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2019.08.06
命令服従義務不存在確認請求事件
LEX/DB25570367/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月22日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第195号
陸上自衛官である被上告人(控訴人・原告)が、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態に際して内閣総理大臣が自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる旨を規定する自衛隊法76条1項2号の規定は憲法に違反すると主張して、上告人(被控訴人・被告。国)を相手に、被上告人が同号の規定による防衛出動命令に服従する義務がないことの確認を求めた事案の上告審において、差止めの訴えの訴訟要件については、行政庁によって一定の処分がされる蓋然性の要件を満たすことが必要とされるとし、将来の不利益処分の予防を目的として当該処分の前提となる公的義務の不存在確認を求める無名抗告訴訟は、蓋然性の要件を満たさない場合には不適法というべきであるとし、原審は、蓋然性の要件を満たすものか否かの点を検討することなく本件訴えを適法としたもので、判決に影響を及ぼすことが明らかな違法があるとして、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻した事例。
2019.08.06
使用料請求事件
LEX/DB25570359/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月18日 判決 (上告審)/平成30年(受)第533号 等
被上告人が、上告人ら及び選定者Aの本件排水により被上告人の本件水路に係る排他的管理権が侵害され、被上告人の定める基準により計算される使用料相当額の利得が上告人ら及び選定者Aに生ずるとともに同額の損失が被上告人に生じたと主張して、上告人らに対し、上告人ら及び選定者Aに対する不当利得返還請求権に基づき、当該使用料相当額及び遅延損害金の支払を求めた事案の上告審において、公水使用権は、公共用物である公水の上に存する権利であることに鑑み、その使用目的を満たすために必要な限度の流水を使用し得る権利にすぎないと解され、当該使用目的を満たすために必要な限度を超えて他人による流水の使用を排斥する権限を含むものではないとし、本件水路に被上告人が河川法23条の許可に基づいて取水した水が流れていることから、被上告人が第三者に対し本件水路への排水を禁止することができるとし、上告人ら及び選定者Aの本件排水により本件水路の流水についての被上告人の排他的管理権が侵害されたとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、原審各判決中、上告人ら敗訴部分を破棄し、被上告人の上告人らに対する請求を棄却した第1審判決は相当であり、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見あり)。
2019.07.30
土地明渡等請求本訴、所有権移転登記手続請求反訴事件
LEX/DB25570358/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月18日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1563号
本件本訴は、上告人が、本件土地を公園の敷地として占有する被上告人に対し、本件土地につき上告人が所有権を有することの確認並びに所有権に基づく本件土地の明渡し及び賃料相当損害金の支払を求め、原審が、上告人の本訴請求のうち本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求に係る部分を棄却したため、上告人が上告した事案において、都市計画区域内にある公園について、湖南市地域ふれあい公園条例に基づく公告がされたことをもって、都市公園法2条の2に基づく公告がされたということはできないとし、都市公園法2条の2に基づく公告がされていない本件公園が同法に基づいて設置された都市公園に当たるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、上告人の本件土地の明渡請求及び賃料相当損害金の支払請求が権利濫用に当たるか否か等について、更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2019.07.30
固定資産価格審査申出棄却決定取消請求事件
「新・判例解説Watch」租税法分野 10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570343/最高裁判所第三小法廷 令和 1年 7月16日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第139号
