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2015.05.26
川内原発稼働等差止仮処分申立事件(川内原発再稼働 仮処分却下)
LEX/DB25506209/鹿児島地方裁判所 平成27年4月22日 決定 (第一審)/平成26年(ヨ)第36号
債権者(川内原発から250キロメートル圏内に居住する者)らが、債務者(電気を供給する事業を営む株式会社)に対し、人格権に基づき、債務者が設置している川内原発1号機及び2号機の運転差止めを命ずる仮処分命令を申し立てた事案において、債権者らが川内原発に関し具体的危険性があると主張するいずれの事項についても、債権者らを含む周辺住民の人格権が侵害され又はそのおそれがあると認めることはできないとして、申立てを却下した事例。
2015.05.26
詐欺被告事件(元日弁連常務理事に実刑 詐欺事件)
LEX/DB25506204/東京地方裁判所 平成27年3月30日 判決 (第一審)/平成25年(刑わ)第2304号等
被告人甲、乙及び丙の3名が、共謀の上、財務省等が所有する国有地等を、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構から取得できる旨うそを言い、約7か月間、購入を希望する3社から6回にわたり、売買代金の一部等の名目で合計9億4415万円の現金及び小切手をだまし取るとともに、被告人甲及び乙が、共謀の上、同様に購入を希望する1社から合計3億円の現金及び小切手をだまし取ったという各詐欺の事案において、巧妙な手口による計画性の高い職業的犯行であり、被害額の総額は巨額で、被害者らの処罰感情は厳しく、結果は重大であるなどとして、甲を懲役14年に、乙を懲役8年に、丙を懲役10年にそれぞれ処した事例。
2015.05.26
業務上過失致死傷被告事件(福知山線列車脱線事故 JR西日本元社長3人 二審も無罪)
LEX/DB25506197/大阪高等裁判所 平成27年3月27日 判決 (控訴審)/平成25年(う)第1335号
福知山線における列車の脱線転覆事故について、元西日本旅客鉄道株式会社社長である被告人ら3名が、事故発生の具体的予見が可能であったとして業務上過失致死傷により起訴をされ、原判決は、被告人らに対し無罪を言い渡し、検察官の職務を行う指定弁護士が控訴をした事案において、被告人ら各人について、本件曲線において速度超過による列車脱線転覆事故が発生することを具体的に予見することが可能であったと認めるに足りる立証はないとして、各控訴を棄却した事例。
2015.05.26
強制わいせつ致死、窃盗被告事件(三重県 中三死亡 19歳少年懲役5~9年)
LEX/DB25506210/津地方裁判所 平成27年3月24日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第98号
当時18歳の被告人が、通行中の被害者(当時15歳)に対し、背後から鼻口部を手で塞ぐなどして空き地に連れ込み、着衣を無理矢理脱がせるなどの暴行を加えて同人の犯行を抑圧した上、強いてわいせつな行為をし、その際、鼻口部閉塞により、同人を窒息死させ、また、同人所有の現金約6000円を窃取したとの強制わいせつ致死、窃盗の事案において、犯情は悪質であり、事件の凶悪性や悪質性を大きく減ずる事情を見出し難く、保護処分を相当とする特段の事情は認められず、被告人を刑事処分に付すべきであるとした上、被害者が尊厳を踏みにじられ死亡したという重大な結果が生じたことなどを考慮し、被告人に対し、懲役5年以上9年以下を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.05.26
強盗致傷、詐欺、恐喝、監禁、強盗未遂、窃盗、恐喝未遂、強姦幇助、強盗、犯人隠避教唆被告事件(川崎容疑者逃走事件)
LEX/DB25506208/横浜地方裁判所 平成27年3月20日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第66号等
被告人が、共犯者と共謀の上で行った強盗致傷、詐欺、恐喝、監禁及び強盗未遂、恐喝未遂各1件並びに窃盗3件、共犯者と共謀の上行った監禁及び強盗、強姦幇助、犯人隠避教唆により起訴された各事案において、強盗致傷ないし恐喝未遂は、いずれもいわゆるオヤジ狩りに及ぼうとして起こした事件であり、態様は相当に悪質であること、各被害者が感じた精神的苦痛は無視できず、特に傷害を負った被害者は厳しい処罰感情を抱いていること、監禁及び強盗、強姦幇助の被害者の精神的苦痛が非常に大きいこと、犯行は悪らつであることなどを考慮し、被告人に、懲役11年を言い渡した事例。
2015.05.26
区分事件(監禁、強姦幇助、強盗、犯人隠避教唆被告事件)
(川崎容疑者逃走事件(部分判決))
LEX/DB25506207/横浜地方裁判所 平成27年 1月30日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第527号等-1
