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2019.12.03
損害賠償請求事件
「新・判例解説Watch」家族法分野 12月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570471/宇都宮地方裁判所真岡支部 令和 1年 9月18日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第30号
原告が、原告と同性婚の関係にあった被告A及び後に被告Aと婚姻した被告Bに対し、被告らが不貞行為を行った結果、原告と被告Aの同性の事実婚(内縁関係)が破綻したと主張して、共同不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案において、同性のカップルであっても、その実態を見て内縁関係と同視できる生活関係にあると認められるものについては、それぞれに内縁関係に準じた法的保護に値する利益が認められ、不法行為法上の保護を受け得ると解するのが相当であるとして、原告の請求を一部認容した事例。
2019.12.03
廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570444/広島高等裁判所 令和 1年 7月25日 判決 (控訴審)/平成31年(う)第75号
被告人が、自己の所有する伐採木を所有地内で焼却したことについて、廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反に問われた事案の控訴審において、被告人が焼却した本件伐採木は燃料として保管されていたもので、廃棄物処理法2条1項の廃棄物に該当しないのに、これが廃棄物に該当された点、本件焼却行為は罰則適用の除外事由を定めた廃棄物処理法施行令14条4項に該当するのに、これに該当しないとした点において、判決に影響を及ぼすことが明らか法令適用の誤りがあり、また、被告人を懲役6月(執行猶予2年)及び罰金30万円に処した原判決の量刑が重過ぎて不当であるとの控訴趣意について、法令適用の誤りに関する主張は斥けたものの、罰則適用に関しては、廃棄物処理法25条1項15号、16条の2の本罰則の適用対象のうち、本件焼却行為は、比較的軽い部類に属するとして、原判決を破棄して、被告人を罰金30万円に処した事例。
2019.11.26
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、わいせつ電磁的記録記録媒体有償頒布目的所持被告事件
LEX/DB25570559/最高裁判所第一小法廷 令和 1年11月12日 決定 (上告審)/平成31年(あ)第506号
ひそかに児童ポルノ法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が、当該電磁的記録を別の記録媒体に記録させて児童ポルノを製造する行為は、同法7条5項の児童ポルノ製造罪に当たると解するのが相当であり、これと同旨の原判断は正当として是認できるとした事例。
2019.11.26
過誤納付金還付等請求事件
LEX/DB25564167/札幌地方裁判所 令和 1年10月24日 判決 (第一審)/平成30年(行ウ)第42号
F市長は、原告の平成21年度分から平成23年度分の市民税及び道民税の全額を徴収した後、平成20年分から平成22年分の各所得税に係る総所得金額が減額されたことに伴い、本件市道民税額を減額したため、過誤納に係る地方団体の徴収金(過誤納金)が発生したとして,これを原告に還付した。本件は、原告が、還付された過誤納金については、徴収された時点に存在していた他の滞納税に充てるべきであるのに、これがされていないため、本件市道民税額に係る延滞金額の計算に誤りがあると主張し、被告に対し、〔1〕地方税法17条に基づき過誤納金及び還付加算金の支払を求めるとともに、〔2〕被告が本件延滞金の計算を誤ったため、本件訴訟を提起せざるを得なくなったとして、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金の支払等を求めた事案において、地方団体の長は、過誤納金が発生した場合、過誤納金が現実に発生した時点で、還付を受けるべき者について地方団体の徴収金があるときは、地方税法17条の2に基づき過誤納金を徴収金に充当し、地方団体の徴収金がないときは、地方税法17条に基づき過誤納金を還付すればよいというべきであり、これに沿って行われたF市長による本件過誤納金の還付手続は、地方税法の規定に沿う適法なものであったと解するのが相当であり、本件延滞金の額の計算に法令違反などの誤りはないとし、原告の請求を棄却した事例。
2019.11.19
逃亡犯罪人引渡審査請求事件についてした逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当する旨の決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25570552/最高裁判所第二小法廷 令和 1年11月12日 決定 (特別抗告審)/令和1年(し)第699号
