2024.09.03
株主権確認等請求控訴事件
LEX/DB25620467/大阪高等裁判所 令和 6年 7月12日 判決 (控訴審)/令和6年(ネ)第149号
〔1〕控訴人(原告)T社が、被控訴人(被告)P2が被控訴人会社に対して控訴人T社の無議決権株式40株を譲渡する本件売買契約は、通謀虚偽表示又は弁護士法72条若しくは73条違反に当たり無効であると主張して、被控訴人P2に対し、控訴人T社と被控訴人P2との間において、被控訴人P2が従前から保有している株式を含む控訴人T社の無議決権株式52株を有する株主であることの確認を求め、〔2〕上記の株式譲渡が控訴人T社によって承認されなかったことにより指定買取人に指定された控訴人C社が、被控訴人会社に対し、控訴人C社と被控訴人会社との間において、控訴人C社の被控訴人会社に対する株式売買代金支払債務が存在しないことの確認を求め、原審が、本件売買契約は無効とはいえないとして、〔1〕控訴人T社の請求を被控訴人P2が控訴人T社の無議決権株式12株を保有する株主であることの確認を求める限度で認容し、その余を棄却し、〔2〕控訴人C社の請求を棄却したところ、控訴人らが控訴した事案で、被控訴人会社が本件事業の業として行った本件売買契約の締結は、社会的経済的に正当な業務の範囲内にあるとは認められず、本件売買契約は弁護士法73条に違反して無効であると認められるから、被控訴人P2は控訴人T社の無議決権株式52株を有する株主であり、控訴人C社と被控訴人会社との間の売買契約に基づく控訴人C社の被控訴人会社に対する代金債務は存在しないと認められるところ、控訴人らの請求はいずれも理由があるとして、原判決を変更し、控訴人らの請求〔1〕〔2〕をいずれも認容した事例。
2024.08.20
退職慰労金等請求事件
LEX/DB25573635/最高裁判所第一小法廷 令和 6年 7月 8日 判決 (上告審)/令和4年(受)第1780号
上告人(第一審被告、控訴審控訴人)会社の代表取締役社長を退任した被上告人(第一審原告、控訴審被控訴人)が、上告人会社の株主総会において上告人会社の取締役退任慰労金内規に基づいて取締役会が決議した退任慰労金を被上告人に支払うことを委任する旨決議されたのに、上告人会社の代表取締役である上告人Bが故意又は過失によってこの委任の範囲又は本件内規の解釈・適用を誤ったため、上告人会社の取締役会においてこの委任の範囲を超える減額を行う旨の決議がされ、弁護士に委任して訴訟を提起することを余儀なくされたと主張して、上告人らに対し、〔1〕会社法361条1項に基づく退任慰労金請求等及び〔2〕会社法350条又は不法行為に基づく損害賠償請求等の支払を求め、第一審が請求を一部認容したところ、上告人らが控訴し、控訴審が、本件取締役会決議は、本件株主総会決議の委任の範囲を誤り、与えられた裁量を逸脱ないし濫用したものであるとして、控訴を棄却したことから、上告人らが上告した事案で、本件行為1及び本件行為2を上告人会社に多大な損害を及ぼす性質のものと評価することは相応の合理的根拠に基づくものといえ、本件行為3が上告人会社に損害を与えるものであったか否かにかかわらず、被上告人が本件減額規定にいう「在任中特に重大な損害を与えたもの」に当たるとして減額をし、その結果として被上告人の退職慰労金の額を5700万円とした取締役会の判断が株主総会の委任の趣旨に照らして不合理であるということはできず、本件取締役会決議に裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるということはできないとして、原判決を破棄し、第一審判決を取り消し、被上告人の請求をいずれも棄却した事例。
2023.12.12
株式買取価格決定申立て却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25573122/最高裁判所第一小法廷 令和 5年10月26日 決定 (許可抗告審)/令和4年(許)第11号
S社の株主である抗告人が、利害関係参加人を吸収合併存続株式会社、S社を吸収合併消滅株式会社とする吸収合併についての会社法785条2項所定の株主(反対株主)であるとして、S社に対し、抗告人の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求したが、その価格の決定につき協議が調わないため、同法786条2項に基づき、価格の決定の申立てをしたところ、原審は、抗告人は反対株主ではないから、本件申立ては不適法であるとして却下したため、抗告人が許可抗告をした事案において、本件委任状の送付は、本件吸収合併に反対する旨の抗告人の意思をS社に対して表明するものということができるとして、抗告人がS社に対して本件委任状を送付したことは、反対通知に当たると解するのが相当であるとし、これと異なる見解の下に、本件申立てを却下すべきものとした原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原決定を破棄し、原々決定を取消し、更に審理を尽くさせるため、本件を原々審に差し戻すこととした事例。
