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2014.06.10
建築確認通知処分取消請求事件
LEX/DB25503263/さいたま地方裁判所 平成26年3月19日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第24号
本件建築物の周辺住民である原告らが、被告(処分行政庁)が訴外会社代表取締役に対してした本件建築物の建築計画に関する建築確認処分について、建築基準法56条の2第1項、第3項及び建築基準法施行令135条の12第1項の解釈を誤った違法があると主張して、同処分の取消しを求めた事案において、原告のうち1名については、処分の取消しを求める法律上の利益を有しないとして請求を却下したが、その余の原告らについては原告適格を認め、処分は建築基準関係規定に適合しない建築計画について確認したもので、違法であるとして、請求を認容した事例。
2014.06.10
暴行被告事件
LEX/DB25503384/佐賀地方裁判所 平成26年3月13日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第227号等
介護施設の職員であった被告人が、同施設において、3度にわたり、同施設に入所中のAに対し、スプーンに盛った塩を口に押し込む暴行を加えたという公訴事実につき、第1暴行については、それを目撃したと述べる証人の供述を信用することができず、第2暴行及び第3暴行については、証拠上認定できるその前後の状況等の間接事実を総合考慮しても、公訴事実にある暴行の存在を認めるには合理的な疑いを差し挟む余地があるとして、被告人を無罪とした事例。
2014.06.10
 
LEX/DB25503713/最高裁判所第一小法廷 平成26年3月6日 判決 (上告審)/平成24年(受)第133号
強制わいせつ致傷事件において無罪判決を受けた被上告人(控訴人・原告)が、検察官による公訴の提起は有罪判決を得る合理的な根拠がないにもかかわらずなされた違法なものであるとして、国家賠償を請求したところ、控訴審が請求を一部認容したことから、上告人(被控訴人・被告)国が上告した事案において、被害者及び目撃者の供述に基づき被上告人を犯人であるとした担当検察官の判断が合理性を欠くものということはできないとして、原判決中、上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の控訴を棄却した事例。
2014.06.03
損害賠償請求事件
LEX/DB25446438/最高裁判所第三小法廷 平成26年5月27日 判決 (上告審)/平成24年(オ)第888号
上告人(広島県府中市。被控訴人・被告)の市議会議員であった被上告人(控訴人・原告)が、府中市議会議員政治倫理条例4条3項(平成20年府中市条例第26号)に違反したとして、議員らによる審査請求、市議会による警告等をすべき旨の決議、議長による警告等を受けたため、同条1項及び3項の規定のうち、議員の2親等以内の親族が経営する企業は上告人の工事等の請負契約等を辞退しなければならず、当該議員は当該企業の辞退届を徴して提出するよう努めなければならない旨を定める部分(本件規定)は、議員の議員活動の自由や企業の経済活動の自由を侵害するものであって違憲無効であり、当該条例4条3項違反を理由としてされた上記審査請求等の一連の手続は違法であるなどと主張して、上告人に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めたところ、原審は、本件審査請求等及び上記審査結果の公表が違法であるとしてされた慰謝料等の請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、2親等規制を定める本件規定が違憲無効であるとした原審の判断は、憲法21条1項並びに憲法22条1項及び憲法29条の解釈適用を誤ったものというべきで、原判決中、上告人敗訴の部分は破棄し、被上告人が主張するその他の違法事由の有無等について更に審理を尽くさせるため,上記破棄部分につき本件を原審に差し戻した事例。
2014.06.03
損害賠償請求事件
LEX/DB25503746/佐賀地方裁判所 平成26年4月25日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第285号
被告大学(国立大学法人)の准教授が、原告甲の信仰を軽蔑・侮辱する発言を繰り返し、甲の信仰の自由及び名誉感情を侵害したとして、甲において、被告准教授に対し、不法行為に基づく損害賠償として慰謝料を請求し、また、被告准教授が、甲の両親である原告乙及び原告丙が統一教会の合同結婚式を通じて結婚したことについて、甲に対し、「おかしい結婚」「犬猫の結婚」などと申し向け、乙及び丙の名誉感情を侵害したとして、乙及び丙において、被告大学に対し、主位的には、民法715条1項に基づき損害賠償を請求し、予備的には、国家賠償法1条1項に基づき国家賠償を請求した事案において、原告らの請求を一部認容した事例。
2014.06.03
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25446402/名古屋高等裁判所 平成26年4月24日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第752号
