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2016.06.28
県営路木ダム事業に係る公金支出差止等請求控訴、同附帯控訴事件 
「新・判例解説Watch」H28.8下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542900/福岡高等裁判所 平成28年 4月25日 判決 (控訴審)/平成26年(行コ)第17号 等
熊本県の住民である原告(被控訴人)らが、治水及び利水の必要を欠くなど路木川河川総合開発事業路木ダム建設事業は違法であり、同事業に係る契約の締結又は債務その他の義務の負担行為並びに公金の支出も違法であると主張して、熊本県の執行機関である被告(控訴人)に対し、〔1〕地方自治法242条の2第1項1号に基づき上記支出等の差止めを求めるとともに、〔2〕同法242条の2第1項4号本文に基づき、熊本県知事は本件支出等をしてはならない財務会計法規上の義務を負っていたにもかかわらずこれを怠って上記事業を継続し、その結果、平成20年4月1日から同25年11月20日までの間に上記事業に係る事業費として計19億9037万0293円を支出させ、同額相当の損害を熊本県に被らせたとして県知事に対し損害賠償請求をすることを求めた住民訴訟で、原判決は、上記差止請求のうち、原審の口頭弁論の終結日である平成25年11月20日までに終了した上記支出等の差止めを求める部分を不適法として却下し、判決確定時までに支払義務が生じた公金の支出を除く部分の差止めを認め、損害賠償請求を含むその余の請求をいずれも棄却したため、被告が上記差止請求の敗訴部分を不服として控訴し、他方、原告らが原判決中の敗訴部分のうち上記損害賠償請求に係る部分を不服として附帯控訴した事案において、原告らの請求のうち、当審の審判対象である判決確定後の事業支出に係る上記差止請求は訴えの利益を欠くから不適法であり却下を免れないとし、また、上記損害賠償請求は理由がないので棄却すべきであり、これと一部異なる原判決は失当であるとして、被告の本件控訴に基づき原判決中被告の敗訴部分を取り消し、他方、原告らの本件附帯控訴をいずれも棄却した事例。
2016.06.28
所得税更正処分等取消請求控訴事件 
「新・判例解説Watch」H28.7下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542863/東京高等裁判所 平成28年 4月21日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第236号
競馬の勝馬投票券の的中による払戻金に係る所得を得ていた原告(控訴人)が、平成17年から平成21年までの各年分の所得税に係る申告期限後の確定申告及び平成22年分の所得税に係る申告期限内の確定申告をし、その際、上記各年において原告が得た馬券の的中による払戻金に係る所得は雑所得に該当し、外れ馬券の購入代金は必要経費として雑所得に係る総収入金額から控除することができるとして、総所得金額及び納付すべき税額を計算していたところ、所轄税務署長から、本件競馬所得は一時所得に該当し、外れ馬券の購入代金を一時所得に係る総収入金額から控除することはできないとして,上記各年分の所得税に係る更正及び同各更正に係る無申告加算税ないし過少申告加算税の賦課決定を受けたことから、被告(被控訴人。国)に対し、これらの各処分(本件各更正処分については総所得金額及び納付すべき税額が確定申告額を超える部分)の取消しを求め、原審が、本件競馬所得は一時所得に該当し、外れ馬券の購入代金を一時所得に係る総収入金額から控除することはできず、本件各更正処分及び本件各賦課決定処分はいずれも適法であるとして、請求をも棄却したため、これを不服として原告が控訴した事案において、本件競馬所得が一時所得に該当し、その総収入金額から外れ馬券の購入代金を控除することができないとする被告の主張は理由がなく、原告の確定申告額を超える総所得金額及び納付すべき税額についての証明がないことに帰するから、本件各更正処分のうち総所得金額及び納付すべき税額が確定申告額を超える部分並びに本件各賦課決定処分は、いずれも違法な処分であるとし、原判決を取消し、原告の請求をいずれも認容した事例。
2016.06.21
損害賠償請求控訴事件(拘置所での手紙押収 二審も違法) 
LEX/DB25542789/大阪高等裁判所 平成28年 4月22日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1333号