被告人は、共犯者と共謀の上、通行中の被害者を自動車の後部座席に無理やり乗せて走行したとの監禁、車内において共犯者が被害者を強姦し、これを知りながら同社の運転を継続したとの強姦幇助、被害者を脅迫して所持していた現金約2万4000円在中の財布1個(時価7000円相当)と、被害者にATMから引き出させた現金15万円を強取したとの強盗、検察庁川崎支部から逃走し、友人に自動車で運搬させるなどしたとの犯人隠避教唆の各公訴事実により起訴された各区分事件の事案において、被告人に対し、各公訴事実につきいずれも有罪とする部分判決を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2015.05.19
不当利得返還等・求償金請求控訴事件、同附帯控訴事件(車ローン返金訴訟 逆転敗訴)
LEX/DB25506171/札幌高等裁判所 平成27年3月26日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第79号等
訴外会社から購入する自動車の売買代金等の資金を得るため、それぞれ一審被告銀行と消費貸借契約または連帯保証契約を締結し、一審被告保証会社らと保証委託契約または連帯保証契約を締結した一審原告らが、一審被告らに対し、既払金の返還ないし預金の返還、債務不存在の確認などを求め、原判決は、請求を一部認容した事案において、原判決中、一審被告らの敗訴部分を取り消し、一審原告らの請求をいずれも棄却し、一審被告らの請求を一部認容した事例。
2015.05.19
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件(積丹岳遭難事故(控訴審))
LEX/DB25506179/札幌高等裁判所 平成27年3月26日 判決 (控訴審)/平成24年(ネ)第591号等
積丹岳山頂付近で遭難し、北海道警察山岳遭難救助隊による救助活動を受けていた際に2回滑落し、山中で凍死した事故にあった甲の両親である被控訴人(原告)らが、警察官である救助隊の隊員らが甲を救助するための適切な行為をすべき作為義務を怠ったため甲が死亡したと主張して、控訴人(被告。北海道)に対し、国家賠償法1条1項に基づいて、損害賠償金の支払いを求め、原判決が一部認容をしたため、控訴人が控訴をした事案において、2回目の滑落発生時における救助活動について、明らかに合理的とは認められないから、国家賠償法上違法と評価されるとして、控訴を棄却し、附帯控訴に基づき、被控訴人の請求を一部認容した事例。
2015.05.19
損害賠償請求控訴事件(衣浦港 海底地盤改良事業を巡る訴訟(控訴審))
LEX/DB25506174/名古屋高等裁判所 平成27年3月24日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第882号
控訴人(原告、愛知県)が、その管理する港の臨海用地造成事業護岸工事について、工事共同企業体(JV)との間で請負契約を締結したところ、同工事の施工において、砂が使用されるべきであるにもかかわらずスラグが使用されたため、工事の目的物に瑕疵が生じ、対策工事を余儀なくされたなどとして、JVの構成員である被控訴人(被告、建設会社)らに対し、請負契約上の瑕疵担保責任ないし共同不法行為に基づく損害賠償として、対策工事費用相当額の支払いを求め、原審が請求を棄却した事案において、JVの故意または重大な過失により、工事の目的物に瑕疵が生じたとは認められないので、本件約款に基づく瑕疵担保責任にかかる請求については、既に除斥期間が経過したなどとして、控訴をいずれも棄却した事例。
2015.05.19
遺族補償等不支給処分取消請求事件(路線バスの運転手 飲酒検知で自殺は労災)
LEX/DB25505868/東京地方裁判所 平成27年2月25日 判決 (第一審)/平成25年(行ウ)第62号
亡αの妻である原告が、バス会社に勤めていたαが自殺したのは、バス会社において退職を強要されたことが原因で精神障害を発病したことによるものであり、当該精神障害は業務上の疾病に該当するとして、処分行政庁(八王子労働基準監督署長)に対し、遺族補償年金及び葬祭料の各支給を請求したところ、本件各不支給処分がなされたため、被告国に対し、その取消を求めた事案において、業務起因性の有無を判断するに当たって、基本的には厚労省労働基準局長通達「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(基発1226第1号)に従いつつこれを参考としながら、当該労働者に関する精神障害の発病に至るまでの具体的事情を総合的に斟酌し、必要に応じてこれを修正する手法を採用することとなるところ、原告については、本件精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が存在したとして、原告の請求を認容した事例。
2015.05.19
営業停止処分取消請求控訴事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25506178/札幌高等裁判所 平成26年2月20日 判決 (控訴審)/平成25年(行コ)第28号
処分行政庁から、風営法26条1項に基づき、一定期間の風俗営業の停止を命ずる処分を受けた控訴人(原告)が、被控訴人(被告、北海道)に対し、同処分の取消しを求め、原審は、営業の停止を命じられた一定期間の経過により、営業停止を命ずる同処分の効果はなくなっているところ、同処分を取り消すべきほどの違法性は認められず、この観点から同処分を取り消す訴えの利益を認める余地はないとして、訴えを却下した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2015.05.12