認知症を患った高齢のCが被控訴人(鉄道会社)の駅構内の線路に立ち入り、被控訴人の運行する列車と衝突して死亡した本件事故に関し、被控訴人が、亡Cの妻である控訴人A、子である控訴人B、一審被告D、同E及び同Fらに対し、(1)当該事故当時にCが責任能力を有していなかった場合には、民法709条又は民法714条に基づき、連帯して損害賠償等を求めた(選択的請求1)、(2)当該事故当時において責任能力を有していた場合には、民法709条に基づきCが負担した前記損害賠償金支払義務を控訴人ら及び一審被告らがその相続分に応じて承継したとして、妻である控訴人Aに対して359万円8870万円、子である控訴人B及び一審被告らに対し損害賠償金等を求めた(選択的請求2)、ところ、原審は、当該事故においてCが責任能力を有しなかったと判断した上、控訴人Aに対する請求、控訴人Bに対する請求を全部認容し、一審被告らに対する請求を棄却したため、控訴人らが控訴した事案において、Cと現に同居していた控訴人Aは民法714条の監督義務者に該当するが、控訴人Bは該当しないとした上で、控訴人AがCの監督義務者として賠償責任を負うべき額は、本件事故により被控訴人が被った損害額の5割とするのが相当であるとして、原判決を一部変更した事例。
2014.06.03
雇用関係存在確認等請求事件(甲事件)、損害賠償等請求事件(乙事件)
LEX/DB25503741/鳥取地方裁判所 平成26年4月23日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第320号等
被告学園(学校法人)と雇用契約を締結していた原告甲が、懲戒解雇されたところ、同解雇を不服として、被告学園に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認及び解雇後の賃金を求め、さらに、被告学園の理事長であった被告乙と元鳥取県議会議員であった被告丙が、甲に対し、共同して、違法な退職勧奨及び違法な解雇をした旨主張して、乙及び丙に対しては、共同不法行為による損害賠償請求権に基づき、被告学園に対しては、私立学校法29条に基づき、損害賠償金の支払いを求めた事案(甲事件)、及び、被告学園と委任契約を締結していた原告戊が、懲戒解任されたところ、同解任を不服として、被告学園に対し、解任後の報酬等を請求した事案(乙事件)において、甲の請求を一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2014.06.03
違約金条項使用差止等請求事件
LEX/DB25503708/大分地方裁判所 平成26年4月14日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第499号
消費者契約法2条4項の定める適格消費者団体である原告が、事業者である被告に対し、被告が設置・運営している大学受験予備校において、一定期間経過後に在学関係が解除された場合には消費者に校納金を全額返還しないとする不返還条項が定められていることに関し、当該不返還条項のうち解除後の期間に対応する授業料に関する部分は消費者契約法9条1号により無効であると主張して、消費者契約法12条3項に基づき、当該不返還条項を内容とする意思表示等の差し止めを求めた事案において、請求を全部認容した事例。
2014.06.03
損害賠償命令等請求住民訴訟事件
LEX/DB25503709/横浜地方裁判所 平成26年4月16日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第64号
綾瀬市の住民である原告が、市立小学校校舎の解体の際、アスベスト(石綿)を除去することなく工事を行ったためアスベストを飛散させる事故が起きたことに関し、同工事を請け負った被告補助参加人A社及び同工事の監理を委託されていた被告補助参加人B社に対し、綾瀬市が不当利得返還請求権又は不法行為による損害賠償請求権を有していると主張して、地方地自法242条の2第1項3号に基づき、綾瀬市の市長である被告に対し、被告が綾瀬市から受領した請負代金相当額等をA社に、委託料相当額等の請求をB社に対してそれぞれ請求していないことが違法であることの確認を求めるとともに、被告がA社に対しては請負代金相当額を、B社に対しては委託料相当額を請求することを求めた事案において、補助参加人らに対する不当利得返還請求権の行使を怠る事実を対象とする部分については適法な住民監査請求を経ていないことを理由として不適法却下し、その余の請求を棄却した事例。
2014.06.03
拘置の執行停止の決定に対する抗告申立事件(袴田巖元被告第二次再審請求(即時抗告)事件)
LEX/DB25503286/東京高等裁判所 平成26年3月28日 決定 (抗告審)/平成26年(く)第170号
原裁判所が、有罪の言渡しを受けた者に対する住居侵入、強盗殺人、現住建造物等放火被告事件の死刑確定判決に対する再審請求事件において、再審開始決定をするとともに、同人に対する拘置の執行停止を決定したところ、検察官が、拘置の執行停止をすべきではないとして、抗告をした事案において、原裁判所の判断は、裁量の範囲を逸脱したということはできないなどとして、抗告を棄却した事例。
2014.06.03
詐欺被告事件