東京高等裁判所がした逃亡犯罪人引渡法10条1項3号の決定に対して、刑訴法433条1項の適用又は準用により刑訴法の特別抗告が許されると解すべきであり、そう解さないときは憲法81条、31条に違反すると主張したが、上記決定は、逃亡犯罪人引渡法に基づき東京高等裁判所が行った特別の決定であって、刑訴法上の決定でないばかりか、逃亡犯罪人引渡法には、これに対し不服申立てを認める規定が置かれていないので、上記決定に対しては不服申立てをすることは許されないとして、本件申立ては不適法であるとして、抗告棄却した事例。
2019.11.19
地位確認等請求事件 
LEX/DB25570540/最高裁判所第一小法廷 令和 1年11月 7日 判決 (上告審)/平成30年(受)第755号
上告人(控訴人・被告)との間で有期労働契約を締結して就労していた被上告人(被控訴人・原告)が、上告人による解雇は無効であると主張して、上告人に対し、労働契約上の地位の確認及び解雇の日以降の賃金の支払を求めたところ、第1審判決は、被上告人の請求を全部認容したため、上告人が控訴し、控訴審も第1審判決を維持し控訴棄却したため、上告人が上告した事案で、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中、労働契約上の地位の確認請求及び平成27年4月1日以降の賃金の支払請求を認容した部分を破棄し、被上告人が契約期間の満了後も本件労働契約が継続する旨主張していたことを踏まえ、これが更新されたか否か等について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2019.11.19
謝罪広告等請求控訴事件 
LEX/DB25564064/東京高等裁判所 令和 1年 9月18日 判決 (控訴審)/平成31年(ネ)第715号
近現代日本経済史の研究を行う歴史学者・経済学者(原告・被控訴人)が、同分野の歴史学者・経済学者(被告・控訴人)が大学での最終講義及び著書において、過去に被控訴人が控訴人の論文を剽窃・盗用したなどと述べたことが、真実に反するものであり、被控訴人の社会的評価を低下させたとして、名誉毀損を理由とする不法行為に基づき慰謝料、及び、民法723条に基づく名誉回復のための適当な処分として、謝罪広告の掲載を求め、同処分又は人格権に基づく差止請求権として、控訴人が発行した書籍の回収並びに回収不能の場合には同書籍の保有者に対する書面及び付箋の送付を求めたところ、原審が、被控訴人の請求につき、一部認容したため、控訴人がその敗訴部分を不服として控訴した事案で、原審の判断を維持し、控訴を棄却した事例。
2019.11.12
道路交通法違反被告事件についてした略式命令に対する非常上告事件
LEX/DB25570535/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 8月 9日 判決 (上告審)/令和1年(さ)第1号
被告人は、公安委員会の牽引免許を受けないで、茨城県内の道路において、重被牽引車を牽引して小型特殊自動車を運転した旨の事実を認定した上、簡易裁判所が被告人を罰金25万円に処する旨の略式命令を発付し、同略式命令は、確定した。しかしながら、道路交通法85条3項は、牽引自動車によって重被牽引車を牽引して当該牽引自動車を運転しようとする者は、牽引免許を受けなければならない旨規定しているところ、平成27年法律第40号による改正前の道路交通法75条の8の2第1項によると、小型特殊自動車は牽引自動車に当たらないから、前記略式命令の認定事実は、罪とならなかったものであるとして、原略式命令を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
2019.11.12
損害賠償請求事件
LEX/DB25564025/大阪地方裁判所 令和 1年 5月27日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第11089号
大阪地裁に刑事事件の被告人として起訴された原告らが、各原告の公判期日が開かれた日における入廷及び退廷の際、手錠及び捕縄を施された状態で入廷及び退廷をさせられたことについて、〔1〕原告らの公判を担当した裁判官らが、入退廷時に刑務官らによる手錠等の使用を止めさせずに放置したこと、〔2〕原告らの護送を担当した刑務官らが、入退廷時に法廷内で手錠等を使用したこと、〔3〕大阪拘置所首席矯正処遇官が被告人の出廷時における手錠等の使用に関する取扱いに関する指示をしたことは、いずれも違法であり、これらの違法行為によって精神的苦痛を被ったと主張して、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告P1については、慰謝料40万円及び遅延損害金の支払を、原告P2については慰謝料10万円及び遅延損害金の支払をそれぞれ求めた事案において、原告らの請求はいずれも理由がないとして、棄却した事例。
