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2020.12.08
開示禁止処分等請求事件
LEX/DB25571182/最高裁判所第二小法廷 令和 2年11月27日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1900号
被上告人(公認会計士)らは、上告人の設置する品質管理委員会に対し、上場会社監査事務所名簿への登録を申請したところ、本件委員会から上記登録を認めない旨の決定を受けたため、被上告人らが、本件決定が上告人のウェブサイトで開示されると被上告人らの名誉又は信用が毀損されるなどと主張し、上告人に対し、人格権に基づき、上記の開示の差止め等を求め、原審は、上記の開示の差止請求を認容したため、上告人が上告した事案で、被上告人らにつき基準不適合事実に該当する事実があるか否かは、被上告人らが実施した監査手続が、突合を監査対象期間の一部に限定して実施したこと等において、現金等に関する特別な検討を必要とするリスクに個別に対応したものであり、高いリスクの下で十分かつ適切な監査証拠を入手するに足りるものであったといえるか否かの点を検討することなく、被上告人らにつき基準不適合事実に該当する事実があるとはいえないとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例(補足意見がある)。
2020.12.08
損害賠償等請求控訴事件
LEX/DB25567029/東京高等裁判所 令和 2年 1月30日 判決 (控訴審)/平成30年(ネ)第277号
慢性副鼻腔炎の疑いで診療を受けた大学病院の耳鼻咽喉科で、プロラクチノーマを悪性腫瘍である嗅神経芽細胞腫と誤診され、抗がん剤の副作用及び細菌性髄膜炎による脳の病変を残した患者とその妻が医療過誤に基づく損害賠償請求を求め、同病院の主治医に嗅神経芽細胞腫の疑診例をプロラクチノーマと診断した経験があり、また、誤診し易い両症状の鑑別について多くの報告例があるにも関わらず、患者らの請求を棄却した原判決を維持し、本件控訴を棄却した事例。
2020.12.01
選挙無効請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571162/最高裁判所大法廷 令和 2年11月18日 判決 (上告審)/令和2年(行ツ)第78号
令和元年7月21日施行の参議院議員通常選挙(本件選挙)について、東京都選挙区及び神奈川県選挙区の選挙人である上告人らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の事案の上告審において、本件選挙当時、平成30年改正後の本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできないとし、本件定数配分規定が本件選挙当時憲法に違反するに至っていたということはできないとした原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(意見、反対意見がある)。
2020.12.01
選挙無効請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571163/最高裁判所大法廷 令和 2年11月18日 判決 (上告審)/令和2年(行ツ)第28号 等
令和元年7月21日施行の参議院議員通常選挙(本件選挙)について、東京都選挙区ほか40選挙区の選挙人である上告人らが、公職選挙法14条、別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は憲法に違反し無効であるから、これに基づき施行された本件選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟の事案の上告審において、本件選挙当時、平成30年改正後の本件定数配分規定の下での選挙区間における投票価値の不均衡は、違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず、本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできず、本件定数配分規定が本件選挙当時憲法に違反するに至っていたということはできないとした原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(意見、反対意見がある)。
2020.12.01
首都圏建設アスベスト損害賠償神奈川訴訟(第2陣) 控訴事件
LEX/DB25566826/東京高等裁判所 令和 2年 8月28日 判決 (控訴審)/平成29年(ネ)第5058号
本件元建築作業従事者又はその承継人である第一審原告らが、建築現場において石綿粉じんにばく露し、石綿関連疾患(石綿肺、肺がん、中皮腫等)にり患したとして、〔1〕国に対し旧労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法又は建築基準法に基づく規制権限を適時かつ適切に行使しなかったことが違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、また〔2〕第一審被告企業ら43社に対し、安全配慮義務を怠ったなどと主張して、不法行為(民法709条、719条)又は製造物責任(製造物責任法3条、6条、民法719条)に基づき、損害賠償を求めたところ、原審が、国に対する請求を一部認容し、第一審被告企業らに対する請求を一部認容し、その余を棄却したことから、第一審原告らが請求全部の認容を求めて控訴するとともに、うち、死亡した第一審原告ら相続人又は受遺者が承継するとともに、第一審原告の一部が控訴を取り下げた事案で、第一審原告らの控訴に基づき、原判決を変更し、第一審原告らの損害を新たに一部認定する一方、その余を棄却した事例。