LEX/DB25503287/京都地方裁判所 平成26年3月25日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第860号
被告人は、暴力団準構成員として活動をしていたところ、そのことを秘して、反社会的勢力に該当しない旨を確約する内容の重要事項説明書や契約書に署名押印するなどして、マンションの一室の売買契約を成立させ、これを詐取したとして、詐欺により起訴された事案において、被害結果は軽視できないものの、被告人には前科が無く、既に1年半以上身柄を拘束されていることなどを考慮し、被告人に対し、懲役2年、執行猶予4年間を言い渡した事例。
2014.06.03
立候補禁止請求事件
LEX/DB25503809/東京高等裁判所 平成26年3月27日 判決 (第一審)/平成25年(行ケ)第119号
平成25年7月21日施行の第23回参議院議員通常選挙における比例代表選出議員の選挙において、某政党から参議院名簿登載者として立候補して落選した被告につき、同選挙に際し被告のために選挙運動をした被告の秘書が公職選挙法221条1項1号所定の罪を犯し禁錮以上の刑に処せられたことから、検察官である原告が、当該選挙運動は被告と意思を通じてされたものであるから被告には公職選挙法251条の2第1項5号の規定による立候補禁止の制裁が課されると主張し、公職選挙法211条1項に基づき、原告勝訴の判決が確定した時から5年間、参議院(比例代表選出)議員の選挙において候補者となり、又は候補者であることの禁止を求めた事案において、被告の秘書が被告のために選挙運動をすることについて、両者間で相互に明示又は黙示に了解し合っていたことが明らかであるとして、原告の請求を認容した事例。
2014.06.03
刑事訴訟法違反被告事件
LEX/DB25503345/東京地方裁判所 平成26年3月12日 判決 (第一審)/平成25年(特わ)第209号
過去に公務執行妨害、傷害事件の被告人であった被告人が、パーソナルコンピューターを操作し、前記事件の審理の準備のために謄写の機会を与えた証拠である実況見分調書貼付の写真に係る複製等を、刑事訴訟法281条の4第1項各号に掲げる手続又はその準備に使用する目的以外の目的で、インターネット上の動画投稿サイトに掲載し、不特定多数人が閲覧すること等が可能な状態にして、電気通信回線を通じて提供した事案において、懲役6月、執行猶予2年を言い渡した事例。
2014.05.27
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律違反被告事件
LEX/DB25503643/大阪地方裁判所 平成26年4月25日 判決 (第一審)/平成24年(わ)第1923号
被告人は、設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせるクラブを経営するものであるが、共犯者と共謀の上、大阪府公安委員会から風俗営業の許可を受けないで、不特定の来店客にダンスをさせ、かつ、酒類等を提供して飲食させ、もって許可を受けないで風俗営業を営んだとして、風営法違反により起訴された事案において、被告人が、公訴事実記載の日時場所において、構成要件該当行為に及んだとの事実を証拠上認めることができないとして、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2014.05.27
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25503691/東京高等裁判所 平成26年4月23日 判決 (控訴審)/平成23年(ネ)第3738号等
海上自衛官として護衛艦たちかぜの乗員を務めていた亡甲が自殺したことにつき、甲の母及び姉である控訴人(原告)らが、甲の自殺の原因は、先輩自衛官であった被控訴人(被告)乙による暴行及び恐喝であり、上司職員らにも安全配慮義務違反があったと主張して、乙に対しては民法709条に基づき、被控訴人(被告)国に対しては国家賠償法1条1項又は国家賠償法2条1項に基づき、甲及びその父母に生じた損害の賠償を求めるとともに、当審において、被控訴人国が甲の自殺に関係する調査資料を組織的に隠蔽した上、同資料に記載されていた事実関係を積極的に争う不当な応訴態度を取ったため、精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料の支払請求を追加した事案において、原判決を変更し、控訴を一部認容した事例。
2014.05.27
再審請求事件(恵庭OL殺人事件再審請求審)
LEX/DB25503393/札幌地方裁判所 平成26年4月21日 決定 (再審請求審)/平成24年(た)第3号
殺人、死体損壊被告事件において、懲役16年の有罪判決を受け、判決が確定した請求人が、請求人は犯人ではないとして、再審の請求をした事案において、新証拠及び弁護人の主張を検討しても、確定判決等の認定又は判断の正当性を減殺して請求人が被害者を殺害し、その死体を焼損したことに疑いを生じさせるものは無く、請求人に対して無罪を言い渡すべきことが明らかであるとはいえないとして、請求を棄却した事例。
2014.05.27
指名手配差止及び損害賠償請求事件
LEX/DB25503658/盛岡地方裁判所 平成26年4月11日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第452号
