2024.09.24
地位確認等請求事件(AGCグリーンテック事件)
★「新・判例解説Watch」労働法分野 令和6年11月下旬頃解説記事の掲載を予定しております★
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LEX/DB25620058/東京地方裁判所 令和 6年 5月13日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第20432号
被告の女性従業員である原告が、被告に対して、(1)被告が総合職に対してのみ社宅制度の利用を認めているのが、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律6条2号、同法7条及び民法90条に違反すると主張して、〔1〕原告が社宅管理規程に基づき月額負担を求める権利を有する地位にあることの確認、〔2〕社宅制度の男女差別に係る不法行為に基づく損害賠償、〔3〕社宅制度に基づく賃料負担義務の不履行を理由とする損害賠償を求め、(2)男性の一般職と原告との間にある賃金格差が労働基準法4条に違反すると主張して、〔4〕原告が基本給月額の支給を受ける権利を有する地位にあることの確認、〔5〕労働契約による賃金請求権に基づき、各賃金の差額の支払〔6〕上記〔5〕に対応する弁護士費用等の支払を求め、(3)社宅制度の男女差別及び男女賃金差別が違法であると主張して、〔7〕不法行為ないし債務不履行に基づく慰謝料等の支払を求め、(4)被告による違法な業務外しをされたと主張して、〔8〕不法行為に基づく損害賠償を求め、(5)被告による違法な査定により低い人事考課をされたと主張して、〔9〕不法行為に基づく損害賠償を求め、(6)上記(1)〔3〕が認容されない場合に備え、〔10〕社宅制度の男女差別による不法行為に基づく損害賠償を、上記(2)〔5〕及び〔6〕が認容されない場合に、〔11〕男性一般職との男女賃金差別による不法行為に基づく損害賠償を予備的に求めた事案で、社宅制度という福利厚生の措置の適用を受ける男性及び女性の比率という観点からは、男性の割合が圧倒的に高く、女性の割合が極めて低いこと、措置の具体的な内容として、社宅制度を利用し得る従業員と利用し得ない従業員との間で、享受する経済的恩恵の格差はかなり大きいことが認められる。他方で、転勤の事実やその現実的可能性の有無を問わず社宅制度の適用を認めている運用等に照らすと、営業職のキャリアシステム上の必要性や有用性、営業職の採用競争における優位性の確保という観点から、社宅制度の利用を総合職に限定する必要性や合理性を根拠づけることは困難であることからすると、被告が社宅管理規程に基づき、社宅制度の利用を、住居の移転を伴う配置転換に応じることができる従業員、すなわち総合職に限って認め、一般職に対して認めていないことにより、事実上男性従業員のみに適用される福利厚生の措置として社宅制度の運用を続け、女性従業員に相当程度の不利益を与えていることについて、合理的理由は認められず、被告が上記のような社宅制度の運用を続けていることは、雇用分野における男女の均等な待遇を確保するという均等法の趣旨に照らし、間接差別に該当するというべきであるなどとして、原告の請求を一部認容した事例。