2019.08.20
執行文付与に対する異議事件
LEX/DB25570406/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 8月 9日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1626号
被上告人が、上告人に対し、本件相続放棄を異議の事由として、執行文の付与された本件債務名義に基づく被上告人に対する強制執行を許さないことを求める執行文付与に対する異議の訴えで、甲が死亡し、その相続人である乙が甲からの相続について承認又は放棄をしないで死亡し、丙が乙の相続人となったいわゆる再転相続に関し、民法916条は、同法915条1項の規定する相続の承認又は放棄をすべき3箇月の期間(熟慮期間)は、「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」から起算する旨を規定しているところ、本件では、Aからの相続に係る被上告人の熟慮期間がいつから起算されるかが争われた事案の上告審において、民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは、相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が、当該死亡した者からの相続により、当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を、自己が承継した事実を知った時をいうものであるとし、原審の判断に、民法916条の解釈適用を誤った違法があるが、本件相続放棄が熟慮期間内にされたものとして有効であるとした原審の判断は、結論において是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。