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2020.05.07
賃金支払請求事件
LEX/DB25565229/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月30日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1922号
被上告人らのいずれかに雇用され、タクシー乗務員として勤務していた上告人らが、歩合給の計算に当たり売上高(揚高)等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨を定める被上告人らの各賃金規則上の定めが無効であり、被上告人らは、控除された残業手当等に相当する金額の賃金の支払義務を負うなどと主張して、被上告人らに対し、未払賃金等の支払を求めた事案(揚高が同じであれば、時間外労働等の有無やその時間数の多寡にかかわらず、原則として総賃金の額は同じとなることから、定めの効力や、残業手当等の支払により労働基準法37条の定める割増賃金が支払われたといえるか否かが争われている。)で、原審は、上告人らの請求をいずれも棄却したため、上告人らが上告した事案で、割増金及び歩合給を求めるための対象額から控除された割増金は、割増賃金に当たらず、通常の労働時間の賃金に当たるものとして、労働基準法37条等に定められた方法により上告人らに支払われるべき割増賃金の額を算定すべきであるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、被上告人らが上告人らに対して支払うべき未払賃金の額等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すこととした事例。
2020.04.28
殺人被告事件(人工呼吸器外し事件再審無罪判決)
LEX/DB25565177/大津地方裁判所 令和 2年 3月31日 判決 (再審請求審)/平成24年(た)第3号
被告人は、医療法人社団a病院で看護助手として勤務していたものであるが、同病院看護師らの自己に対する処遇等に憤まんを募らせていたところ、そのうっ積した気持ちを晴らすため同病院の入院患者を殺害しようと企て、平成15年5月22日午前4時過ぎころ、同病院の病室で、慢性呼吸不全等による重篤な症状で入院加療中の患者(当時72歳)に対し、殺意をもって、同人に装着された人工呼吸器の呼吸回路中にあるL字管からこれに接続するフレックスチューブを引き抜いて同人工呼吸器からの同人への酸素供給を遮断し、同人を呼吸停止の状態に陥らせ、同人を急性低酸素状態により死亡させて殺害した。」という公訴事実の本件殺人事件の再審において、被告人の自白供述以外の証拠によっては、そもそも事件性を認めるに足りず、むしろ、患者が致死性不整脈その他の原因により、死亡した具体的な可能性があることが認められ、本件呼吸器の管を外して患者を殺害した旨の本件自白供述は、いずれも「任意にされたものでない疑」があるものとして証拠排除した以上、本件公訴事実については、被告人の犯人性以前の問題として、そもそも、患者が何者かによって殺害されたという事件性すら証明されておらず、犯罪の証明がないことに帰するとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2020.04.28
損害賠償請求事件(甲事件、乙事件)
LEX/DB25565176/東京地方裁判所 令和 2年 3月13日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第205号 等
被告らを雇用していた原告会社が、雇用契約期間中に被告らが業務専念義務、機密保持義務及び競業避止義務に違反して全国情報ネットワーク協同組合の指示により原告会社が管理する保険関係資料等を持ち出したとして、主位的には債務不履行に基づく損害賠償請求として、予備的には不法行為に基づく損害賠償請求として、被告Bにつき損害合計4661万円のうち200万円、被告Cにつき損害合計4656万円のうち150万円の支払等を求めた事案において、原告会社は、本件業務委託契約に基づいて書類等を管理占有していたにすぎないから、同契約が終了した以上、同書類等を使用収益する権原を失い、その返却義務を負うにすぎないから、これらの書類等の使用収益を妨げられたとしても、そのことによって損害が生じるものとは認められないとして、原告会社の請求を棄却した事例。
2020.04.21
不法行為による損害賠償請求事件
LEX/DB25570868/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 4月 7日 判決 (上告審)/平成31年(受)第606号
被上告人は、上告人らに対して本件建物部分の明渡しを命ずる仮執行の宣言を付した判決に基づく強制執行について、民事執行法42条1項に規定する強制執行の費用で必要なものに当たる合計161万3244円の本件執行費用を支出した。本件は、被上告人が、本件執行費用を上告人らによる本件建物部分の占有に係る共同不法行為による損害として主張して、上告人らに対し、不法行為に基づき、本件執行費用及び弁護士費用相当額並びに遅延損害金の連帯支払等を求め、原審は、被上告人の上記の主張に理由があると判断し、上記連帯支払を求める請求を認容したため、上告人が上告した事案で、本件執行費用は、民事訴訟費用等に関する法律2条各号に掲げられた費目の費用に該当するから、上告人らに対する不法行為に基づく損害賠償請求においてこれを損害とする被上告人の主張は許されず、当該主張に理由があるとした原審の判断には明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人ら敗訴部分のうち、上告人らに対し本件執行費用及びこの請求に係る弁護士費用相当額並びにこれに対する遅延損害金の連帯支払を求める請求に関する部分を破棄し、上記部分に関する被上告人の請求は、本件執行費用及び弁護士費用相当額の連帯支払を求める請求に関する部分については,第1審判決を取消し、被上告人の請求をいずれも棄却し、原審における追加請求である本件執行費用及び弁護士費用相当額に対する遅延損害金の連帯支払を求める請求に関する部分については、被上告人の請求をいずれも棄却した事例(補足意見がある)。
