2025.05.13
損害賠償請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」民法(財産法)分野 令和7年5月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25574036/大阪高等裁判所 令和 7年 1月20日 判決(控訴審)/令和5年(ネ)第619号
被控訴人(被告)会社の従業員である被控訴人(被告)Eが被控訴人会社の業務の執行中に運転していた小型特殊自動車が、歩行中の被害者(先天性の聴覚障害を有していた児童)に衝突し、被害者が死亡した交通事故につき、被害者の父母である控訴人(原告)らが、被控訴人Eに対しては民法709条に基づき、被控訴人会社に対しては同法715条に基づき、損害賠償を求め、原審は請求を一部認容し、控訴人らが、逸失利益等に係る判断を不服として控訴を提起した事案において、被害者児童の労働能力は、一般に未成年者の逸失利益を認定するための基礎収入とされる労働者平均賃金を、当然に減額するべき程度の制限があったとはいえない状態であったと評価するのが相当であると判断し、原判決を変更した事例。
2025.05.13
消費者契約法による差止請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」民法(財産法)分野 令和7年7月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25574030/大阪高等裁判所 令和 6年12月19日 判決(控訴審)/令和5年(ネ)第1812号
適格消費者団体である控訴人(原告)が、テーマパークを運営する被控訴人(被告)に対し、被控訴人が消費者との間でインターネットを経由してチケットの購入契約を締結する際に適用される利用規約(WEBチケットストア利用規約)中にある、一定の場合を除き購入後のチケットのキャンセルができない旨の条項が、消費者の利益を一方的に害する条項に該当するなど消費者契約法10条及び同法9条1項1号の条項に当たると主張するとともに、同利用規約中にある、チケットの転売を禁止する旨の条項が、同じく同法10条の条項に当たると主張し、同法12条3項に基づく差止請求として、同各条項を内容とする意思表示の停止、同各条項が記載された上記利用規約が印刷された規約用紙等の破棄及び上記の意思表示の停止等のための被控訴人の従業員らに対する書面の配布を求め、原審が控訴人の請求を全部棄却したので、これを不服とする控訴人が控訴した事案において、控訴人の当審における訴えの変更(追加請求)は許さないこととし、控訴人のその余の請求は、いずれも理由がなく、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2025.05.07
難民不認定処分取消等請求控訴事件
★「新・判例解説Watch」国際公法分野 令和7年6月下旬頃解説記事の掲載を予定しております★
LEX/DB25622258/大阪高等裁判所 令和 7年 2月27日 判決(控訴審)/令和6年(行コ)第102号
チュニジア共和国の国籍を有する外国人男性である被控訴人(原審原告)は、チュニジアにおいて、同性愛者であることを理由に家族から暴力を受け、警察官に助けを求めても逮捕を示唆され保護を受けられなかったことなどから、帰国すると同性愛者であることを理由に迫害を受けるおそれがあるとして、令和5年法律第56号による改正前の出入国管理及び難民認定法61条の2第1項に基づいて難民認定申請をしたが、大阪出入国在留管理局長から、難民の認定をしない処分を受け、本件不認定処分について審査請求をしたが、法務大臣から、本件審査請求を棄却する旨の裁決を受けたため、被控訴人が、控訴人(原審被告)・国を相手に、被控訴人は難民に該当するなどと主張して、本件不認定処分及び本件裁決の取消しを求め、原審が、被控訴人は難民に該当すると認められるから本件不認定処分は違法であるとして、本件不認定処分の取消請求を認容し、本件裁決の取消しを求める訴えは、訴えの利益が消滅し、不適法であるとして却下したことから、控訴人が控訴した事案で、同性愛者として処罰を受けるということは、まさに、同性愛者であることを理由とする身柄拘束や訴追を受ける現実的なおそれがあるというべきであり、またチュニジア政府が、非国家主体によるLGBTの人々に対する迫害に対して効果的な措置を講じているとはいい難く、これを放置しているとの評価を免れないものというべきであるとし、原告が警察に保護を求めた経緯からすれば、単なる家族間のトラブルとして黙認すべき事案とは思われず、警察官が原告を保護しない理由について合理的な説明をした事実も認められず、むしろ、警察官は、原告が同性愛者であることを主な理由として原告を保護しなかったと推認されるのであり、このような警察官の対応は、チュニジア政府が、非国家主体による同性愛者に対する迫害を放置しているという実態を反映したものと評価すべきであるなどとして、本件控訴を棄却した事例。