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2024.03.12
生活保護基準引下げ処分取消等請求控訴事件 
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和6年5月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597542/名古屋高等裁判所 令和 5年11月30日 判決 (控訴審)/令和2年(行コ)第31号 
〔1〕原審第1事件原告らが、原判決別紙処分一覧表1の「処分行政庁」欄記載の各処分行政庁から、「処分の名宛人」欄記載の各原審第1事件原告を名宛人とする各保護変更決定処分(本件各処分1)は、憲法25条の理念を受けた生活保護法3条、8条等に違反し、生活扶助を健康で文化的な最低限度の生活を維持するに足りない水準とするものであるから違法であるなどと主張して、本件各処分1の取消しを求め(原審第1事件・取消訴訟)、〔2〕原審第2事件原告らが、原判決別紙処分一覧表2の「処分行政庁」欄記載の各処分行政庁から、「処分の名宛人」欄記載の各原審第2事件原告を名宛人とする各保護変更決定処分(本件各処分2)には本件各処分1と同様の違法事由があるなどと主張して、本件各処分2の取消しを求め(原審第2事件・取消訴訟)、さらに、〔3〕原審原告らが、本件各処分の根拠となった生活扶助基準の改定は、国家賠償法1条1項の適用上違法であるなどと主張して、被控訴人国に対し、それぞれ損害賠償金の支払等を求め、原審は、原審原告らの請求をいずれも棄却したため、控訴人ら(原審原告らの一部)が、これを不服として控訴した事案(なお、なお、控訴人13(原審第2事件原告)は、控訴状によれば、当審において、被控訴人国に対する損害賠償請求についての附帯請求の起算日を、原審における平成26年4月1日から平成25年8月1日に変更しており、当審において附帯請求の拡張をしたものと解される。)で、控訴人らの原審における請求はいずれも理由があり、これらを棄却した原判決は相当でなく、本件各控訴はいずれも理由があるから、原判決を取消し、控訴人らの上記請求をいずれも認容し、また、控訴人13の当審における拡張請求は、理由がないとして棄却した事例。
2024.03.05
難民の認定をしない処分取消等請求、訴えの追加的変更申立控訴事件 
「新・判例解説Watch」国際公法分野 令和6年4月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597228/名古屋高等裁判所 令和 6年 1月25日 判決 (控訴審)/令和5年(行コ)第38号 
ミャンマーで出生した外国人男性である控訴人(一審原告)が、平成27年(2015年)2月17日、法務大臣に対し出入国管理及び難民認定法61条の2第1項の規定に基づき難民の認定を申請したところ(本件難民認定申請〔1〕)、平成28年6月16日、難民の認定をしない旨の処分(本件難民不認定処分〔1〕)を受けたため、被控訴人(一審被告。国)を相手として、本件難民不認定処分〔1〕の取消し及び上記規定に基づく難民の認定の義務付けを求めるとともに(第1事件)、令和3年(2021年)2月15日、法務大臣に対し同項の規定に基づき難民の認定を申請したところ(本件難民認定申請〔2〕)、令和4年1月24日、難民の認定をしない旨の処分(本件難民不認定処分〔2〕)を受けたため、被控訴人を相手として、本件難民不認定処分〔2〕の取消し及び上記規定に基づく難民の認定の義務付けを求め、原審が、本件訴えのうち、本件各義務付けの訴えをいずれも却下し、控訴人のその余の請求をいずれも棄却したところ、控訴人がこれを不服として控訴した事案で、本邦にある外国人である控訴人は、難民に該当するから、本件難民不認定処分〔1〕は違法なものであるとして、控訴人の本件難民不認定処分〔1〕の取消しを求めた請求を認容し、本件難民認定申請〔1〕に係る義務付けの請求も認容すべきであり、そうすると、第2事件のうち本件難民不認定処分〔2〕の取消しを求める部分は訴えの利益がないことになるからその訴えを却下すべきであり、第2事件の義務付けの訴えは訴訟要件を欠き不適法であるから却下すべきであるところ、原判決の第2事件の義務付けの訴えを却下した部分は結論において相当であるが、その余の部分は不当であるとして、原判決を変更した事例。
2024.03.05
旅券発給拒否取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年4月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597235/東京地方裁判所 令和 6年 1月25日 判決 (第一審)/令和2年(行ウ)第10号 
