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2015.01.20
損害賠償請求控訴事件(アートネイチャー第三者割当増資に係る株主代表訴訟事件(控訴審))
LEX/DB25505193/東京高等裁判所 平成26年11月26日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第4044号
被控訴人(被告)ら補助参加人の株主である控訴人(原告)らが、補助参加人の取締役会は、補助参加人の取締役又は監査役の地位にある被控訴人らに対し、普通株式を発行して割り当てたが、同第三者割当は「特ニ有利ナル発行価格」(旧商法280条ノ2第2項)による発行に当たるにもかかわらず、その理由を開示しなかった法令違反により、補助参加人が損害を負ったとして、被控訴人らに対し、旧商法266条1項5号に基づく損害賠償金の支払い等を求め、原審が請求を棄却した事案において、控訴を棄却した事例。
2015.01.20
発信不許可処分取消請求控訴事件
LEX/DB25505187/大阪高等裁判所 平成26年11月14日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第107号
死刑確定者として大阪拘置所に収容中の被控訴人(原告)が、被控訴人が書いた原稿が同封された信書の発信の申請をしたところ、不許可処分を受けたことから、控訴人(被告、国)に対し、同処分の取消しを求め、原審は、同処分は裁量権の範囲を逸脱したとして、請求を認容し、処分を取り消したとの事案において、控訴審は、同信書について、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律139条2項所定の「その発受を必要とする事情」があるとは認められないから、同処分には、裁量の範囲を逸脱した違法があるということはできないとして、原判決を取り消し、被控訴人の請求を棄却した事例。
2015.01.20
国家賠償請求事件(接見室内での写真撮影で接見打ち切りは違法)
LEX/DB25505290/東京地方裁判所 平成26年11月 7日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第28903号
弁護人である原告が、東京拘置所にて被告人Aと接見していた際にAの写真撮影を行ったところ、東京拘置所職員により接見及び写真撮影を中断・終了させられたが、当該東京拘置所職員の行為は、原告の接見交通権を侵害する違法なものである、あるいは、東京拘置所職員による接見終了の手続は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(収容法)に違反している等と主張して、被告に対し、国家賠償法(国賠法)に基づく損害賠償請求として、慰謝料1000万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、本件措置には、収容法117条が準用する113条1項及び2項に反した違法があるところ、これによって憲法の保障に由来する原告の接見交通権が不当に侵害されたのであるから、本件措置は国賠法1条1項にいう違法な行為にあたるとした上で、本件措置がとられたことにより原告に生じた精神的苦痛に対する慰謝料は、10万円をもって相当と認められるとして、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2015.01.20
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25505288/大阪高等裁判所 平成26年11月 6日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第612号
覚せい剤の自己使用と所持各1件から成る事案の控訴審において、被告人の覚せい剤依存性治療への取組や家族・医療機関の協力体勢等といった事情は、本件各犯行後の被告人の反省の情及び更生の意欲並びに更生環境がそれなりに整えられていることの表れとして、一定程度評価する余地があることは否定し難いものの、本件において懲役刑の執行を再度猶予するか否かという判断を左右するほど被告人に有利な事情として重視すべきものではないといわざるを得ず、本件各犯行の犯情等の悪質さに照らすと、他方で、上記の事情を踏まえても、本件の情状に再度の刑執行猶予を許すべきといえるほど特に酌量すべきものがあるとは認められないとして、検察官の控訴を容れて、原判決(懲役1年、再度の刑執行猶予(猶予期間4年間、付保護観察))を破棄し、被告人を懲役1年2月に処した事例。