鉄骨・鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付き9階建事務所(本件建物)を所有している上告人が、東京都知事によって決定され固定資産課税台帳に登録された本件建物の平成24年度の価格を不服として東京都固定資産評価審査委員会に対して審査の申出をしたところ、これを棄却する旨の決定を受けたため、被上告人を相手に、その取消しを求めた事案の上告審において、原審は、本件訴えのうち本件請求の趣旨変更に係る部分を不適法として却下するとともに、本件主張追加に係る事由によって、本件登録価格が平成24年度評価基準により決定される本件建物の価格を上回ることとならないか否かについて審理判断することなく本件決定を適法としたものであり、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2019.07.30
LEX/DB25563291/大阪高等裁判所 令和 1年 7月12日 決定 (抗告審)/令和1年(く)第258号
被告人に対する恐喝被告事件について、地方裁判所がした接見等禁止決定に対し、刑事訴訟法81条にいう罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとはいえないから、これを取り消した上、被告人に対する接見等禁止の請求を却下する旨の裁判を求め、弁護人が抗告した事案において、接見等禁止決定に対する抗告が認容され、原決定を取消した事例。
2019.07.30
各未払賃料等請求事件(甲事件、乙事件、丙事件、丁事件)
(レオパレスオーナ敗訴 レンタル家具等を巡る訴訟)
LEX/DB25563283/名古屋地方裁判所 令和 1年 7月 2日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第5402号 等
建物の所有者である原告らが、被告(不動産の売買、仲介、斡旋、賃貸及び管理等を目的とする株式会社)との間で、それぞれ建物の賃貸借契約を締結するとともに、同契約に関する家具・家電の保守及びレンタル業務を内容とする家具・家電総合メンテナンスサービス契約(TMS契約)を締結したところ、〔1〕TMS契約上のレンタル業務が開始されたと主張する原告ら(別表の各「未払賃料」欄に金額の記載がある原告ら)が、レンタル業務の履行なく同業務代として賃料から差し引かれた価額につき、被告に対し、賃貸借契約に基づいて、同各「未払賃料」欄記載の各未払賃料及び遅延損害金の支払を、〔2〕別表の「特約金」欄に金額の記載がある原告らが、(1)TMS契約全体又はTMS契約上の特約金支払合意が消費者契約法10条又は民法90条に違反し無効である、(2)TMS契約は錯誤により無効である、(3)レンタル業務期間移行時に、被告が家具・家電の入替えを履行しないことを解除条件とする特約金支払合意をし、各特約金を支払ったが、被告が家具・家電の入替えを履行しないため、上記解除条件が成就した、(4)被告のレンタル業務期間移行時における家具・家電の入替えに関する債務不履行を原因としてTMS契約を解除したなどと主張して、不当利得に基づき、支払済みの別表の各「特約金」欄記載の各特約金及び遅延損害金の支払を、〔3〕原告らが、被告のレンタル業務期間移行時における家具・家電の入替えに関する債務不履行を原因としてTMS契約を解除したなどと主張して、TMS契約に基づくサービス料の支払義務不存在の確認をそれぞれ求めた事案において、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2019.07.23
年金額減額処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 10月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570261/札幌地方裁判所 平成31年 4月26日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第15号
老齢基礎年金、老齢厚生年金及び遺族厚生年金の受給者である原告らが、平成24年改正法及び平成25年政令に基づいて厚生労働大臣が行った原告らの年金額を減額する改定(本件各処分)は、憲法13条、25条及び29条に反する違憲のものであり、又は厚生労働大臣に認められた裁量を逸脱及び濫用するものであって違法のものであるなどと主張して、本件各処分の取消しを求めた事案において、本件特例水準は、その創設時から将来における解消が予定されていたものであり、また、その解消の判断に至る過程における判断及び手続に誤りがあるということもできないから、平成24年改正法の内容の策定について、国会に明らかな裁量権の逸脱又はその濫用があるということはできないから、憲法25条に反するということはできず、したがって、本件各処分が同条に違反するとはいえないなどとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2019.07.23
「新・判例解説Watch」家族法分野 9月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570294/東京高等裁判所 平成31年 4月10日 判決 (控訴審)/平成29年(行コ)第246号
控訴人Aが、甲府刑務所に収容されていた当時、同控訴人と養子縁組をしていた亡Dに対して信書を発信しようとしたところ、甲府刑務所長が信書の発信を禁止する決定をしたことについて、国家賠償を請求した事案の控訴審において、控訴人AとDとが、同性愛関係にあり、両名が、助け合って共に生活しようという意思を持って、養子縁組を行った本件においては、両名に縁組意思を認めることができ、養子縁組は有効というべきであり、Dは刑事収容法128条所定の親族に該当するとして、原判決を取り消し、被控訴人の請求を一部認容した事例。
