2026.03.17
地位確認等請求事件
★「新・判例解説Watch」憲法分野 令和8年5月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
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LEX/DB25574808/最高裁判所大法廷 令和 8年 2月18日 判決(上告審)/令和5年(オ)第360号 他
軽度の知的障害を有していた被上告人(被控訴人・原告)は、警備員として交通誘導に係る警備業務に従事していたが、平成29年3月、被上告人についての保佐開始の審判が確定したことに伴い、警備業法上の警備員の欠格事由の発生を解除条件としていたため、警備会社を退職したところ、その後、被保佐人であることを警備員の欠格事由の一つとして定めていた改正前の警備業法14条、3条1号の規定は、令和元年法律第37号による改正により削除されたことから、被上告人が、本件規定は憲法22条1項及び14条1項に違反し、国会が本件退職時点までに本件規定を改廃する立法措置をとらなかったことは違法であるなどと主張して、上告人(控訴人・被告)・国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払を求め、第一審が被上告人の請求を一部認容したところ、上告人が控訴し、被上告人が附帯控訴し、控訴審が、本件控訴は理由がないとして棄却し、本件附帯控訴は原判決の認容額を増額した内容で変更したことから、上告人が上告した事案で、遅くとも本件退職時点までには、被保佐人のうち警備業務を適正に実施するにあたって必要な能力を備えた者が本件規定により一律に警備業務から排除されることによる不利益は、もはや看過し難いものとなっており、本件規定が重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることについての立法府の判断は、その合理的裁量の範囲を逸脱するに至っていたというべきであるから、本件退職時点において、本件規定は、憲法22条1項及び14条1項に違反するに至っていたというべきであるとする一方、本件退職時点において、本件規定が憲法の規定に違反するものであることが明白であるにもかかわらず国会が正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠ったということはできないから、本件立法不作為の違法を理由とする慰謝料請求は理由がないなどとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、第1審判決中上告人敗訴部分を取り消し、当該取消部分に関する被上告人の請求をいずれも棄却し、上記破棄部分に関する被上告人の附帯控訴を棄却した事例(意見、5名の各反対意見あり)。
2026.03.17
保有個人情報不開示決定処分取消請求事件

LEX/DB25574815/最高裁判所第三小法廷 令和 8年 2月20日 判決(上告審)/令和6年(行ヒ)第362号
上告人が、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(令和3年法律第37号による廃止前)12条1項に基づき、処分行政庁に対し、上告人の死亡した母が収容されていた刑務所において同室者から受けたいじめに関する事案を調査した記録(本件調査記録)に記録されている情報等の開示を請求したところ、その全部を開示しない旨の決定を受けたため、被上告人を相手に、その取消しを求め、原審が、本件決定のうち本件情報を開示しないものとした部分に係る上告人の請求を棄却したところ、上告人が上告した事案で、亡母の同室者又は被上告人に対する損害賠償請求権は、上告人がその発生の可能性を主張しているにとどまるものであって、上告人がこれを有しているとはいえないから、そうである以上、本件調査記録に記録された亡母に関する情報は、上告人が有する損害賠償請求権に関する情報であるということはできず、上告人に関する情報であるとはいえないし、本件調査記録に記録された亡母に関する情報をもって上告人を識別することができるということもできず、他に、本件調査記録に、上告人に関する情報であって、氏名、生年月日その他の記述等により上告人を識別することができるものが記録されていることをうかがわせる事情も見当たらないから、本件情報は、上告人を本人とする保有個人情報に当たらないというべきであるとして、本件上告を棄却した事例。
2026.03.10
労働契約法20条違反による損害賠償請求事件
LEX/DB25574795/最高裁判所第二小法廷 令和 8年 2月13日 判決(上告審)/令和6年(受)第2399号
上告人(一審被告)・に雇用されていた被上告人(一審原告)らが、上告人・会社が労働契約に基づく一時金を支払わなかったことにより損害を被ったなどと主張して、上告人に対し、不法行為に基づき、一時金相当額及び弁護士費用相当額の損害賠償を求めるなどし、第一審が被上告人らの請求を一部認容したところ、被上告人ら及び上告人の双方が控訴し、控訴審が、本件において、有期雇用契約社員と正社員との間には、職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に大きな差異があるのであるから、同一労働ということはできず、同一労働同一賃金の前提自体を欠くものであるなどとして、第一審判決を変更したところ、上告人が上告した事案で、被上告人らが賃金債権を有するのであれば、上告人においてその支払債務を履行しなかったとしても、契約に基づく金銭債務の不履行となるにすぎず、被上告人らは、上告人に対し、上告人による一時金の支払債務の不履行を理由として、一時金相当額を不法行為に基づく損害賠償として請求することはできないというべきであり、以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるから、原判決中、被上告人らの一時金に係る損害賠償請求に関する上告人敗訴部分は破棄を免れないとして、原判決中、一時金に係る損害賠償請求に関する上告人敗訴部分を破棄し、被上告人X39らの控訴を棄却し、上告人の扶養手当及び特別休暇に係る損害賠償請求に関する上告を却下し、上告人のその余の上告を棄却した事例。