2022.08.23
株主総会決議取消請求事件
★「新・判例解説Watch」商法分野 令和4年11月上旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25601486/東京地方裁判所 令和 3年11月25日 判決 (第一審)/令和2年(ワ)第21121号
被告の株主である原告が、被告の令和2年6月25日開催の定時株主総会における第77期事業年度計算書類承認、剰余金の処分の承認並びに取締役及び監査役の報酬総額承認の各決議について、決議の方法が法令及び定款に違反していると主張して、会社法831条1項1号に基づき、その取消しを求めた事案で、被告が、本件総会につき、本件規定を理由に、原告がその代理人として弁護士を出席させ、弁護士に議決権を代理行使させることを拒否したことは、会社法310条1項に違反し、本件各決議をいずれも取り消した事例。
2019.12.17
自己株式処分不存在確認等請求事件(第1事件)、株主総会決議不存在確認等請求事件(第2事件)
LEX/DB25564355/大阪地方裁判所 平成31年 1月16日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第4267号 等
被告の本件株主総会の議事録に、被告の自己株式1000株をP6に対して譲渡する件について出席株主が満場一致でこれを賛成した旨の記載があり、また、その後、株主名簿においてP6が1000株を取得したことを前提とする記載があるところ、原告らが、主位的に、本件自己株式処分が不存在であることの確認を求め、予備的に、本件自己株式処分を無効とするとの判決を求めた事案(第1事件)、また、本件株主総会議事録に記載された、本件選任決議と本件自己株式処分決議について、主位的に、これらの決議が不存在であることの確認を求め、予備的に、これらの決議を取消しを求めた事案(第2事件)において、本件自己株式処分の不存在確認等の請求(第1事件)については、その不存在の確認を求める主位的請求については棄却し、これを無効とするとの判決を求める予備的請求については認容し、また、本件各決議の不存在確認等の請求(第2事件)のうち、不存在の確認を求める主位的請求については棄却し、決議取消しの判決を求める予備的請求については、本件選任決議のうちP5の取締役選任に係る部分及び本件自己株式処分決議の取消しを求める部分については認容し、その余の請求については棄却した事例。
2019.06.11
株主総会決議不存在確認等請求事件(アドバネクス株主総会決議不存在確認請求事件)
★「新・判例解説Watch」商法分野 7月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています★
LEX/DB25562719/東京地方裁判所 平成31年 3月 8日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第27434号
被告の株主である原告らが、平成30年6月に開催された第70期定時株主総会(本件総会)において、被告提案の原告X1、Y2、G、H、D、E及びFを取締役に選任する旨の議案(本件会社提案)が可決し、Iが議長と称して行った原告X1、D、E及びFに代えてA、B及びCを取締役に選任するとの決議(本件決議)には重大な瑕疵があるから不存在であるとして、主位的に原告X1、D、E及びFが被告の取締役の地位を有することの確認及び本件決議の不存在確認を求めるとともに、予備的に本件決議に決議の方法が法令若しくは定款に違反し又は著しく不公正という会社法831条1項1号の取消事由があるとして本決決議の取消を求めた事案で、原告らの主位的請求についてはいずれも棄却し、予備的請求については、本件決議で、不存在であるとはいえないものの、取消事由があるといえ、本件会社提案については可決したとはいえないとし、本件総会におけるA、B及びCを取締役に選任するとの決議を取り消した事例。
2019.03.12
損害賠償等請求控訴事件(ユーシン役員報酬に係る株主代表訴訟控訴事件)