原告は、外務大臣に対して一般旅券の発給申請をしたところ、外務大臣から、トルコへの入国が認められない者であるから旅券法13条1項1号に該当するとして、旅券発給拒否処分を受けた。本件は、原告が、〔1〕上記旅券発給拒否処分の取消しを求めるとともに、〔2〕主位的に全ての地域を渡航先として記載した一般旅券の発給の義務付け、予備的にトルコ以外の全ての地域を渡航先として記載した一般旅券の発給の義務付けを求め、また、〔3〕外務大臣が上記旅券発給拒否処分をしたことが国家賠償法上違法であるとして、同法1条1項に基づく損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告は、旅券法13条1項1号は、憲法22条及び13条並びに自由権規約12条2項に違反しないとしたうえで、本件旅券発給拒否処分は、トルコ及びトルコと地理的に近接する国を除く地域に原告が渡航することによって、トルコと我が国との二国間の信頼関係が損なわれる蓋然性がないにもかかわらず、これらの地域への渡航を制約する態様でされたものであるから、外務大臣が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したもので違法であり、本件旅券発給拒否処分は取り消されるべきものであるとして一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2024.02.27
窃盗被告事件 
LEX/DB25597068/高松地方裁判所 令和 6年 1月23日 判決 (第一審)/令和5年(わ)第276号 
被告人が、株式会社D社の店舗において、同店店長L管理の財布1個(販売価格8800円)を窃取したとして、懲役1年6月を求刑された事案で、本件全証拠によっても、不法領得の意思を合理的な疑いを超えて認めるに足りないというべきであって、本件公訴事実については犯罪の証明がないから、刑事訴訟法336条により、被告人に対し無罪の言渡しをした事例。
2024.02.27
短期売買利益提供請求事件(東京機械製作所からの主要株主に対する短期売買利益提供請求事件)
LEX/DB25597111/東京地方裁判所 令和 5年12月 6日 判決 (第一審)/令和4年(ワ)第13836号 
上場会社である原告が、原告の主要株主である被告が原告発行の株式を自己の計算において買い付けて、その後6か月以内にこれを売り付けて利益を得たと主張して、被告に対し、金融商品取引法164条1項に基づき、当該利益及び遅延損害金の支払を求めた事案で、本件売付けは、信用取引によって買い建てていた原告株式162万0100株を売却したものであり、同法164条1項の「売付け等」に当たるとし、また、被告は本件売付けにより「利益を得た」というべきであるとし、さらに、本件売付けは類型的適用除外取引に当たらないというべきであるとしたうえで、本件利益関係書類によれば、被告は、本件売付けにより、19億4342万3161円の短期売買利益を得たことが認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2024.02.20
再審請求棄却決定に対する異議申立て棄却決定に対する特別抗告事件(名張毒ぶどう酒殺人事件第10次再審請求特別抗告棄却決定) 
LEX/DB25573300/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 1月29日 決定 (特別抗告審)/令和4年(し)第206号 
申立人の兄である被告人(当時35歳。事件本人)は、妻(当時34歳)と愛人(当時36歳)との三角関係の処置に窮し、両名を殺害してその関係を清算しようと考え、昭和36年3月28日、事件本人及び両名らが所属する生活改善クラブの年次総会と懇親会が開催される三重県名張市内の公民館に女子会員用のぶどう酒を運び入れた上、公民館に誰もいなくなった隙に、女子会員らが死亡するかもしれないことを十分認識しながら、本件ぶどう酒を開栓して、竹筒に入れて忍ばせて持参していた有機燐テップ製剤である農薬ニッカリンTを4ないし5cc注入し、替栓(内蓋)を元どおりかぶせるなどし、同日午後8時頃、懇親会に出席した女子会員20名に提供させ、これを飲んだ17名につき、有機燐中毒により、妻と愛人を含む5名を死亡させて殺害し、12名に傷害を負わせ、3名については飲ませるに至らなかったとする殺人、殺人未遂事件につき、事件本人は、確定審において、犯人ではないと主張したが、確定判決は、事件本人に対し無罪を言い渡した第1審判決を破棄し、事件本人が犯人であると認定して、事件本人を死刑に処した。