損害賠償請求事件(第1事件)、損害賠償請求事件(第2事件)
(マンション耐震強度不足 賠償命令)
LEX/DB25506180/仙台地方裁判所 平成27年3月30日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第2018号等
原告Xに引き渡された集合住宅には、コンクリート圧縮強度不足等の複数の瑕疵があり、そのために耐震性を欠くなどの補修し難い損害が生じたとして、請負人である被告Y1社に対し、請負契約の瑕疵担保責任ないし不法行為責任による損害賠償請求権に基づき、下請人である被告Y2社及び孫請人であるY3社に対し、原告Xが、不法行為責任による損害賠償請求権に基づき、建替費用相当額及び慰謝料等の連帯支払を求めた事案(第1事件)、被告Y1社が、当該集合住宅のクラック等の瑕疵を補修したとして、被告Y2社に対し、請負契約の瑕疵担保責任ないし不法行為責任による損害賠償請求権に基づき補修費用相当額等の支払を求めた事案(第2事件)において、第1事件では、当該集合住宅を施工した被告らの不法行為責任(賠償額約5億1900万円)を認め、原告Xの請求を一部認容し、第2事件では、被告Y1社の請求を棄却した事例。
2015.05.12
損害賠償請求事件(氷見えん罪事件 富山県に賠償命令)
LEX/DB25506112/富山地方裁判所 平成27年3月9日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第267号
氷見市で発生した強姦事件及び強姦未遂事件について逮捕、勾留、公訴提起され、有罪判決を受けて服役したが、服役後に真犯人が逮捕されたことから、再審により無罪判決が確定した原告が、被告Y1ら県警所属の警察官による捜査及び取調べ、並びに検察官である被告Y2による取調べ、供述調書の作成、公訴提起及び公訴維持に違法があるとして、被告富山県、被告国、被告Y1及びY2に対し、国家賠償法1条1項に基づき、連帯して、損害賠償の支払いを求めた事案において、被告富山県に対する請求を一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2015.05.12
(山口組の元最高幹部けん銃所持 差し戻し確定へ)
LEX/DB25506118/最高裁判所第三小法廷 平成27年3月3日 決定 (第二次上告審)/平成25年(あ)第1377号
指定暴力団の元最高幹部の被告人Yが、組員2人と共謀しけん銃と実弾を所持していたとして起訴された銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件において、高等裁判所が、無罪を言い渡した第一審判決を破棄し、差し戻したため、被告人が上告した事案において、上告趣意のうち、憲法39条違反をいう点は、検察官の上訴は同一の犯罪について重ねて刑事上の責任を問うものではなく、また、憲法37条1項違反をいう点は、記録に照らし、本件の審理が著しく遅延したとは認められないから、いずれも前提を欠き、その余は、判例違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとし、上告を棄却した事例。
2015.05.12
傷害被告事件(略式命令に対する正式裁判請求)(有罪なのに刑罰は「免除」)
LEX/DB25506111/大阪簡易裁判所 平成27年2月26日 判決 (第一審)/平成26年(ろ)第9号
被告人は、共犯者と共謀の上、コンビニエンスストア横歩道上において、被害者(当時56歳)に対し、手拳でその顔面等を多数回殴打する暴行を加え、同人に加療約21日間を要する傷害を負わせたとの事案において、動機や経緯から、被告人の行為は過剰防衛であり、起訴猶予処分が相当であったとして、被告人に対し、刑の免除を言い渡した上、杜撰で不公平かつバランスを欠いた捜査及び事件処理をしたものとして、捜査検事に対し苦言を呈した事例。
2015.05.12
(北海道苫小牧市女性死亡 傷害致死罪が成立)
LEX/DB25506125/最高裁判所第二小法廷 平成27年1月21日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第1190号
被告人が、被害者から自らの殺害行為を嘱託されたが、被告人は同嘱託を傷害の嘱託と理解して、被害者の頸部をバスローブの帯で締め付けた上、浴槽の水中に被害者の顔面を鎮める暴行を加えて、被害者を死亡させたとされた傷害致死被告事件の上告審において、被告人に適用される罰条を刑法202条後段のみであるとして懲役1年2月、執行猶予3年を言い渡した原々審の判決に対して、検察官及び被告人の双方が控訴して、被告人には傷害致死罪が成立するとして懲役2年執行猶予4年を言い渡した原審判決を妥当として、弁護人らの上告趣意は、憲法違反をいう点を含め、実質は単なる法令違反、事実誤認、量刑不当の主張であって、刑事訴訟法405条の上告理由には当たらないとして、上告を棄却した事例。
2015.05.07
審決取消等請求事件(JASRAC訴訟)