★「新・判例解説Watch」商法分野 3月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています★
LEX/DB25561837/東京高等裁判所 平成30年 9月26日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第2636号
本訴提起の6か月前から引き続き補助参加人の株式を保有する株主である控訴人(原告)が、補助参加人の平成26年11月期(平成25年12月1日から平成26年11月30日までの事業年度)における被控訴人(被告)Y1の報酬額が平成25年11月期(平成24年12月1日から平成25年11月30日までの事業年度)の8億3400万円から5億7100万円増額されて合計14億0500万円と定められたことについて、被控訴人らには善管注意義務違反等があり、これにより、補助参加人が上記増額分の損害を被ったなどと主張して、被控訴人らに対し、会社法423条1項及び会社法847条3項に基づき、連帯して、補助参加人に対する損害賠償金5億7100万円の支払等を求めた株主代表訴訟で、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人はこれを不服として控訴した事案で、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2018.10.23
各損害賠償請求事件
★「新・判例解説Watch」商法分野 12月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています★
LEX/DB25449731/最高裁判所第一小法廷 平成30年10月11日 判決 (上告審)/平成29年(受)第1496号
東京証券取引所に上場されていた被上告人(1審被告)の株式を募集等により取得した上告人(1審原告)らが、被上告人が提出した有価証券届出書に参照すべき旨を記載された半期報告書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、それにより損害を被ったなどと主張して、被上告人に対し、金融商品取引法23条の2により読み替えて適用される同法18条1項に基づく損害賠償等を求める事案の上告審において、金融商品取引法18条1項に基づく損害賠償請求訴訟で、請求権者の受けた損害につき、有価証券届出書の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情により生じたことが認められる場合に、当該事情により生じた損害の性質上その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、民事訴訟法248条の類推適用により、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき、金融商品取引法19条2項の賠償の責めに任じない損害の額として相当な額を認定することができるとし、原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2018.10.09
保険金請求事件
★「新・判例解説Watch」商法分野 12月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています★
LEX/DB25449702/最高裁判所第一小法廷 平成30年 9月27日 判決 (上告審)/平成29年(受)第659号 等
自動車同士の衝突事故により被害を受けた1審原告が、加害車両を被保険自動車とする自賠責保険の保険会社である1審被告に対し、自賠法16条1項に基づき、保険金額の限度における損害賠償金の支払を求めた事案の上告審において、自賠法16条の9第1項にいう「当該請求に係る自動車の運行による事故及び当該損害賠償額の確認をするために必要な期間」とは、保険会社において、被害者の損害賠償額の支払請求に係る事故及び当該損害賠償額の確認に要する調査をするために必要とされる合理的な期間をいうと解すべきであり、その期間については、事故又は損害賠償額に関して保険会社が取得した資料の内容及びその取得時期、損害賠償額についての争いの有無及びその内容、被害者と保険会社との間の交渉経過等の個々の事案における具体的事情を考慮して判断するのが相当であるとし、被害者が直接請求権を訴訟上行使した場合であっても異なるものではないとし、1審原告が直接請求権を訴訟上行使した本件において、1審被告が訴訟を遅滞させるなどの特段の事情がないからといって、直ちに1審被告の損害賠償額支払債務が原判決の確定時まで遅滞に陥らないとすることはできないと判示し、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、344万円に対する平成27年2月20日から本判決確定の日の前日までの遅延損害金の支払請求を棄却した部分を破棄し、同部分につき、本件を高裁へ差し戻し、1審原告のその余の上告、及び1審被告の上告を棄却した事例。
