと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めた事案で、同性カップル等が、現状、人格的利益の享受について大きな不利益を被っており、また、昨今の国際的な潮流や、日本における国民の意思の変容を踏まえれば、婚姻の主体を、法律上の男性と法律上の女性という異性カップルのみにすべきであるといった伝統的価値観は、揺らいでいるといえる状況にあるにもかかわらず、本件諸規定が、同性カップル等の婚姻を認めず、また、法律上、同性カップル等が婚姻による法的利益と同様の法的利益を享受したり、社会的に公証を受ける利益を享受したりするための制度も何ら設けられていないのは、同性カップル等が、自己の性自認及び性的指向に即した生活を送るという重要な人格的利益を、同性カップル等から剥奪するものにほかならないのであるから、本件諸規定及び立法がされていない状況は、個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理的な理由があるとは認められず、憲法24条2項に違反する状態にあるとしたが、憲法24条1項、憲法14条1項に違反するとはいえないとし、本件諸規定を改廃していないことについて、被告に国家賠償法1条1項の違法があるということはできないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2024.04.30
損害賠償請求控訴事件
「新・判例解説Watch」経済法分野 解説記事が掲載されました
LEX/DB25573456/東京高等裁判所 令和 6年 1月19日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第3422号
焼き肉チェーン店を運営する第1審原告が、〔1〕第1審被告において、その運営する飲食店ポータルサイト(食べログ)において飲食店ごとに掲載される評点を算出するためのアルゴリズムについて、令和元年5月21日(本件基準日)、第1審被告が運営する飲食店を含むチェーン店の評点を下方修正するような変更を実施し、現在までこれを継続しているところ、本件アルゴリズムを変更する上記行為(本件変更等)は独占禁止法に違反する行為に当たり、これにより著しい損害を生ずるおそれがあるなどと主張して、第1審被告に対し、独禁法24条に基づき、本件アルゴリズムにおいて、第1審原告が運営するチェーン店の評点を算出するに当たり、チェーン店であることを理由に当該評点を、非チェーン店の評点に比して下方修正して設定するアルゴリズムを使用することの差止めを求めるとともに、〔2〕第1審被告の本件行為は不法行為を構成し、これによって、第1審原告が運営する飲食店の食べログにおける評点が下落し、来店者数及び売上げが減少するなどの損害を被ったと主張して、第1審被告に対し、不法行為に基づく損害賠償として9億3195万6952円の一部である6億3905万4422円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、第1審被告の本件行為が優越的地位の濫用に該当し、独禁法違反行為に当たると認められるなどとして、第1審原告の各請求のうち不法行為に基づく損害賠償請求については、3840万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容してその余の請求を棄却したが、独禁法24条所定の要件があるとは認められないとして同条に基づく差止請求については棄却する判決をしたところ、当事者双方がいずれも敗訴部分を不服として各控訴をした事案(なお、第1審原告は、当審で、第1審被告の本件行為が第1審原告に対する債務の不履行に当たるとして、債務不履行に基づく損害賠償請求に係る訴えを、不法行為に基づく損害賠償請求とは選択的併合の関係に立つ請求として追加したほか、独禁法違反行為に当たる第1審被告の本件行為の内容について、当審における第1審被告の主張を踏まえた主張を予備的に追加した。)で、本件変更等は、「取引条件等の差別取扱い」(独禁法2条9項6号イ、一般指定4項)にも「優越的地位の濫用」(同法2条9項5号ハ)にも当たるとは認められないから、第1審被告に独禁法違反行為を認めることはできないとし、独禁法違反行為以外を理由とする不法行為及び債務不履行に基づく各損害賠償請求は、その余の点を判断するまでもなく、いずれも理由がないとし、第1審原告の各請求(当審で追加された選択的請求を含む。)はいずれも理由がないから、これを棄却すべきところ、これと異なり、独禁法違反行為を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求を一部認容した原判決は失当であるとして、第1審原告の控訴を棄却し、当審で追加された債務不履行に基づく損害賠償請求を棄却し、第1審被告の控訴は、原判決中第1審被告敗訴部分を取消し、上記取消部分につき、第1審原告の請求を棄却した事例。
2024.04.23
臨時社員総会招集許可申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25573446/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 3月27日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第18号
医療法人の社員である抗告人らが、当該医療法人の理事長に対して社員総会の招集を請求したが、その後招集の手続が行われないと主張して、裁判所に対し、社員総会を招集することの許可を求めた事案の許可抗告審において、医療法人の社員が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(一般法人法)37条2項の類推適用により裁判所の許可を得て社員総会を招集することはできないとして、本件抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2024.04.23
損害賠償請求事件(第1事件)、損害賠償請求事件(第2事件)
LEX/DB25598472/東京地方裁判所 令和 5年12月21日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第20446号   等 
被告会社の発行済株式を証券取引所において売買したと主張する原告会社らが、〔1〕被告が提出した有価証券報告書及び四半期報告書に、被告の不適切な会計処理に起因する重要な事項についての虚偽記載があったこと、〔2〕上記〔1〕のとおり虚偽記載があったにもかかわらず、被告が提出した内部統制報告書に、被告の財務報告に係る内部統制は有効であると判断したと記載され、重要な事項についての虚偽記載があったこと、〔3〕被告が、同社の連結子会社において減損損失を計上したことの開示を怠り、適時開示義務違反があったことから、被告株式の株価が下落する損害を被ったと主張して、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、また、上記〔1〕及び〔2〕については、選択的に金融商品取引法21条の2第1項に基づき、各原告がそれぞれ損害賠償金等の支払を求めた事案で、原告らのうち、非名義株主原告による損害賠償請求は認められないとしたうえで、被告は、有価証券報告書等の提出にあたり、その重要な事項について虚偽記載がないように配慮すべき注意義務を怠ったものとして、本件名義株主原告らに対して民法709条に基づく損害賠償責任を負うというべきであり、原告らの請求は、本件虚偽記載部分と相当因果関係のある損害賠償を求める限度で理由があるとして、請求を一部認容し、その余を棄却した事例。