2019.07.16
登記引取等請求事件
LEX/DB25570328/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 7月 5日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1387号
上告人が、Aから同人の被上告人に対する貸金返還請求権を譲り受けたとして、被上告人に対し,貸金及び遅延損害金の支払を求め、原審は、被上告人が上記の否認をすることは信義則に反するとの主張を採用せず、証拠等に基づき、Aが本件金員を本件建物の売買代金として被上告人に支払ったと認定し、上告人の主張する金銭消費貸借契約は成立していないと判断し、上告人の貸金等の支払請求を棄却したため、上告した事案において、原審が、上告人の主張について審理判断することもなく、被上告人が否認をすることは信義則に反するとの主張を採用しなかったものであり、この判断には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、金員支払請求に関する部分を破棄し、被上告人が否認をすることが信義則に反するか否か等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻しを命じ、その余の請求に関する上告を棄却した事例。
2019.07.16
わいせつ誘拐,殺人,死体損壊,死体遺棄被告事件 
LEX/DB25570324/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月 1日 決定 (上告審)/平成29年(あ)第605号
被告人が、わいせつ目的で当時6歳の被害者を自宅に誘い入れて誘拐した上、被害者の頸部にビニールロープを巻き付けて締め付け、意識を失った被害者の後頸部を包丁で複数回突き刺して殺害し、遺体を切断するなどして損壊し遺棄したという事件で、検察官が量刑不当を理由に上告した事案において、第1審の死刑判決を破棄し、被告人を無期懲役に処した原判決が、刑の量定において甚だしく不当であってこれを破棄しなければ著しく正義に反するものということはできないとして、本件上告を棄却した事例。
2019.07.16
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25563170/高松地方裁判所 令和 1年 6月21日 判決 (控訴審)/平成31年(レ)第4号 等
控訴人M興業が所有し、控訴人Bが運転する準中型貨物自動車(A車)と、被控訴人TMが所有し、被控訴人Cが運転する普通貨物自動車(TM車)が、丁字路で衝突した事故に関し、控訴人M興業が、被控訴人Cに対し、不法行為に基づく損害賠償(修理費用及び弁護士費用)51万1500円及び遅延損害金の支払を求め(原審第1事件)、被控訴人TMが、控訴人Bに対し、不法行為に基づく損害賠償(修理費用及び弁護士費用)42万9100円及び遅延損害金の支払を求めた(原審第2事件)ところ、原審は、控訴人Bと被控訴人Cの過失割合を2対8として、各請求を一部認容したため、控訴人らが控訴し、被控訴人らが附帯控訴した事案において、被控訴人Cは、控訴人M興業に対し、不法行為に基づき46万0350円及び遅延損害金の支払義務を負うとし、また、控訴人Bは、被控訴人TMに対し、不法行為に基づき4万2909円及び遅延損害金の支払義務を負うとして、控訴人M興業の請求は上記の限度で理由があるから認容し、その余の請求を棄却し、被控訴人TMの請求は上記の限度で理由があるから認容し、その余の請求を棄却した事例。
2019.07.09
再審開始決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件
(大崎事件第3次再審請求最高裁棄却決定)
LEX/DB25563156/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 6月25日 決定 (再審請求審)/平成30年(し)第146号
請求人が、義弟を殺害したとする殺人、死体遺棄被告事件(いわゆる大崎事件)で懲役10年に処せられた確定判決について、第3次再審請求をし、原々審及び原審は再審開始の決定をしたため、検察官が特別抗告をした事案において、R鑑定にP・Q新鑑定を含むその余の新証拠を併せ考慮してみても、確定判決の事実認定に合理的な疑いを抱かせるに足りるものとはいえないとし、R鑑定が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとした原決定の判断には刑事訴訟法435条6号の解釈適用を誤った違法があり、R鑑定及びP・Q新鑑定がそのような証拠に当たるとした原々決定の判断にも同様の違法があるといわざるを得ず、これらの違法が決定に影響を及ぼすことは明らかであり、これらを取り消さなければ著しく正義に反するものと認められるとして、刑事訴訟法411条1号を準用して原決定及び原々決定を取消し、同法434条、426条2項により更に裁判をすると、請求人が提出した新証拠は、無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるものとはいえず、同法447条1項により本件再審請求を棄却した事例。
2019.07.09
国家賠償請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 10月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25563157/仙台地方裁判所 令和 1年 5月28日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第76号 等