2020.11.24
免責条項等使用差止請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25566893/東京高等裁判所 令和 2年11月 5日 判決 (控訴審)/令和2年(ネ)第1093号 等
被控訴人(原告)が、控訴人(被告)は消費者との間でモバゲーに関するサービス提供契約を締結するに当たり、消費者契約法8条1項の不当条項を含む消費者契約の申込み又は承諾の意思表示を現に行い、又は行うおそれがあると主張し、消費契約法12条3項に基づいて、控訴人に対し、消費者との間で本件契約を締結するに際し、原判決別紙契約条項目録記載1及び2の契約条項を含む契約の申込み又は承諾の意思表示を行わないよう求めるとともに、控訴人が同意思表示を行うための事務を行わないことを従業員らに指示するよう求め、原審は、〔1〕原判決別紙契約条項目録記載1の契約条項に係る被控訴人の請求を全部認容し、〔2〕同目録記載2の契約条項に係る被控訴人の請求を全部棄却したところ、控訴人は、上記〔1〕を不服として本件控訴をし、被控訴人は、上記〔2〕を不服として本件附帯控訴をした事案で、原判決別紙契約条項目録記載1の契約条項に係る被控訴人の請求は全部理由があり、同目録記載2の契約条項に係る被控訴人の請求は全部理由がないものと判断し、被控訴人の請求を一部認容し、その余をいずれも棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却した事例。
2020.11.24
株式取得価格決定に対する抗告事件
LEX/DB25566835/東京高等裁判所 令和 2年10月 6日 決定 (抗告審(即時抗告))/令和2年(ラ)第1388号
第1事件において、本件株主総会に先立ってジャスダックに株式を上場していた利害関係参加人による本件株式の取得に反対する旨を利害関係参加人に対し通知し、かつ、本件株主総会において当該取得に反対した株主であった抗告人aが、会社法172条1項に基づき、本件株式のうち同抗告人の保有していた5万5000株につき取得価格(1株当たり173円,予備的に1株当たり144円)の決定の申立てをし、第2事件において、基準日後に本件株式100株を取得したため、本件総会において議決権を行使することができない株主であった抗告人が、会社法172条1項に基づき、本件株式のうち同抗告人の保有していた上記100株につき取得価格(1株当たり30円)の決定の申立てをしたところ、原審は、本件株式の取得価格を1株当たり25円とする本件鑑定を採用することなく、1株当たり28円と決定したことで、これを不服とする抗告人らが本件抗告をそれぞれした事案で、本件株式の取得価格を1株当たり28円とした原決定は不当であるが、利害関係参加人の抗告、附帯抗告がない本件においては、不利益変更禁止の原則の趣旨に鑑み、原決定を抗告人らに不利益に変更することは相当ではないから、本件抗告をいずれも棄却するにとどめることとした事例。
2020.11.17
石炭火力発電所運転差止請求事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和3年1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25566855/仙台地方裁判所 令和 2年10月28日 判決 (第一審)/平成29年(ワ)第1175号
石炭火力発電所の本件発電所周辺に居住する原告らが、本件発電所の運転により、原告らの平穏に日常生活を送る権利(平穏生活権)が侵害されていると主張して、被告に対し、平穏生活権に基づき、本件発電所の運転差止めを求めた事案で、現時点において、本件発電所の運転により排出される大気汚染物質の実測値は、環境基準等をいずれも下回るものであり、本件発電所の周辺地域における大気汚染物質の実測値は、本件発電所の運転前と比較しても通常の変動の範囲内で推移していることが認められるとし、本件発電所の運転により環境を汚染する行為は、環境汚染の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くということはできず、平穏生活権を侵害するものとして違法となると認めることはできないとして、原告らの請求を棄却した事例。
2020.11.17
発信者情報開示等請求事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 令和2年12月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571025/東京地方裁判所 令和 2年 6月26日 判決 (第一審)/平成31年(ワ)第8945号
氏名不詳者が、ツイッター(インターネットを利用してツイートと呼ばれる140字以内のメッセージ等を投稿することができる情報ネットワーク)上で、原告になりすまして、俗悪なユーザー名でアカウントの登録をした上、これを使用して、原告の顔写真を添付して上記アカウント開設に係る投稿をしたことにより、原告の肖像権や名誉感情が侵害されたとして、原告が、上記氏名不詳者(本件発信者)に対する損害賠償請求権の行使のために、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項にいう開示関係役務提供者に当たる被告に対し、同法同条同項に基づき、本件発信者の氏名、シンプルメールトランスファープロトコルが用いられる通信方式(SMTP方式)による電子メールに係る電子メールアドレス及びショートメッセージサービスが用いられる通信方式(SMS方式)による電子メールに係る電子メールアドレスの開示を求めた事案で、本件投稿による原告の肖像権侵害は、社会生活上受忍の限度を優に超えるものというべきであり、本件投稿は不法行為法上違法となることが明らかであるとし、原告の請求のうち、本件情報を投稿した者(本件発信者)に関するSMS方式による電子メールに係る電子メールアドレスの開示を求める点について一部認容した事例。
