2020.01.21
損害賠償請求事件
LEX/DB25563894/名古屋地方裁判所 令和 1年 7月30日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第3483号
他人名義の偽造旅券を行使して日本に入国したスリランカ国籍の原告が、退去強制令書の発付処分を受けた後、難民不認定処分を受け、その後前記処分に対する異議申立てをし、同申立てが棄却された場合は難民不認定処分に対して取消訴訟等をする意向を示していたにもかかわらず、入国警備官らが、前記異議申立棄却決定の後、原告による難民不認定処分に対する取消訴訟等の提起を妨害するために、同棄却決定の告知をあえて遅らせて原告を収容し、同棄却決定の告知後は弁護士との連絡もできなくしたほか、原告に対してスリランカ帰国後に訴訟ができるとの虚偽の説明をするなどして、原告を強制送還したという一連の違法な公権力行使により、原告の裁判を受ける権利が違法に侵害されたとして、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負っているわけではなく、裁判所における裁判を受ける権利が保障されていることを直接の根拠として、退去強制を受ける立場にあった原告について、本件不認定処分に対する取消訴訟を提起するまでの合理的期間、強制送還されない具体的権利が保障されていたと認めることはできないが、原告がスリランカに送還されてしまえば訴えの利益が失われることになるにもかかわらず、入国警備官らは、原告がスリランカに送還されてもなお前記訴訟を提起することが可能であるかのような誤った教示を行っており、これは、公務員たる入国警備官が職務上通常尽くすべき義務を尽くさなかったことにほかならないというべきであるから、国家賠償法上違法であると認めるのが相当であるところ、原告においては、裁判を受ける権利そのものが侵害されたのではなく、その前提となる適切な教示を受ける権利が侵害されていると認められ、原告の請求は、それによる慰謝料を求める限度で理由があるとして、請求を一部認容した事例。