2020.04.21
賃金請求事件
LEX/DB25570841/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月30日 判決 (差戻上告審)/平成30年(受)第908号
被上告人に雇用され、タクシー乗務員として勤務していた上告人らが、歩合給の計算に当たり売上高(揚高)等の一定割合に相当する金額から残業手当等に相当する金額を控除する旨を定める被上告人の賃金規則上の定めが無効であり、被上告人は、控除された残業手当等に相当する金額の賃金の支払義務を負うなどと主張して、被上告人に対し、未払賃金等の支払を求めた事案の第2次上告審において、割増金及び歩合給を求めるための対象額から控除された割増金は、割増賃金に当たらず、通常の労働時間の賃金に当たるものとして、労働基準法37条等に定められた方法により上告人らに支払われるべき割増賃金の額を算定すべきであるとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして原判決を破棄し、被上告人が上告人らに対して支払うべき未払賃金の額等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2020.04.21
仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25565004/大阪高等裁判所 令和 2年 3月 4日 決定 (抗告審)/令和2年(ラ)第80号
抗告人(債権者)が、相手方(債務者)の管理・運営するウェブサイト上に投稿された記事により債権者の人格権(名誉権)が侵害されていると主張して、相手方に対し、人格権(名誉権)に基づき、上記記事の削除を求める仮処分命令申立てをしたところ、原審は、本件記事の削除請求を基礎付ける被保全権利の存在について疎明があるとはいえないとしたため、抗告人が即時抗告した事案において、本件仮処分命令申立てを却下した原決定は相当であるとし、本件抗告を棄却した事例。
2020.04.14
文書提出命令に対する許可抗告事件
LEX/DB25570835/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 決定 (許可抗告審)/令和1年(許)第12号
本件の本案訴訟(相手方が、JR北海道の開設する病院の看護師の過失により相手方の父であるAが転倒して頭部を床面に強打したために死亡したなどと主張して、同社に対し、使用者責任に基づく損害賠償を求めたもの)で、本件は、相手方が、上記の転倒によりAが死亡したこと等を立証するために必要であるとして、Aの死体について司法警察職員から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定のために必要な処分として裁判官の許可を受けてした解剖に関して作成した鑑定書等及び上記解剖に関して上記の者が受領した鑑定嘱託書その他外部の関係先から受領した資料並びにこれらの写し(電磁的記録媒体に記録される形式で保管されているものを含む。)であって抗告人が所持するもの(本件文書等)について、抗告人に民事訴訟法220条2号又は4号に基づく提出義務があると主張して、文書提出命令の申立てをし、原審は本件文書等について抗告人に民事訴訟法220条4号に基づく提出義務があるとし、本件文書等の提出を命じたため、抗告人が抗告した事案で、検察官、検察事務官又は司法警察職員から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定に関して作成し若しくは受領した文書等又はその写しは、刑事事件関係書類に該当すると解するのが相当であるとし、以上と異なる原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、本件文書等について民訴法220条2号に基づく提出義務の存否を審理させるため、本件を原審に差し戻すこととした事例(補足意見がある)。
2020.04.14
文書提出命令等に対する許可抗告事件
LEX/DB25570834/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 決定 (許可抗告審)/令和1年(許)第11号
相手方が、本案訴訟(JR北海道の開設する病院の看護師の過失により相手方の父であるAが転倒して頭部を床面に強打したために死亡したなどと主張して、同社に対し、使用者責任に基づく損害賠償を求めた訴訟)で、転倒によりAが死亡したこと等を立証するために必要であるとして、Aの死体について地方公共団体である抗告人に所属する司法警察職員から鑑定の嘱託を受けた者が当該鑑定のために必要な処分として裁判官の許可を受けてした当該死体の解剖の写真に係る情報が記録された電磁的記録媒体であって抗告人が所持するもの(本件準文書)について、民事訴訟法220条3号所定の「挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき」に該当するなどと主張して、文書提出命令の申立てをした事案の抗告審で、本件準文書は、抗告人と相手方との間において、法律関係文書に該当するとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認することができるとして、本件抗告を棄却した事例。
2020.04.14
損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件
