2013.12.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25502307/大阪地方裁判所 平成25年9月11日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第6299号
被告が経営する被告病院で出生した原告Aが重度の後遺障害を負ったのは、被告病院の医師においてカンガルーケアについての説明義務を怠り、カンガルーケアを行うに当たり安全性を確保する措置を講じなかったか、窒息を防止すべき注意義務に違反するなどしたことが原因であるなどと主張して、被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償金の支払を求めるとともに、原告Aの両親である原告B及び原告Cが精神的苦痛を被ったと主張して、債務不履行又は不法行為に基づき、それぞれ損害賠償金の支払を求めた事案において、原告Aに発症した低酸素脳症がカンガルーケアの実施に伴う危険性が発現したものではなく、他の原因によるものであったというのであれば、カンガルーケアに危険性があるということから導かれる義務に違反することがあったとしても、そのことと他の原因により生じた低酸素脳症の発症という事実との間に、法的な意味での関連性があるとはいえないとし、また、母児同室下における授乳に当たり、当該母に授乳の際に鼻腔を閉塞しないようにすべきことを理解する能力がないなどの特段の事情のない限り、被告病院ないしその医療関係者に、授乳の際における児の鼻腔の閉塞による窒息を防止すべき法的義務があるとまではいえないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。