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2015.12.01
金融商品取引法違反被告事件(元日興執行役員インサイダー取引教唆)
「新・判例解説Watch」H28.1上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25541270/東京高等裁判所 平成27年 9月25日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1830号
証券会社の元執行役員が、物流会社など3社の株式公開買い付け(TOB)の未公開情報を会社役員に漏らし、その会社役員に株券を買付けさせたして、金融商品取引法違反の罪に問われた事案の控訴審(原判決は、株券の公開買付けの実施に関する事実を会社役員に伝えるなどした被告人の行為には金融商品取引法167条3項違反の罪の教唆犯が成立すると判断した)において、原判決の認定した罪となるべき事実について事実誤認があるとは認められないとした上で、金融商品取引法は、公開買付者等関係者自身が公開買付け等に関する事実を知って自ら取引を行うことを規制しており、それに加えて第一次情報受領者による取引をも規制してインサイダー取引の規制の徹底をはかっているのであって、そのような金融商品取引法のインサイダー取引の規制のあり方に照らせば、同法167条3項違反の罪の教唆行為は十分に可罰的であると解すべきであって、その教唆行為に対して刑法総則の教唆犯の規定を適用することは、同条の立法趣旨に何ら反していないと解されるとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2015.11.24
審決取消請求事件
LEX/DB25447583/最高裁判所第三小法廷 平成27年11月17日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第356号
発明の名称を「血管内皮細胞増殖因子アンタゴニスト」とする特許権者である原告(被上告人)が、被告(上告人。特許庁長官)に対し、その特許権の存続期間の延長登録出願に係る拒絶査定不服審判の請求を不成立とした特許庁の審決の取消しを求め、原審は、原告の当該出願が特許法67条の3第1項1号に該当するとして特許権の存続期間の延長登録を受けることができないとした審決の判断には誤りがあるなどとして、本件審決を取り消したため、被告が上告した事案において、特許権についての延長登録出願に係る特許発明の実施に当該処分を受けることが必要であったとは認められないとする本件審決を違法であるとした原審の判断は、正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2015.11.24
 
LEX/DB25541336/最高裁判所第二小法廷 平成27年10月30日 決定 (上告審)/平成27年(オ)第1111号等
被告(被控訴人・申立人)国立大学の教授であった原告(控訴人・相手方)Xが、減給の懲戒処分を受けたところ、その過程で、原告の研究室に所属する学生であった被告(被控訴人)Y1が、原告からハラスメントを受けた旨の虚偽の内容を記載した研究室変更願を提出するなどし、学科長であった被告(被控訴人)Y2が、人事審査委員会に原告の処分を要請するなどし、人事審査委員会委員長であった被告(被控訴人)Y3が、原告にハラスメントを行い、杜撰な調査、審議により、人事調査委員会として、原告の懲戒処分の可能性があると報告するなどし、被告国立大学の学長である被告(被控訴人)Y4が、人事委員会の委員長代理を指名せず放置し、懲戒処分に至らせたことが、不法行為を構成するとして、各被告に対し、慰謝料等の支払いを求めたところ、第一審では原告の請求を棄却し、控訴審では原告の訴えの交換的変更による被告国立大学に対する懲戒処分無効確認請求及び未払賃金請求を一部認容したため、被告国立大学が上告申立てをした事案において、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとし、不受理決定した事例。
2015.11.24
損害賠償請求事件(爆発事故・遺影の無断放送で遺族の訴え棄却)
LEX/DB25541333/津地方裁判所四日市支部 平成27年10月28日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第178号
原告が、被告(テレビ放送会社)が原告の子であるcの遺影を撮影し、テレビ報道に使用したのは、情報プライバシー権としての原告の遺影を公表されない自由や、幸福追求権としての静穏に故人を悼む利益、敬愛追慕の情を侵害するもので違法であると主張し、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、100万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告が、遺族の同意を得ず、隣地敷地から塀越しに撮影したこと等を考慮しても、撮影及び報道により、社会生活上受忍すべき限度を超えて原告の静穏に故人を悼む利益や、敬愛追慕の情を侵害したということはできないとして、請求を棄却した事例。
2015.11.24
仮処分命令申立事件(著作権判例百選 出版差止仮処分)