2015.01.20
損害賠償請求控訴事件(カンガルーケアを巡る裁判(控訴審))
LEX/DB25505185/大阪高等裁判所 平成26年10月31日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第2922号
被控訴人(被告。医療法人)が経営する病院で正期産児として出生した控訴人(原告)甲に対し、出生直後からいわゆるカンガルーケアが行われていたところ、甲が呼吸停止の状態に陥り、その結果、甲に全身麻痺等の重度の後遺障害が残存したことについて、カンガルーケアは一定のリスクを伴うものであることが既に知られていたのであるから、被控訴人病院の医療従事者らが、甲に対してカンガルーケアを行うに当たっては、安全性を確保するための措置を講じるべき注意義務があったのにこれを怠ったなどと主張して、また、甲の両親である控訴人(原告)乙及び同丙が、精神的苦痛を被ったとして、甲が、被控訴人に対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求め、一審が請求を棄却した事案において、各控訴をいずれも棄却した事例。
2015.01.20
営業妨害予防等請求控訴事件
LEX/DB25505289/大阪高等裁判所 平成26年10月31日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第471号
個人タクシー事業を営む原告らが、神戸電鉄の子会社であり神戸電鉄沿線を中心にタクシー事業を営む被告に対して、被告が、公道にある私鉄駅前タクシー乗り場のタクシー待機場所を被告専用のものとして独占的に使用して原告らの使用を拒絶し、実際に原告らが乗り入れた際に妨害行為をしたと主張して、営業権に基づく妨害予防請求権又は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律24条に基づく差止請求権を理由として、それぞれその妨害行為の差止めを求めるとともに、原告A及び原告Bにおいて、上記妨害行為により損害を被ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償請求権を理由として、原告Aにおいて15万0660円、原告Bにおいて15万0640円(いずれもうち10万円が慰謝料、5万円が弁護士費用、その余は営業損害。)及びこれらに対する遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審において、原告らの独禁法24条に基づく差止請求は、不当な取引妨害に当たる主文第2、3項の行為(待機場所に進入しようとした原告側タクシーの前に立ちはだからせたり、その前に被告タクシーを割り込ませて待機場所への進入や、待機場所内で先頭車両となることを妨害し、先頭車両となった原告側タクシーの扉の横に座り込ませたり、その前に立ちはだからせたりして、原告側タクシーが利用者を乗せて発進することを妨害するという物理的な実力を組織的に用いるというもの)の差止めを求める限度で理由があるなどとして、原告らの控訴及び被告の控訴に基づき、原判決を変更した事例。
2015.01.20
不当利得返還等請求事件(本訴)、預金返還反訴請求事件(反訴)
LEX/DB25505291/東京地方裁判所 平成26年10月27日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第25652号等
本訴は、原告(本訴原告・反訴被告)の海外資金を原告における業務として管理していた被告(本訴被告・反訴原告)が、原告からフィリピン共和国内の被告名義の口座に入金された150万6000米ドルのうち84万米ドルを香港の原告管理に係る口座に送金したものの、残額66万6000米ドルを同口座に送金しないとして、原告が、被告に対し、雇用契約に付随する預託関係が終了したことに基づく預託金返還請求として、66万6000米ドルを平成21年7月23日時点での対米ドル円相場(1ドル94.35円)で換算した6283万7100円の返還及び遅延損害金の支払を求め、反訴は、被告が原告を退職したことにより原告に寄託していた従業員預り金(社内預金)に係る寄託契約が終了したとして、原告に対し、寄託契約が終了したことに基づく寄託金返還請求として、164万3273円の返還及び遅延損害金の支払を求めた事案において、本訴の訴えの取下げに条件を付すことはその性質上許されず、したがって、原告が本訴請求債権を自働債権とし、反訴請求債権を受働債権として相殺の抗弁を主張することは許されないとして、本訴請求を一部認容(5万米ドルについてのみ)、一部棄却し、反訴請求を全部認容した事例。