原告の長男が殺人事件の被疑者とされ、岩手県警察による公開捜査及び警察庁による捜査特別報奨金広告の対象とされたことについて、原告が、これらは違法に原告の人格権を侵害するものであるなどと主張し、被告ら(岩手県・国)に対して、人格権に基づき公開捜査及び捜査特別報奨金広告の中止等を求め、併せて国家賠償法に基づき慰謝料を請求した事案において、本件公開捜査及び本件捜査特別報奨金広告に係る訴え(人格権に基づく差止請求)であっても、そのことをもって直ちに訴え自体が不適法になると解することは相当でないとした上で、本件公開捜査及び本件捜査特別報奨金広告は、本件第1ポスターないし本件第3ポスターの内容において相当とはいい難い点があるものの、違法に原告の名誉権及び人格権を侵害するものということはできないとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2014.05.27
書籍出版頒布禁止等請求控訴事件
LEX/DB25503684/東京高等裁判所 平成26年3月26日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第6376号
ユニクロのブランドを用いてカジュアル衣料品の製造型小売業を運営する控訴人(原告)らが、被控訴人(被告)の発行した週刊誌及び書籍において、控訴人らの店舗の店長らが苛烈な労働環境にあり、控訴人らが取り扱っている製品の製造を委託している海外生産工場において劣悪で過重な労働が行われているにもかかわらず、控訴人らがこれらを黙認しているという事実が摘示され、これにより控訴人らの名誉及び信用が毀損されたと主張して、控訴人らの名誉・信用に係る権利に基づき、書籍の発行頒布に禁止及び回収を求め、民法723条の名誉回復処分として、新聞紙上における取消広告の掲載を求め、不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求め、原審が回収請求を却下しその余を棄却した事案において、本件記事に記述された控訴人らの店長や中国工場の工員の長時間労働の実態に関する記述について、控訴人らの主張を採用することができないとして、控訴人らの控訴を棄却した事例。
2014.05.27
預金払戻等請求控訴事件
LEX/DB25503275/大阪高等裁判所 平成26年3月20日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3130号
亡Aの三女である控訴人が、亡Aが被控訴人の支店に開設した普通預金に係る預金債権について、Aの死亡により法定相続分2分の1の割合で上記預金債権を分割取得したとしてその払戻を求めたところ、被控訴人がそれを拒絶したのは不法行為を構成するとして、損害賠償を求めた事案の控訴審において、被控訴人は、その業務が公共性を有する銀行でありながら、控訴人が本件預金の2分の1の払戻を受ける正当な権限を有し、法律上控訴人の本件預金分割払戻請求を拒むことができないことを十分認識していながら、控訴人の本件預金分割払戻請求に対し、後日の紛争を避けたいとの自己都合から、他の共同相続人であるBの同意ないし意思確認ができない限り応じられないという到底正当化されない不合理な理由を構えて頑なに拒絶し、殊更故意に控訴人の本件預金に対する権利侵害に及び、控訴人をして、本来不必要であるはずの本件訴訟の提起等を余儀なくさせ、財産上の損害を与えたものであるから、不法行為の成立要件に何ら欠けるところはないとされた事例。
2014.05.27
法人税更正処分取消請求事件
LEX/DB25503723/東京地方裁判所 平成26年3月18日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第228号
原告会社は、S社からS社の完全子会社であったI社の発行済株式全部を譲り受けた後、平成21年3月30日、原告会社を合併法人、I社を被合併法人とする合併を行い、原告の事業年度(平成20年4月1日~平成21年3月31日)に係る法人税の確定申告に当たり、法人税法57条2項(平成22年法律第6号による改正前)の規定に基づき、I社の未処理欠損金額約542億円を原告の欠損金額とみなして、同条1項の規定に基づき損金の額に算入したことに対し、処分行政庁(麻布税務署)は、本件買収、本件合併及びこれらの実現に向けられた原告の一連の行為は、法人税法施行令112条7項5号(平成22年政令第51号による改正前)に規定する要件を形式的に満たし、租税回避をすることを目的とした異常ないし変則的なものであり、その行為又は計算を容認した場合には、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるとして、法人税法132条の2の規定に基づき、I社の未処理欠損金額を原告の欠損金額とみなすことを認めない旨の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分を行ったため、原告会社が本件更正処分等の一部及び本件賦課決定処分の取消しを求めた事案において、S社の取締役であったA氏がI社の取締役副社長に就任した行為及びI社の未処理欠損金額を原告会社の欠損金額とみなして損金の額に算入する計算は、法人税法132条の2の規定に基づき否認することができ、本件本件更正処分等は適法なものであるとして、原告の請求を棄却した事例。