2019.11.12
排除措置命令等取消請求事件
LEX/DB25564042/東京地方裁判所 平成31年 3月28日 判決 (第一審)/平成28年(行ウ)第443号 等
原告らが、本件排除措置命令、及び、本件課徴金納付命令の各命令はその処分要件を欠く違法なものであるなどと主張して、原告R社が本件アルミ排除措置命令及び本件アルミ課徴金納付命令(原告R社)の取消しを、原告N社が本件アルミ排除措置命令、本件アルミ課徴金納付命令(原告N社)及び本件タンタル課徴金納付命令(原告N社)の取消しを、原告M電機が本件タンタル排除措置命令及び本件タンタル課徴金納付命令(原告M電機)の各一部の取消しを、被告(公正取引委員会)に対し、それぞれ求めた事案において、原告M電機の請求を一部認容し、その余の原告M電機の請求並びに原告R社及び原告N社の請求を棄却した事例。
2019.11.05
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件
LEX/DB25570506/最高裁判所第一小法廷 令和 1年10月17日 判決 (差戻上告審)/平成29年(行ヒ)第423号
競艇従事員共済会から競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、市が平成22年7月に共済会に対して補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為であるなどとして、市の住民である被上告人(控訴人・原告)らが、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上告人(被控訴人・被告)市長を相手に、当時の市長の職に在った者に対して損害賠償請求をすることを求めるとともに、上告人(被控訴人・被告)鳴門市公営企業管理者企業局長を相手に、当時の市の企業局長及び企業局次長の各職に在った者らに対して損害賠償請求をすること等を、それぞれ求めた住民訴訟で、原審は、上告人市長を相手に当時の市長であったBに対して損害賠償請求をすることを求めた請求並びに上告人管理者を相手に当時の企業局長であったC及び当時の企業局次長であったAに対して損害賠償請求をすることを求めた被上告人の各請求につき、いずれも認容したため、上告人らが上告した事案において、原判決中、上告人市長に対する請求に関する部分は破棄を免れず、当該部分に関する被上告人らの請求を棄却した第1審判決は正当であるから、当該部分につき、被上告人らの控訴を棄却し、また、原判決中、上告人管理者に対する請求に関する部分のうち、怠る事実に係る相手方に対するものとしてAに対して損害賠償請求をすることを求めた請求を認容した部分は破棄し、当該部分に関する被上告人らの請求を棄却した第1審判決は正当であるから、当該部分につき、被上告人らの控訴を棄却し、被上告人らが、上告人管理者を相手に当該職員に対するものとしてAに対して損害賠償請求をすることを求めた請求に係る訴えは不適法であるから、当該請求を棄却した第1審判決を取消し、上記訴えを却下し、これに対し、上告人管理者を相手にCに対して損害賠償請求をすることを求めた請求を認容した原審の判断は是認することができ、同上告人の上告を棄却し、その余の請求に関する上告は、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例(補足意見がある)。
2019.11.05
損害賠償請求事件(第1事件、第2事件)
「新・判例解説Watch」憲法分野 1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25564040/東京地方裁判所 令和 1年10月 2日 判決 (第一審)
婚姻後の夫婦の氏として、夫は夫の氏、妻は妻の氏を称する旨を記載した婚姻届を提出しようとしたところ、民法750条及び戸籍法74条1号の各規定(本件各規定)を根拠に婚姻届を不受理とされた者である原告らが、本件各規定が憲法14条1項、24条又は国際人権条約に違反することが明白であるにもかかわらず、国会が本件各規定について正当な理由なく長期にわたってその改廃等の立法措置を怠ったことにより、婚姻をするについての自由を制約され、法律上の婚姻(法律婚)に認められる民法や税法等の法律上の権利・利益,事実上の様々な利益を享受できず、また、夫婦であることの社会的承認を受けることができない不利益を被り、それらにより多大な精神的苦痛を受けたとして、被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料各50万円の支払を求めた事案で、本件各規定は、憲法14条1項又は24条に違反することが明白ではなく、また、女子差別撤廃条約又は自由権規約に違反することが明白であるともいえないから、本件立法不作為は、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けるものではないとし、原告らの請求を棄却した事例。
