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2014.01.06
住居侵入、強盗強姦未遂、強盗致傷、強盗強姦、監禁、窃盗、窃盗未遂、強盗殺人、建造物侵入、現住建造物等放火、死体損壊被告事件
LEX/DB25502257/東京高等裁判所 平成25年10月8日 判決 (控訴審)/平成23年(う)第1947号
被告人が、約2か月の間に、強盗殺人や現住建造物等放火の各犯行に加え、強盗致傷や強盗強姦、同未遂等の各犯行を次々と敢行したという事案の控訴審において、本件においては、死刑を選択することが真にやむを得ないものとはいえないとし、原判断は、裁判員と裁判官が評議において議論を尽くした結果であるが、無期懲役刑と死刑という質的に異なる刑の選択に誤りがあると判断できる以上、破棄は免れないとして、原判決(死刑判決)を破棄し、被告人を無期懲役に処した事例。
2014.01.06
殺人、死体遺棄被告事件
LEX/DB25502259/大阪地方裁判所 平成25年10月8日 判決 (第一審)/平成23年(わ)第2828号
被告人は、共犯者らと共謀の上、保険金を取得する目的で、被害者(当時36歳)を殺害し、その死体を遺棄したとして、殺人、死体遺棄により起訴された事案において、被告人に対し、被告人は、殺人及び死体遺棄の共謀の成立を否定するが、共謀に関する共犯者の供述は信用できるなどとして共謀の成立を認めた上、犯行態様は計画的で悪質であること、被告人は首謀者に準じる立場にあったこと、遺族が厳しい処罰感情を述べていること、被告人に反省の態度は見られないことなどを考慮し、被告人に対し、懲役23年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2014.01.06
損害賠償請求事件
LEX/DB25502313/青森地方裁判所 平成25年10月4日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第98号
原告らが、被告(青森県)の設置・管理する県立高校に通っていた原告らの子は、同高校の教員でラグビー部の顧問であった教諭から違法な指導を受け、また、同部でいじめにあっていたところ、同顧問教諭、クラス担任及び校長がいじめを放置するなどして安全配慮義務に違反し、その結果、子が自殺に至ったと主張し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を請求した事案において、顧問教諭が違法な指導を行ったということはできないし、同教諭らの安全配慮義務違反も認められないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2014.01.06
金融商品取引法違反被告事件
LEX/DB25446020/横浜地方裁判所 平成25年9月30日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第1250号等
本件犯行当時証券会社の執行役員の地位にあった被告人が、職務上、保秘性が極めて高いインサイダー情報を取り扱う立場にありながら、その特別な地位を利用し、その立場上知り得た本件3銘柄のインサイダー情報を友人Bに伝達するなどして、同人をしてインサイダー取引を行なわせたという事案で、本件認定事実によれば、被告人とBとの間で共同正犯の成立は認められないが、一般投資家の信頼保護の見地からインサイダー取引の規制の徹底を図ったという金融商品取引法167条3項の趣旨からすれば、公開買付者等関係者が自己の犯罪を犯したといえる程度に、第一次情報受領者によるインサイダー取引に重要な役割を果たした場合に至らなくても、公開買付者等関係者が第一次情報受領者によるインサイダー取引の犯行を決意させたり、あるいはその犯行を容易にした場合には、証券市場の公正性と健全性を損なうことになり得るという意味においては、同項の教唆犯又は幇助犯として処罰する実質的な理由があり、その教唆又は幇助の手段が、重要事実の伝達の方法によるか、それ以外の方法によるかによって、区別すべき理由はないというべきであるとして、被告人の行為につき同項の教唆犯の成立を認めた事例。
2014.01.06
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25446076/名古屋高等裁判所 平成25年9月25日 判決 (控訴審)/平成21年(ネ)第342号
平成14年7月の集中豪雨により揖斐川支川の大谷川が増水して岐阜県大垣市の通称「荒崎地区」に水害が発生したことについて、同地区の住民等である控訴人らが、国家賠償法2条1項に基づき損害賠償を求めた事案の控訴審において、改修計画に基づいて現に改修中の河川であり、その改修計画が格別不合理なものであるとは認められず、また、その後の事情の変動により未改修部分につき水害発生の危険が特に顕著となり、早期の改修工事を施行しなければならないと認めるべき特段の事由はないから、本件洗堰の改修がいまだ行われていなかったことをもって、同洗堰及びこれを有する大谷川の河川管理に瑕疵があるとはいえず、また、上記水害発生までの間に浸水対策を講じなかったことが河川管理の瑕疵に該当するともいえないとして、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2014.01.06
