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2015.09.29
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
(会員制温泉リゾートクラブのオーナの有罪確定)
LEX/DB25447452/最高裁判所第三小法廷 平成27年 9月15日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第177号
リゾート施設会員組織の運営、管理、会員権の管理、販売及び各種観光地の開発、企画などを業務目的とするA社の実質オーナーとして、業務全般を統括掌理していた被告人が、会員制リゾートクラブの施設利用預託金及び施設利用料名目で金銭を詐取することなどを共同の目的とする同社を率いて、同社の役員及び従業員らと共謀の上、のべ194名の被害者に対し、詐取した現金が総額約4億円に上る、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の組織的詐欺を敢行した事案の上告審において、本件各詐欺行為は、Aという団体の活動として,詐欺罪に当たる行為を実行するための組織により行われたと認めることができるとし、これと同旨の判断を示して組織的詐欺罪の成立を肯定した原判決は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2015.09.29
国家賠償請求控訴事件(拘置所接見 撮影認めず 東京高裁)
LEX/DB25540787 平成27年 7月 9日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第6249号
原告(控訴人兼被控訴人)が、弁護人として東京拘置所に勾留中の被告人との接見中、被告人をデジタルカメラで写真撮影したところ、東京拘置所職員から、写真撮影・録画を禁止され、被告人との接見を終了させられたことについて、接見交通権や弁護活動の自由を侵害するもので違法であり、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(刑事収容法)に違反し違法であると主張して、被告(控訴人兼被控訴人)国に対し、国家賠償法1条1項に基づいて損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、東京拘置所職員が原告と被告人との接見を終了させた措置について、刑事収容法117条が準用する刑事収容法113条1項及び2項の各要件をいずれも欠き、違法であるとして、原告の請求を一部認容、一部棄却したため、原告及び被告の双方が控訴した事案において、被告の本件控訴に基づき、原判決のうち、被告敗訴部分を取消し、同取消部分に係る原告の請求を棄却し、原告の控訴を棄却した事例。
2015.09.29
殺人被告事件(98歳 要介護の母殺害 息子に執行猶予判決)
LEX/DB25540844/岐阜地方裁判所 平成27年 6月25日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第30号
被告人が、うつ病の症状により実母である被害者(当時98歳)の介護を行うことを負担に感じ、被害者の首を両手で絞め続け、頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害したが、被告人自身がした110番通報により臨場した警察官に対して自首した事案において、本件動機の形成にうつ病が相当程度影響していることを考慮すると、本件は、家族内における殺人(単独犯、被害者1名)の事案全体の中では軽い部類に属するといえ、被告人の年齢及び健康状態をも併せ考慮すると、被告人を実刑に処するのはいささか酷に過ぎるというべきであるとして、懲役3年、執行猶予5年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.09.29
各原爆症認定申請却下処分取消等請求事件(白内障 原爆症認定 広島地裁)
LEX/DB25540856/広島地方裁判所 平成27年 5月20日 判決 (第一審)/平成23年(行ウ)第2号等