2018.09.04
株主総会決議取消請求控訴事件(山根標板製作所株主総会決議取消請求控訴事件)
★「新・判例解説Watch」商法分野 8月24日 解説記事が掲載されました★
LEX/DB25560219/広島高等裁判所松江支部 平成30年 3月14日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第78号
被控訴人(190号事件及び34号事件1審原告)X1が、特例有限会社である控訴人(190号事件、34号事件及び35号事件1審被告)の株主として(190号事件)、更に控訴人の取締役として(34号事件)、被控訴人X2(35号事件1審原告)が控訴人の取締役として(35号事件)、控訴人の株主総会における故Bの相続人らに対し同人らが有する控訴人の株式1800株を控訴人に売り渡すことを請求する旨の決議が特別決議の要件を満たさないものであったと主張して、会社法831条1項1号に基づき、その取消しを求めたところ、原判決は、被控訴人らの本訴請求を認容したため、控訴人補助参加人が、これを不服として控訴した事案において、被控訴人X1の本件各訴えのうち34号事件に係る部分は不適法であるとして却下し、本件決議の取消しについては認容すべきところ、これと異なる原判決を変更した事例。
2018.08.15
損害賠償請求控訴事件(プロデュースに対する粉飾決算損害賠償請求控訴事件)
★「新・判例解説Watch」商法分野 10月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています★
LEX/DB25560526/東京高等裁判所 平成30年 3月19日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第3882号
株式会社P社の株式を取得した1審原告らが、P社が関東財務局長に提出した有価証券届出書及び有価証券報告書につき、重要な事項に虚偽の記載等があったため損害を被ったとして、旧証券取引法21条、22条、24条の4又は金融商品取引法21条、22条、24条の4に基づき、当該有価証券届出書及び有価証券報告書に係る財務計算書類について監査証明をしたD監査法人を吸収合併した被告に対し、損害賠償及び遅延損害金の支払を求めたところ、原判決は、第1審原告らの請求を全部棄却したので、これを不服とする第1審原告らが控訴した事案において、第1審原告らの請求をいずれも全部棄却した原判決は失当であり、本件控訴の一部は理由があるから、原判決を変更することとし、訴訟費用については第1審原告らの第1審における請求額がほとんど全額認容されるべきものであったことや、第1審被告の訴訟活動の内容その他本件訴訟の全経過に照らしてこれを全部第1審被告に負担させることとした事例。
2018.02.27
損害賠償請求事件
★「新・判例解説Watch」商法分野 5月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています★
LEX/DB25449248/最高裁判所第一小法廷 平成30年 2月15日 判決 (上告審)/平成28年(受)第2076号
上告人(被告・被控訴人)の子会社の契約社員として上告人の事業場内で就労していた被上告人(原告・控訴人)が、同じ事業場内で就労していた他の子会社の従業員Aから、繰り返し交際を要求され、自宅に押し掛けられるなどしたことにつき、国内外の法令、定款、社内規程及び企業倫理の遵守に関する社員行動基準を定め、自社及び子会社等から成る企業集団の業務の適正等を確保するための体制を整備していた上告人において、上記体制を整備したことによる相応の措置を講ずるなどの信義則上の義務に違反したと主張して、上告人に対し、債務不履行又は不法行為に基づき,損害賠償を求め、原審は、上告人は、被上告人に対し、本件行為につき、信義則上の義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償責任を負うべきものと解され、上告人に対する債務不履行に基づく損害賠償請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