原告らが、平成8年法律第105号による改正前の旧優生保護法に基づき不妊手術(本件優生手術)を受けたところ、旧優生保護法第2章、第4章及び第5章の各規定は違憲無効であり子を産み育てるかどうかを意思決定する権利(リプロダクティブ権)を一方的に侵害されて損害を被ったと主張して、被告(国)に対し、主位的に、国会が当該損害を賠償する立法措置を執らなかった立法不作為又は厚生労働大臣が当該損害を賠償する立法等の施策を執らなかった行為の各違法を理由に、予備的に、国家賠償法4条により適用される民法724条後段の除斥期間の規定を本件に適用することが違憲となると主張して、当時の厚生大臣が本件優生手術を防止することを怠った行為の違法を理由に、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めた事案において、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2019.07.09
保険金請求事件
LEX/DB25563131/東京地方裁判所 平成31年 1月22日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第4518号
弁護士であって弁護士賠償責任保険契約の被保険者である原告が、別件訴訟の確定判決において1470万円の損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を命じられたことについて、弁護士の資格に基づいて遂行した業務に起因して法律上の賠償責任を負担したものであり、保険約款所定の保険金支払事由に当たると主張して、保険者である被告に対し、上記保険契約に基づく保険金として1470万円及びこれに対する確定遅延損害金の合計1708万2205円並びに遅延損害金の支払を求めた事案で、保険金支払事由該当性について、原告がAに対して損害賠償責任を負ったことは、保険約款所定の保険金支払事由に該当するとし、また、免責事由該当性について、原告がAに対して損害賠償責任を負ったことは、「他人に損害を与えるべきことを予見しながら行った行為」に起因するものといわざるを得ず、保険約款所定の免責事由に該当するとして、原告の請求を棄却した事例。
2019.07.02
損害賠償請求事件
LEX/DB25563059/東京地方裁判所 令和 1年 5月27日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第31999号
昭和42年8月に発生した本件強盗殺人事件(いわゆる布川事件)について、逮捕及び勾留をされた上で公訴を提起され、有罪判決を受けて服役し、再審において無罪判決が確定した原告が、被告(国・茨城県)らに対し、検察官及び茨城県警所属の警察官による捜査、検察官による公訴の提起、検察官及び警察官の公判における活動並びに検察官の再審請求審及び再審における活動に違法があったなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき,連帯して、損害賠償金の支払等を求めた事案において、警察官による取調べには国賠法上の違法があったとし、また、確定審の公判における警察官又は検察官の活動にも国賠法上違法なものが含まれていたとして、原告の請求を一部認容した事例。
2019.07.02
障害基礎年金支給停止処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」行政法分野 10月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570262/大阪地方裁判所 平成31年 4月11日 判決 (第一審)/平成29年(行ウ)第220号
(1)原告ら8名が、いずれも、1型糖尿病にり患し、国民年金法30条2項による委任を受けた国民年金法施行令別表の定める障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあるとして障害基礎年金の裁定を受けてこれを受給していたが、厚生労働大臣から、国民年金法36条2項本文の規定に基づく障害基礎年金の支給停止処分を受けたため、本件各支給停止処分は、〔1〕行政手続法14条1項本文の定める理由提示の要件を欠くとともに、〔2〕国民年金法36条2項本文所定の事由を欠くから、違法であると主張して、その取消しを求めた事案(第220号、第223号ないし229号事件)と、(2)原告Iが、原告ら8名と同様に、1型糖尿病にり患し、障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあるとして障害基礎年金の裁定を受けてこれを受給していたところ、厚生労働大臣から、支給停止処分を受け、その後、厚生労働大臣に対し、国民年金法施行規則35条1項本文に基づき、支給停止の解除の申請をしたが、支給停止を解除しない旨の処分を受けたため、本件不解除処分は、〔1〕行手法8条1項本文の定める理由提示の要件を欠くとともに、〔2〕支給停止事由を欠くから,違法であると主張して、その取消し及び行政事件訴訟法3条6項2号に基づき支給停止を解除する処分をすべき旨を命ずること(同号所定の義務付け)を求めた事案(第230号事件)で、(1)原告ら8名の請求は、障害基礎年金の支給を停止する旨の各処分をいずれも取り消し、請求を認容し、(2)本件不解除処分の取消しを求めた原告Iの請求は、障害基礎年金の支給停止を解除しない旨の処分を取消し、請求を認容した事例。