LEX/DB25447222/最高裁判所第三小法廷 平成27年4月28日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第75号
音楽著作権を有する者から委託を受けて音楽著作物の利用許諾等の音楽著作権の管理を行う音楽著作権管理事業である参加人(一般社団法人日本音楽著作権協会)が、音楽著作物の放送への利用の許諾につき、その使用料の徴収方法を定めて利用者らとの契約を締結しこれに基づくその徴収をする行為について、当該行為が上記の利用許諾に係る他の管理事業者の事業活動を排除するものとして独占禁止法2条5項所定のいわゆる排除型私的独占に該当し、独占禁止法3条に違反することを理由として排除措置命令がされたところ、これを不服とする審判の請求を経て、被告(上告人。公正取引委員会)により参加人の当該行為は同項所定の排除型私的独占に該当しないとして、上記命令を取り消す旨の審決がされたため、他の管理事業者である原告(被上告人)が、被告を相手に、上記審決の取消し等を求めたところ、原審は、上記審決の認定、判断には誤りがあるとし、原告の請求を認容したため、被告が上告した事案において、原審の判断は是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2015.05.07
各法人税更正処分取消等、通知処分取消請求控訴事件(日本IBM VS 国)
LEX/DB25506159/東京高等裁判所 平成27年3月25日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第208号
米国IBMの100%子会社であり外国法人である米国WTにより全持分を取得された原告(被控訴人。内国法人である同族会社)が、平成14年4月米国WTから日本IBMの発行済株式全部(本件株式購入)を購入し、その後、平成14年12月、平成15年12月及び平成17年12月の3回にわたり同株式の一部を日本IBMに譲渡をして、当該株式の譲渡に係る対価の額(利益の配当とみなされる金額に相当する金額を控除した金額)と当該株式の譲渡に係る原価の額との差額である有価証券(日本IBMの株式)の譲渡に係る譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額にそれぞれ算入し、このようにして本件各譲渡事業年度において生じた欠損金額に相当する金額を、平成20年1月1日に連結納税の承認があったものとみなされた連結所得の金額の計算上損金の額に算入して平成20年12月連結期の法人税の確定申告をしたところ、処分行政庁が、法人税132条1項の規定を適用して、本件各譲渡に係る上記の譲渡損失額を本件各譲渡事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入することを否認する旨の本件各譲渡事業年度更正処分等をそれぞれしたため、原告が、本件各譲渡事業年度更正処分は、同項の規定を適用する要件を満たさずにされた違法なものであるとして、各更正処分等の取消しを求めたところ、第一審で原告の請求をいずれも認容したため、被告(控訴人。国)が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2015.05.07
有印私文書偽造・同行使、詐欺、業務上横領被告事件(元米子市職員 業務上横領 第一審破棄)
LEX/DB25506083/広島高等裁判所松江支部 平成27年3月6日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第30号
被告人は、米子市役所の職員として高齢者である被害者の財産を管理していた際、預かっていた現金のうち30万円余を着服したとの業務上横領、被害者の死亡後、同人名義の銀行口座に入金された年金について、銀行窓口の職員を欺罔して15万円余を詐取したとの有印私文書偽造・同行使、詐欺被告事件において、原判決は懲役2年の実刑を言い渡し、これに対し、被告人が控訴をした事案において、事実誤認の主張は排斥したが、原判決の言渡し後に被害弁償を行ったこと、被害者相続人が被告人に対して寛大な処分を望んでいること、保釈中に正社員として就職したこと等を考慮し、被告人に対し、懲役2年6月、執行猶予5年を言い渡した事例。
2015.05.07
業務上過失傷害(変更後の訴因は業務上過失致死傷)被告事件
(古本屋 本棚倒壊 経営者有罪(控訴審))
LEX/DB25506075/札幌高等裁判所 平成27年3月5日 判決 (控訴審)/ 平成26年(う)第202号
訴外会社の取締役として、同社が経営する古書店の業務全般を統括するとともに、同店内にいる客の安全のため、同店内に設置された書棚の転倒や倒壊を確実に防止する措置を講じるべき業務に従事していた被告人が、各陳列棚の転倒による書棚の倒壊を確実に防止すべき業務上の注意義務があるのに、これを怠り、営業を続けた過失により、書棚に加わった軽度の外圧等によって、全ての陳列棚を転倒させて書棚を倒壊させ、客である甲(当時14歳)及び乙(当時10歳)に対し、その身体を書棚と書棚との間に挟ませて傷害を負わせ、乙を死亡するに至らせたとの業務上過失致死傷被告事件により、原審において有罪判決を受け、被告人が事実誤認を理由に控訴をした事案において、控訴を棄却した事例。