LEX/DB25565089/東京地方裁判所 令和 2年 2月13日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第40038号等
パチスロ機及びパチンコ機並びにその周辺機器の開発、製造、販売等を行い、東京証券取引所ジャスダック市場に上場している原告が、海外事業統括の業務を委嘱された取締役であり、かつ、海外子会社の代表者であった被告に対し、これらの役職に在任していた当時、被告が、〔1〕被告及び被告の親族の資産管理会社であり、原告の親会社でもある香港法人の第三者に対する貸金債権を回収する目的等で、原告の海外子会社の代表者として、当該第三者が関与する会社に対して1億3500万香港ドルを貸し付けた行為、〔2〕自己の個人的な利益を図る目的で、原告の海外子会社の代表者として、受取人白地の1600万香港ドルの小切手を振り出した行為、〔3〕上記資産管理会社が金融機関から借入れを行う際に、原告の海外孫会社の取締役に指示をし、当該会社の預金を担保に供させた上で、同資産管理会社が負担すべき利息相当額等を当該会社に支払わせたとして、被告の上記各行為は、原告の取締役としての善管注意義務、忠実義務に反するものであり、原告はその調査のために調査委員会を設置してその費用を支払ったところ、被告の任務懈怠と原告の同費用の支払との間には相当因果関係が認められるとして、会社法423条1項に基づき、同費用相当額の損害金の支払等を求めた事案で、被告の任務懈怠と原告が支払った調査費用との間に相当因果関係を認め、原告の請求を認容した事例。
2020.04.07
地方自治法251条の5に基づく違法な国の関与(裁決)の取消請求事件
LEX/DB25570827/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月26日 判決 (上告審)/令和1年(行ヒ)第367号
沖縄防衛局は、沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の代替施設を同県名護市辺野古沿岸域に設置するための公有水面の埋立てにつき同県知事から公有水面埋立法42条1項の承認(本件埋立承認)を受けていたが、事後に判明した事情等を理由として本件埋立承認が取り消されたことから、これを不服として被上告人に対し行政不服審査法に基づく審査請求をしたところ、被上告人は、本件埋立承認取消しを取り消す旨の裁決をしたことで、上告人が、本件裁決は違法な「国の関与」に当たると主張して、地方自治法251条の5第1項に基づき、被上告人を相手に、本件裁決の取消しを求めた上告審において、本件本件埋立承認取消しについて、これと別異に解すべき理由は見当たらず、本件埋立承認取消しにつき、国の機関である沖縄防衛局がその「固有の資格」において相手方となったものということはできないとし、本件埋立承認取消しは沖縄防衛局が行政不服審査法7条2項にいう「固有の資格」において相手方となった処分とはいえないとした原審の判断は、是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2020.04.07
損害賠償請求事件
LEX/DB25570799/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 判決 (上告審)/平成30年(受)第388号
本件家屋を所有し、その固定資産税及び都市計画税を納付してきた上告人が、本件家屋の建築当初である昭和58年に行われた本件家屋の評価等に誤りがあったことから、その後の各年度において過大な固定資産税等が課されたなどと主張して、被上告人に対し、固定資産税等の過納金及び弁護士費用相当額等の損害賠償を求め、原審が、除斥期間の起算点である「不法行為の時」は、昭和58年の建築当初の評価行為及び価格決定時であり、遅くとも同年6月30日の価格決定時としたため、上告人が上告した事案で、家屋の評価の誤りに基づき、ある年度の固定資産税等の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権の除斥期間は、当該年度の固定資産税等に係る賦課決定がされ所有者に納税通知書が交付された時から進行するものであるとし、本件家屋の新築部分の評価の誤りに基づき本件各年度の固定資産税等の税額が過大に決定されたことを理由とする上告人の被上告人に対する損害賠償請求権については、年度ごとに、当該年度の納税通知書が上告人に交付された時から除斥期間が進行することとなるところ、本件各年度における納税通知書の交付の具体的な時点はいずれも明らかでないが、本件訴訟が提起された平成25年1月27日の時点で20年を経過していなかったものがあると考えられる。よって、これと異なる見解の下に、本件各年度の固定資産税等の過納金及び弁護士費用相当額に係る上告人の損害賠償請求をいずれも棄却すべきものとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決中これに関する部分を破棄し、損害賠償請求権に関し、それぞれ除斥期間が経過したか否か、除斥期間が経過していない場合における当該年度の上告人の損害額等について更に審理を尽くさせるため、平成4年度から同20年度までの各年度の部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2020.04.07
検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出一部不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25570801/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月23日 決定 (特別抗告審)/令和2年(し)第78号