、上告人が、自ら又は被上告人の使用者である勤務先会社を通じて本件付随義務を履行する義務を負うものということはできず、勤務先会社が本件付随義務に基づく対応を怠ったことのみをもって、上告人の被上告人に対する信義則上の義務違反があったものとすることはできないとし、親会社である上告人が、被上告人に対し、子会社の従業員による相談の申出の際に求められた対応をしなかった行為につき、債務不履行に基づく損害賠償責任を負わないというべきであるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分は破棄し、被上告人の上告人に対する請求はいずれも理由がなく、これらを棄却した第1審判決は結論において是認することができ、上記部分に関する被上告人の控訴を棄却した事例。
2017.12.26
建物明渡等請求事件
LEX/DB25449114/最高裁判所第一小法廷 平成29年12月14日 判決 (上告審)/平成29年(受)第675号
上告人(生コンクリートの製造会社)が、被上告人(一般貨物自動車運送事業会社)に対し、所有権に基づく本件土地の明渡し等を求め、被上告人は、本件土地について、運送委託料債権を被担保債権とする商法521条の留置権が成立すると主張して、上告人の請求を争っている事案の上告審において、不動産は、商法521条が商人間の留置権の目的物として定める「物」に当たるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認できるとして、上告を棄却した事例。
2014.09.22
損害賠償(株主代表訴訟)請求控訴事件(金融庁による課徴金納付命令等をめぐる株主代表訴訟)
LEX/DB25504493/東京高等裁判所 平成26年4月24日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第734号
本件会社(被控訴人補助参加人)の株主である控訴人(原告)らが、株主代表訴訟として、本件会社が所有する不動産の流動化の実行に係る会計処理等に任務懈怠があったと主張して、当時取締役又は監査役であった被控訴人(被告)らに対し、改正前の商法266条1項5号による損害賠償請求権に基づき、また、不動産の流動化の終了に係る会計処理等に任務懈怠があったと主張して、当時取締役又は監査役であった被控訴人らに対し、会社法423条1項による損害賠償請求権に基づき、損害賠償の支払いを求め、原審が請求を却下ないし棄却した事案において、原判決は相当であるとして、各控訴をいずれも棄却した事例。
2014.05.13
金融商品取引法違反、詐欺(変更後の訴因組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「組織的犯罪処罰法」という)違反)被告事件、公正証書原本不実記載、同行使被告事件
LEX/DB25503199/大阪地方裁判所 平成26年3月5日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第458号等
被告人両名が、共犯者とともに被告人Aが実質的に保有するA社の株式を無届け、無登録で売り出し、同じ詐欺集団所属の他の12名とともに、A社の株式を販売することを名目に、詐取行為を繰り返し、被害者17名から金員をだまし取るなどした事案において、被告人Aは、自らが保有するA社の株式を、その取得価格をはるかに上回る高値で売り捌いて利益を上げるために、共犯者らと主導して本件犯行に及んだもので、共同正犯の罪責を負うのは当然であり、被告人Bも、被告Aに雇われて、被告人Aの意図を分かった上で、犯行を実現する上で欠かせない役割を果たしたことが明らかであり、共同正犯の罪責を免れないとし、被告人Aに懲役13年及び罰金500万円、被告人Bに懲役4年及び罰金200万円を言い渡した事例。
2014.05.13
有価証券偽造、同行使、詐欺、証券取引法違反被告事件
LEX/DB25503202/福岡高等裁判所 平成26年2月27日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第315号
被告人が、共謀の上、有価証券偽造、同行使、詐欺、証券取引法違反により起訴され、第一審が有罪判決を言い渡し、被告人が、有価証券偽造、同行使、詐欺について無罪であるとして、控訴をした事案において、被告人が有価証券偽造、同行使、詐欺の故意を有していたことを認め、また、原判決の量刑不当との主張を退け、控訴を棄却した事例。
2014.04.15