事件本人が上告を申し立てたが棄却され、上記確定判決は確定した。事件本人は、これまで9回にわたり再審請求に及んだが、確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生じさせるものではないと判断され、いずれの再審請求も棄却された。本件は、事件本人(平成27年10月4日死亡)の妹を申立人とする第10次再審請求で、再審請求棄却決定に対する異議申立て棄却決定に対する特別抗告した事案で、本件再審請求において提出された各新証拠を併せ考慮してみても、確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生ずる余地はないというべきであり、新証拠はいずれも確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるものではないという原々決定を是認した原決定は正当であるとして、本件抗告を棄却した事例(反対意見がある)。
2024.02.20
出席停止処分差止め請求事件 
LEX/DB25596863/奈良地方裁判所 令和 6年 1月16日 判決 (第一審)/令和4年(行ウ)第14号 
香芝市議会は、市議会議員である原告の香芝市教育福祉委員会における発言が懲罰事由に当たるとして、原告に対して陳謝の懲罰を科したが、原告は、陳謝文の朗読を拒否した。市議会は、その朗読拒否を懲罰事由として新たに原告に陳謝の懲罰を科したが、原告が陳謝文の朗読を拒否し、市議会が更に原告に陳謝の懲罰を科すということが繰り返された。市議会は、合計5回の陳謝の懲罰を原告に科した後の令和4年12月5日、5回目の陳謝の懲罰に係る陳謝文の朗読拒否を懲罰事由として、原告に対し、4日間の出席停止の懲罰の処分をした。本件は、原告が、本件出席停止処分が違法であると主張して、被告(香芝市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めた事案で、陳謝の拒否を理由にした出席停止処分について、市議会が裁量権の範囲を逸脱し、または濫用したもので違法であるとして、請求額を減額した内容で一部認容した事例。
2024.02.13
裁決取消請求事件 
LEX/DB25573296/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 1月30日 判決 (上告審)/令和5年(行ヒ)第2号 
上告人(原審原告)が、職務上の過失によって海難を発生させたとして門司地方海難審判所から裁決をもって小型船舶操縦士の業務を停止する懲戒を受けたため、被上告人(原審被告。海難審判所長)を相手に、裁決の取消しを求めたところ、原判決は本件裁決の取消請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、原審は、上告人が、甲船が海上衝突予防法所定の灯火を表示し、乙船の動静を監視していれば衝突を回避することができたことを認定説示していないものといわざるを得ず、上記灯火を表示せずに甲船を進行させ、乙船を視認した後にその動静を十分に監視することなく甲船を左転させるなどした行為をもって、本件事故に係る海難につき上告人に職務上の過失があるものということはできないとして、原判決を破棄し、本件事故に係る海難が上告人の職務上の過失によって発生したものであるか否か等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2024.02.13
強制わいせつ、建造物侵入、栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、窃盗被告事件 
LEX/DB25596585/横浜地方裁判所 令和 5年12月 6日 判決 (第一審)/令和4年(わ)第687号 等 
小学校教師であった被告人が、勤務先の小学校の女子児童に対して行った、強制わいせつ1件、窃盗1件並びに盗撮による児童ポルノ製造5件及び建造物侵入、迷惑防止条例違反1件の各犯行につき、懲役4年を求刑された事案において、被告人の責任は重いといわざるを得ないが、被告人が反省の弁を述べ、既に児童に関わる仕事からは離れていること、前科のないこと、被告人の罹患するADHDの本件各犯行への影響について否定まではできず、被告人が治療を受け続けると述べていることなどを考慮し、懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年間を言い渡した事例。