公金支出返還(住民訴訟)請求事件
LEX/DB25502258/東京地方裁判所 平成25年9月11日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第281号
東京都の住民である原告らが、東京都が築地市場の移転予定地の一部として江東区豊洲所在の東京ガスの工場跡地である土地の買入れをするに当たり、前東京都知事ほか職員5名が、各土地には重大な汚染が残存していることを十分に知り得たにもかかわらず、これを看過して、汚染がないことを前提とする不当に高い価格での各土地の買入れに関する契約の締結等の財務会計上の行為をして東京都に損害を被らせたとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、現知事である被告に対し、前知事らに損害賠償を請求することを求めた事案において、本件訴えは、適法な監査請求を経たものとはいえないから、不適法であるとして、訴えを却下した事例。
2014.01.06
公金違法支出損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25446031/東京高等裁判所 平成25年5月30日 判決 (差戻控訴審)/平成24年(行コ)第184号
A町とB町との合併により設置されたC市の住民である被控訴人が、A町が浄水場用地として土地を購入したことにつき、同土地を取得する必要性はなくその代金額も適正価格よりも著しく高額であるとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、控訴人に対し、上記売買契約の締結当時のA町町長であった控訴人補助参加人Bに対して不法行為に基づく損害倍請求をする求めた事案の控訴審において、原判決後になされた、C市のBに対する損害賠償請求権を放棄する旨の本件議決は有効であり、これに基づく控訴人の執行手続を経たことにより、C市のBに対する損害賠償請求権は消滅したというべきであるとして、原判決中、控訴人敗訴部分を取り消し、取消に係る被控訴人の請求を棄却した事例。
2013.12.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25446077/最高裁判所第三小法廷 平成25年12月10日 判決 (上告審)/平成24年(受)第1311号
拘置所に収容されている死刑確定者及びその再審請求のために選任された再審請求弁護人である被上告人らが、拘置所の職員の立会いのない面会を許さなかった拘置所長の措置が違法であるとして、上告人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、その被った精神的苦痛について慰謝料等の支払を求めた事案の上告審で、平成20年5月2日、同年7月15日及び同年8月12日における被上告人らの本件各面会において秘密面会を許さなかった広島拘置所長の各措置は、広島拘置所長が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して被上告人らの各利益をいずれも侵害したものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法であり、原審の判断は是認することができるとし、本件上告を棄却した事例。
2013.12.24
戸籍訂正許可申立て却下審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件
LEX/DB25446084/最高裁判所第三小法廷 平成22年12月10日 決定 (許可抗告審)/平成25年(許)第5号
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項の規定に基づき男性への性別の取扱いの変更の審判を受けた抗告人X1及びその後抗告人X1と婚姻をした女性である抗告人X2が、抗告人X2が婚姻中に懐胎して出産した男児であるAの、父の欄を空欄とする等の戸籍の記載につき,戸籍法113条の規定に基づく戸籍の訂正の許可を求めた事案の上告審で、Aについて民法772条の規定に従い嫡出子としての戸籍の届出をすることは認められるべきあり、Aが同条による嫡出の推定を受けないことを理由とする本件戸籍記載は法律上許されないものであって戸籍の訂正を許可すべきであるとし、原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原決定を破棄し、本件戸籍記載の訂正の許可申立ては理由があるから、これを却下した原々審判を取消し、同申立てを認容することとした事例(補足意見及び反対意見あり)。