2015.01.20
損害賠償請求事件((株)ユニバーサルエンターテインメントVS(株)光文社)
LEX/DB25505195/東京地方裁判所 平成26年10月20日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第8482号
パチスロ機及びパチンコ機等の開発・製造等を主な業務とする原告が、写真週刊誌掲載の記事は、原告がフィリピン娯楽賭博公社の高官に対して多額の賄賂を渡し、その見返りとして、不正にフィリピンのカジノ事業において特別の便宜を与えられたとの事実を摘示するものであり、これにより原告の名誉及び信用が毀損されたと主張して、同雑誌を発行した被告に対し、不法行為に基づき、損害賠償金の支払いを求めた事案において、同記事は、原告の社会的評価・信用を低下させるものであり、また、その摘示する事実が真実であるとも、真実であると信じるにつき相当な理由があったものとも認められないから、不法行為の成立が認められるとして、請求を一部認容した事例。
2015.01.20
債務不存在確認請求事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25505196/東京地方裁判所 平成26年 4月24日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第32026号
原告(豆腐機械等の製造販売を業とする株式会社)が、被告(食品加工機械の製造販売等を業とする株式会社)に対し、原告による原告製品の生産、譲渡等が被告の保有する「円筒式絞り機」に関する特許権の侵害に当たらないとして、被告が原告に対して特許権に基づく差止請求権、廃棄請求権、特許権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権及び特許権侵害による不当利得返還請求権を有しないことの確認を求めた事案において、原告と被告の間に、確認判決により即時に確定すべき紛争が存在するとはいえず、訴えに確認の利益があるということはできないとして、訴えを却下した事例。
2015.01.13
遺言書真正確認等(第1事件)、求償金等(第2事件)請求控訴事件(遺言書の手書きのサイン「花押」有効(控訴審))
LEX/DB25505300/福岡高等裁判所那覇支部 平成26年10月23日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第62号
第1事件は、被相続人亡αの次男である原告(被控訴人)が、αの長男である被告(控訴人)Y1及び三男である被告(控訴人)Y2に対し、αの遺言(遺言書1)により、αが所有していた本件土地の遺贈を受けたとして、本件土地の所有権に基づき、本件土地の所有権移転登記手続を求め、第2事件は、被告(控訴人)らが、原告(被控訴人)に対し、αの妻であったβの遺言(遺言書2)が、βが作成したものではないか原告の強迫又は欺罔行為によって作成したものであるとして、当該遺言が無効であることの確認を求めたところ、原審は、第1事件に係る原告の請求を認容し、第2事件に係る被告らの請求を棄却したため、被告らが控訴した事案において、被告らの控訴は理由がないとして、本件控訴を棄却した事例。
2015.01.13
遺言書真正確認等請求事件(第1事件)、求償金等請求事件(第2事件)(遺言書の手書きのサイン「花押」有効(第一審))
LEX/DB25505301/那覇地方裁判所 平成26年3月27日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第342号等
第1事件は、被相続人亡αの次男である原告が、αの長男である被告Y1及び三男である被告Y2に対し、αの遺言(遺言書1)により、αが所有していた本件土地の遺贈を受けたとして、本件土地の所有権に基づき、本件土地の所有権移転登記手続を求めた事案で、第2事件は、被告らが、原告に対し、αの妻であったβの遺言(遺言書2)が、βが作成したものではないか原告の強迫又は欺罔行為によって作成したものであるとして、当該遺言が無効であることの確認を求めた事案において、第1事件では、遺言書1はαの意思で作成し、遺言書1のαの花押は自筆証書遺言における押印と認められ、本件土地につき所有権移転登記手続を求めた原告の第1事件の請求を認容した。第2事件では、遺言書2はβが自筆して作成したものであると認めるのが相当であり、偽造によるものではないとし、遺言書2は有効であるとして、第2事件における被告らの請求を棄却した事例。
2015.01.13
住居侵入、強姦致傷、窃盗、強姦被告事件(HIV感染知りながら女性に乱暴した事件 懲役23年)