2020.11.17
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25566814/東京高等裁判所 令和 1年 9月25日 判決 (控訴審)/令和1年(ネ)第2048号
控訴人(原告)は、被控訴人(被告)らが控訴人の取締役又は監査役を務めていた時期に、控訴人の一人株主からその保有する株式を5250万円で取得し、2650万円で売却したことにつき、被控訴人らがその任務を怠ったとして、被控訴人らに対し、会社法423条1項に基づく損害賠償として、連帯して5250万円の支払等を求め、原審は、控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が請求の認容を求めて控訴した事案で、本件株式取得契約及び本件株式売却契約がされた時点において、近い将来に債務超過状態に陥る蓋然性が高かったとはいえないとして、当審における控訴人の主張を採用できないなどとし、控訴人の請求は理由がないから棄却した原判決と同旨であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2020.11.10
保有個人情報不開示決定処分取消請求事件
LEX/DB25566775/大阪地方裁判所 令和 2年 9月11日 判決 (第一審)/令和1年(行ウ)第159号
大阪刑務所収容中の原告が、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律13条に基づき、保有個人情報の開示を請求したところ、大阪矯正管区長から、本件情報は同法45条1項により開示請求等の規定の適用が除外されている情報に該当するとして、その全部を開示しない旨の決定を受けたことから、本件決定は同項の解釈を誤ったものである、又は、憲法によって保障されている被収容者が自己の医療情報を知る権利等を侵害するため違憲であるなどと主張して、本件決定の取消しを求めた事案で、受刑者に対して講じられた医療上の措置に係る個人情報で刑事施設が保有するものについては、同法45条1項の「刑事事件に係る裁判に係る保有個人情報」及び「刑の執行に係る保有個人情報」に該当すると解するのが相当であり、また、憲法13条が行政機関の保有する個人情報の開示請求権を具体的権利として保障したものではないなどとして、原告の請求を棄却した事例。
2020.11.10
建物明渡等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」財産法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25566836/大阪高等裁判所 令和 2年 6月19日 判決 (控訴審)/平成31年(ネ)第691号
阪神・淡路大震災の被災地の地方公共団体であり、かつ、公営住宅の事業主体である被控訴人(1審原告。神戸市)が、復旧・復興対策として、住宅・都市整備公団(現在は独立行政法人都市再生機構に承継され、UR都市機構)から期間20年で借り上げた本件居室の入居者(転借人)である控訴人に対し、〔1〕主位的に、本件賃貸借契約の借上期間が満了したとして、公営住宅法32条1項6号及び神戸市営住宅条例50条1項7号に基づき、仮に本件転貸借契約に同法32条1項6号等の適用がないとしても、予備的に、本件賃貸借契約の期間満了による終了によって本件転貸借契約も当然に終了し、又は被控訴人からの正当事由のある解約申入れによって本件転貸借契約が終了したとして,本件転貸借契約の終了に基づき、本件居室の明渡しを求め、〔2〕本件居室のUR都市機構からの借上期間満了日の翌日である平成28年1月31日から平成30年3月31日までは1箇月10万2290円の割合(合計266万2839円)、同年4月1日から本件居室の明渡済みまでは1箇月10万1700円の割合による各賃料及び共益費(賃料等)相当損害金の支払を求めたところ、原審は、被控訴人の主位的請求としての明渡請求(上記〔1〕)及び同附帯請求(同〔2〕)を認容したため、これを不服とする控訴人が控訴した事案において、本件転貸借契約には新法(公営住宅法32条1項6号)が適用され、また公営住宅法25条2項所定の通知は、同法32条1項6号に基づく明渡請求の要件とはいえないなどとして、被控訴人の主位的請求を認容した原判決は相当であるとし、本件控訴を棄却した事例。
2020.11.04
選挙無効請求事件
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和3年1月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571131/最高裁判所第二小法廷 令和 2年10月23日 判決 (上告審)/令和2年(行ツ)第79号
公職選挙法の一部を改正する法律(平成30年法律第75号)による改正後の公職選挙法の規定が憲法に違反して無効であるから、これに依拠して令和元年7月21日に施行された参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の本件選挙は無効であるとして提起された選挙無効訴訟で、原審は、憲法の規定に違反するとはいえないとして請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件改正後の参議院(比例代表選出)議員の選挙に関する公職選挙法の規定は憲法43条1項等の憲法の規定に違反するものではなく、このことは、最高裁平成11年(行ツ)第8号同年11月10日大法廷判決・民集53巻8号1577頁及び最高裁平成15年(行ツ)第15号同16年1月14日大法廷判決・民集58巻1号1頁の判示するところであるか、又はその趣旨に徴して明らかであるとし、また、参議院議員通常選挙のうち比例代表選出議員の選挙の無効を求める訴訟において選挙区選出議員の選挙の仕組みの憲法適合性を問題とすることができないことは、前掲平成11年大法廷判決の趣旨に徴して明らかであるとし、これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(意見がある)。