原告a(控訴人。窃盗、強盗、覚せい剤取締法違反及び大麻取締法違反被告事件の被告人で、捜索差押え当時、大阪拘置所に勾留されていた者)が、捜索差押許可状の請求、捜索差押え及びe検事が本件押収品を精査し、かつ還付しなかった行為、並びに裁判官らの捜索差押許可状の各発付は、いずれも故意又は過失により被告人の秘密交通権、秘匿権、防御権を侵害して違法であるとして、また原告b(控訴人。aの前記刑事事件の第一審の国選弁護人であった者)は前記各行為が故意又は過失により弁護人の弁護権を侵害して適法であるとして、それぞれ被告(国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき各1650万円の損害賠償及び遅延損害金を求め、原審は、捜索差押許可状の請求は違法で、違法な捜索差押許可状に基づく捜索差押えは違法であり、e検事が本件押収物を精査し、かつ刑事事件が終結するまで還付しなかった行為は違法であるとし、原告a、原告bに各々50万円と弁護士費用5万円の限度で認容したが、裁判官らの捜索差押許可状の各発付は、違法であると認めることはできないとして、原告らの請求を棄却したため、原告らが控訴した事案において、原判決は相当であるとし、原告らの控訴を棄却した事例。
2016.06.21
電磁的公正証書原本不実記録、同供用被告事件(SFCG元会長 全面無罪) 
LEX/DB25542790/東京高等裁判所 平成28年 3月28日 判決 (控訴審)/平成26年(う)第1192号
商業手形の割引業務、資金の貸付業務等を目的とするP2社の代表取締役社長兼会長であった被告人が、東京地方裁判所がP2社につき民事再生開始の決定をなし、同決定が確定し、P2社からP3社に対して譲渡されたP2社が保有している簿価418億4583万1026円の不動産担保貸付債権について、民事再生手続当における否認権行使を免れるため、東京法務局の登記官に対し、前記債権を譲渡した事実もないのに、P2社従業員をして内容虚偽の債権譲渡登記を申請させ、登記官をして、債権譲渡登記簿の原本として用いられる電磁的記録にその旨不実の記録をさせ、前記不実の記録を公正証書の原本としての用に供させたとし、原判決は、本件登記の申請が被告人の指示に基づくものであることが認められるとして、電磁的公正証書原本不実記録及び同供用罪については懲役1年6月(執行猶予3年)を言い渡したため、被告人が控訴した事案(なお、民事再生法違反及び会社法違反については無罪。第一審で確定)において、事実誤認の論旨は理由があるとし、原判決中の有罪部分を破棄し、電磁的公正証書原本不実記録及び同供用罪について、無罪を言い渡した事例。
2016.06.21
損害賠償請求事件、共同訴訟参加事件 (フタバ産業 前社長らに賠償命令) 
LEX/DB25542759/名古屋地方裁判所岡崎支部 平成28年 3月25日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第1177号 等
原告の経理部の役員ないし従業員が適正な手続を経ずに取引先に対する不正な金融支援を行ったのは,原告の代表取締役であった被告Z6及び取締役であった被告Z7の監視義務違反等によるものであるとして、原告及び原告の株主として会社法849条1項による訴訟参加をした参加人が、被告Z6及び被告Z7に対し、会社法423条1項に基づき,回収不能になった融資金相当額等の賠償及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告及び参加人の被告らに対する請求は、14億7336万0651円並びに187万4999.40米ドル及びうち14億4749万3001円に対する平成22年11月5日から支払済みまで、うち187万4999.40米ドルに対する平成21年11月5日から支払済みまで各年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり一部認容し、原告及び原告共同訴訟参加人のその余の請求を棄却した事例。
2016.06.14
遺言書真正確認等、求償金等請求事件 
LEX/DB25447990/最高裁判所第二小法廷 平成28年 6月 3日 判決 (上告審)/平成27年(受)第118号
被上告人(被控訴人、第1事件原告・第2事件被告)が、本件土地について、主位的に本件遺言書による遺言によって亡Aから遺贈を受けたと主張し、予備的に亡Aとの間で死因贈与契約を締結したと主張して、上告人(控訴人、第1事件被告・第2事件原告)らに対し、所有権に基づき、所有権移転登記手続を求め、亡Aは、本件遺言書に、印章による押印をせず、花押を書いていたことから、花押を書くことが民法968条1項の押印の要件を満たすか否かが争われ、原審は、本件遺言書による遺言を有効とし、同遺言により被上告人は本件土地の遺贈を受けたとして,被上告人の請求を認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、花押を書くことは、印章による押印と同視することはできず、民法968条1項の押印の要件を満たさないというべきであるとし、原判決中被上告人の請求に関する部分は破棄し、被上告人の予備的主張について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻しを命じた事例。
