2024.07.09
出願却下処分取消請求事件
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LEX/DB25573535/東京地方裁判所 令和 6年 5月16日 判決 (第一審)/令和5年(行ウ)第5001号
原告は、特願2020-543051に係る国際出願をしたうえ、特許庁長官に対し、特許法184条の5第1項所定の書面に係る提出手続をし、そして、国内書面における発明者の氏名として、「ダバス、本発明を自律的に発明した人工知能」と記載したが、これに対し、特許庁長官は、原告に対し、発明者の氏名として自然人の氏名を記載するよう補正を命じたものの、原告が補正をしなかったため、同条の5第3項に基づき、本件出願を却下する処分をしたところ、原告が、被告に対し、特許法にいう「発明」はAI発明を含むものであり、AI発明に係る出願では発明者の氏名は必要的記載事項ではないから、本件処分は違法である旨主張して、本件処分の取消しを求めた事案で、本件処分をしたことは、適法であると認めるのが相当であり、自然人を想定して制度設計された現行特許法の枠組みの中で、AI発明に係る発明者等を定めるのは困難であり、原告は、民法205条が準用する同法189条の規定により定められる旨主張するものの、同条によっても、果実を取得できる者を特定するのは格別、果実を生じさせる特許権そのものの発明主体を直ちに特定することはできないというべきであるなどとして、原告の請求を棄却した事例。
2023.08.22
保全命令申立却下決定に対する即時抗告事件
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LEX/DB25595689/知的財産高等裁判所 令和 5年 3月31日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和5年(ラ)第10001号
抗告人(原審債権者)が、相手方(原審債務者。町田市)に対し、工芸美術館新築工事等の一部である本件各工事の実施により、版画美術館及びその敷地であり芹ヶ谷公園の一部を構成する本件庭園に係る抗告人の著作者人格権(同一性保持権)が侵害されるおそれがあると主張して、著作権法112条1項に基づき、本件各工事の差止めを求めたところ、原審は、版画美術館は、抗告人がその著作者である「建築の著作物」(著作権法10条1項5号)に該当し、本件各工事によって版画美術館に加えられる変更は抗告人の意に反する改変に当たるが、「建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変」(著作権法20条2項2号)に該当すると判断し、また、本件庭園は、上記「建築の著作物」に該当するとは認められないとして、本件申立てをいずれも却下したため、これに対し、抗告人が即時抗告をした事案において、原決定は相当であるとして、本件抗告を棄却した事例。
2023.02.28
仮処分命令申立事件
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LEX/DB25572503/東京地方裁判所 令和 4年11月25日 決定 (第一審)/令和3年(ヨ)第22075号
債権者が、工芸美術館新築工事、一体化工事及び公園整備工事と称する各工事の実施を計画する債務者に対し、債務者が、これらの工事の一部である本件各工事を行うことにより、版画美術館と称する建物及びその敷地であって芹ヶ谷公園の一部を構成する本件庭園に係る債権者の著作者人格権が侵害されるおそれがあると主張して、著作権法112条1項に基づき、本件各工事の差止めを求めた事案において、版画美術館は、全体として、「美術」の「範囲に属するもの」であると認められ、かつ、「思想又は感情を創作的に表現したもの」であると認められるから、「建築の著作物」として保護されると示しつつ、本件工事1の1ないし4については、「建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変」として、著作権法20条2項2号が適用されるから版画美術館に係る債権者の同一性保持権が侵害されたとは認められないなどとして、本件申立てをいずれも却下した事例。
2022.11.29
映画上映禁止及び損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25593461/知的財産高等裁判所 令和 4年 9月28日 判決 (控訴審)/令和4年(ネ)第10024号