2024.02.06
国家賠償請求事件 
LEX/DB25596682/東京地方裁判所 令和 5年12月27日 判決 (第一審)/令和3年(ワ)第23302号 
原告会社の代表取締役であったP1ら3名は、共謀の上、原告会社の業務に関し、外国為替及び外国貿易法の規制物件である噴霧乾燥器を経済産業大臣の許可を得ずに中華人民共和国及び大韓民国に輸出したとの外為法違反の容疑で、警視庁公安部の警察官及び東京地方検察庁所属の検察官により逮捕・勾留請求及び公訴提起されたが、その後、検察官により公訴が取り消された。本件は、原告らが、被告都及び被告国に対し、警視庁公安部の警察官による逮捕及び取調べ、並びに検察官による勾留請求及び公訴提起に違法があったなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、連帯して、〔1〕原告会社について名誉及び信用毀損に係る損害等総額2億8005万9104円の損害賠償等の支払を、〔2〕原告P1について慰謝料等総額5325万円の損害賠償の支払等を、〔3〕原告P2(原告会社の取締役であった者)について慰謝料等総額5596万5000円の損害賠償の支払等を、〔4〕亡P10(原告会社の顧問であった者)の相続人である原告P3について慰謝料等の損害賠償金の相続分等7700万円の支払等を、〔5〕亡P10の相続人である原告P4及び原告P5についてそれぞれ慰謝料等の損害賠償金の相続分等4950万円の支払等を、それぞれ求めた事案で、警視庁公安部の逮捕前の任意聴取で、機器の設計担当者ら複数の従業員が、機器には殺菌に必要な温度に達しない箇所があると具体的に説明しており、その確認は「犯罪の成否を見極める上で、当然に必要な捜査だった」と指摘し、実験をしていれば殺菌できないことは容易に明らかになったにもかかわらず、実験をせずに逮捕したことは違法であると認め、また、地検の検察官も、起訴前に同様の報告を受けており、確認していれば要件に該当しないことは、容易に把握できたと指摘し、勾留請求や起訴が違法と認め、被告国と被告都に約1億6000万円の賠償を命じた事例。
2024.02.06
地方自治法第245条の8第3項の規定に基づく埋立地用途変更・設計概要変更承認命令請求事件 
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和6年4月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25596603/福岡高等裁判所那覇支部 令和 5年12月20日 判決 (第一審)/令和5年(行ケ)第5号 
沖縄防衛局が、普天間飛行場の代替施設を名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立てに関し、公有水面埋立法42条3項において準用する同法13条ノ2第1項に基づき、埋立地の用途及び設計の概要に係る変更の承認の申請をしたところ、被告(沖縄県知事)が変更を承認しない旨の処分をし、原告(国土交通大臣)からこれを取り消す旨の裁決や本件変更申請に係る変更の承認をするよう是正の指示を受けた後も本件変更承認をしないことから、原告が、被告に対し、地方自治法245条の8第3項に基づき、本件変更申請を承認すべきことを命ずる旨の裁判を求めた事案で、法定受託事務である本件変更申請に係る沖縄県の事務についての被告の管理等は法令の規定に違反するものであり、地方自治法245条の8所定の代執行以外の方法によってその是正を図ることが困難であり、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるから、本件訴えに係る原告の請求は理由があるとして、沖縄防衛局がした令和2年4月21日付け沖防第2056号による普天間飛行場代替施設建設事業に係る埋立地用途変更・設計概要変更承認申請につき、被告がこの判決の正本の送達を受けた日の翌日から起算して3日以内に承認することを命じた事例。
2024.01.30
損害賠償請求権行使請求控訴事件 
LEX/DB25596605/名古屋高等裁判所 令和 5年12月20日 判決 (控訴審)/令和5年(行コ)第33号 
