2021.11.09
地位確認等請求事件
LEX/DB25590928/岐阜地方裁判所 令和 3年10月 1日 判決 (第一審)/平成30年(ワ)第9号
警備業者に警備員として雇用されていたが、自ら保佐開始の審判を申し立て、家庭裁判所から保佐開始の審判を受けたことに伴い、雇用契約終了の通知を受けて退職した原告が、被告(国)に対し、当時、警備業法は、被保佐人であることを警備員の欠格事由の一つとして定めていた本件規定(令和元年法律第37号による改正前の警備業法14条、3条1号)は憲法22条1項等に反し違憲であり、国会が本件規定を制定し、あるいは上記原告の退職時点まで改廃せず存置し続けたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとして、同項所定の損害賠償請求権に基づき、慰謝料100万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案で、本件規定は、警備業務を適正に実施するに足りる能力を備えた者のうち、被保佐人(準禁治産者)である者のみを区別して警備員から排除する規定であるところ、昭和57年改正当時からかかる区別をすることの合理性は認められない状態であったというべきであるから、本件規定は、その前身となる規定が新設された昭和57年改正時点において憲法14条1項にも反する状態であったとし、また、本件規定が被保佐人の職業選択の自由を合理的な理由なく制約していることが国会にとっても明白であったと認められる平成22年7月頃から遅くとも本件退職時点までに本件規定を改廃しなかった国会の立法不作為は国賠法1条1項の適用上違法であるとして、原告の請求を一部認容した事例。