控訴人らが、被控訴人F及び被控訴人会社らは、控訴人らに対する取材映像等並びに控訴人B及び控訴人Dが作成した映像等を利用して本件映画を製作し、これを上映することにより、控訴人らに対する取材映像等について控訴人らが有する著作権及び著作者人格権を侵害し、控訴人B及び控訴人Dが作成した映像等について控訴人B及び控訴人Dが有する著作権並びに控訴人Bが有する著作者人格権を侵害したと主張して、被控訴人らに対し、本件映画の上映等の差止めを求めるとともに、控訴人らの肖像権、名誉権、控訴人Aのパブリシティ権を侵害したと主張して、それぞれ、各不法行為による損害賠償請求権に基づき、被控訴人らに対し、損害の一部としての賠償金等の支払等を求めたところ、原判決が控訴人らの請求をいずれも棄却したため、控訴人らが控訴した事案で、控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2022.11.15
特許権侵害差止等請求控訴事件
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LEX/DB25572334/知的財産高等裁判所 令和 4年 7月20日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第10077号
名称を「表示装置、コメント表示方法、及びプログラム」とする特許第4734471号に係る特許権(本件特許権1)及び特許第4695583号に係る特許権(本件特許権2)を有する控訴人が、被控訴人FC2が提供する原判決別紙「被告らサービスの概要」記載の各サービスに用いられている別紙被控訴人らプログラム目録記載の各プログラムは本件特許1の請求項9及び10に係る各特許発明並びに本件特許2の請求項9ないし11に係る各特許発明の技術的範囲に属し、被控訴人ら各プログラムがインストールされた情報処理端末である別紙被控訴人ら装置目録記載の各装置は本件特許1の請求項1、2、5及び6に係る各特許発明並びに本件特許2の請求項1ないし3に係る各特許発明の技術的範囲に属し、被控訴人らによる被控訴人ら各装置の生産及び使用並びに被控訴人ら各プログラムの生産、譲渡、貸渡し及び電気通信回線を通じた提供並びに譲渡等の申出は本件各特許権を侵害すると主張し、被控訴人らに対して、〔1〕特許法100条1項に基づき、被控訴人ら各装置の生産及び使用並びに被控訴人ら各プログラムの生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止めを求め、〔2〕同条2項に基づき、被控訴人ら各プログラムの抹消を求め、〔3〕民法709条及び同法719条に基づき、損害賠償金等の連帯支払を求め、原審は、控訴人の請求を全部棄却したところ、控訴人は、これを不服として本件各控訴した事案で、原判決を変更し、控訴人の請求は被控訴人らに対し被控訴人らプログラム1の生産、譲渡等及び譲渡等の申出の差止め、被控訴人ら各プログラムの抹消並びに損害賠償金の連帯支払を求める限度で一部認容し、その余の請求は棄却した事例。
2022.11.01
音楽教室における著作物使用に関わる請求権不存在確認請求事件
LEX/DB25572370/最高裁判所第一小法廷 令和 4年10月24日 判決 (上告審)/令和3年(受)第1112号
被上告人(音楽教室の運営者)らが、上告人(著作権等管理事業者)を被告として、上告人の被上告人らに対する本件管理著作物の著作権(演奏権)の侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権等が存在しないことの確認を求めた上告審の事案において、音楽教室の運営者と演奏技術等の教授に関する契約を締結した生徒のレッスンにおける生徒の演奏に関し、音楽教室の運営者らが本件管理著作物の利用主体であるということはできないとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2022.03.08
著作権法違反被告事件
LEX/DB25591679/大阪地方裁判所 令和 3年 5月12日 判決 (第一審)/平成30年(わ)第2469号
被告人は、法定の除外事由がなく、かつ、著作者の許諾を受けないで、平成27年8月26日頃から平成28年1月11日頃までの間、株式会社P2において、パーソナルコンピュータ等を使用し、株式会社P3が著作者人格権を有する映画の著作物であるゲームソフト『MONSTER HUNTER 4G』のセーブデータ6点を、同ゲームに登場する装備の強さ等の数値を同社の設定を超える数値に書き換えるなどの方法により改変し、同ゲームソフトのストーリーが本来予定されていた範囲を超えて展開する状況を作出させ、もって著作者人格権である同一性保持権を侵害したとして、懲役1年6月及び罰金50万円を求刑された事案で、被告人が本件各セーブデータを書き換えた改造行為は、株式会社P3の保有する同一性保持権の侵害に該当するとはいえないと判断し、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2022.01.18
