「LEX/DBインターネット」の「新着判例」コーナー
から、実務・研究上重要と思われる「注目の判例」を
ピックアップしてご紹介します。

その他の最新収録判例は、「LEX/DBインターネット」
ログイン後のデータベース選択画面にあります
「新着判例」コーナーでご確認いただけます。

「LEX/DBインターネット」の詳細は、こちらからご確認いただけます。

2015.03.03
京都消費者契約ネットワークほか VS NTTドコモほか
LEX/DB25505628/最高裁判所第一小法廷 平成26年12月11日 決定 (上告審)/平成25年(受)第548号
消費者契約法13条に基づき基づき内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体の原告(控訴人・申立人)が、被告(電気通信事業等を目的とする会社。被控訴人・相手方)が不特定多数の消費者との間で携帯電話利用サービス契約を締結する際に現に使用しており今後も使用するおそれのある解約金に関する条項は消費者契約法9条1号又は消費者契約法10条に該当して無効であると主張して、消費者契約法12条3項に基づき、当該条項の内容を含む契約締結の意思表示の差止めを求めた(甲事件)、及び被告との間で上記条項を内容に含む携帯電話利用サービス契約を締結し、同条項に基づく違約金を被告に対して支払った乙事件原告(個人。控訴人・申立人)らが、上記条項が無効であると主張して、不当利得に基づき、それぞれ利得金9975円又は1万9950円の返還及び遅延損害金の支払を求めた(乙事件)ところ、甲乙事件とも原告らの請求を棄却したため、原告らが控訴し、控訴審判決では、本件更新後解約金条項について、消費者契約法9条1号及び消費者契約法10条に反するとはいえないとし、第一審判決は相当であるとして、控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、本件を上告審として受理しないとした事例。
2015.03.03
(株)ファーストリテイリングほかVS(株)文藝春秋
LEX/DB25505465/最高裁判所第三小法廷 平成26年12月 9日 決定 (上告審)/平成26年(受)第1212号
カジュアル衣料品の製造型小売業を運営する原告ら(控訴人・申立人)が、被告(被控訴人・相手方)の発行した週刊誌及び書籍において、原告らの店舗の店長らが苛烈な労働環境にあり、原告らが取り扱っている製品の製造を委託している海外生産工場において劣悪で過重な労働が行われているにもかかわらず、原告らがこれを黙認しているという事実が摘示され、これにより原告らの名誉及び信用が毀損されたと主張して、被告に対し、書籍の発行頒布の禁止等を求めたところ、原判決が、一部を却下、一部を棄却した第一審判決を維持し、控訴を棄却したため、原告らが上告受理の申立てをした事案において、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとした事例。
2015.03.03
市町村長処分不服申立事件(裁判所ウェブサイト掲載事件の原審)
LEX/DB25505583/津家庭裁判所松坂支部 平成26年 3月24日 審判 (第一審)/平成25年(家)第911号
申立人らが、申立人夫婦の間に出生した申立人娘の出生届を松阪市に提出したところ、娘の名に「巫」の字があるが、戸籍法50条、戸籍法施行規則60条に定める文字ではないので、子の名に使用することはできないといわれたため、名を未定として出生届を提出し、その後、出生届の追完届を提出したが、同じ理由で不受理処分を受けたことから、相手方松阪市長に対し、出生届の追完届を受理するよう求めた市町村長処分不服申立ての事案において、「巫」の字をこの名前に使用したとしても、戸籍法50条が防止しようとする弊害を生じる事態を想定することは困難であり、同字は、社会通念上明らかに常用平易な文字に該当するとして、申立てを認め、市長に追完届の受理を命じた事例。
2015.02.24
求償金等請求事件
「新・判例解説Watch」H27.4月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447066/最高裁判所第三小法廷 平成27年2月17日 判決 (上告審)/平成24年(受)第1831号
一審被告(控訴人兼被控訴人・上告人)Y1の銀行からの借入債務につき信用保証委託を受け代位弁済した一審原告(被控訴人兼控訴人・被上告人)が、一審被告Y1に対しては、同額の事後求償権又は事前求償権に基づき、一審被告Y2に対しては、その連帯保証契約に基づき、連帯して求償金の支払を求めたところ、第一審では、事後求償請求を認容し、事前求償請求を棄却したため、一審原告及び一審被告らが双方控訴し、控訴審では、事前求償権を被保全債権とする仮差押えは、民法459条1項後段の規定に基づき主たる債務者に対して取得する事後求償権の消滅時効をも中断する効力を有するなどとして、一審原告の請求を認容すべきものとしたため、一審被告らが上告した事案において、原審の判断は正当として是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2015.02.24
(住民勝訴確定 前白井市長専決は違法)