LEX/DB25541332/東京地方裁判所 平成27年10月26日 決定 (第一審)/平成27年(ヨ)第22071号
債権者が、自らが編集著作物たる判例解説雑誌[第4版]の共同著作者の一人であることを前提に、債務者(出版社)が発行しようとしている判例解説雑誌雑誌[第5版]は、[第4版]を翻案したものであるなどと主張して、[第4版]の〔1〕翻案権並びに二次的著作物の利用に関する原著作物の著作者の権利(著作権法28条)を介して有する複製権、譲渡権及び貸与権又は〔2〕著作者人格権(氏名表示権及び同一性保持権)に基づく差止請求権を被保全権利として、債務者による雑誌[第5版]の複製、頒布、頒布する目的をもってする所持又は頒布する旨の申出を差止める旨の仮処分命令を求めた事案において、債権者の申立ては理由があるとし、債務者は、[第5版]の複製、頒布、頒布する目的をもってする所持又は頒布する旨の申出をしてはならないとした事例。
2015.11.17
第二次納税義務告知処分取消等請求事件
LEX/DB25447565/最高裁判所第二小法廷 平成27年11月 6日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第71号
A社が、東京都知事からB社を滞納者とする都税に係る徴収金について地方税法11条の8の規定に基づく第二次納税義務の納付告知を受けたため、A社を吸収合併した被上告人が、上告人を相手に、その納付告知の取消しを求めたところ、原審は、その納付告知の取消請求を認容したため、上告人が上告した事案において、その納付告知の時点で、B社の財産で交付要求等を含む滞納処分により徴収することのできるものの価額がその徴収金の総額に満たないと客観的に認められるとはいえず、その納付告知は、地方税法11条の8にいう「滞納者の地方団体の徴収金につき滞納処分をしてもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合」においてされたものとはいえないというべきであり、原判決にはその説示において必ずしも適切でないところがあるが、その納付告知が違法であり、取り消すべきものとした原審の判断は是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2015.11.17
開門等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H27.12下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25541157/福岡高等裁判所 平成27年 9月 7日 判決 (控訴審)/平成23年(ネ)第771号
〔1〕国営諫早湾土地改良事業の施行、特に、同事業において諫早湾干拓地潮受堤防が建設され、同湾の湾奥部の海洋部分が締め切られたことによって漁業被害を受け、漁業行使権(漁業法8条1項にいう「漁業を営む権利」)を侵害されたとする開門請求1審原告らが、その漁業被害を最低限度回復させるために必要があるとして、1審被告(国)に対し、上記権利から派生するとされる物権的請求権に基づき、上記潮受堤防の北部及び南部に設置されている各排水門について、同堤防で締め切られた調整池内に諫早湾の海水を流入させ、海水交換が行われるような開門操作をするよう求めたほか、〔2〕開門請求1審原告ら及び大浦1審原告らが、1審被告において上記事業を実施したこと及び上記開門操作を行わないことは、1審原告らに漁業被害を及ぼしその漁業行使権を侵害するものとして国家賠償法上違法であり、また、1審被告が上記開門操作を行わないことは、上記事業の実施に先立って漁業補償契約が締結された際に1審原告らと1審被告との間で成立した、同事業の実施後も1審原告らが漁業を営めるようにするという合意に反する行為であって、これにより1審原告らの漁業行使権が侵害されている旨主張し、1審被告に対し、国家賠償法1条1項又は債務不履行による損害賠償として1人につき605万円、及び上記開門操作がされるに至るまで年50万円の割合による金員、並びに上記605万円に対する遅延損害金の支払を求め、原判決は、1審原告らの請求中、一部却下、一部認容、一部棄却したため、開門請求1審原告らと控訴人大浦1審原告ら及び1審原告Z1並びに1審被告が、上記各敗訴部分を不服として双方が控訴した事案において、原判決中、被控訴人大浦1審原告ら及び1審原告Aの請求を認容した部分(1審被告敗訴部分)は不当であるから、1審被告の控訴に基づいてこれを取消した上、この部分に係る被控訴人ら及び1審原告Aの請求をいずれも棄却するとともに、控訴人ら並びに1審原告Aの控訴をいずれも棄却するとした事例。
2015.11.17
不正競争防止法違反被告事件(ヤマザキマザック元社員 控訴審も有罪)
LEX/DB25541038/名古屋高等裁判所 平成27年 7月29日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第327号