著作者人格権等侵害行為差止等請求控訴事件
LEX/DB25591330/知的財産高等裁判所 令和 3年12月22日 判決 (控訴審)/令和3年(ネ)第10046号
一審原告から本件懲戒請求を受けた弁護士である一審被告Bが自らのブログ上に掲載した、一審原告の主張に対する反論を内容とする本件記事1及び2に関し、〔1〕一審被告Bが、一審原告の氏名が請求人として記載された本件懲戒請求書をPDFファイルに複製し、インターネットにアップロードした上、本件記事1内に同ファイルへの本件リンクを張った行為が、一審原告の著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)を侵害するとともに、一審原告のプライバシー権を侵害するとして、一審原告が、一審被告Bに対し、著作権法112条1項に基づき、各ブログに本件記事1及び2を掲載することの差止めを求め、同条2項に基づき、本件記事1(本件リンク先のPDFファイルを含む。)及び2の削除を求めるとともに、著作権(公衆送信権)侵害の損害賠償として、本件懲戒請求書のファイルの削除に要した労力と時間に相当する財産的損害と弁護士費用、及び著作者人格権(公表権)侵害の損害賠償として慰謝料の支払を求め〔第1事件〕、第1事件における一審被告Bの訴訟代理人となった一審被告Cが、第1事件に係る訴えの提起後、一審被告Cのブログ記事(本件記事3)に本件記事1に対するリンクを張ったことが、著作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)の侵害の幇助に当たるとして、一審原告が、一審被告Cに対し、箸作権(公衆送信権)及び著作者人格権(公表権)の侵害の幇助の損害賠償として慰謝料の支払を求めた〔第2事件〕ところ、原判決は、一審被告Bに対し、原判決別紙記事目録記載1(1)のブログ(本件ブログ)に掲載されている本件記事1のうち同記載2(1)イのファイル(本件懲戒請求書のPDFファイル)の削除を命じ、その余の一審原告の請求をいずれも棄却したため、一審原告及び一審被告Bが控訴した事案で、一審原告の請求はいずれも理由がないから棄却すべきところ、これと異なり、一審被告Bに対し、本件ブログに掲載されている本件懲戒請求書のPDFファイルの削除を命じた原判決主文第1項は相当でないとして、一審被告Bの控訴に基づき、これを取消し、その取消しに係る部分につき一審原告の請求を棄却することとし、一審原告の本件控訴を棄却した事例。
2021.04.27
訴訟行為の排除を求める申立ての却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25571470/最高裁判所第二小法廷 令和 3年 4月14日 決定 (許可抗告審)/令和2年(許)第37号
相手方らを原告とし、抗告人を被告とする訴訟(本件訴訟)において、相手方らが、A弁護士及びO弁護士が抗告人の訴訟代理人として訴訟行為をすることは弁護士職務基本規程(平成16年日本弁護士連合会会規第70号)57条に違反すると主張して、A弁護士らの各訴訟行為の排除を求めた事案の上告審において、弁護士職務基本規程57条に違反する訴訟行為については、相手方である当事者は、同条違反を理由として、これに異議を述べ、裁判所に対しその行為の排除を求めることはできないというべきであり、これと異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、本件申立てを却下した原々決定は、結論において是認することができるから、原々決定に対する抗告を棄却した事例(補足意見がある)。
2020.09.15
特許権侵害による損害賠償債務不存在確認等請求事件
LEX/DB25571043/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 9月 7日 判決 (上告審)/平成31年(受)第619号
被上告人(原告・控訴人)が、発明の名称を「樹脂フィルムの連続製造方法及び装置及び設備」とする本件各特許権の特許権者であった上告人(被告・被控訴人)として、上告人の被上告補助参加人に対する本件各特許権の侵害を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求権が存在しないことの確認等を求めたところ、原審は、本件訴えのうち本件損害賠償請求権の不存在確認請求に係る部分につき、確認の利益を認め、第1審判決のうち同部分を確認の利益がないとして却下した部分を取消し、同部分につき本件を第1審に差し戻したため、上告人が上告した事案で、本件確認請求に係る訴えは、確認の利益を欠くものというべきであるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中本件確認請求に関する部分を破棄し、本件訴えのうち本件確認請求に係る部分は不適法で、これを却下した第1審判決は正当であるから、同部分につき被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.08.04
