2023.04.11
共有持分移転登記手続請求事件
LEX/DB25572742/最高裁判所第二小法廷 令和 5年 3月24日 判決 (上告審)/令和4年(受)第324号
上告人は、被上告人に対し、遺留分減殺を原因とする不動産の所有権一部移転登記手続を求める訴えを提起したが、被上告人は、適式な呼出しを受けたにもかかわらず、第1審の第1回口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しなかったため、第1審で、一人の裁判官によって審理されていたところ、同裁判官は、上記期日において口論弁論を終結し、判決言渡期日を指定し、上記の指定に係る判決言渡期日において、上記口頭弁論に関与していない裁判官が、民事訴訟法254条1項により、判決書の原本に基づかないで上告人の請求を全部認容する第1審判決を言い渡したが、上告人は、本件第1審判決には民事訴訟法249条1項に違反する判決手続の違法があり、これは再審事由(同法338条1項1号)にも当たるなどとして、本件第1審判決を取消し、改めて上告人の請求を全部認容する旨の判決を求めて控訴をし、原判決は、本件控訴は不適法であるとして却下したため、上告人が上告した事案で、第1審において、事件が一人の裁判官により審理された後、判決の基本となる口頭弁論に関与していない裁判官が民事訴訟法254条1項により判決書の原本に基づかないで第1審判決を言い渡した場合、その判決手続は同法249条1項に違反するものであり、同判決には民事訴訟の根幹に関わる重大な違法があり、また、上記の違反は、訴訟記録により直ちに判明する事柄であり、同法338条1項1号に掲げる再審事由に該当するものであるから、上記の第1審判決によって紛争が最終的に解決されるということもできないとして、上告人は、本件第1審判決に対して控訴をすることができるとし、本件控訴を不適法であるとして却下した原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、改めて審理をさせるため、本件を原審に差し戻した事例。