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律1条の被爆者である原告らが、それぞれ被爆者援護法11条1項の規定による認定(原爆症認定)の申請をしたところ、厚生労働大臣から各申請を却下する旨の処分を受けたことから、被告国に対し、各却下処分が違法であると主張して、その取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項の規定により、慰謝料各200万円及び弁護士費用各100万円並びにこれらに対する遅延損害金の各支払を求めた事案において、厚生労働大臣が本件各却下処分を行ったことが国家賠償法上違法であるとは認められないとして、本件Z1却下処分及び本件Z2却下処分の取消しと求める請求を認容し、原告らのその余の請求は棄却した事例。
2015.09.24
不当利得返還請求事件
「新・判例解説Watch」H27.11下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447450/最高裁判所第三小法廷 平成27年 9月15日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1989号
被上告人が、貸金業者であるA社、外1社及び両社を吸収合併した上告人との間の継続的な各金銭消費貸借取引に係る各弁済金のうち利息制限法1条1項所定の制限利率を超えて利息として支払われた部分を各元金に充当するといずれも過払金が発生していると主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、過払金合計354万4715円及び民法704条前段所定の法定利息の支払を求めたところ、原審は、本件調停の効力につき、被上告人の請求のうちAとの継続的な金銭消費貸借取引に係る過払金279万4081円及び法定利息の支払並びにB取引に係る過払金30万4217円及び法定利息の支払を求める限度で認容し、その余を棄却したため、上告人が上告した事案において、原審の判断には法令の違反があるとして 原判決を変更し、Aとの継続的な金銭消費貸借取引に係る被上告人の請求は、A取引に係る過払金234万9614円、平成24年5月31日までに発生した法定利息119万8107円及び上記過払金に対する同年6月1日から支払済みまで年5分の割合による法定利息の支払を求める限度で認容し、その余を棄却した事例。
2015.09.24
一般疾病医療費支給申請却下処分取消等請求事件
LEX/DB25447438/最高裁判所第三小法廷 平成27年 9月 8日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第406号
広島市に投下された原子爆弾により被爆し、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律(被爆者援護法)に基づき被爆者健康手帳の交付を受けた被爆者ら3名につき、その居住国である大韓民国で受けた医療に関して被爆者援護法18条1項に定める一般疾病医療費の支給の申請がされたところ、大阪府知事により、在外被爆者に対して同項の規定を適用することができない旨の理由でそれぞれ却下処分がされたことから、上記の被爆者又はその相続人である原告(被控訴人兼控訴人・被上告人)らが、被告国、被告大阪府(控訴人兼被控訴人・上告人)を相手に、本件各却下処分の取消し等を求めたところ、第一審は請求を一部認容したため、被告大阪府と原告らが控訴し、控訴審は申請を却下した大阪府知事による同申請却下処分はいずれも違法であるとして原告らの取消請求を認容し、各控訴を棄却したため、被告大阪府がこれを不服として上告した事案において、被爆者援護法18条1項の規定は、在外被爆者が日本国外で医療を受けた場合にも適用されるものと解するのが相当であり、在外被爆者が日本国外で医療を受けた場合につき、同項所定の要件に該当するか否かについて判断することなく同項の規定を適用する余地がないことを理由としてされた本件各却下処分は、違法であるとして、原審の判断を是認し、上告を棄却した事例。
2015.09.24
難民認定等請求事件(第1事件)、訴えの追加的併合申立事件(第2事件)訴えの追加的併合申立事件(第3事件)
「新・判例解説Watch」H27.11下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
 LEX/DB25540979/東京地方裁判所  平成27年 8月28日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第237号等