発信者情報開示請求事件
LEX/DB25570963/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 7月21日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1412号
本件写真の著作者である被上告人(控訴人・原告)が、ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれるメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)のウェブサイトにされた投稿により本件写真に係る被上告人の氏名表示権等を侵害されたとして、ツイッターを運営する上告人(被控訴人・被告。米国法人)に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、上記投稿に係る発信者情報の開示を求めたところ、原判決が、本件各アカウントのタイムラインにおいて表示される画像は、表示するに際して、HTMLプログラム等により、位置や大きさなどを指定されたために、本件各表示画像となったものと認められるから、本件リツイート者らによって改変されたもので、同一性保持権が侵害されているということができるとし、第1審判決を変更したため、上告人が上告した事案で、本件各リツイートによる本件氏名表示権の侵害について、本件各リツイート者は、プロバイダ責任制限法4条1項の「侵害情報の発信者」に該当し、かつ、同項1号の「侵害情報の流通によって」被上告人の権利を侵害したものというべきであるとし、原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(反対意見、補足意見がある)。
2020.03.10
商標権侵害差止等請求本訴事件、虚偽事実告知・流布行為差止請求反訴事件
LEX/DB25564738/東京地方裁判所 令和 2年 1月29日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第11046号 等
「守半」の文字からなる本件商標についての商標権を有する原告が、被告に対して、被告において「守半」の文字を含む被告各標章を使用する行為は、本件商標に類似する標章を本件商標権の指定商品又はそれに類似する商品若しくは役務に使用する行為であり、商標法37条1項1号により本件商標権を侵害する行為とみなされると主張して、〔1〕被告各標章の使用の差止めを求め、〔2〕被告の容器包装・パンフレットの廃棄を求め、〔3〕対象期間を平成20年4月8日から本訴事件が提起された平成30年4月7日までの10年間として、商標権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき、損害賠償金の支払等を求めた事案(本訴事件)、また、被告が、原告に対して、原告においてそのウェブページ上で「守半」の標章に関して本件表示を行うことは競争関係にある被告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知し、又は流布する行為として不正競争防止法2条1項21号の不正競争に該当し、その侵害の停止又は予防に必要であるとして、本件表示に係る事実及び事実の告知の差止めを求めた事案(反訴事件)において、原告の本訴請求及び被告の反訴請求を、いずれも棄却した事例。
2019.09.03
審決取消請求事件
LEX/DB25570428/最高裁判所第三小法廷 令和 1年 8月27日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第69号
