2014.04.15
所得税法違反被告事件
LEX/DB25503053/東京高等裁判所 平成26年1月31日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第842号
平成18年分及び同19年分の過少申告のほ脱の故意について、原判決は、これを認定すべき積極方向の事実が存するとしつつ、その推認力は高いものではないことを示す事情があるとし、また、ほ脱の故意を認定するには消極方向の事実も少なからずあって、検察官の指摘する各事実を総合しても、株式報酬も源泉徴収されていたと思い込んでいた旨の被告人の弁解を排斥することはできず、さらに申告時にその年に受領した給与収入額と自己の申告額との差額を具体的に認識していたとも断定できないとして、結局、被告人に、ほ脱の故意があったと認めるには合理的疑いが残るとした(被告人に対して無罪を言い渡した)が、原判決の認定に論理則、経験則等に照らして不合理な点はなく、事実誤認があるとはいえないとして、検察官の控訴を棄却した事例。