2019.11.05
LEX/DB25564030/東京地方裁判所 令和 1年 7月 4日 決定 (第一審)/平成29年(合わ)第275号
殺人被告事件について、検察官から、平成29年11月14日午後3時42分頃から同日午後6時23分頃までの間の検事による取調べにおける被告人(当時「被疑者」)の供述及びその状況を録音・録画した記録媒体の取調べ請求をした事案で、検察官から取調べ請求のあった証拠番号乙5号証の録音・録画記録媒体(副本)1枚のうち、画面表示時刻「2017/11/14 16:23:53」から「2017/11/14 17:43:25」までの部分(ただし、録画映像を除く。)のみを証拠として採用した事例。
2019.10.29
損害賠償請求反訴事件
LEX/DB25564021/東京地方裁判所 令和 1年10月 4日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第38149号
被告らは、原告(弁護士)がブログに掲載した記事につき、原告に対し、不法行為(名誉毀損)に基づく損害賠償等請求訴訟(前件訴訟)を提起したが、請求棄却の判決がされ、控訴及び上告受理申立てを経て確定した。被告らは、その後、原告に対し、前件訴訟に係る訴え及び上訴の提起による損害賠償債務が存在しないことの確認を求める訴えを提起し、本件は、本件本訴事件に対する反訴事件で、原告が、被告らによる前件訴訟の提起及びその訴えの変更申立てが、不当訴訟ないしスラップ訴訟として、原告に対する不法行為を構成する旨主張して、被告らに対し、前件訴訟に応訴するための損害賠償金1100万円のうち660万円(一部請求)並びに遅延損害金の連帯支払を求めた事案(本件本訴事件は、訴えの取下げにより終了)で、原告の請求は、110万円の連帯支払を求める限度で一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2019.10.29
発信者情報開示等請求事件
LEX/DB25564026/神戸地方裁判所尼崎支部 令和 1年10月 1日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第906号
「P2」と称する氏名不詳者(本件投稿者)が、被告が運営するGoogleマップという地図検索サービスと連動して設けられたウェブサイト上における、原告が経営する産婦人科の診療所の口コミサイト上に別紙書込目録記載の各書込みをしたことについて、原告が、かかる書込みの内容が、原告の名誉及び信用を侵害しているなどとして、被告に対し、〔1〕プロバイダ責任制限法4条1項に基づく本件投稿者の氏名等の情報(別紙発信者情報目録記載の各情報)の開示、〔2〕人格権に基づく当該書込みの削除、〔3〕不法行為に基づく平成29年9月21日から被告が当該書込み(ただし、修正前のものを含む。)を削除するまで、1日当たり10万円の損害賠償をそれぞれ求めた事案で、本件修正前書込み及び本件修正後書込みは、いずれも、原告の名誉を毀損するものとは認められず、被告がこれを削除しないことについて、被告に不法行為が成立するということはできないとして、請求を棄却した事例。
2019.10.29
損害賠償請求事件、同反訴請求事件
LEX/DB25564020/千葉地方裁判所松戸支部 令和 1年 9月19日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第956号 等
本訴は、現職の市議会議員である原告が、被告は、原告が選出された選挙告示後、インターネット上に、原告が当該市に居住実態がない立候補者であって公職選挙法に違反した立候補者であることを意味する記述を含む記事を公開したのは、原告の選挙運動を妨害し、原告の社会的評価を低下させるもので不法行為に該当するとして、慰謝料200万円の支払を求めた事案で、反訴は、原告は、本訴請求における原告の主張が認められないことを承知で、専ら被告に経済的負担を課することのみを目的として、本訴提起をしており、被告に対する不法行為を構成するとして、慰謝料50万円、本訴に対する応訴及び反訴提起等により負担することとなった弁護士費用合計61万5600円、これらを請求するに当たっての弁護士費用相当損害金11万1560円の総計122万7160円並びに遅延損害金の支払を求めた事案で、原告の請求を棄却し、被告の反訴請求は、78万5600円の限度で一部認容し、その余の反訴請求を棄却した事例。
2019.10.23
住居侵入、強盗殺人、強盗殺人未遂被告事件(愛知の夫婦強盗殺人等事件)
LEX/DB25570481/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 7月19日 判決 (上告審)/平成28年(あ)第1889号