金属工作機械の製造、販売等を業とするb株式会社の従業員であり、同社からその保有する営業秘密を示されていた被告人が、不正の利益を図る目的で、同営業秘密の管理に係る任務に背き、パソコンから同社のサーバーにアクセスし、同社の製品である工作機械を製造するのに必要な部品の設計、製法の情報に当たるファイルをサーバーから自己所有のハードディスクに転送させて複製を作成し、記録の複製を作成する方法により同社の営業秘密を領得したとされた不正競争防止法違反事件で、原判決には事実の誤認があるとして被告人が控訴した事案において、当該ファイルは、その工作機械の製造に利用される図画情報であり、その工作機械を製造、販売する同社の事業活動に有用な技術上の情報であって、有用性が認められる旨説示した原審の判断に誤りはない等と示して、控訴を棄却した事例。
2015.11.17
内海ダム再開発事業公金支出差止等請求住民訴訟事件(第1事件、第2事件)(内海ダム訴訟)
LEX/DB25541113/高松地方裁判所 平成27年 6月22日 判決 (第一審)/平成22年(行ウ)第7号等
香川県の住民である第1事件原告らが、香川県及び小豆島町が起業者である「二級河川別当川水系別当川内海ダム再開発工事並びにこれに伴う県道及び町道付替工事」は治水、利水目的に鑑みても不要であり、安全性にも問題がある上、周辺の景観・環境を損なうことにより失われる利益は重大であるから、同事業に係る公金の支出は違法であるとして、香川県の執行機関である第1事件被告に対し、地方自治法242条の2第1項1号に基づき、同事業に係る公金の支出の差止めを求めるとともに、同項4号本文に基づき、同事業に係る公金の支出を行った香川県の前知事及び現知事に対する不法行為に基づく損害賠償請求を求め(第1事件)、小豆島町の住民である第2事件原告らが、上記と同様の理由で同事業に係る公金の支出は違法であるとして、小豆島町の執行機関である第2事件被告に対し、同項1号に基づき、同事業に係る公金の支出の差止めを求めるとともに、同項4号本文に基づき、同事業に係る公金の支出を行った小豆島町の前町長及び現町長に対する不法行為に基づく損害賠償請求を求めた(第2事件)住民訴訟において、原告らは、本件事業が治水及び利水目的に鑑みても不必要である上、安全性にも問題があり、周辺の景観・環境を損なうことにより失われる利益は重大であるとして、このような合理性を欠く本件事業に係る本件各公金の支出は地方財政法4条1項、地方自治法2条14項に違反し違法であると主張しているが、本件全証拠によっても原告らの主張を認めるには足りないとし、また、本件整備計画についても上記と同様の理由で違法であり、その違法性が本件各公金の支出に承継されるとの第1事件原告らの主張や、本件事業に係る請負契約(支出負担行為)には上記と同様の理由で違法があり、当該契約を解消できる特殊な事情があったにもかかわらず、香川県知事及び小豆島町長が行った各支出命令は財務会計法規上の義務に違反し、違法であるとの原告らの主張についても、上記と同様に本件整備計画あるいは本件事業に係る請負契約(支出負担行為)が違法であることを認めるに足りる証拠がないとして、第1事件原告ら及び第2事件原告らの各請求をいずれも棄却した事例。
2015.11.17
損害賠償請求事件(普天間騒音訴訟)
LEX/DB25541171/那覇地方裁判所沖縄支部 平成27年 6月11日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第290号等
日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約に基づき、被告(国)がアメリカ合衆国に対して同国軍隊の使用する施設及び区域として提供している沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の周辺に居住し若しくは居住していた者又はその相続人である原告らが、普天間飛行場において離着陸する米軍機が同飛行場周辺において発する騒音により各種の被害を受けている旨主張して、被告に対し、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第6条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う民事特別法2条に基づき、第1事件原告については平成21年7月31日、第2事件原告については同年10月1日、第3事件原告については平成22年3月18日、第4事件原告については同年11月20日(各事件の訴え提起日の3年前の応当日)から、それぞれ平成26年12月11日(口頭弁論終結の日)までの損害の賠償及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らの賠償対象期間の最始期である平成21年7月31日から現在に至るまでの普天間飛行場の供用は、当該期間内にコンター内に居住し、又は居住していた原告らに対する関係において、違法な権利侵害ないし法益侵害と評価されるものであるから、その限りにおいて、普天間飛行場に民事特別法2条の設置又は管理の瑕疵があるものということができるとし、また、危険への接近の法理による免責又は減額に関する被告の主張は、いずれも採用することができないとして、原告らの本訴請求については、主文1記載の金員の支払を求める限度で理由があるから、これを認容し、その余の請求はいずれも理由がないから、これを棄却するとした事例。
2015.11.10