2016.06.14
債券償還等請求事件 
LEX/DB25447985/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月 2日 判決 (上告審)/平成26年(受)第949号
いずれも銀行である上告人らが、外国国家である被上告人が発行したいわゆるソブリン債である円建て債券を保有する債権者らから訴訟追行権を授与された訴訟担当者であるなどと主張して、被上告人に対し、当該債券の償還及び約定利息等の支払を求めた事案において、上告人らに本件訴訟についての訴訟追行権を認めることは、弁護士代理の原則を回避し、又は訴訟信託の禁止を潜脱するおそれがなく、かつ、これを認める合理的必要性があるというべきであり、上告人らは、本件訴訟について本件債券等保有者のための任意的訴訟担当の要件を満たし,原告適格を有するものというべきであるとし、本件訴えを却下すべきものとした原審の判断には法令違反があるとして、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、更に審理を尽くさせるため、本件を第1審に差し戻しを命じた事例。
2016.06.14
損害賠償等本訴請求事件、請負代金反訴請求事件
(ゴミ焼却施設訴訟 京都市VS住友重機械工業(株)) 
「新・判例解説Watch」H28.8下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542802/京都地方裁判所 平成28年 5月27日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第802号 等
原告と被告との間で締結された焼却灰溶融施設のプラント設備に関する工事請負契約について、請負人である被告が、期限までにプラントの工事を完成させ、注文者である原告に引き渡すことが不可能となり、原告が、被告に対し、請負契約を解除するとの意思表示をするとともに、原告及び被告の間では、プラント全体の解体撤去、損害賠償に関する合意が成立したと主張して、主位的に〔1〕解体撤去合意に基づく解体撤去請求又は請負契約の解除に基づく原状回復請求とし、プラント全体の解体撤去を求め、〔2〕賠償合意又は債務不履行(履行不能)に基づき、損害賠償金の支払を求め、〔3〕賠償合意に基づく損害賠償請求、請負契約の解除に基づく原状回復請求又は債務不履行(履行不能)に基づく損害賠償請求として既払請負代金の支払を求め、〔4〕前記〔1〕のプラント全体の解体撤去請求について、予備的に、請負契約の解除に基づく現状回復請求又は債務不履行に基づく損害賠償請求として、プラント全体の解体撤去費用相当額の損害賠償金をそれぞれ請求(本訴)した事案、また、原告による請負契約の解除は無効であり、原告は、被告のプラントの工事の進捗を妨害し、そのために被告の債務の履行ができなくなったと主張し、被告が原告に対し、民法536条2項に基づき、請負残代金の支払を請求(反訴)した事案において、原告の被告に対する本訴請求及び被告の原告に対する反訴請求は、いずれも理由がないとして、原告の本訴請求及び被告の反訴請求を棄却した事例。
2016.06.14
損害賠償請求控訴事件(パワーハラスメント調査を巡る訴訟 証拠不採用) 
LEX/DB25542758/東京高等裁判所 平成28年 5月19日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第399号
被告(被控訴人)が運営する大学の事務職員である原告(控訴人)が、所属する部署の上司からパワー・ハラスメント(パワハラ)及びセクシャル・ハラスメント(セクハラ)を受けたとして、同大学のハラスメント防止委員会に対して申立てを行ったところ、〔1〕同委員会がハラスメント防止規程に則って調査委員会を設置しないなど、適切な措置を執らず(事実〔1〕)、〔2〕ハラスメント防止委員会の審議における同委員会の委員による控訴人を侮辱しかつ名誉を毀損する発言により、原告の人格権が侵害され(事実〔2〕)、〔3〕原告と同じく上記上司からハラスメントを受けていた嘱託社員について原告が同委員会等に対応を求め、被告は同嘱託社員を当該上司の所属する部署に異動させ、原告をハラスメントの申立てをしたことに対する報復措置として異動が命じられるのではないかとの恐怖にさらした(事実〔3〕)と主張して、被告に対し、被告の安全配慮義務違反(事実〔1〕ないし〔3〕)又は同委員会の委員の不法行為(事実〔2〕)に係る使用者責任による損害賠償請求権に基づいて、慰謝料200万円(事実〔1〕につき80万円、事実〔2〕につき50万円、事実〔3〕につき70万円)及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は請求を棄却したため、これに不服の原告が控訴した事案において、原判決は相当であるとし、原告の控訴を棄却した事例。