コンゴ国籍を有する男性である原告が、自身は宗教的背景を有する同国の政党の党員として、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるという十分に理由のある恐怖を有するために、国籍国の保護を受けることができない難民であるとして、法務大臣に対し、難民の認定を申請したところ、法務大臣は原告が難民である旨の認定をしない旨の処分をし、法務大臣の権限の委任を受けた東京入国管理局長は、出入国管理及び難民認定法61条の2の2第2項の規定に基づいて原告の在留を特別に許可しない旨の処分をしたため、原告が、法務大臣及び東京入管局長の所属する被告国に対し、前記各処分の取消し及び原告が難民である旨の認定の義務付けを求めた事案(第1事件)、原告が出入国管理及び難民認定法24条1号(不法入国)の退去強制対象者に該当するとの東京入管入国審査官の認定が誤りがないとの東京入管特別審理官の判定に対し、原告が出入国管理及び難民認定法49条1項の規定による異議の申出をしたが、法務大臣の権限の委任を受けた東京入管局長が、その異議の申出が理由がないと裁決し、これを受けて東京入管主任審査官が原告に対し、退去強制令書を発付したため、原告が、東京入管局長及び東京入管主任審査官の所属する被告国に対し、難民である原告に対してした本件裁決は違法であり、本件退令発付処分も違法であるとして、これらの取消しを求めた事案(第2事件)、国の公権力の行使に当たる難民調査官が、原告の難民認定申請手続に係る審査に際し、難民審査における最低限度の注意義務を逸脱して、コンゴの情勢について容易に入手することのできる国際連合の特別調査報告書を参照するなどの調査を尽くさなかったのは国家賠償法上も違法であるとして、原告が、被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、その精神的苦痛に対する100万円の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案(第3事件)において、第1事件は、原告の在特不許可処分取消請求に係る訴え部分は不適法であるからこれを却下し、第2事件は、原告の難民不認定処分取消請求,難民認定処分義務付け請求,裁決取消請求及び退令発付処分取消請求は理由があるからこれらを認容し、第3事件は、原告の国家賠償請求は理由がないから、棄却した事例。
2015.09.24
 
LEX/DB25540808/最高裁判所第三小法廷 平成27年 7月 7日 決定 (上告審)/平成26年(行ツ)第253号等
原告(上告人兼申立人)が、カルテルにより競争を実質的に制限していたとして、独占禁止法に基づく排除措置命令及び課徴金の納付命令を受けたため、前記各命令の取消しを求めて審判請求をしたが、これを棄却する旨の審決を受けたことから、公正取引委員会である被告(被上告人兼相手方)に対し、その取消しを求めたところ、原審は、本件審決が認定した事実は、いずれも各事実の末尾に掲載された証拠によって認定されたものであるところ、それらの証拠によって上記事実を認定したことは、本件審決のその余の判断を併せみれば、経験則上、採証法則等に違反するということはできず、当該認定をすることに合理性があると認められるとし、原告の請求を棄却したため、原告が上告及び上告受理の申立てをした事案において、上告を棄却し、上告受理の申立てを認めなかった事例。
2015.09.24
損害賠償請求控訴事件(北海道豊浦町暴風雪訴訟:道の責任否定 請求棄却)
LEX/DB25540750/札幌高等裁判所 平成27年 7月 7日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第190号
本件車両を運転して本件道道を走行し、本件事故現場で、本件車両が吹雪による雪の吹きだまりに埋まり、その後、同車両内で一酸化炭素中毒により死亡したZ6の両親である1審原告らが、本件道道を設置管理している1審被告北海道については本件事故現場付近に設置された防雪柵の設置又は管理に瑕疵があった等として、上記瑕疵などによりZ6が死亡したと主張し、損害賠償を求めた等の事案の控訴審において、本件防雪柵にあっては、本件事故当時、通常有すべき安全性を備えていたが、これまでの観測記録では想定することができない気象状況により、本件事故現場に巨大な吹きだまりが発生し、本件事故に至ったものと認められるから、本件防雪柵の設置又は管理に瑕疵があったとは認められない等として、1審被告北海道敗訴部分を取り消し、上記部分に係る1審原告らの1審被告北海道に対する請求をいずれも棄却し、1審原告らの本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2015.09.24
風俗営業等廃止命令処分等取消請求控訴事件(ソープランド「重役室」訴訟 県逆転勝訴)