LEX/DB25505496/最高裁判所第一小法廷 平成27年1月15日 決定 (上告審)/平成26年(行ツ)第13号等
千葉県白井市の住民である被上告人兼相手方(原告・被控訴人)らが、元同市市長であったAにおいて、その在任中、地方自治法179条1項の要件がないにもかかわらず、違法な専決処分により、北総鉄道に補助金を支出する旨の債務負担行為を行った旨主張して、同市市長である上告人兼申立人(被告・控訴人)に対し、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、〔1〕A元市長に対し、不法行為又は債務不履行による損害賠償請求権に基づき、上記支出に係る2363万2000円及びその振込手数料並びにこれらに対する遅延損害金の支払、〔2〕北総鉄道に対し、不当利得返還請求権に基づき、上記補助金として利得した2363万2000円及びこれに対する利息の支払をそれぞれ請求することを求めた事案の上告において、本件上告の理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに民事訴訟法312条1項又は2項に規定する事由に該当しないとし、また、本件申立ての理由によれば、本件は、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとして、上告棄却及び上告不受理の決定をした事例。
2015.02.24
憲法違反及び無効確認等請求事件(集団的自衛権巡る訴え)
LEX/DB25505492/東京地方裁判所 平成26年12月12日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第17722号
原告が、内閣総理大臣及びその他の国務大臣である被告らが行った平成26年7月1日付け「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」と題する閣議決定(本件閣議決定)のうち「3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置」の部分が憲法9条に違反し無効であることの確認を求める(本件無効確認の訴え)とともに、被告らが本件閣議決定をしたことにより原告の憲法上の権利が侵害されたと主張して、被告らに対し、連帯して、不法行為(民法709条、民法710条)に基づき、慰謝料10万円の支払を求めた(本件損害賠償請求)事案において、本件閣議決定のうち、「3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置」の部分によって、原告の権利義務に直接の影響が生ずるものとは認められないから、本件無効確認の訴えは、原告と被告らとの間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争とはいえず、法律上の争訟に当たらないとし、また、公権力の行使として職務を行った公務員である被告らが、個人として民法709条に基づく損害賠償責任を負うことはないとして、原告の本件無効確認の訴えは、いずれも不適法であるからこれを却下し、本件損害賠償請求は、いずれも理由がないからこれを棄却するとした事例。
2015.02.24
請求異議事件(諫早湾干拓事業訴訟 国の請求退ける)
LEX/DB25505419/佐賀地方裁判所 平成26年12月12日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第7号
原告が、佐賀地裁判決及び福岡高裁判決の本件確定判決によって排水門の解放を求める請求権を認容された者及びその相続人らである被告らに対し、潮受堤防の公共性ないし公益上の必要性は現時点においても失われていない、あるいは「防災上やむを得ない場合」に当たることから、開門請求権の行使を認めるべき違法性は現時点においても認められず、前記各排水門を解放するための強制執行は許されないこと、別件仮処分決定により原告が前記各排水門の解放禁止義務を負っていることからすれば、別件仮処分決定がされたことが独立の異議事由にあたること、これらの事情に鑑みれば強制執行は権利の濫用又は信義則違反に当たること、漁業協同組合を脱退したことにより漁業行使権に基づく開門請求権を失ったことが異議事由に当たる等と主張して、前記確定判決に基づく強制執行の不許を求めた事案において、前記相続人らに対する訴えについては被告適格を欠くとして一部却下し、漁業行使権を失った被告らに対する請求を認容し、その余の請求をいずれも棄却した事例。
2015.02.24
更正処分等取消請求控訴事件((有)三貴工業ほかVS国)
LEX/DB25505497/名古屋高等裁判所 平成26年12月11日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第49号