2020.11.04
地位確認等請求事件
LEX/DB25571115/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/令和1年(受)第794号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して勤務し、又は勤務していた時給制契約社員又は月給制契約社員である第1審原告らが、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と第1審原告らとの間で、年末年始勤務手当、祝日給、扶養手当、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償を求め、原審は、郵便事業株式会社及び第1審被告との間で更新された有期労働契約の契約期間を通算した期間が5年を超えていた時期における第1審原告らの年末年始勤務手当及び年始期間の勤務に対する祝日給に係る損害賠償請求の一部を認容すべきものとする一方、第1審原告X1について,通算雇用期間が5年を超えていなかった平成27年4月30日以前の年末年始勤務手当及び同日以前の年始期間の勤務に対する祝日給に係る損害賠償請求を棄却したため、双方が上告した事案において、郵便の業務を担当する正社員に対して扶養手当を支給する一方で、本件契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は,労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であるとし、また、第1審被告における夏期冬期休暇は、有給休暇として所定の期間内に所定の日数を取得することができるものであるところ、本件契約社員である第1審原告らは、夏期冬期休暇を与えられなかったことにより、当該所定の日数につき、本来する必要のなかった勤務をせざるを得なかったものといえるから、上記勤務をしたことによる財産的損害を受けたものということができるとし、原判決中、第1審原告X1の平成27年4月30日以前における年末年始勤務手当及び同日以前における年始期間の勤務に対する祝日給に係る損害賠償請求に関する部分並びに第1審原告X2及び第1審原告X3の扶養手当に係る損害賠償請求に関する部分を破棄し、損害額等について更に審理を尽くさせるため、これらの部分につき本件を原審に差し戻すとともに、第1審被告の上告並びに第1審原告X1、第1審原告X2及び第1審原告X3のその余の上告を棄却した事例。
2020.11.04
地位確認等請求事件
LEX/DB25571116/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/令和1年(受)第777号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して勤務している時給制契約社員である第1審原告らが、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と第1審原告らとの間で、年末年始勤務手当、病気休暇、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償を求めるなどの請求をし、原審は、第1審原告らの労働契約上の地位確認請求及び主位的請求はいずれも理由がないとして第1審の判断を維持したうえで、予備的請求につき、第1審の支払額を増加した内容で変更したため、双方が上告した事案において、私傷病による病気休暇として、郵便の業務を担当する正社員に対して有給休暇を与えるものとする一方で、同業務を担当する時給制契約社員に対して無給の休暇のみを与えるものとするという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であり、原審の判断は正当として是認することができるとし、また、郵便の業務を担当する時給制契約社員である第1審原告らについて、無給の休暇を取得したなどの事実の主張立証がないとして、夏期冬期休暇を与えられないことによる損害が生じたとはいえないとした原審の判断には、不法行為に関する法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決のうち第1審原告らの夏期冬期休暇に係る損害賠償請求に関する部分を破棄し、損害額について更に審理を尽くさせるため、同部分につき本件を原審に差し戻すとともに、第1審被告の上告及び第1審原告らのその余の上告を棄却した事例。
2020.10.27
未払時間外手当金等請求事件
LEX/DB25571114/最高裁判所第一小法廷 令和 2年10月15日 判決 (上告審)/平成30年(受)第1519号