検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出不許可処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25447540/最高裁判所第二小法廷 平成27年10月27日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第428号
検察官がした刑事確定訴訟記録の閲覧申出不許可処分に対する準抗告が棄却決定されたため、抗告人が特別抗告した事案において、刑事確定訴訟記録法4条1項ただし書、刑事訴訟法53条1項ただし書にいう「検察庁の事務に支障のあるとき」には、保管記録を請求者に閲覧させることによって、その保管記録に係る事件と関連する他の事件の捜査や公判に不当な影響を及ぼすおそれがある場合が含まれるとする原決定の解釈は、正当であるとして、抗告を棄却した事例。
2015.11.10
保釈取消し決定及び保釈保証金の全部を没取する決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25447532/最高裁判所第二小法廷 平成27年 9月28日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第532号
保釈取消し決定及び保釈保証金の全部を没取する決定に対し抗告棄却決定されたため、抗告人が特別抗告した事案において、被告人に弁明や説明の機会を与えないまま保釈を取消し、保釈保証金の全部を没取した原々決定及びこれを是認した原決定は、憲法31条に違反するとの抗告人の所論には理由がないとして、抗告を棄却した事例。
2015.11.10
保釈取消し決定及び保釈保証金の全部を没取する決定に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25447533/最高裁判所第二小法廷 平成27年 9月28日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第533号
保釈取消し決定及び保釈保証金の全部を没取する決定に対し抗告棄却決定されたため、抗告人が特別抗告した事案において、被告人にあらかじめ弁明や説明の機会を与えないまま保釈を取消し、保釈保証金の全部を没取した原々決定及びこれを是認した原決定は、憲法31条に違反するという抗告人の所論には理由がないとして、抗告を棄却した事例。
2015.11.10
拘置所職員のした処分に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25447530/最高裁判所第三小法廷 平成27年 9月 8日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第483号
拘置所職員のした処分に対する準抗告で棄却決定されたため、抗告人が特別抗告した事案において、弁護人からの飲食物差入れ拒否及び弁護人への宅下げ禁止のような拘置所職員のした処分に対しては、刑事訴訟法430条1項又は2項の準抗告を申し立てることはできないとした原判断は正当であるとして、抗告を棄却した事例。
2015.11.04
配当異議事件
LEX/DB25447529/最高裁判所第三小法廷  平成27年10月27日  判決 (上告審)/平成25年(受)第2415号
供託金の支払委託がされた時点における各貸金債権に、供託金及び供託利息の法定充当がされた結果残存するその各貸金債権の額は、配当表記載の被上告人の債権額を下回らないものと認められるから、上告人の請求には理由がないことになり、これを棄却した原審の判断は、是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2015.11.04
勾留請求却下の裁判に対する準抗告の決定に対する特別抗告事件
LEX/DB25447525/最高裁判所第二小法廷 平成27年10月22日 決定 (特別抗告審)/平成27年(し)第597号
被疑者は、大阪家庭裁判所審判官によりAの成年後見人に選任され、同人名義の預金通帳等を保管し、同人の財産を管理する業務に従事していたものであるが、東大阪市内の郵便局に開設された同人名義の通常郵便貯金口座の貯金を同人のため預かり保管中、八尾市内の郵便局において,同口座から現金300万円を払い戻し、同日、東大阪市内で、これをBに対し、ほしいままに貸付横領した被疑事実において、原々審は、勾留の必要性がないとして勾留請求を却下したが、原決定は、(1)事案の性質及び内容、取り分け、被害者が成年被後見人であって現在死亡していることや被害額、被疑者の供述内容等に照らすと、被疑者が、本件の罪体等に関し、関係者に働きかけるなどして罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由が認められ、また、これらの事情に加え、被疑者の身上関係等を併せ考慮すると、被疑者が逃亡すると疑うに足りる相当な理由も認められる、(2)家庭裁判所からの告発が平成23年になされ、捜査が相当遅延しているものの、現時点においては、本件の公訴時効の完成が迫っており、起訴不起訴を決する最終段階に至っていることからすると、勾留の必要性がないとまではいえない旨説示し、原々審の裁判を取消したため、特別抗告した事案において、原決定には、刑事訴訟法60条1項の解釈適用を誤った違法があるとし、刑事訴訟法411条1号を準用して原決定を取り消し、刑事訴訟法434条、刑事訴訟法426条2項により更に裁判をすると、本件について勾留請求を却下した原々審の裁判に誤りがあるとはいえないから、本件準抗告は、刑事訴訟法432条、刑事訴訟法426条1項により棄却した事例。