原告(被控訴人)らが総勘定元帳に計上した外注費を法人税の所得金額の計算上、損金の額に計上し、消費税及び地方消費税の計算上、課税仕入れに係る支払対価の額に含めてそれぞれ確定申告したところ、処分行政庁(大垣税務署長)が上記外注費が架空の原価であり、損金の額に算入できず、課税仕入れに係る支払対価の額に含まれるものではないとして、更正処分等をしたことから、原告らが、被告(控訴人。国)に対し、これら処分の取消しを求めたところ、原告の請求を認容したため、被告が控訴した事案において、法人税法の損金算入や消費税法上の仕入税額控除の可否に関する立証責任の所在に関し、控訴人が主張する理解を前提にしても、本件については、更正処分時に存在した資料等に基づいて本件外注費を損金に算入し、仕入税額控除の対象とすることができないことが事実上推認できる場合とはいえない等として、本件外注費が架空のものであることを前提とする本件各処分を取り消すべきものとした原判決を支持して、本件控訴を棄却した事例。
2015.02.24
準強姦被告事件 (無罪)
LEX/DB25505426/福岡高等裁判所宮崎支部 平成26年12月11日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第20号
被告人が、自ら主催するゴルフ教室の生徒である被害者(当時18歳)を、ゴルフ指導の一環との口実でホテルの一室に連れ込み、恩師として信頼していた被告人の言動に強い衝撃を受けて極度に畏怖・困惑し、思考が混乱して抗拒不能の状態に陥っている被害者を、その旨を認識しながら姦淫したとする準強姦被告事件において、原審は、被害者が被告人との性交を拒否しなかった原因としては、信頼していた被告人から突然性交を持ちかけられたことによる精神的混乱により抗拒不能に陥っていた可能性がある一方で、そのような精神的混乱はあったものの、その程度は抗拒不能に陥るほどではなく、自分から主体的な行動を起こさなかった可能性も排斥できず、被害者が抗拒不能状態であったことの合理的な疑いを超える証明はできていないとして無罪を言い渡したため、検察官の職務を行う指定弁護士が控訴した事案において、被告人を無罪とした原判決は結論において正当であるとし、控訴を棄却した事例。
2015.02.24
損害賠償請求控訴事件(地盤沈下 広島市に損害賠償請求 控訴棄却)
LEX/DB25505422/広島高等裁判所 平成26年12月10日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第123号
被告(被控訴人。広島市)が行った下水道工事が原因で原告(控訴人)の所有地が地盤沈下し、同土地上の原告所有建物に損傷が生じたとの理由で、原告が被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、前記建物の立替費用相当額の損害賠償金の支払を求めたところ、原審は、原告の請求を棄却したため、原告がこれを不服として控訴した事案において、原判決は相当であるとし、控訴を棄却した事例。
2015.02.24
損害賠償等請求控訴事件(浜千鳥リサイクルVS三重県紀北町)
LEX/DB25505500/名古屋高等裁判所 平成26年11月26日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第706号
一審原告が旧紀伊長島町内において産業廃棄物中間処理施設を設置しようとしていたところ、旧紀伊長島町長から本件条例に基づき本件施設を含む事業場について、旧紀伊長島町の水道水源に影響を及ぼすおそれがあるとして本件条例2条5号所定の規制対象事業場と認定する本件処分を受けたが、その後、本件処分を取り消す旨の判決が確定したため、一審原告が、一審被告に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審において、原判決と異なり、一審原告の本訴請求のうち主位的損害は理由がなく、予備的損害について、町長が違法に本件処分をしたことにより一審原告が、本件施設について本件事業計画を実現可能な規模や内容のものに変更して設置し稼働することができなくなり、無用となったもので損害と認めることができるとして、F社に支払った費用等の一部で理由があるとして、一審被告の控訴に基づき、原判決を変更した事例。
2015.02.24
自動車運転過失傷害、道路交通法違反被告事件(無罪)
LEX/DB25505501/札幌地方裁判所 平成26年10月17日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第695号
被告人運転車両が本件横断歩道上を進行していたところに、同横断歩道を駆け足で渡っていたAが同車両右側面の運転席ドア付近に衝突しその場に転倒した本件事故につき、Aが被告人運転車両との衝突ないし接触により傷害を負ったかどうかが争われた自動車運転過失傷害、道路交通法違反被告事件の事案において、Aに本件診断書に記載されたとおりの傷害結果が生じたことについては,合理的な疑いが残るといわざるを得ず、すなわち、本件事故により、Aが公訴事実第1記載の傷害を負ったと認めることはできないとして、本件公訴事実第1については、本件事故による傷害の事実が認められず、本件公訴事実第2についても、被告人は、救護義務及び報告義務の前提となる交通事故を起こしたとは認められず、本件公訴事実のいずれについても犯罪の証明がないことになるから、刑事訴訟法336条により、被告人に無罪を言い渡した事例。
2015.02.17
損害賠償請求事件(甲事件)、損害賠償請求事件(乙事件)(大阪市の労組活動アンケート、違憲「団結権侵害」)