LEX/DB25540747/名古屋高等裁判所金沢支部 平成27年 6月24日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第8号
処分行政庁である石川県公安委員会から風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく店舗型性風俗特殊営業の廃止命令を受けた原告(被控訴人)が、当該命令の違法を主張して、被告(控訴人)石川県に対し、処分取消しを求めたところ、原審は、当該処分に先立つ聴聞手続を主宰した者が本件に密接に関係していて、主宰者に指名される資格がないことにより、行政手続法の制度趣旨を没却するような重大な違法があったといえるから、その余の争点について判断するまでもなく、当該処分は取り消されるべきであるとして、原告の上記廃止命令取消請求を認容したため、これに不服の被告が控訴した事案(原告は、控訴審では、原審で請求していた浴場業営業の停止命令の取消しを求める訴えを取り下げた。)において、当該処分の決定に至る過程で当該案件に密接に関与した職員が聴聞の主宰者となったとしても、行政手続法には、聴聞の審理の経過を記載した調書の作成等が規定され、また、聴聞手続においては、当事者等のための文書等の閲覧や防御権を保障するための告知聴聞に関する規定が設けられており、手続的公正さを担保する制度が整備されているといえるのであるから、このような職員を主宰者としてされた聴聞手続について、法の趣旨を没却するような重大な違法があるなどと解することはできない等として、原告の上記廃止命令取消しを求める本件請求を認容した原判決主文1項を取り消して、原告の請求を棄却した事例。
2015.09.15
傷害致死被告事件
LEX/DB25447426/最高裁判所第一小法廷 平成27年 8月25日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1045号
公判調書の整理期間を規定した刑事訴訟法48条3項は、憲法31条の刑事裁判における適正手続の保障と直接には関係のない事項であり、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとし、上告を棄却した事例。
2015.09.15
 
LEX/DB25540764/最高裁判所第三小法廷 平成27年 7月21日 決定 (上告審)/平成26年(受)第1646号
被告(被控訴人・相手方)との間で、業務委託契約書等を締結しバイシクルメッセンジャーとして稼働していた原告(控訴人・申立人)らが、原告らは、被告から、それぞれ契約終了を告知されたが、原告らは労働基準法上の労働者であり、同契約終了の告知は解雇に当たるところ、同解雇は理由がなく無効であって、同解雇により精神的苦痛も受けたなどと主張し、地位確認、未払賃金の支払を求めるとともに、不法行為に基づき、損害賠償金の支払いを求めたところ、第一審が、申立人らは労基法上の労働者とはいえないなどとして請求を棄却し、さらに控訴審も控訴を棄却したため、原告らが上告受理申立てを行った事案において、上告審として受理しない旨を決定した事例。
2015.09.15
特定危険指定暴力団指定処分取消請求事件(工藤会の特定危険指定「適法」)
LEX/DB25540873/福岡地方裁判所  平成27年 7月15日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第4号
暴対法3条に基づき指定暴力団として指定されている原告が、処分行政庁から暴対法30条の8第1項に基づき特定危険指定暴力団等として指定する処分を受けたため、被告(福岡県)に対し、〔1〕本件処分は法主体性のない暴力団に対する処分であるから無効である等と主張して本件処分が無効であることの確認を求めるとともに、〔2〕暴対法及び同法の各条項は違憲であり、本件処分は違法である等と主張して、主位的に本件処分の全部の取消しを求め、予備的に本件処分のうち警戒区域として豊前市、春日市、遠賀郡及び鞍手郡を指定した部分の取消しを求め、さらに、〔3〕暴対法30条の8第2項に基づき特定危険指定暴力団等の指定の期限を延長する処分(延長処分1)を、同項に基づき特定危険指定暴力団等の指定の期限を延長する処分(延長処分2)をそれぞれ受けたことから、同項は違憲である上、延長処分1及び同2は同項の要件を満たしていないから違法である旨主張して延長処分1及び同2の取消しを求めた事案において、本件訴えのうち、特定危険指定暴力団等として指定する処分が無効であることの確認を求める訴え及び延長処分1の取消しを求める訴えは不適法であるから、いずれも却下し、原告のその余の請求は理由がないから、いずれも棄却した事例。