LEX/DB25503084/最高裁判所第一小法廷 平成26年1月30日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第1029号等
原告(控訴人、上告人)が、被告A(被控訴人、被上告人)の代表取締役であった被告B(被控訴人、上告人)が、被告Aの子会社の上場準備の状況について虚偽の事実を述べて原告に同子会社の第三者割当増資を引き受けるよう勧誘し、又は同子会社の上場準備の状況について発表できる段階にない事柄を発表し、その後発表内容を訂正しなかったため、原告は、同子会社の上場準備の状況について誤信して上記第三者割当増資を引き受けて損害を被ったとして、被告らに対し、連帯して損害賠償の支払を求めるとともに、被告Aに対しては、予備的に、原告と被告A間で同子会社の株式を被告Aが買い取る旨の契約が成立したとして、金員の支払を求めたところ、請求がいずれも棄却されたため、原告が控訴したが、控訴が棄却されたため、原告が上告及び上告受理の申立てをした事案において、上告を棄却し、上告審として受理しないとした事例。
2014.04.15
各損害賠償請求控訴事件(西武鉄道有価証券報告書虚偽記載損害賠償請求事件差戻し控訴審判決)
LEX/DB25503064/東京高等裁判所 平成26年1月30日 判決 (差戻控訴審)/平成23年(ネ)第6335号
東京証券取引所に上場されていた一審被告鉄道会社の株式を取引市場において取得した者及びその相続人である一審原告らが、訴外会社等の少数特定者が所有する鉄道会社株式の数の割合が東京証券取引所の定める上場廃止事由に該当するという事実があったにもかかわらず、一審被告鉄道会社が有価証券報告書等に虚偽の記載をして同事実を隠蔽したことなどにより損害を被ったと主張して、一審被告鉄道会社、訴外会社を吸収合併した一審被告ホテル、代表取締役らに対し、不法行為に基づく損害賠償を求め、原審が一部を認容し、双方が控訴をした事案において、原判決を変更し、一部の一審原告らの控訴を一部認容した事例。
2014.03.25
損害賠償請求事件
LEX/DB25503001/さいたま地方裁判所 平成25年12月25日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第810号
被告が、原告の取締役在任中、当時の原告の代表取締役と共に取締役会の決議を経ることなく別会社の社債を引き受けることを決定、実行した行為につき、原告が、被告のかかる行為は会社法362条4項1号に違反する等として、被告に対し、損害賠償を求めた事案において、本件社債の額や原告の総資産に占める割合、取引の態様、原告における従前の取扱い等を総合的に考慮すると、本件引受け行為については、いずれも「重要な財産の処分」に当たり、取締役会決議を要するものであったと解するのが相当であり、被告が取締役会決議を経ることなく主位的、積極的に本件引受け行為を決定したことは、会社法362条4項に反するといえ、被告の上記行為は、任務懈怠に該当するとし、請求を認容した事例。
2014.02.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25502745/名古屋地方裁判所 平成26年1月15日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1947号
被告会社の従業員として勤務していた被災者の相続人である原告らが、被災者が自殺したのは、被告会社の代表取締役である被告X及び被告会社の監査役である被告Yの被災者に対する暴言、暴行あるいは退職強要といった日常的なパワハラ(パワーハラスメント)が原因であるなどとして、被告らに対し、不法行為に基づき、被告会社に対し、会社法350条及び民法715条に基づき、それぞれ損害賠償金の連帯支払を求めた事案において、被告Xの被災者に対する暴言、暴行及び退職強要のパワハラが認められるところ、被告Xの被災者に対する前記暴言及び暴行は、被災者の仕事上のミスに対する叱責の域を超えて、被災者を威迫し、激しい不安に陥れるものと認められ、不法行為に当たると評価するのが相当であり、また、本件退職強要も不法行為に当たると評価するのが相当である(原告らが主張する被告Yのパワハラを認めることはできない)とした上で、被告Xは被告会社の代表取締役であること、及び、被告Xによる被災者に対する暴言、暴行及び本件退職強要は、被告会社の職務を行うについてなされたものであることが認められるのであるから、会社法350条により、被告会社は、被告Xが被災者に与えた損害を賠償する責任を負うとした事例。