被上告人(原告)が、ヒトにおけるアレルギー性眼疾患を処置するための点眼剤に係る特許(特許第3068858号)につき、その特許権を共有する上告人(被告)らを被請求人として特許無効審判を請求したところ、同請求は成り立たない旨の審決を受けたため、同審決の取消しを求め、原審が、被上告人の請求を認容したため、上告人が上告した事案において、本件各発明の効果、取り分けその程度が、予測できない顕著なものであるかについて、優先日当時本件各発明の構成が奏するものとして当業者が予測することができなかったものか否か、当該構成から当業者が予測することができた範囲の効果を超える顕著なものであるか否かという観点から十分に検討することなく、本件化合物を本件各発明に係る用途に適用することを容易に想到することができたことを前提として、本件化合物と同等の効果を有する本件他の各化合物が存在することが優先日当時知られていたということのみから直ちに、本件各発明の効果が予測できない顕著なものであることを否定して本件審決を取消したものとみるほかなく、このような原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決を破棄し、本件各発明についての予測できない顕著な効果の有無等につき更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻した事例。
2019.06.25
商標権侵害行為差止等請求事件
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LEX/DB25570186/東京地方裁判所 平成31年 2月22日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第15776号
本件商標権を有する原告が、被告商品に付された被告各標章が原告商標と類似することから、被告が被告商品を販売等する行為は、原告商標権を侵害すると主張して、被告に対し、商標法36条1項に基づき、被告各標章を付した腕時計又は被告商品の販売等の差止めを求めるとともに、民法709条、商標法38条3項に基づき、損害賠償を求めた事案において、要証期間内において、原告商標が腕時計について使用されたとは認められず、原告商標の指定商品中「腕時計」は、不使用取消審判によって取り消されるべきものであるから、原告による差止請求は、権利の濫用として許されないと示しつつ、商標法54条2項により原告商標権の指定商品中の「腕時計」が消滅する効果が発生する日よりも、原告が損害賠償を求めている期間のほうが以前であるから、損害賠償請求との関係では、権利濫用の抗弁は失当であるとして、原告の請求を一部認容した事例。
2018.11.13
著作権侵害差止等請求事件
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LEX/DB25449723/大阪地方裁判所 平成30年 9月20日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第2570号
ハワイに在住するクムフラ(フラダンスの師匠ないし指導者)である原告は、従前、被告(フラダンス教室事業を営む会社)と契約を締結し、被告ないし被告が実質的に運営するHHAやその会員に対するフラダンス等の指導助言を行っていたが、両者の契約関係は解消され、原告が、被告に対し(1)原告は、被告が、被告の会員に対してフラダンスを指導し、又はフラダンスを上演する各施設で、本件振付けを被告代表者自らが上演し、会員等に上演させる行為が、原告が有する本件各振付けについての著作権(上演権)を侵害すると主張して、被告に対し、本件各振付けの上演の差止めを求め、(2)原告は、被告が、被告の会員に対してフラダンスを指導し、又はフラダンスを上演する各施設で、本件楽曲を演奏する行為が、原告が有する本件各楽曲についての著作権を侵害すると主張して、被告に対し、本件各楽曲の演奏の差止めを求め、(3)原告は、被告が、本件各振付けを上演し又は被告の会員等に上演させた行為及び本件各楽曲を演奏した行為が、原告の著作権を侵害すると主張して、被告に対し、不法行為に基づき、損害賠償金642万2464円(使用許諾料相当額409万2120円及び弁護士費用233万0344円)の一部として250万3440円の支払等を求め、(4)原告は、被告との間で、HHA等が平成26年秋に開催するワークショップ等で被告ないしKHAの会員に対してフラダンス等の指導を行うことを内容とする準委任契約を締結していたところ、被告が同契約を原告に不利な時期に解除したと主張して、被告に対し、損害賠償金385万1910円の支払等を求めた事案において、フラダンスの本件各振付けの著作物性につき、全体として見た場合に原告の個性が表現されており、全体としての著作物性を認め、原告の本件各振付けの上演等の差止請求及び本件各楽曲の演奏の差止請求は、本件振付け6等の上演等の差止めを求める限度で理由があるとして、一部認容した事例。
2018.05.29
審決取消請求事件(第1事件、第2事件)
LEX/DB25449408/知的財産高等裁判所 平成30年 4月13日 判決 (第一審)/平成28年(行ケ)第10182号 等