2015.09.15
窃盗、建造物侵入、傷害被告事件(GPS違法捜査 量刑に影響しない)
LEX/DB25540767/最大阪地方裁判所 平成27年 7月10日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第5962号等
被告人が、共犯者らと共謀の上、犯行に使用する自動車等を盗み出し、店舗等に侵入して衣類等を盗むという手口で、総額400万円を超える自動車等の窃盗や侵入盗を繰り返した上、被害者の顔面を一方的に殴打し、転倒し無抵抗であった同人の頭部を狙って蹴り付けて加療約2か月の傷害を負わせた事案において、GPS捜査には令状主義の精神を没却するような重大な違法があるものの、量刑上特に考慮すべきものとはいえないとして、懲役5年6月を言い渡した事例。
2015.09.15
建物使用不許可処分取消等・建物明渡・使用不許可処分取消等請求控訴事件
(大阪市 職員労働組合に立ち退き命令 控訴審)
LEX/DB25540705/大阪高等裁判所 平成27年 6月26日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第163号
被告(控訴人)大阪市の職員が加入する労働組合等である原告(被控訴人)らが、被告の市長に対し、3回にわたり、市庁舎の一部を組合事務所として利用するため、その目的外使用許可を申請したところ、いずれも不許可処分を受けたことから、各不許可処分について、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償金を求め(第1、第3及び第4事件)、また、最後の不許可処分について、その取消しを求めるとともに、市庁舎の一部に係る目的外使用許可処分の義務付けを求め(第4事件)、被告が、原告らに対し、原告らが前記各不許可処分後も、組合事務所として占有している市庁舎の一部について、所有権に基づきその明渡しを求めるとともに、不法行為に基づき使用料相当損害金の支払を求めた(第2事件)ところ、原判決は、前記各不許可処分の取消し及び許可処分の義務付けを認め、損害賠償請求を一部認容し、被告の原告らに対する明渡請求及び損害賠償請求は権利の濫用に当たると判断していずれも棄却したため、被告がいずれも控訴した事案において、原判決を取り消し、請求を一部認容(第1事件)し、その余の請求を棄却した上、被告の原告に対する請求(第2事件)を一部認容した事例。
2015.09.15
傷害、殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反、窃盗被告事件(予備校生刺傷事件)
LEX/DB25540874/福岡地方裁判所小倉支部 平成27年 6月22日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第46号等
被告人は、平成26年11月午前、予備校自習室において、殺意をもって、D(当時19歳)の左胸部等を包丁で複数回突き刺すなどしたが、居合わせた予備校生Fらに制止されたため、Dに通院加療約3か月間を要する鋭的心・心膜損傷、左前腕ないし手部複数刺創、右大腿外側刺創等の傷害を負わせたにとどまった殺人未遂(判示第1)、判示第1の日時場所において、業務その他正当な理由による場合でないのに、包丁1本を携帯した銃砲刀剣類所持等取締法違反(判示第2)、平成26年5月深夜、「G店」厨房において、H(当時23歳)に対し、その後頭部を拳で殴り、その場に転倒したHに馬乗りになって、その顔面を拳で多数回殴るなどの暴行を加え、Hに安静加療約1週間を要する顔面(右眼窩周囲)打撲、右肩打撲の傷害を負わせた(判示第3)、平成26年9月深夜、J店従業員控室において、Kが所有する現金約1万9000円及び自動車運転免許証等4点在中の財布1個(時価約5000円相当)を盗んだ窃盗(判示第4)の事案において、殺人未遂事件の特徴、すなわち、かなり強い殺意に基づく生命侵害の危険性が高い犯行であり、被害者の傷害結果も重大であるが、妄想性障害の影響下での衝動的犯行という側面もあることを踏まえて、傷害や窃盗等の犯罪が成立することを加味し、同種事案の中で公平にみた場合、懲役10年に処した事例(裁判員裁判)。
2015.09.15
懲戒処分取消請求事件(弁護士懲戒処分 取消認めず 控訴審)
LEX/DB25540759/東京高等裁判所 平成27年 6月18日 判決 (第一審)/平成27年(行ケ)第9号等
