2015.12.29
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反、恐喝未遂被告事件
(工藤会幹部の控訴棄却)
(工藤会幹部の控訴棄却)
LEX/DB25541475/福岡高等裁判所 平成27年10月21日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第220号
指定暴力団B會上位幹部の被告人が、組事務所のビル又はその賃借権を喝取しようとした恐喝未遂2件と暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反で起訴されたところ、まず、B會による組織的犯行という点であるが、B會は、通常の暴力団とは異なり、一般人の生命又は身体に重大な危害を加える危険性の高い暴力団として広く認知され、平成24年12月以降は特定危険指定暴力団に指定されている唯一の団体であり、本件各犯行は、そのB會の二代目C組の組長である被告人がその地位の威勢を利用し、B會の危険性を十分に認識している被害者に対して行っているのであるから、それだけで悪質性が相当高いといえるとし、そして、被告人は、何ら正当な権限がないのに、それまで賃料を払わないで占有していた経済的価値の相当高い本件ビル又はその賃借権を、組事務所として安定的に使用し続けるため、因縁をつけて本件各犯行に及んだのであり、被告人と被害者らとの間に一定の人的関係があったことを考慮しても、暴力団特有の身勝手で反社会的な犯行というほかなく、動機・経緯にも酌量の余地はない(本件全体の被告人の犯情は、暴力団の威勢を示して脅迫する恐喝未遂事案の中で相当悪い部類に属し、基本的に実刑相当事案である)として、原審は、被告人を懲役3年を言い渡したため、被告人が量刑不当を理由に控訴した事案において、原判決の量刑は重過ぎて不当であるとはいえないとして、控訴を棄却した事例。