LEX/DB25505260/横浜地方裁判所 平成26年11月14日 判決 (第一審)/平成25年(わ)第2238号等
被告人は、強いて女性を姦淫する目的で、平成24年7月8日午前2時頃、横浜市内の当時の被害者女性方居室内に無施錠の玄関から侵入し、その頃から同日午前2時45分頃までの間、同所において、同女(当時21歳)に対し、その口を塞ぎ、「静かにしろ、騒ぐと殺すぞ。」と言うなどの暴行、脅迫を加え、その反抗を抑圧した上、強いて同女を姦淫し、その際、同女に全治約1週間を要する膣壁裂傷の傷害を負わせた(被告人は、HIVに感染していながら、強姦致傷及び強姦の犯行を4か月の間に5人もの被害者に対して繰り返し、その際に4件の窃盗も犯している)として、被告人を懲役23年に処した事例(裁判員裁判)。
2015.01.13
わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録有償頒布目的保管被告事件
LEX/DB25446840/最高裁判所第三小法廷 平成26年11月25日 決定 (上告審)/平成25年(あ)第574号
日本在住の被告人は、日本及びアメリカ合衆国在住の共犯者らとともに、日本国内で作成したわいせつな動画等のデータファイルをアメリカ合衆国在住の共犯者らの下に送り、同人らにおいて同国内に設置されたサーバコンピュータに同データファイルを記録、保存し、日本人を中心とした不特定かつ多数の顧客にインターネットを介した操作をさせて同データファイルをダウンロードさせる方法によって有料配信する日本語のウェブサイトを運営していたところ、平成23年7月及び同年12月、日本国内の顧客が同配信サイトを利用してわいせつな動画等のデータファイルをダウンロードして同国内に設置されたパーソナルコンピュータに記録、保存し、平成24年5月、被告人らは、前記有料配信に備えてのバックアップ等のために、東京都内の事務所において、DVDやハードディスクにわいせつな動画等のデータファイルを保管した事実につき、刑法175条1項後段にいう「頒布」とは、不特定又は多数の者の記録媒体上に電磁的記録その他の記録を存在するに至らしめることをいうと解され、被告人らが運営する前記配信サイトには、インターネットを介したダウンロード操作に応じて自動的にデータを送信する機能が備付けられていたのであって、顧客による操作は被告人らが意図していた送信の契機となるものにすぎず、被告人らは、これに応じてサーバコンピュータから顧客のパーソナルコンピュータへデータを送信したというべきであり、不特定の者である顧客によるダウンロード操作を契機とするものであっても、その操作に応じて自動的にデータを送信する機能を備えた配信サイトを利用して送信する方法によってわいせつな動画等のデータファイルを当該顧客のパーソナルコンピュータ等の記録媒体上に記録、保存させることは、刑法175条1項後段にいうわいせつな電磁的記録の「頒布」に当たるとし、また、被告人らが、同項後段の罪を日本国内において犯した者に当たることも、同条2項所定の目的を有していたことも明らかであるとして、被告人に対しわいせつ電磁的記録等送信頒布罪及びわいせつ電磁的記録有償頒布目的保管罪の成立を認めた原判断は正当であるとして、本件上告を棄却した事例。
2015.01.13
関税法違反被告事件
LEX/DB25446834/最高裁判所第二小法廷 平成26年11月7日 判決 (上告審)/平成25年(あ)第1334号
被告人は、D、B、E、A、C及び氏名不詳者と共謀の上、税関長の許可を受けないで、うなぎの稚魚を中華人民共和国に不正に輸出しようと考え、成田国際空港第2旅客ターミナルにおいて、航空機の搭乗手続を行うに当たり、税関長に何ら申告しないまま、うなぎの稚魚合計約59.22kg在中のスーツケース6個を機内持込手荷物である旨偽って同所に設置されたエックス線装置による検査を受けずに国際線チェックインカウンターエリア内に持ち込み、あらかじめ入手した保安検査済シールを各スーツケースに貼付するなどした上、同カウンター係員に本件スーツケース6個を機内預託手荷物として運送委託することにより、税関長の許可を受けないでうなぎの稚魚を輸出しようとしたが、税関職員の検査により本件スーツケース内のうなぎの稚魚を発見された無許可輸出の未遂罪の事実につき、第一審判決は、被告人らが運送委託を企図したということを示したものと理解するのが相当であるとして、被告人を罰金88万円に処したところ、被告人は、第一審判決に対して量刑不当を理由に控訴し、原判決は、無許可輸出罪の実行の着手時期に関し、「検査済みシールを本件スーツケース6個に貼付するなどした」までの事実をもって、無許可輸出の未遂罪が成立するとはいえず、単に無許可輸出の予備罪が成立するにとどまるというべきであり、第一審判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるとして、第一審判決を破棄し、被告人を罰金50万円に処したところ、双方が上告した事案において、本件スーツケース6個を、機内預託手荷物として搭乗予約済みの航空機に積載させる意図の下、機内持込手荷物と偽って保安検査を回避して同エリア内に持ち込み、不正に入手した検査済みシールを貼付した時点では、既に航空機に積載するに至る客観的な危険性が明らかに認められるから、関税法111条3項、1項1号の無許可輸出罪の実行の着手があったものと解するのが相当であるとし、無許可輸出の予備罪にとどまるとして第一審判決を破棄した原判決には法令の解釈適用を誤った違法があるとして、原判決を破棄し、第一審判決は、被告人に対し罰金88万円に処した量刑判断を含め、これを維持するのが相当であるとした事例(補足意見がある)。
2015.01.06
賠償金請求事件
LEX/DB25446831/最高裁判所第二小法廷 平成26年12月19日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1833号
共同企業体との間で一般競争入札の方法により請負契約を締結した普通地方公共団体である被上告人が、後に当該共同企業体の構成員のうち1社につき公正取引委員会の排除措置命令及び課徴金納付命令が確定したことを理由に、当該請負契約の約款に基づき、他の構成員である上告人に対し、約定の賠償金及び遅延損害金の支払を求めたところ、原審は、被上告人の請求を認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、本件賠償金条項において排除措置命令等が確定したことを要する「乙」とは、本件共同企業体又は「A建設及び上告人」をいうものとする点で合意が成立していると解するのが相当であり、後に上告人に対する排除措置命令等が確定すれば、被上告人としては改めて上告人に対して賠償金の支払を求めることができるから、本件賠償金条項の目的が不当に害されることにもならないとして、これと異なる原審の判断には法令の違反があるとし、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、被上告人の請求を棄却した事例(補足意見がある)。
2015.01.06
延滞税納付債務不存在確認等請求事件
LEX/DB25446819/最高裁判所第二小法廷 平成26年12月12日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第449号
亡Aの相続人である上告人らが、Aの相続について、それぞれ、法定申告期限内に相続税の申告及び納付をした後、その申告に係る相続税額が過大であるとして更正の請求をしたところ、所轄税務署長において、相続財産の評価の誤りを理由に減額更正をするとともに還付加算金を加算して過納金を還付した後、再び相続財産の評価の誤りを理由に増額更正をし、これにより新たに納付すべきこととなった本税額につき、国税通則法60条1項2号、2項及び国税通則法61条1項1号に基づき、法定納期限の翌日から完納の日までの期間(ただし、法定申告期限から1年を経過する日の翌日から上記の増額更正に係る更正通知書が発せられた日までの期間を除く。)に係る延滞税の納付の催告をしたことから、上告人らが、被上告人を相手に、上記の延滞税は発生していないとして、その納付義務がないことの確認を求めた事案の上告審において、本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分は、本件各相続税の法定納期限の翌日から本件各増額更正に係る増差本税額の納期限までの期間については、国税通則法60条1項2号において延滞税の発生が予定されている延滞と評価すべき納付の不履行による未納付の国税に当たるものではないというべきであるから、本件各相続税のうち本件各増差本税額に相当する部分について本件期間に係る延滞税が発生しないと解するのが相当であるとし、異なる見解の原審の判断には、明らかな法令の違反があるとして、原判決を破棄し、第一審判決を取消し、上告人らの請求をいずれも認容すべきであるとした事例(補足意見及び意見がある)。
2015.01.06
相続預り金請求事件
「新・判例解説Watch」H27.2月中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25446820/最高裁判所第二小法廷 平成26年12月12日 判決 (上告審)/平成24年(受)第2675号