第一東京弁護士会に所属する弁護士である原告らが、懲戒請求をされ、原告らを懲戒しない旨の同弁護士会の決定に対する懲戒請求者の異議の申出を受けた被告(日本弁護士連合会)から、同弁護士会がした懲戒しない旨の決定を取り消し、原告らを戒告する旨の各懲戒処分を受けたため、弁護士法61条に基づき、各懲戒処分の取消しを求めた事案において、各懲戒処分が、裁量権の範囲を超え、又は裁量権を濫用したものとはいえないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2015.09.02
損害賠償請求控訴事件 (松山刑務所 作業中骨折 元受刑者 逆転敗訴)
LEX/DB25540637/東京高等裁判所 平成27年 6月25日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第501号
松山刑務所に収容され、配膳用機収納用コンテナの空コンテナを積み重ね、両手で持って運搬中、下り階段を1段踏み外した左足で踏ん張ったことにより、左大腿骨頚部骨折の傷害を負い、人工骨頭置換術を受けた結果、右足より左足が長くなる後遺障害を負った原告(被控訴人)が、被告(控訴人、国)に対し、同事故は刑務所職員が刑務作業に関する安全配慮義務を怠った結果発生したなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づき、損害金の支払いを求め、原審が請求を一部認容したため、被告が控訴した事案において、原告の受傷及び損害の発生について、刑務所職員には安全配慮義務に違反する事実があったとは認められず、刑務所長に必要な医療上の措置を執る義務違反があったとも認められないなどとして、控訴に基づき、原判決中被告敗訴部分を取り消し、原告の請求を棄却した事例。
2015.09.02
処分取消等請求控訴事件(入れ墨調査 大阪市転任命令 2審も違法)
「新・判例解説Watch」H27.10中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25540627/大阪高等裁判所 平成27年 6月18日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第7号
被告(控訴人、大阪市)大阪市交通局自動車部に所属し、バスの運転業務に従事していた原告(被控訴人)が、被告が職員に対して組合・政治活動及び入れ墨に関する各アンケート調査を実施したことが違憲・違法であるとして、原告が入れ墨に関するアンケート調査への回答を拒否したことを理由とする戒告処分の取消し及び慰謝料の支払いを求めて提訴したが、交通局長から同訴訟の取下げを要求され、これを拒否したところ、自動車部運輸課に転任を命じられたとして、同転任が裁量権の逸脱・濫用がある違法な処分であるとして、行政事件訴訟法30条に基づき、その取消しを求め、また、違法な転任命令により精神的苦痛を被ったとして、国家賠償法に基づき、損害賠償を求めたところ、第一審が取消請求を認容し、損害賠償請求を一部認容したたため、被告が敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決は相当であるとして、被告の控訴を棄却した事例。
2015.09.02
(上関原発入会権訴訟 反対派住民 敗訴確定)
LEX/DB25540653/最高裁判所第二小法廷 平成27年 6月12日 決定 (差戻上告審)/平成26年(オ)第530号等
被告会社(被控訴人・被上告人兼相手方。電力会社)は、山口県熊毛郡A町に原子力発電所を建設することを計画しており、山林(本件土地)は、同発電所の建設予定地であるところ、同町のB地区の住民であるとする原告(控訴人・上告人兼申立人)が、本件土地は、B地区の住民が入会権を有する土地であるとして、(1)被告会社及び被告住民らに対し、原告及び被告住民らが本件土地に入会権(主位的請求として共有の性質を有する入会権、予備的請求として共有の性質を有さない入会権)を有することの確認を求めるとともに、(2)被告会社に対し、入会団体の構成員が有する使用収益権に基づく本件土地の現状変更行為の差止め及び入会権に基づく原告の本件土地の使用収益行為に対する妨害禁止を求めたところ、第一審では、建設予定地について入会権の成立は認められないとして、請求をいずれも棄却したため、原告が控訴し、控訴審では、原判決は相当であるとして控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。