「新・判例解説Watch」H27.4月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25505564/大阪地方裁判所 平成27年 1月21日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第4348号等
被告大阪市の職員X1ら28名並びに被告大阪市の職員により組織された労働組合、職員団体又はこれらの連合団体である原告組合ら5団体が、当該アンケートは原告らの思想・良心の自由、プライバシー権、政治活動の事由及び団結権を侵害するなどとして違憲・違法なものであるところ、市長等は、当該アンケートに回答することを命じる違法な職務命令を発出し、被告大阪市の担当者は、当該アンケートの実施を決定するなどして、いずれも故意又は過失により、原告X2に精神的損害を生じさせるとともに、原告組合らに無形的損害を生じさせたものであり、また、被告大阪市の職員としての身分を有しない被告Y1は、故意又は過失により、当該アンケートを作成し実施させ、前記原告らに前記各損害を生じさせたものであり、被告大阪市の公務員による行為は共同不法行為を構成すると主張して、被告大阪市及び被告Y1に対し、損害賠償金等を求めた事案(甲事件)、被告大阪市の職員として交通局に所属する原告X2が、当該アンケートは違憲・違法なものであるところ、交通局長は、当該アンケートに回答することを命じる違法な職務命令を発出して、故意又は過失により、原告X2に精神的損害及び弁護士費用相当額の損害を生じさせたと主張して、被告大阪市に対し、損害賠償金等の支払を求めた事案(乙事件)において、被告大阪市は、当該アンケートの実施によって原告らが被った国家賠償責任を負うとし、被告Y1は、当該アンケートの実施により甲事件原告らが被った損害賠償責任を負うとし、また、市長・総務局長等の違法行為及び被告Y1の不法行為は、客観的関連共同性を有するものということができるとして、被告大阪市と被告Y1は、連帯して甲事件原告らに生じた損害賠償責任を負うとし、原告らの請求を一部認容した事例。
2015.02.17
住居侵入,強盗強姦未遂,強盗致傷,強盗強姦,監禁,窃盗,窃盗未遂,強盗殺人,建造物侵入,現住建造物等放火,死体損壊被告事件(裁判員の「死刑」破棄 無期懲役確定へ 1)
LEX/DB25447048/最高裁判所第二小法廷 平成27年 2月 3日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第1729号
被告人が、約2か月の間に、強盗殺人や現住建造物等放火の各犯行に加え、強盗致傷や強盗強姦、同未遂等の各犯行を次々と敢行したという事件で、裁判員裁判の第一審では、死刑を言い渡したため、被告人がこれを不服として控訴し、控訴審では、第一審には無期懲役と死刑という質的に異なる刑の選択に誤りがあるとして、第一審(死刑)を破棄し、被告人を無期懲役に処したところ、検察官及び被告人の双方が上告した事案において、本件では、被告人を死刑に処すべき具体的、説得的な根拠を見いだし難いと判断したものと解し無期懲役に処した控訴審判決の結論は、当審も是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2015.02.17
住居侵入,強盗殺人被告事件(裁判員の「死刑」破棄 無期懲役確定へ 2)
LEX/DB25447049/最高裁判所第二小法廷 平成27年 2月 3日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第1127号
金品を強奪する目的で、マンションの被害男性方居室に無施錠の玄関ドアから侵入し、室内にいた当時74歳の被害男性を発見し、同人を殺害して金品を強奪しようと決意し、殺意をもって、その頸部をステンレス製三徳包丁で突き刺し、同人を頸部刺創に基づく左右総頸動脈損傷による失血により死亡させた事件で、裁判員裁判の第一審では、被告人を死刑に処したため、被告人がこれを不服として控訴し、控訴審では、前科を重視して死刑を選択することには疑問があり、第一審は人の生命を奪った前科があることを過度に重視した結果、死刑を選択した誤りがあるとして、無期懲役に処したところ、検察官及び被告人の双方が上告した事案において、本件では、被告人を死刑に処すべき具体的、説得的な根拠を見いだし難いと判断したものと解し無期懲役に処した控訴審判決の結論は、当審も是認することができるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2015.02.17
覚せい剤取締法違反被告事件(原判決(無罪判決)破棄(控訴審))
LEX/DB25505415/東京高等裁判所 平成26年12月11日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第786号
覚せい剤の自己使用の事案の控訴審において、被告人の尿から覚せい剤の成分が検出されていることからすると、特段の事情がない限り、被告人が自らの意思で覚せい剤を摂取したものと推認されるとした上で、A供述及び被告人供述の信用性を肯定し、上記推認を妨げる特段の事情があるとした原判決は、経験則等に照らして不合理なものであり、本件において特段の事情は認められないのであって、Aの当審公判供述にも照らすと、被告人が自らの意思で覚せい剤を摂取したものと推認されるべきであるとして、検察官の控訴を容れて、原判決(無罪判決)を破棄し、被告人を懲役2年6月に処した事例。