2013.12.24
損害賠償請求行為等請求事件
LEX/DB25502308/京都地方裁判所 平成25年10月29日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第12号
京都市の住民である原告らが、京都市が、京都市市医70名に対する謝礼として、京都市市医会に対し、謝礼金を支払ったことについて、市医謝礼には、対価性がない、給与条例主義に反するなどの違法があり、これによって京都市が損害又は損失を被ったと主張して、被告に対し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、専決権者に対しては地方自治法243条の2第3項に基づく損害賠償命令を、専決権限なき専決者及び本来的権限者である京都市長に対しては民法709条に基づく損害賠償を請求することを、市医会から会費残金の保管及び必要な残務処理に係る権利義務を承継した市医会残務処理委員会に対しては不当利得の返還を求めた事案において、市医に対する報酬及び費用弁償の額並びにその支給方法は、条例で定めなければならず(地方自治法203条の2第4項)、京都市は、いかなる給与その他の給付も条例に基づかずには支給することができないところ(同法204条の2)、市医謝礼は、条例に基づかないものであるから、本件各専決は、地方自治法203条の2第4項、地方自治法204条の2に違反するとして、原告らの請求を一部認容、一部棄却した事例。
2013.12.24
被爆者健康手帳申請却下処分取消等請求事件
LEX/DB25502297/長崎地方裁判所 平成25年10月29日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第18号
長崎市に投下された原子爆弾に被爆したと主張するA及び原告Bが、被爆者援護法(原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律)に基づき、処分行政庁(長崎市長)に対し、それぞれ被爆者健康手帳の交付申請をしたところ、処分行政庁が、上記申請をそれぞれ却下したことにつき、原告A相続人及び原告Bが、当該却下処分の取消しを求めるとともに、処分行政庁に対し、A及び原告Bに対する被爆者健康手帳の交付の義務付けを求め、さらに、被告に対し、Aらは違法な当該却下処分により上記法律の定める援護を受けることができず精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ損害賠償金の支払を求めた事案において、被爆者健康手帳の交付を受けることにより取得する法的地位(被爆者援護法上の被爆者として同法所定の援護を受けることができる法的地位)は、被爆者の保健、医療及び福祉を図るために当該被爆者に与えられた一身専属的なものであって、他にこれを譲渡することはできず(被爆者援護法44条)、相続の対象ともならないとした上で、被爆者健康手帳交付申請却下処分取消請求及び被爆者健康手帳交付義務付け請求のうちそれぞれAの請求に係る訴訟について、原告A相続人が、Aの上記訴訟における原告の地位を承継することを認めることはできず、上記訴訟は、Aの死亡により終了したとし、また、原告Bにつき被爆者援護法1条1号に該当すると認めることはできないから、原告Bの被爆者健康手帳の交付申請を却下した本件却下処分に、違法はないとした事例。
2013.12.24
強盗殺人被告事件
LEX/DB25502296/京都地方裁判所 平成25年10月28日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第90号
被告人は、貴金属買取業者の営業員として働いていたが、以前に指輪の買取りをしたことがある被害者から、脅して無理矢理にでも指輪を取る目的で、被害者方を訪問し、玄関先で被害者(当時68歳)に「貴金属くれ。」と言ったところ、被害者が外に逃げ出す素振りを見せたことから、訪問の目的を達成するため、とっさに左手で被害者の首を強く押さえて、その場に押しとどめ、中に入って右手で玄関扉を閉めた後、被告人が首から左手を離すと被害者はその場に仰向けに倒れたが、それを見た被告人は、さらに、殺意をもって、被害者の首を手や肌着で絞め付け、被害者を窒息により死亡させて殺害した上、被害者の所有する指輪5点を強奪したとして、被告人を無期懲役に処した事例(裁判員裁判)。
2013.12.24
 
LEX/DB25502305/大阪地方裁判所 平成25年10月28日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第3561号