愛知県の住民である控訴人が、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」に関し、県が要綱に基づいてあいちトリエンナーレのあり方検証委員会及び同検討委員会を設置したことは、地方自治法138条の4第3項に規定するいわゆる附属機関条例主義に違反するとともに、被控訴人の組織編成権に係る裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであり、本件各委員会の委員に対する本件報償費等及び検証作業等に要した費用に係る支出負担行為等は違法であると主張して、県の執行機関である被控訴人を相手に、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、〔1〕本件各支出当時の県知事であるA知事に対し、不法行為に基づく損害賠償請求を、〔2〕本件各支出の専決権者である本件職員に対し、地方自治法243条の2の2に基づく賠償命令をすることを求める住民訴訟で、原審が、本件訴えのうち一部却下、、一部棄却したため、控訴人がこれを不服として控訴した事案で、本件訴えのうち、原判決別紙検証費目録記載の「流用費目」欄の費目に係る「金額」欄の金員の支出、並びに原判決別紙報償費等目録記載の「報償費」欄及び「旅費」欄の金員のうち令和元年9月25日から同年11月26日までにされた支出負担行為及び支出命令について、Aに対し損害賠償請求を、Zに対し賠償命令をそれぞれ行うことを求める部分についてはこれを却下し、控訴人のその余の請求についてはこれらをいずれも棄却するのが相当であり、これと同旨の原判決は結論において正当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.01.30
株式交換無効等、株式交換無効請求控訴事件(旧アルプス電気・アルパイン間の株式交換無効等請求事件) 
LEX/DB25596584/東京高等裁判所 令和 5年 9月28日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第2300号 
(1)被控訴人アルパインの株主である控訴人らが、被控訴人アルパインを株式交換完全子会社とし、被控訴人旧アルプス電気を株式交換完全親会社とする本件株式交換契約に基づく本件株式交換について、本件株式交換契約の締結を承認した被控訴人アルパインの株主総会決議(本件承認決議)に無効原因が存在するなどと主張して、本件株式交換を無効とすることを求めるとともに、控訴人オアシスらが、(2)本件株式交換を無効とする判決の確定により、被控訴人アルパインが控訴人オアシスらの株式買取請求に基づき控訴人オアシスらから買い取った被控訴人アルパインの株式の価値相当額から、被控訴人アルパインが支払った公正な価格として認める額(会社法786条5項)を控除した金額の損失を被るなどと主張して、被控訴人アルパインに対し、不当利益に基づき、〔1〕控訴人オアシスインベストメンツが380億4064万6683円等の支払を、〔2〕控訴人オアシスジャパンが21億2600万5278円等の支払をそれぞれ求め、(3)被控訴人らの各代表取締役が本件株式交換について任務懈怠又は不法行為を行ったなどと主張して、被控訴人らに対し、共同不法行為に基づき、〔1〕控訴人オアシスインベストメンツが380億4064万6683円等の連帯支払を、〔2〕控訴人オアシスジャパンが21億2600万5278円等の連帯支払をそれぞれ求め、原審が控訴人らの請求をいずれも棄却したことに対し、控訴人らが控訴した事案で、控訴人らの請求はいずれも理由がないと判断し、原判決は相当であるとして、本件各控訴を棄却した事例。
2024.01.23
旅券不発給処分無効確認等請求事件 
LEX/DB25596481/福岡地方裁判所 令和 5年12月 6日 判決 (第一審)/令和4年(行ウ)第25号 
原告は、日本国籍を有する父の子として日本において出生し、日本国籍を取得したが、2004年(平成16年)頃、自己の志望により米国の国籍を取得し、原告は、平成29年12月、外務大臣に対し、日本の旅券発給申請をしたが、外務大臣は、平成30年8月、国籍法11条1項により日本国籍を喪失していることを理由として、原告の上記旅券発給申請につき旅券不発給とする処分(本件処分)をした。本件は、原告が、国籍法11条1項は憲法の規定(憲法10条、22条2項及び13条、98条2項、14条1項)に反し無効であるとして、被告(国)に対し、本件処分の無効の確認請求、原告が日本国籍を有することの確認請求、原告が精神的苦痛を受けたことを理由として、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料3億円の一部請求として、慰謝料及び弁護士費用合計22万円等の支払請求をした事案で、国籍法11条1項が、憲法10条、13条及び22条2項並びに14条1項に違反せず、国籍法11条1項を改正しなかった立法不作為をもって、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとは認められないとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2024.01.23