2019.06.25
在留資格認定証明書交付処分仮の義務付け申立却下決定に対する即時抗告事件
「新・判例解説Watch」国際公法分野 8月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25562968/名古屋高等裁判所 平成31年 3月27日 決定 (抗告審(即時抗告))/平成31年(行ス)第2号
外国籍を有する外国人女性の抗告人(申立人)が、本邦内の大学に入学する目的で入管法7条の2第1項所定の証明書(在留資格認定証明書)の交付の申請(本件申請)をしたところ、法務大臣から権限の委任を受けた名古屋入管局長から、入管法5条1項9号ロに掲げる上陸拒否事由に該当することを理由として在留資格認定証明書を交付しない旨の処分を受けたため、本件不交付処分には名古屋入管局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した違法があると主張して、本件不交付処分の取消し及び本件申請に係る在留資格認定証明書の交付の義務付けを求める訴えを提起した上、行訴法37条の5第1項に基づき、在留資格認定証明書を仮に交付することの義務付けを求め、原審は、本案事件である本件申請に係る在留資格認定証明書の交付の義務付けの訴えは、行訴法37条の3第1項2号の要件を欠く不適法なものであり、本案事件が適法なものとして係属しているとはいえず、本件申立ては不適法であるとして却下したため、抗告人は、これを不服として本件抗告を申し立てた事案において、名古屋入管局長が、抗告人に対し、上陸拒否の特例の適用の前提となる在留資格認定証明書を交付しないと判断したことは、社会通念上著しく妥当性を欠くものといわざるを得ないから、その裁量権の範囲を逸脱し、これを濫用したものというべきであると判示し、本件申立てを却下した原決定を取消し、名古屋入管局長に対し、抗告人に在留資格認定証明書を仮に交付することを命じた事例。
2019.06.25
所得税増額更正処分等取消請求事件
LEX/DB25555318/東京地方裁判所 平成30年 6月29日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第487号
原告が、西大寺税務署長から、平成19年ないし平成25年分の所得税についての更正処分及びこれらの所得税に係る重加算税の賦課決定処分を受けたことから、西大寺税務署長が所属する被告(国)に対し、〔1〕平成19年ないし平成22年分の所得税の各更正処分のうち、期限内申告及び修正申告の額を超える部分について、原告に「偽りその他不正の行為」はなく、更正処分の除斥期間である3年を経過してされたものであり、違法であるとして、〔2〕平成19年ないし平成22年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分について、違法な更正処分を前提とし、かつ、重加算税の賦課要件である「隠蔽又は仮装」の事実がないのにされた違法なものであるとして、〔3〕平成23年ないし平成25年分の所得税に係る重加算税の各賦課決定処分のうち、過少申告加算税相当額を超える部分について、「隠蔽又は仮装」の事実がないのにされた違法なものであるとして、それぞれ、その取消しを求めた事案において、原告の請求は理由がないとして棄却した事例。
2019.06.25
商標権侵害行為差止等請求事件
「新・判例解説Watch」知的財産法分野 10月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570186/東京地方裁判所 平成31年 2月22日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第15776号
本件商標権を有する原告が、被告商品に付された被告各標章が原告商標と類似することから、被告が被告商品を販売等する行為は、原告商標権を侵害すると主張して、被告に対し、商標法36条1項に基づき、被告各標章を付した腕時計又は被告商品の販売等の差止めを求めるとともに、民法709条、商標法38条3項に基づき、損害賠償を求めた事案において、要証期間内において、原告商標が腕時計について使用されたとは認められず、原告商標の指定商品中「腕時計」は、不使用取消審判によって取り消されるべきものであるから、原告による差止請求は、権利の濫用として許されないと示しつつ、商標法54条2項により原告商標権の指定商品中の「腕時計」が消滅する効果が発生する日よりも、原告が損害賠償を求めている期間のほうが以前であるから、損害賠償請求との関係では、権利濫用の抗弁は失当であるとして、原告の請求を一部認容した事例。
2019.06.18
損害賠償請求事件
LEX/DB25562953/大阪地方裁判所 令和 1年 5月22日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第12006号
原告Aが所有し、原告Bが運転する普通乗用自動車(原告車)と、Eが所有し運転する普通乗用自動車(E車)との間の交通事故により損害を被ったとして、原告らが、E車に付保された自動車保険契約の保険者である被告に対し、本件保険契約に定める損害賠償請求権者の直接請求権に基づき,損害金相当額の支払等を求めた事案において、被告の主張のとおり、本件保険契約は、F(Eの妻)の代理人であるEの欺罔によって締結されたものであり、詐欺取消の対象となるとし、原告らの請求をいずれも棄却した事例。