2024.10.29
各組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
LEX/DB25573793/最高裁判所第三小法廷 令和 6年10月 7日 決定 (上告審)/令和4年(あ)第1059号
被告人両名が、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反の罪で起訴され、第一審が、被告人両名から、被告会社が仮想通貨交換所の運営会社に対して有する仮想通貨の移転を目的とする債権を没収したところ、弁護人が控訴し、控訴審が、暗号資産であるNEM及びBTCは、通貨である日本銀行券や貨幣とは異なり、日本国内での強制通用力がなく、その移転を目的とする債権は、組織犯罪処罰法13条1項にいう没収可能な金銭債権には当たらず、組織犯罪処罰法16条1項によれば、犯罪収益等が金銭債権ではなく、同法13条1項による没収ができないときは、その価額を追徴することができるとされており、暗号資産の移転を目的とする債権が金銭債権に当たらないと解したとしても、犯人から犯罪収益等をはく奪することは可能であり、妥当性を欠く結果とはならないなどとして、原判決を破棄したことから、検察官及び被告人両名が上告した事案で、検察官、弁護人、被告人両名の各上告趣意は、判例違反をいうが、事案を異にする判例を引用するものであって、本件に適切でなく、その余は、単なる法令違反、事実誤認の主張であって、いずれも刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとし、なお、被告人のみが控訴した場合において、第1審判決が法13条1項の規定により没収するとした財産について、控訴審判決において、没収に換えて法16条1項の規定によりその相当価額の追徴を言い渡すことは、刑訴法402条にいう「原判決の刑より重い刑を言い渡す」ことにはならないと解するのが相当であると職権で判断し、本件各上告を棄却した事例。