販売会社のB証券から購入した複数の投資信託に係る受益権を有していた亡A(平成8年10月死亡)の子である上告人(亡Aの法定相続人は、上告人を含めて3名で、その法定相続分は各3分の1)が、被上告人に対し、平成8年11月から平成10年9月までの間に発生した本件投資信託の収益分配金及び平成16年に発生した本件投資信託の元本償還金は,B証券又は同社を吸収合併した被上告人の亡A名義の口座に本件預り金の3分の1に当たる金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたところ、原審は、本件預り金債権は当然に相続分に応じて分割されるものではないなどとして、上告人の請求を棄却すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、共同相続人の1人である上告人は、被上告人に対し、自己の相続分に相当する金員の支払を請求することができないとし、原審の判断は是認することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2015.01.06
MBO株主代表訴訟事件(シャルレMBOに係る株主代表訴訟事件)
LEX/DB25505137/神戸地方裁判所 平成26年10月16日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第3484号
株式会社シャルレの株主である原告が、同社の取締役である被告らに対し、同社の二段階買収たるマネジメント・バイアウト(MBO)を行うに際し、被告らが利益相反等の善管注意義務違反及び忠実義務違反並びに情報開示義務違反にあたる行為をし、そのために本件MBOが頓挫したことから、同社が無駄な費用を支出し、その信用が失墜したと主張して、会社法432条1項、会社法430条及び会社法847条3項に基づき、連帯して、被告らに対し、同社に損害賠償を支払うことを求めて提起した株主代表訴訟において、本件MBOの実施に当たり被告ら取締役が同社に対して負っている善管注意義務のうち、被告Y1らはMBOの手続的公正さ確保に向けての配慮義務と情報開示義務に違反し、また、被告Y2らは情報開示義務に違反する等と示し、それら義務違反と相当因果関係のある損害額を算出して、原告の請求を一部認容した事例。
2014.12.22
岐阜県瑞浪市いじめ事件
LEX/DB25505136/最高裁判所第二小法廷 平成26年10月15日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第470号等
当時中学2年生であった娘が自殺したのは、同学年の生徒らのいじめが原因であるとして、娘の父母である上告人兼申立人らが、生徒ら及びその父母を被上告人兼相手方として、生徒らに対しては共同不法行為に基づき、父母らに対しては教育及び監督監護義務違反による不法行為に基づき、損害賠償を請求した事案の上告審及び上告受理審において、生徒らのいじめ行為の存在を認めることはできないとして、上告人兼申立人らの請求をいずれも棄却した原審の判断を支持して、本件上告理由は、違憲及び理由の食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに民事訴訟法312条1項又は2項に規定する事由に該当せず、また、上告受理申立てについて、本件申立ての理由によれば、本件は民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとした事例。
2014.12.22
セブン―イレブン・ジャパン 「見切り販売」制限事件
LEX/DB25505135/最高裁判所第三小法廷 平成26年10月14日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第2159号等
被上告人(コンビニエンス・ストアのフランチャイザー)と加盟店契約を締結してコンビニエンス・ストアを営業している上告人らが、被上告人による見切り販売の妨害行為によって損害を被ったとして、被告に対し、独占禁止法25条に基づき、損害賠償を請求した事案の上告審及び上告受理申立審において、被上告人の行為は、正常な商慣習に照らして不当に取引の実施について原告らに不利益を与えたものであり、一般指定14条4号に該当するものとして、独占禁止法19条に違反する違法な行為であると認めて上告人らの請求を一部認容した原審の判断を支持して、本件上告理由は理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに民事訴訟法312条1項又は2項所定の事由に該当しないとして、本件上告を棄却し、また、本件を上告審としては受理しないものとした事例。