傷害致死被告事件 
LEX/DB25506588/東京地方裁判所 令和 5年 3月 1日 判決 (第一審)/令和3年(合わ)第99号 
被告人が、平成25年2月11日深夜、東京都内の集合住宅の自室で、テレビを見ていたが、隣室に居住するP1が自室のドアを激しくたたいたので、被告人がドアを開けたところ、P1が被告人の胸ぐら辺りをつかむなどして両者は争いになり、被告人は自分の怒りを抑えきれなくなり、被告人は、同日午前2時頃、2階廊下において、その場に仰向けになったP1(当時63歳)の上に馬乗りになり、同人の胸ぐらをつかんだ両手を上下に動かし、その両手を同人の胸ぐらに何度か押し当て、さらに、その脇腹などを拳で複数回殴るなどの暴行を加え、よって、同人に前胸部打撲による多発性肋骨骨折及び上腹部打撲による胆嚢の肝臓からの剥離の傷害を負わせ、同日午後1時43分頃、東京都墨田区の病院で、同人を前記傷害に基づく外傷性・出血性ショックにより死亡させたとして、傷害致死の罪で懲役6年を求刑された事案で、本件犯行当時心神耗弱の状態にあったとの疑いが残るが、心神喪失の状態にはなかったと認められるなどとして、懲役3年、5年間その刑の執行を猶予し、被告人には、社会内で適切な治療を受けながら更生する機会を与えることが相当であると判断した事例(裁判員裁判)。
2024.01.16
年金減額改定決定取消、年金減額改定決定取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年3月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573213/最高裁判所第二小法廷 令和 5年12月15日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第275号 
国民年金法上の老齢基礎年金及び厚生年金保険法上の老齢厚生年金の一方又は双方の受給権者である上告人(原告・控訴人)らが、厚生労働大臣から、各自の老齢年金の額を改定する旨の処分を受けたことから、被上告人(被告・被控訴人。国)を相手に、その取消し等を求めた事案の上告審において、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)1条の規定のうち、国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置等について定める部分は、著しく合理性を欠き、明らかに裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものといえず、年金受給権に対する不合理な制約であるともいえないとし、憲法25条、憲法29条に違反しないとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2024.01.16
強盗殺人、死体遺棄被告事件 
LEX/DB25506587/大阪高等裁判所 令和 5年 5月23日 判決 (控訴審)/令和4年(う)第323号 
被告人が、〔1〕被害者P2(当時41歳)を殺害し、同人が代表取締役を務める株式会社P3に対する280万円の債務の返済を免れようと考え、令和2年1月22日午後7時51分頃から午後8時12分頃までの間、大阪市所在の同社において、殺意をもって包丁様の刃物を同人のけい部等に多数回突き刺すなどし、けい動脈切破により失血死させて殺害し、前記債務の返済を免れて財産上不法の利益を得(原判示第1)、〔2〕同月24日、兵庫県西宮市の竹林内にその死体を投棄して遺棄した(原判示第2)として、原判決は、弁論再開後に検察官が追加した本件債務の貸主をP3とする予備的訴因(主位的訴因は、貸主を被害者本人とするもの)に基づき、被告人が、P3に対する280万円の債務を免れる目的で、前記日時・場所・態様により被害者を殺害し、その死体を遺棄したと認定し、被告人を無期懲役に処したため、被告人が控訴した事案で、本件債務のうち230万円分について、被告人にその債務を免れる目的があったと認めた原判決の認定・判断は正当であり、また、被害者P2の妻である証人P4が本件契約を知らず、その具体的内容を把握している者がいなかったこと、同契約については、被害者の殺害によりその債務の履行請求が著しく困難になったことから、被告人が、同契約に係る債務の免除等と同程度の現実的利益を得たと認めた原判決の判断も正当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.01.09