現職の警察官であった被告人が、捜査中の事件に係る証拠品を偽造したという事案において、被告人は、知人の警察官に情を秘して真正な本件証拠品と同種の注射器を指定して調達させたり、注射器の指紋を拭き取って封筒に収納するなど、容易に露見することのないよう巧妙に本件犯行を行っており、その態様は悪質であるとする一方、本件証拠品を紛失したのは被告人ではない上、被告人も、当初は本件証拠品が見当たらないことを管理責任者らに報告して適切な処理を求めていたのであり、このような経緯に鑑みると、本件犯行は、管理責任者らによる無責任な対応に象徴されるような、組織全体としての証拠品のずさんな管理体制に誘発された側面もあるとして、被告人を懲役4月(執行猶予2年)に処した事例。
2013.12.24
損害賠償請求事件(第1162号)、賃料等請求反訴事件(第21号)
LEX/DB25502295/神戸地方裁判所尼崎支部 平成25年10月28日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1162号等
原告が、建物に係る賃貸借契約締結の際、弁護士である被告から同建物内で居住者が自殺した事実を告げられずに契約したことにより、礼金、引越費用等の負担や精神的苦痛等の損害を被ったと主張して、原告が被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償を求め(本訴請求)、被告が原告に対し、原告が平成24年10月分以降の賃料を支払わないと主張して、主位的に賃料請求、予備的に不当利得の返還を求めた(反訴請求)事案において、本件建物には、賃貸借契約の締結を避けることがやむを得ない心理的な瑕疵があり、賃貸人には、信義則上、これを告知すべき義務があるというべきであるから、被告において、原告に対し、故意又は過失によって本件建物に心理的瑕疵があることの説明をしなかった場合には、被告は、原告に対し、本件賃貸借契約の締結によって被った損害を賠償する責任を負うとして、原告の本訴請求を一部認容、一部棄却し、被告の反訴請求を棄却した事例。
2013.12.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25502306/大阪地方裁判所 平成25年10月17日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第9822号
死刑確定者として大阪拘置所に収容されている原告が、京都弁護士会所属の弁護士に対して再審請求事件(和歌山カレー事件)の弁護人への就任等を依頼する旨の手紙につき、発信願の申出をしたところ、これを不許可とされたことから、当該不許可処分によって再審弁護人の選任権を侵害されるとともに肉体的・精神的苦痛を受けたとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案において、大阪拘置所長がした本件不許可処分は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条1項2号に違反するものであり、大阪拘置所長の職務上の法的義務に違背するものとして国家賠償法上違法なものというべきであるとして、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2013.12.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25502307/大阪地方裁判所 平成25年9月11日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第6299号
被告が経営する被告病院で出生した原告Aが重度の後遺障害を負ったのは、被告病院の医師においてカンガルーケアについての説明義務を怠り、カンガルーケアを行うに当たり安全性を確保する措置を講じなかったか、窒息を防止すべき注意義務に違反するなどしたことが原因であるなどと主張して、被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償金の支払を求めるとともに、原告Aの両親である原告B及び原告Cが精神的苦痛を被ったと主張して、債務不履行又は不法行為に基づき、それぞれ損害賠償金の支払を求めた事案において、原告Aに発症した低酸素脳症がカンガルーケアの実施に伴う危険性が発現したものではなく、他の原因によるものであったというのであれば、カンガルーケアに危険性があるということから導かれる義務に違反することがあったとしても、そのことと他の原因により生じた低酸素脳症の発症という事実との間に、法的な意味での関連性があるとはいえないとし、また、母児同室下における授乳に当たり、当該母に授乳の際に鼻腔を閉塞しないようにすべきことを理解する能力がないなどの特段の事情のない限り、被告病院ないしその医療関係者に、授乳の際における児の鼻腔の閉塞による窒息を防止すべき法的義務があるとまではいえないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2013.12.24
住居侵入、強盗致傷、銃砲刀剣類所持等取締法違反、わいせつ略取、強制わいせつ、強制わいせつ未遂被告事件
LEX/DB25502298/宇都宮地方裁判所 平成25年8月30日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第661号等
