2020.05.07
賃金支払請求事件
LEX/DB25565229/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月30日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1922号
被上告人らのいずれかに雇用され、タクシー乗務員として勤務していた上告人らが、歩合給の計算に当たり売上高(揚高)等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨を定める被上告人らの各賃金規則上の定めが無効であり、被上告人らは、控除された残業手当等に相当する金額の賃金の支払義務を負うなどと主張して、被上告人らに対し、未払賃金等の支払を求めた事案(揚高が同じであれば、時間外労働等の有無やその時間数の多寡にかかわらず、原則として総賃金の額は同じとなることから、定めの効力や、残業手当等の支払により労働基準法37条の定める割増賃金が支払われたといえるか否かが争われている。)で、原審は、上告人らの請求をいずれも棄却したため、上告人らが上告した事案で、割増金及び歩合給を求めるための対象額から控除された割増金は、割増賃金に当たらず、通常の労働時間の賃金に当たるものとして、労働基準法37条等に定められた方法により上告人らに支払われるべき割増賃金の額を算定すべきであるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、被上告人らが上告人らに対して支払うべき未払賃金の額等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。