過失運転致傷被告事件 
LEX/DB25596170/名古屋高等裁判所 令和 5年 9月 5日 判決 (第二次控訴審)/令和5年(う)第74号 
被告人が過失運転致傷の罪で起訴され、第1審が、事故態様について、本件交差点の東側に設置されている横断歩道を進行した被害者自転車が対向する歩行者を避けて本件交差点先の本件車道に進出し、本件車道左端を走行し、脇の雑草を避けようとしてハンドルを右に切ったところ、被害者自転車の右側と被告人車両の左側が接触したと認定したうえ、検察官が過失の前提として主張する回避可能性を認めるには合理的な疑いが残るから、被告人の過失は認められないとして無罪を言い渡したところ、検察官が控訴し、控訴審が、裁判所としては、検察官に対し、注意義務を課す根拠となる具体的事実、注意義務の内容、過失の態様を確認し、どの地点及び時点におけるどのような過失を問題としているのかを明確にするよう釈明を求め、過失内容を一義的なものとすべきであったのに、こうした措置を採らずに結論を導いた原審判決には訴訟手続の法令違反があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原審判決を破棄し、事件を当裁判所に差し戻した事案で、差し戻し後の第1審では、結果回避可能性があったとするには合理的な疑いが残り、また、予備的訴因については予見可能性がなく、いずれも過失があったとはいえないとして、被告人には無罪を言い渡されたが、控訴審では、被告人が前方を注視さえしていれば、被害者自転車が対面歩行者集団を避けるため車道上に進入したことに気付くと同時に、被害者自転車がそのまま車道を走行するであろうことを認識でき、本件車道の狭さから、被害者自転車を安全に追い抜くことはできず、そのまま走行すれば被害者自転車と接触し、あるいは衝突するおそれがあることも予見できたとして、原判決を破棄し、被告人を禁錮6月(執行猶予3年間)に処した事例。
2024.01.04
不当利得返還請求事件 
LEX/DB25573204/最高裁判所第三小法廷 令和 5年12月12日 判決 (上告審)/令和4年(行ヒ)第317号 
上告人が、市会議員であった被上告人に対し、本件有罪判決が確定したため、被上告人の当選は公職選挙法251条の規定により無効となり、被上告人は遡って市会議員の職を失ったなどとして、本件議員報酬等相当額及び本件政務活動費相当額の不当利得の返還等を求めたところ、原審は、上告人は本件会派の唯一の所属議員であった被上告人に対し本件政務活動費相当額の不当利得返還請求権を有するなどとした上で、被上告人の相殺の抗弁を一部認めて、上告人の不当利得返還請求を相殺後の残額の限度で認容したため、上告人が上告した事案で、上記市会議員の職を失った当選人は、上告人に対し、市会議員として行った活動に関し、不当利得返還請求権を有することはないとし、被上告人は、上告人に対し、相殺の抗弁に係る不当利得返還請求権を有するものということはできないとし、相殺の抗弁は全部認められないところ、これを一部認めた原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を変更した事例(反対意見及び補足意見がある)。
2024.01.04
暴行、建造物損壊、器物損壊被告事件 
「新・判例解説Watch」刑法分野 令和6年2月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25596404/神戸地方裁判所 令和 5年11月27日 判決 (第一審)/令和4年(わ)第843号
被告人は、令和4年9月20日午前3時10分頃から同日午前3時16分頃までの間に、神戸市の被害者V1方で、被害者V1に対し、その左頬を手拳で殴打する暴行を加え(判示第1)、同日午前3時16分頃から同日午前3時22分頃までの間に、3階廊下で、同所に設置されたV2所有の消火器を噴射し、V2が所有する本件建物の3階廊下、壁面及び玄関扉等に消火剤を付着させて汚損(損害額4万8000円)するとともに、同消火器を使用不能にさせて損壊(損害額4300円)し、もって他人の建造物及び他人の物を損壊した(判示第2)として、懲役1年6月を求刑された事案において、被告人の本件行為は、器物損壊罪にいう「損壊」、建造物損壊罪にいう「損壊」に当たり、被告人には器物損壊及び建造物損壊の各罪が成立するとして、被告人を懲役1年2月に処した事例。