被告人が、(1)平成10年6月、共犯者2名と共謀の上、強盗目的でA方に侵入し、A(当時45歳)とその妻B(当時36歳)を殺害し、その際、金品を強取したという住居侵入、強盗殺人、(2)平成18年7月、上記共犯者のうち1名と共謀の上、強盗目的でC方に侵入し、C(当時69歳)を殺害しようとしたが、死亡させるに至らず、その際、金品を強取したという住居侵入、強盗殺人未遂事件につき、第1審判決は死刑を言い渡し、原判決は第1審判決を維持したため、被告人が上告した事案で、被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざるを得ず、被告人が被害者や遺族に対する謝罪の意を表していること、(1)の犯行時は23歳と若年であったこと、各犯行時には前科がなかったことなど、被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、是認せざるを得ないとして、上告を棄却した事例。
2019.10.23
殺人、非現住建造物等放火被告事件(山口周南市連続殺人放火事件)
LEX/DB25570480/最高裁判所第一小法廷 令和 1年 7月11日 判決 (上告審)/平成28年(あ)第1508号
約10年間にわたり、近隣住民からうわさをされたり、挑発や嫌がらせを受けたりしているとの妄想を抱いていた被告人が、報復しようと考え、一晩のうちに、近隣の住居4軒において住人5名を殺害し、うち2軒の家屋に放火して全焼させたという殺人、非現住建造物等放火事件につき、第1審判決は死刑を言い渡し、原判決は第1審判決を維持したため、被告人が上告した事案で、前科がないことなど、被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、被告人の刑事責任は極めて重大であり、被告人を死刑に処した第1審判決を維持した原判断について是認せざるを得ないとして、上告を棄却した事例。
2019.10.23
損害賠償請求事件 
LEX/DB25563812/東京地方裁判所 令和 1年 6月21日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第29565号
原告らは、それぞれ、特殊詐欺グループに属し原告らの息子になりすました者からの電話を受け、緊急に金銭を必要としている事態にある旨を告げられ、その旨誤信して金員を指示されたとおりに振込み、これを詐取されたところ、同グループに属するP1が、指定暴力団I会の三次組織であるN一家B組の構成員であり、その威力を利用して資金獲得行為を行うについて当該詐欺をし、また、I会の事業の執行について当該詐欺をしたとして、I会の会長として同会を代表する被告に対し、暴力団対策法31条の2本文又は民法715条1項(使用者責任)による損害賠償請求権に基づき、原告らが詐取された金員相当額,慰謝料及び弁護士費用相当額の合計額並びに遅延損害金の支払を求めた事案において、本件各詐欺は、その行為態様等から、I会の指定暴力団員による威力利用資金獲得行為に関連してなされたものというべきであるなどとして、原告らの請求を一部認容した事例。
2019.10.15
覚せい剤取締法違反、詐欺未遂、詐欺被告事件 
LEX/DB25570468/最高裁判所第二小法廷 令和 1年 9月27日 判決 (上告審)/平成30年(あ)第1224号
被告人は、覚せい剤取締法違反の罪(使用・所持)のほか、(1)架空の老人介護施設の入居権譲渡に関する問題を解決するために必要であるように装って現金をだまし取ろうとし、A(当時71歳)に対し、現金350万円を東京都江東区内のマンションのB宛てに宅配便で2回に分けて送付する必要がある旨うそを言い、B宛てに現金合計350万円在中の荷物を宅配便で発送させ、被告人が、マンションに設置された宅配ボックスに預けられた荷物を取り出してAから現金合計350万円の交付させた詐欺事件、(2)被告人は、同様な手口で、被害者C(当時77歳)に対し、現金150万円を東京都北区内のマンションのD宛てに宅配便で送付する必要がある旨うそを言い、D宛てに現金150万円在中の荷物を宅配便で発送させ、被告人が、マンションに設置された宅配ボックスに預けられた荷物を取り出してCから現金をだまし取ろうとしたが、Cが警察に相談して荷物の中に偽装紙幣を入れていたため、その目的を遂げなかった詐欺未遂事件において、第1審判決は、各事件を有罪としたため、訴訟手続の法令違反、事実誤認を理由に被告人が控訴し、原判決は、第1審判決を破棄し、詐欺既遂事件について無罪を言い渡したため、検察官が上告した事案で、被告人は、自己の行為が詐欺に関与するものかもしれないと認識しながら本件各荷物を取り出して受領したものと認められるから、詐欺の故意に欠けるところはなく、共犯者らとの共謀も認められ、詐欺既遂事件について被告人に詐欺の故意を認めることができないとした原判決は、詐欺の故意を推認させる事実の評価を誤り、重大な事実誤認をしたというべきであり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原判決を破棄し、詐欺既遂事件について被告人に詐欺の故意及び共謀を認めた第1審判決の判断は、その結論において是認することができるとし、第1審判決を維持するのが相当であり、被告人の控訴を棄却した事例。