判示第3の各犯行は、刃物を購入し、犯行現場を数回下見して事前に帰宅時間等を確認するなど周到な準備をした上で、被害者に刃物を突き付けるなどして連れ回し、判示のとおりのわいせつ行為に及び、さらに、自宅には成人男性がいないことを同女に確認して同女宅に押し入り、判示のとおり同女に刃物を突き付け、その母親に暴行、脅迫を加えて強盗に及んだものであり、計画的で危険かつ卑劣な態様であるとし、また、判示第1ないし第3の1は、約1か月の間に3度にわたり、自分より体格や腕力が劣る女児を標的として、「殺す」などといった強烈な文言で脅迫した上で行った強制わいせつ、同未遂の事案であり、少年時にも女児に対する同様のわいせつ行為を繰り返していたという経緯に照らせば、被告人にはこの種の犯行の常習性が認められ、態様は悪質であるとして、被告人を懲役9年に処した事例。
2013.12.24
損害賠償等請求事件
LEX/DB25502159/神戸地方裁判所 平成25年7月4日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第2572号
歩行者である原告Aと被告の子であるFが運転する足踏み式自転車とが衝突した事故について、原告Aが損害を被ったとして、Fの唯一の親権者である被告に対し、監督者責任に基づく人的損害賠償金等の支払を求め、損害保険会社である原告保険会社が、原告Aの人的損害に係る人身傷害補償保険金を支払ったことにより、原告Aの被告に対する損害賠償請求権を代位取得したとして、同人に対し、求償金等の支払を求めた事案において、本件事故は、Fが自転車運転者としての基本的注意義務を尽くさなかったことにより発生したとし、そして、Fは、本件事故当時11歳の小学生であったから、未だ責任能力がなかったといえ、本件事故により原告Aに生じた損害については、Fの唯一の親権者で、Fと同居してその監護に当たり、監督義務を負っていた被告が、民法714条1項により賠償責任を負うものといえるとして、原告らの請求をそれぞれ一部認容した事例。
2013.12.24
未払賃金等請求事件(帝産キャブ奈良事件)
LEX/DB25502181/奈良地方裁判所 平成25年3月26日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第825号
原告ら乗務員が、タクシー事業を営む被告に雇用されてタクシー乗務員として勤務していたが、本件請求期間の勤務に対して被告から支払われた賃金が最低賃金を下回っており、さらに原告の一部については割増賃金の一部に未払がある等主張して、被告に対し、雇用契約に基づく賃金請求として、未払賃金等の支払を求めた等の事案において、被告が第1次精算を行ったことをもって、被告において、平成21年10月20日以前の勤務に係る、第1次精算により支払われる金員以外の原告ら乗務員の未払賃金債権につき承認したと認めることはできず、時効の中断ないし時効援用権の喪失があったと認めることはできないとし、そして、被告による時効の援用が権利濫用に当たると認めるに足りる事情もないから、同日以前に支払期の到来した平成21年9月度分以前の勤務に係る請求権については、時効により消滅したと示しつつ、原告らの請求を一部認容した事例。
2013.12.16
共有物分割等請求事件
LEX/DB25446054/最高裁判所第二小法廷 平成22年11月29日 判決 (上告審)/平成22年(受)第2355号
被上告人らが、上告人らに対し、被上告人らと上告人らとの共有に属する土地の共有物分割を求めた事案の上告審において、共有物について、遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合、共有者(遺産共有持分権者を含む。)が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり、共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり、この財産の共有関係の解消については民法907条に基づく遺産分割によるとした上で、裁判所は、遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ、その者に遺産共有持分の価格を賠償させてその賠償金を遺産分割の対象とする価格賠償の方法による分割の判決をする場合には、遺産共有持分権者に支払われる賠償金は、遺産分割によりその帰属が確定されるべきものであるから、賠償金の支払を受けた遺産共有持分権者は、これをその時点で確定的に取得するものではなく、遺産分割がされるまでの間これを保管する義務を負うところ、その判決において、各遺産共有持分権者において遺産分割がされるまで保管すべき賠償金の範囲を定めた上で、遺産共有持分を取得する者に対し、各遺産共有持分権者にその保管すべき範囲に応じた額の賠償金を支払うことを命ずることができるとして、原判決中共有物分割請求に関する部分についての上告を棄却した事例。