原告らの発明の名称を「ピリミジン誘導体」に係る特許の無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟で、訴えの利益、進歩性の有無等が争点の事案において、訴えの利益を認めた上、本件特許が進歩性の要件等を充足することを認め、原告らの請求を棄却した事例。
2017.07.18
特許権侵害差止等請求事件
LEX/DB25448774/最高裁判所第二小法廷 平成29年 7月10日 判決 (上告審)/平成28年(受)第632号
発明の名称を「シートカッター」とする特許権を有する上告人(一審原告・被控訴人)が、被上告人(一審被告・控訴人)製品の製造・譲渡等が特許権の侵害に当たるとして、被上告人製品等の廃棄並びに損害賠償等を求めたところ、第一審は、上告人の請求を一部認容したため、これに不服の被上告人が控訴し、控訴審は、本件特許は、特許法29条1項3号に違反してされたものであるとして、本件無効の抗弁を容れて、第1審判決中、被上告人敗訴部分を取消し、上告人の請求をいずれも棄却したため、上告人が上告した事案において、特許権者が、事実審の口頭弁論終結時までに訂正の再抗弁を主張しなかったにもかかわらず、その後に訂正審決等が確定したことを理由に事実審の判断を争うことは、訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情がない限り、特許権の侵害に係る紛争の解決を不当に遅延させるものとして、特許法104条の3及び104条の4の各規定の趣旨に照らして許されないものというべきであるとしたうえで、本件は、上告人が原審において本件無効の抗弁に対する訂正の再抗弁を主張することができなかったとはいえず、その他上告人において訂正の再抗弁を主張しなかったことについてやむを得ないといえるだけの特段の事情はうかがわれないとし、上告を棄却した事例。
2017.06.20
損害賠償等請求事件
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LEX/DB25448539/大阪地方裁判所 平成29年 1月12日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第718号
原告出版社が、被告出版社及び被告印刷会社に対し、原告書籍を出版した際に製作された印刷用のデータを使用して、被告書籍を印刷・製本し、出版したと主張して、損害賠償を求めた事案において、被告印刷会社に本件写真データを使用して被告書籍の印刷・製本をさせた被告出版社の行為は、原告が被告印刷会社に対して有する債権侵害としての不法行為を構成すると認められ、被告出版社は、原告に生じた損害について、不法行為による損害賠償責任を負うとして、原告の請求を一部認容した事例。
2017.05.23
審決取消請求事件
LEX/DB25448588/知的財産高等裁判所 平成29年 3月23日 判決 (第一審)/平成28年(行ケ)第10208号
原告が、「TOMATO SYSTEM」と標準文字で書してなり、指定役務を「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」等とする本願商標につき商標登録出願をしたが、拒絶査定を受けたため、これに対する不服の審判請求をしたところ、本件審判の請求は、成り立たないとの審決がされたことから、本件審決の取消しを求めた事案において、本願商標と、「TOMATO」と書してなる引用商標1とは類似し、本願指定役務と引用指定役務1も類似するものであって、本願商標は、商標法4条1項11号に該当する商標であるとし、請求を棄却した事例。
2017.04.04
特許権侵害行為差止請求事件
LEX/DB25448553/最高裁判所第二小法廷 平成29年 3月24日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1242号
角化症治療薬の有効成分であるマキサカルシトールを含む化合物の製造方法の特許に係る特許権の共有者である被上告人(原告・被控訴人)が、上告人(被告・控訴人)らの輸入販売等に係る医薬品の製造方法は、上記特許に係る特許請求の範囲に記載された構成と均等なものであり、その特許発明の技術的範囲に属すると主張して、上告人らに対し、当該医薬品の輸入販売等の差止め及びその廃棄を求め、第一審は、被上告人の請求を認容したため、上告人らが控訴し、控訴審は、第一審判決は相当であるとして控訴を棄却したため、上告人らが上告した事案において、被上告人が、特許の特許出願時に、特許請求の範囲に記載された構成中の上告人らの製造方法と異なる部分につき、客観的、外形的にみて、上告人らの製造方法に係る構成が特許請求の範囲に記載された構成を代替すると認識しながらあえて特許請求の範囲に記載しなかった旨を表示していたという事情があるとはうかがわれないとし、原審の判断を是認できるとして、上告を棄却した事例。