上告人(1審被告)と有期労働契約を締結して勤務した時給制契約社員である被上告人(1審原告)が、無期労働契約を締結している労働者(正社員)と被上告人との間で、夏期休暇及び冬期休暇等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったと主張して、上告人に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る損害賠償等を求めた上告審において、郵便の業務を担当する正社員に対して夏期冬期休暇を与える一方で、郵便の業務を担当する時給制契約社員に対して夏期冬期休暇を与えないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たると解するのが相当であるとし、これと同旨の原審の判断は、いずれも正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2020.10.27
地位確認等請求事件
LEX/DB25571110/最高裁判所第三小法廷 令和 2年10月13日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1055号 等
第1審被告(医科薬科大学)と有期労働契約を締結して勤務していた第1審原告が、無期労働契約を締結している正職員と第1審原告との間で、賞与、業務外の疾病(私傷病)による欠勤中の賃金等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったとして、第1審被告に対し、不法行為に基づき、上記相違に係る賃金に相当する額等の損害賠償を求め、原審は、第1審原告の賞与及び私傷病による欠勤中の賃金に係る損害賠償請求を一部認容、一部棄却したため、双方が上告した事案において、本件大学の教室事務員である正職員に対して私傷病による欠勤中の賃金を支給する一方で、アルバイト職員である第1審原告に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当であるとした事例。
2020.10.27
損害賠償等請求事件
「新・判例解説Watch」労働法分野 令和3年1月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25571111/最高裁判所第三小法廷 令和 2年10月13日 判決 (上告審)/令和1年(受)第1190号 等
第1審被告と有期労働契約を締結して東京メトロの駅構内の売店における販売業務に従事していた第1審原告らが、第1審被告と無期労働契約を締結している労働者のうち上記業務に従事している者と第1審原告らとの間で、退職金等に相違があったことは労働契約法20条(平成30年法律第71号による改正前のもの)に違反するものであったなどと主張して、第1審被告に対し、不法行為等に基づき、上記相違に係る退職金に相当する額等の損害賠償等を求め、原審は、第1審原告らの退職金に係る不法行為に基づく損害賠償請求をいずれも一部認容、一部棄却したため、双方が上告した事案において、売店業務に従事する正社員に対して退職金を支給する一方で、契約社員Bである第1審原告らに対してこれを支給しないという労働条件の相違は、労働契約法20条にいう不合理と認められるものに当たらないと解するのが相当であるとした事例(反対意見、補足意見がある)。
2020.10.20
損害賠償請求事件
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LEX/DB25571104/最高裁判所第二小法廷 令和 2年10月 9日 判決 (上告審)/令和1年(受)第877号 等
家庭裁判所調査官であった上告人Y1は、被上告人に対する少年保護事件を題材とした論文を精神医学関係者向けの雑誌及び書籍に掲載して公表したことで、被上告人が、この公表等によりプライバシーを侵害されたなどと主張して、上告人Y1、上記雑誌の出版社である上告人A社及び上記書籍の出版社である上告人K出版に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めたところ、原審は、被上告人の上告人らに対する本件各公表に係る損害賠償請求を一部認容したため、上告人Y1が上告した事案で、本件各公表が被上告人のプライバシーを侵害したものとして不法行為法上違法であるということはできないと判示し、本件各公表が違法であることを理由とする被上告人の上告人らに対する損害賠償請求は、いずれも理由がなく、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、被上告人の上告人らに対する共同不法行為に基づく損害賠償請求を認容した部分は破棄し、被上告人の上告人らに対する上記損害賠償請求をいずれも棄却した第1審判決は正当であるとし、上記破棄部分につき、被上告人の控訴を棄却した事例(意見がある)。
2020.10.20
国家賠償請求事件
LEX/DB25571105/最高裁判所第二小法廷 令和 2年10月 9日 判決 (上告審)/平成30年(受)第2032号
家庭裁判所調査官であったAは、被上告人に対する少年保護事件を題材とした論文を公表したことで、被上告人が、Aの所属する裁判所の職員が上記論文の公表を制止すべき義務を怠ったこと等により、名誉を毀損され、プライバシーを侵害されたなどと主張して、上告人(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めたところ、原審は、被上告人の上告人に対する損害賠償請求を一部認容したため、上告人が上告した事案で、首席調査官を含む家庭裁判所職員において、本件執筆届の決裁に際し、Aに対し、本件論文の内容を修正させ、又はその公表を差し控えさせる注意義務があったということはできないと判示し、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人敗訴部分は破棄し、被上告人のその余の主張を考慮しても、被上告人の請求には理由がなく、これを棄却した1審判決は正当であるとし、被上告人の控訴を棄却した事例(補足意見、意見がある)。