検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出一部不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告をした事案において、本件特別抗告申立書に、申立人の記名のみがあり署名押印がいずれもないから、同申立書による本件抗告の申立ては無効と決定した事例。
2020.03.31
所得税更正処分取消等請求事件
LEX/DB25570798/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月24日 判決 (上告審)/平成30年(行ヒ)第422号
法人に対する株式の譲渡につき、被上告人(控訴人・原告)らが、当該譲渡に係る譲渡所得の収入金額を譲渡代金額と同額として所得税の申告をしたところ、当該代金額が所得税法59条1項2号に定める著しく低い価額の対価に当たるとして、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから、上告人(被控訴人・被告。国)に対し、これらの各処分(更正処分については修正申告又は先行する更正処分の金額を超える部分)の取消しを求め、当該株式の当該譲渡の時における価額が争点となり、原審は、所得税基本通達59-6が定める条件の下に適用される評価通達に定められた評価方法が、取引相場のない株式の譲渡時における客観的交換価値を算定する方法として一般的な合理性を有するものであれば、これによって算定された価額は、原則として所得税法59条1項にいう「その時における価額」として適正なものと認められ、評価通達において定められた評価方法自体は一般的な合理性を有するとした上で、被上告人らの請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、原審は、本件株式の譲受人であるCが評価通達188の(3)の少数株主に該当することを理由として、本件株式につき配当還元方式により算定した額が本件株式譲渡の時における価額であるとしたものであり、この原審の判断には、所得税法59条1項の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、本件株式譲渡の時における本件株式の価額等について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。
2020.03.31
不動産取得税賦課決定処分取消請求事件
LEX/DB25570791/最高裁判所第一小法廷 令和 2年 3月19日 判決 (上告審)/平成31年(行ヒ)第99号
堺市所在の土地を共有していたAが、同土地の共有物分割により他の共有者の持分を取得したところ、大阪府泉北府税事務所長から不動産取得税賦課決定処分を受けたことについて、被上告人(控訴人・原告。Aは原審係属中に死亡し、同人の弟である被上告人が相続により本件訴訟を承継。)が、上記の取得に対しては地方税法73条の7第2号の3の規定により不動産取得税を課することができず、本件処分は違法であると主張して、上告人(被控訴人・被告。大阪府)を相手に、その取消しを求め、原審は、共有物の分割による不動産の取得に係る持分超過部分の有無及び額は、当該不動産に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格によって判断すべきところ、本件処分において評価基準により本件土地1の価格を算定するに当たり、本件各土地を一画地と認定して画地計算法を適用したこと自体は評価基準に適合するとした上で、本件処分の取消請求を認容したため、上告人が上告した事案で、本件処分において、本件各土地を一画地として画地計算法を適用して算出した価格に本件土地1と本件各土地との地積比を乗ずることにより、本件土地1の価格を算定したことは、評価基準の定める評価方法に従ったものということができ、本件処分は、本件取得につき、地方税法73条の21第2項に基づき、評価基準によって本件土地1に係る不動産取得税の課税標準となるべき価格を算定し、これに基づいて持分超過部分に係る課税標準及び税額を算定してされたものであるところ、本件土地1の価格について、評価基準の定める評価方法に従って決定される価格を上回る違法があるとはいえず、その客観的な交換価値としての適正な時価を上回る違法があるというべき事情もうかがわれないとし、以上と異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、本件処分の取消請求を棄却した第1審判決は正当であるとし、被上告人の控訴を棄却した事例。
2020.03.31
投稿動画削除請求事件
LEX/DB25564955/徳島地方裁判所 令和 2年 2月17日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第338号
原告会社及び原告会社の従業員である原告bが、インターネット上の動画投稿サイトに投稿された各投稿動画、動画のタイトル及び動画の紹介記事が原告らの名誉・信用を毀損するものであると主張して、同サイトを運営する被告に対し、人格権に基づき、本件各動画等の削除を求めるとともに、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、本件発信者情報の開示を求めた事案において、本件各動画等は専ら公益を図る目的のものでないことが明らかであり、かつ、被害者が重大にして回復困難な損害を被るおそれがあると認め、原告らの被告に対する本件各動画等の削除請求について認容し、発信者情報開示請求については、ユーザーネームの開示を求める部分を除く範囲の限度で一部認容した事例。
2020.03.24
性別の取扱いの変更申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 6月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570771/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 3月11日 決定 (特別抗告審)/令和1年(ク)第791号
