2025.02.12
殺人、覚せい剤取締法違反被告事件(資産家覚せい剤中毒死無罪判決)
LEX/DB25621573/和歌山地方裁判所 令和 6年12月12日 判決(第一審)/令和3年(わ)第156号
被告人が、法定の除外事由がないのに、b方において、夫であるb(当時77歳)に対し、殺意をもって、何らかの方法により致死量の覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン又はその塩類を情を知らない同人に経口摂取させ、よって、同人を急性覚せい剤中毒により死亡させて殺害するとともに、覚せい剤を使用したとして、殺人、覚せい剤取締法違反の罪で無期懲役を求刑された事案で、被告人が、本件時にbに致死量を超える覚せい剤を摂取させることは一応可能であり、被告人が、本件に先立ち、インターネット上の掲示板を使って致死量を超える覚せい剤を注文し、現実に密売人と対面して代金と引換えに品物を受け取ることまでしていること、本件当日、b方でbと2人きりでいた時間帯のうち、1時間余りの間に集中して繰り返し2階と1階を行き来するという普段と異なる行動をとっていること、さらに、被告人には、bの死亡により多額の遺産を直ちに相続できるなどbを殺害する動機になり得る事情があったことは、被告人がbに覚せい剤を摂取させて殺害したのではないかと疑わせる事情であるものの、これらの事情を検察官が指摘する被告人の検索履歴等と併せ考慮しても、被告人がbを殺害したと推認するに足りず、さらに、消去法で検討しても、bが本件時に初めて覚せい剤を使用し、その際に誤って致死量を摂取して死亡した可能性については、これがないとは言い切れないから、本件公訴事実については犯罪の証明がないとして、被告人に無罪を言い渡した事例(裁判員裁判)。