2025.08.12
不当利得返還等請求事件
LEX/DB25574404/最高裁判所第一小法廷 令和 7年 6月30日 判決(上告審)/令和5年(受)第2461号
上告人(被控訴人・原告)が、被上告人(控訴人・被告)に対し、本件管理業務という労務により被上告人は法律上の原因なく利益を受け、上告人は損失を被ったとして、不当利得返還請求権に基づき、平成28年7月から令和3年6月までの間における管理費と同額の支払を求め、第一審が請求を一部認容したところ、被上告人らが控訴し、控訴審が、上記事実関係の下において、本件管理業務が本件土地の経済的価値に与えた影響は不明であるから、被上告人が利益を受けたとは認められず、被上告人は上告人に対し不当利得返還義務を負わないと判断して、上告人の請求を棄却したところ、上告人が上告した事案で、上告人の本件管理業務という労務は、本件別荘地内の土地に建物を建築してその土地を利用しているか否かにかかわらず、本件別荘地所有者に利益を生じさせるものであるというべきであり、そして、本件管理業務に要する費用は、本件別荘地所有者から本件管理業務に対する管理費を収受することによって賄うことが予定されているといえるから、被上告人からその支払を受けていない上告人には損失があるというべきであるとし、また、被上告人が上告人による本件管理業務の提供を望んでいなかったとしても、本件管理業務に対する管理費として相当と認められる額の負担を免れることはできないというべきであって、このように解することが契約自由の原則に反するものでないことは明らかであるから、被上告人は、上告人に対し、本件管理業務に対する管理費として相当と認められる額の不当利得返還義務を負い、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人の控訴を棄却した事例。