性同一性障害者につき性別の取扱いの変更の審判が認められるための要件として「現に婚姻をしていないこと」を求める性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項2号の規定は、現に婚姻をしている者について性別の取扱いの変更を認めた場合、異性間においてのみ婚姻が認められている現在の婚姻秩序に混乱を生じさせかねない等の配慮に基づくものとして、合理性を欠くものとはいえないから、国会の裁量権の範囲を逸脱するものということはできず、憲法13条、14条1項、24条に違反するものとはいえないとした上で、結婚後に女性への性別適合手術を受け、戸籍上の性別を男性から女性に変えるよう審判を申し立てた抗告人の特別抗告を棄却した事例。
2020.03.24
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ、徳島県青少年健全育成条例違反、東京都青少年の健全な育成に関する条例違反被告事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570757/最高裁判所第三小法廷 令和 2年 3月10日 判決 (上告審)/平成30年(あ)第1757号
平成29年法律第72号により刑法を改正して強制わいせつ罪等を非親告罪とした本法の経過措置として、本法により非親告罪とされた罪であって本法の施行前に犯したものについて、本法の施行の際既に法律上告訴がされることがなくなっているものを除き、本法の施行後は、告訴がなくても公訴を提起することができるとした本法附則2条2項は、憲法39条に違反しないとした事例。
2020.03.24
発信者情報開示仮処分命令申立事件
LEX/DB25564903/東京地方裁判所 令和 2年 2月20日 決定 (第一審)/令和1年(ヨ)第3933号
債権者(医療法人)が、債務者(インターネット上で、地図上に事業者の情報及び事業者に対するいわゆるクチコミ掲載の機能を有するサイトを管理、運営する法人)に対し、債務者の管理、運営するウェブサイトに何者かによる本件各投稿記事により、債権者の名誉権が侵害された旨を主張し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、各情報の仮の開示を求めた事案において、本件各投稿記事のいずれも、名誉権侵害の前提となる社会的評価の低下がないか、仮に社会的評価が低下していたとしても違法性阻却事由の存在を窺わせる事情がないことの疎明がなく、プロバイダ責任制限法4条1項1号の権利侵害の明白性の疎明がないとして、本件申立てを却下した事例。
2020.03.17
損害賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」財産法分野 5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25570748/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 3月 6日 判決 (上告審)/平成31年(受)第6号
不動産所有権移転登記の連件申請で、被上告人(原告・控訴人)が、後件申請の委任を受けた司法書士である上告人(被告・被控訴人)には、前件申請がその申請人となるべき者による申請であるか否かの調査等をしなかった注意義務違反があると主張して、上告人に対し、不法行為に基づき、3億4800万円の損害賠償金及び遅延損害金の支払を求め、原審は、被上告人の請求を、上告人に対し3億2400万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で認容したため、上告人が上告した事案において、上告人にとって委任者以外の第三者に当たる被上告人との関係において、上告人に正当に期待されていた役割の内容や関与の程度等の点について検討することなく、注意喚起を始めとする適切な措置をとるべき義務があったと直ちにいうことは困難であり、まして上告人において更に積極的に調査した上で代金決済の中止等を勧告する等の注意義務を被上告人に対して負っていたということはできないとして、上記の点について十分に審理することなく、直ちに上告人に司法書士としての注意義務違反があるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(意見がある)。
2020.03.17
債務確認請求本訴、求償金請求反訴事件 
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LEX/DB25564902/最高裁判所第二小法廷 令和 2年 2月28日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1429号
本件本訴請求は、被上告人の被用者であった上告人が、被上告人の事業の執行としてトラックを運転中に起こした交通事故に関し、第三者に加えた損害を賠償したことにより被上告人に対する求償権を取得したなどと主張して、被上告人に対し、求償金等の支払を求め、原審は、上告人の本訴請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え、その損害を賠償した場合には、被用者は、損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について、使用者に対して求償することができるものと解すべきであるとしたうえで、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人の本訴請求に関する部分を破棄し、上告人が被上告人に対して求償することができる額について更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻した事例(補足意見がある)。