2015.02.17
国家賠償等請求事件、請負代金請求事件(宅地開発事業をめぐる訴訟 東神楽町)
LEX/DB25505408/旭川地方裁判所 平成26年12月 9日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第177号等
原告(甲事件原告兼乙事件原告)が、上川郡東神楽町の宅地を対象とする開発分譲事業に関して、被告公社(乙事件被告)との間で事業計画書の作成を目的とする請負契約を締結したと主張して、被告公社に対し、報酬315万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事件(乙事件)と、原告が、同事業に関連する防災調節池設置管理事業のための用地買収に際して、被告町(甲事件被告・東神楽町)との間で土地購入代金の立替払の合意をし、これに基づき地権者に立替払をしたと主張して、被告町に対し、立替金等合計184万8831円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める事件(甲事件)とが併合審理された事案において、被告公社は、平成21年2月2日、原告との間で、本件請負契約を締結したと認めるのが相当であるとした上で、本件事業計画書の対価は300万円を下らないというべきであって、本件請負契約における相当報酬額は315万円(消費税5パーセント相当分を含む。)と認めるのが相当であるとし、また、原告と被告町との間で、平成21年6月16日、本件立替払合意が成立したと認めるのが相当であるとした上で、弁護士費用及び振込手数料についての原告の請求には理由がないとして、甲事件原告の請求を一部認容(134万7991円)、一部棄却(弁護士費用50万円及び立替払時に生じた振込手数料840円)し、乙事件原告の請求を全部認容した事例。
2015.02.17
覚せい剤取締法違反被告事件 (無罪)
LEX/DB25505410/福岡地方裁判所小倉支部 平成26年12月 9日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第525号
「被告人は、みだりに、平成26年7月11日、北九州市(以下略)所在の被告人方で、覚せい剤約0.978グラムを所持した」という公訴事実について、本件覚せい剤があることを知らなかったという被告人の弁解は、その行動等に裏付けられており、基本的に信用できる、又は、少なくともそれを信用できないとして排斥することは困難であるとし、また、本件覚せい剤が、被告人とは関係なく、本件ジャンパーのポケットに入れられ、捜索により発見された可能性も否定できないとして、被告人に対し無罪の言い渡しをした事例。
2015.02.17
損害賠償請求事件(子宮頸がんワクチン注射 注射位置ミス事件)
LEX/DB25505411/福岡地方裁判所小倉支部 平成26年12月 9日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第429号
被告(北九州市)が地方公営企業として設置・運営している北九州市立八幡病院において、子宮頸がん予防ワクチンの接種を受けた原告が、同病院の医師は、原告の左腕の肩峰から三横指(手指の幅)下部に注射すべき義務があったのに、左肩峰から一横指下部辺りの適正位置より高い位置に注射した過失により、注射針を原告の左肩峰下滑液包に到達させて同滑液包内に薬液を注入したため、原告は、左肩関節炎を発症し、疼痛及び可動域制限の後遺障害を残したとして、被告に対し、不法行為(使用者責任)又は診療契約上の債務不履行に基づき、1559万0279円の損害賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、A医師は、上腕部の三角筋内に注射されるよう肩峰三横指下の位置付近に行うべきサーバリックスの接種を、それより高い位置(肩峰一横指下の位置)に打ったことが認められ、これが注意義務違反を構成するところ、本件注射後3時間程度のうち左肩に強い痛みが生じたこと、本件注射の6日後に滑液包内に炎症所見が見られたこと、可動域制限の状況が出るなどしたことが認められ、原告について、本件注射により左肩関節炎を発症したものと認めることができるとして、原告の請求を一部認容(762万8614円)、一部棄却した事例。
2015.02.10
クロレラチラシ配布差止等請求事件
LEX/DB25505573/京都地方裁判所 平成27年1月21日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第116号
原告(京都市の消費者団体)が、健康食品「クロレラ」を紹介する広告に、医薬品のような薬効があるかのように表示するのは不当景品類及び不当表示防止法(景表法)などに違反するとして、被告会社(健康食品販売会社)に対し、表示と広告配布の差し止めを求めた事案において、被告会社は、新聞折込チラシを配布することにより、被告商品の内容について優良誤認表示を行ったと認められ、今後も、被告会社は、自己又は第三者をして、被告商品の内容について優良誤認表示を行うおそれがあると認められるとして、原告の請求を認容した事例。