2015.11.04
損害賠償請求事件(株式会社サイゼリヤ VS BNPパリバ証券株式会社)
LEX/DB25541191/東京地方裁判所 平成27年 8月28日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第16105号
被告証券会社を介して被告銀行との間で通貨スワップ取引を行った原告が、(1)その通貨スワップ取引は公序良俗に反して無効であるから、被告証券会社及び被告銀行には不当利得返還義務がある、(2)その通貨スワップ取引の勧誘は適合性原則又は説明義務に違反するから、被告証券会社及び被告銀行には債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償義務がある、(3)被告新証券会社は被告証券会社から事業譲渡を受けてその債務を重畳的に引受けたから、同様の義務があると主張して、被告らに対し、不当利得返還請求権又は債務不履行若しくは不法行為による損害賠償請求権に基づき、上記各取引に係る解約清算金相当額の168億4100万円及びこれに対する利息又は遅延損害金の連帯支払を求めた事案において、原告の請求はいずれも理由がないとし、請求を棄却した事例。
2015.11.04
所得税更正処分等取消請求事件(外れ馬券は経費と認めず 東京地裁)
LEX/DB25540993/東京地方裁判所 平成27年 5月14日 判決 (第一審)/平成24年(行ウ)第849号
競馬の勝馬投票券の的中による払戻金に係る所得を得ていた原告が、当該年度分の所得税に係る申告期限内の確定申告を行い、その際、原告が得た馬券の的中による払戻金に係る所得は雑所得に該当するとして総所得金額及び納付すべき税額を計算していたところ、所轄税務署長であった稚内税務署長から、当該競馬所得は一時所得に該当し、上記各年の一時所得の金額の計算において外れ馬券の購入代金を総収入金額から控除することはできないとして、当該各更正処分等を受けたため、〔1〕当該競馬所得は雑所得に該当し、上記各年の雑所得の金額の計算において外れ馬券の購入代金も必要経費として総収入金額から控除されるべきである、〔2〕仮に当該競馬所得が一時所得に該当するとしても、その総収入金額から外れ馬券を含む全馬券の購入代金が控除されるべきであるから、当該各処分は違法であるとして、当該各更正処分のうち確定申告額を超える部分及び当該各賦課決定処分の取消しを求めた事案において、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2015.10.27
各航空機運航差止等請求控訴事件
「新・判例解説Watch」H28. 1下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540973/東京高等裁判所 平成27年 7月30日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第284号
厚木基地周辺に居住する原告(控訴人兼被控訴人)らが、厚木基地に離着陸する航空機の発する騒音により身体的被害及び精神的被害を受けていると主張して、被告(控訴人兼被控訴人)国に対し、主位的に、厚木基地における自衛隊機及び米軍機の一定の態様による運行の差止め等を求め、予備的に、音量規制等を求めたところ、原審は、米軍機差止めの訴えを却下し、米軍機に関する予備的請求のうち人格権に基づく妨害排除請求権としての差止請求等の給付請求を棄却し、確認請求に係る訴えをいずれも却下し、転居原告の自衛隊機差止めの訴えをいずれも却下した一方で、厚木飛行場における自衛隊機の運航のうち夜間に行われるものは、これを差し止める必要性が相当高いとし、転居原告を除く原告らの自衛隊機差止請求を一部認容したため、原告ら及び被告が双方控訴した事案において、主位的請求に係る自衛隊機差止請求について、厚木飛行場に離着陸する航空機による騒音の発生状況が大きく変わる可能性があるとして、一定期間の差止めを認容してその余の請求を棄却し、予備的請求を却下し、その余の控訴を棄却した事例。
2015.10.27
傷害致死被告事件(逆転無罪 東京高裁)
LEX/DB25540966/東京高等裁判所 平成27年 7月15日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第1095号
交差点内の路上においてバイクを停車中の被告人が、P4に背後から首を絞められ、顔面等を拳で複数回殴打されたことから、同人の顔面を拳で1回殴打し、さらに、同人の頭部を足で踏み付けて蹴り、もって自己の身体を防衛するため、P4に対し、防衛の程度を超えた暴行を加え、よって、同人に外傷性くも膜下出血等の傷害を負わせ、同人を上記傷害により死亡させたとして起訴された事案の控訴審において、原審で取り調べられた関係証拠から認定できる被告人の被害者に対する暴行は、その顔面を1回殴打し、その頭部を足で踏み付けた行為であるが、それらの行為は、刑法36条1項に該当し、正当防衛行為として罪とならないものであるとして、原判決を破棄し、被告人に対して無罪を言い渡した事例。