2016.06.14
強盗殺人、死体遺棄被告事件(長野一家3人強盗殺人事件) 
LEX/DB25447983/最高裁判所第三小法廷 平成28年 4月26日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第477号
高利貸しを本体とする事業グループの従業員で犯行を主導したとする被告人が、同僚のA及びB並びに知人のCと順次共謀の上、同グループの会長及びその息子である専務を殺害して現金等を強奪しようと企て、長野市内の会長宅において、睡眠導入剤を用いて専務(当時30歳)を昏睡状態に陥らせたところ、その妻(当時26歳)に不審を抱かれ、強盗殺人を成功させるために同女の殺害も決意して同女をロープで絞殺し、その後、専務及び就寝中の会長(当時62歳)を順次、同様に絞殺して現金合計約416万円を強取し、同人らの死体を愛知県内の資材置場まで運んで土中に埋めて遺棄するなどした強盗殺人、死体遺棄の罪で起訴され、第1審は死刑を言い渡し、控訴審でも死刑を維持しため、被告人が上告した事案において、被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざるを得ず、被告人が警察から事情聴取を受けた末とはいえ自首し、反省の態度を示していることなど、被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、やむを得ないものとして、上告を棄却した事例。
2016.06.14
損害賠償請求事件 
LEX/DB25542673/津地方裁判所 平成28年 2月 5日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第22号
ハローワーク経由の採用面接を受け、面接の3日後に不採用の通知を受けた看護師が、ハローワーク担当者から、不当な内定取り消しとの説明を受けて、病院を設置している医療法人に対し、医療法人の理事と始期付・解約権留保付労働契約を締結し、いわゆる内定を得たものの、不当に取り消されたなどと主張して、債務不履行及び、雇用に対する期待権侵害の不法行為による損害賠償を求めた事案において、請求を棄却した事例。
2016.06.07
業務上過失致死傷被告事件(渋谷温泉施設爆発 設計担当者有罪確定) 
LEX/DB25447979/最高裁判所第一小法廷 平成28年 5月25日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1105号
市街地の温泉施設から漏出したメタンガスが爆発して温泉施設の従業員3名が死亡し、2名が負傷し、温泉施設付近路上の通行人1名が負傷した事故で、同施設の設計・施工を行った建設会社の設計担当者である被告人が業務上過失致死傷罪で起訴され、第1審は、被告人がメタンガス処理の安全管理上必要な情報を運営会社に伝達する注意義務に違反し、その結果、爆発が発生したとし、被告人に対し、禁固3年(執行猶予5年)を言い渡したため、被告人が控訴し、控訴審も第1審判決を相当として控訴を棄却したため、被告人が上告した事案において、被告人に上記爆発事故について過失があるとして、業務上過失致死傷罪の成立を認めた第1審判決を是認した原判決は正当であるとし、上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2016.06.07
損害賠償等請求事件 
LEX/DB25447929/東京地方裁判所 平成28年 4月28日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第18469号
原告が、新聞社である被告に対し、被告が発行する新聞の記事に原告の執筆したブログの一部を引用したことが原告の複製権及び同一性保持権の侵害に当たるとともに、原告を取材せずに記事を掲載した行為が不法行為に当たると主張して、損害賠償等を求めた事案において、上記原告記事と被告記載1及び2が表現上共通するのは「重力波と想定される」「波動による(もの)」との部分のみであるが、この部分はEMの効果に関する原告の学術的見解を簡潔に示したものであり、原告の思想そのものということができるから、著作権法において保護の対象となる著作物に当たらないと解するのが相当であるとし、請求を棄却した事例。
2016.06.07
保証債務請求控訴、同附帯控訴事件
(反社会勢力的勢力への融資が後で判明 差し戻し審も保証有効) 
LEX/DB25542672/東京高等裁判所 平成28年 4月14日 判決 (差戻控訴審)/平成28年(ネ)第465号
主債務者(E建設)から信用保証の委託を受けた控訴人と保証契約を締結していた被控訴人が、控訴人に対し、同契約に基づき、保証債務の履行を求め、被控訴人の融資の主債務者は反社会的勢力であり、控訴人は、〔1〕このような場合には保証契約を締結しないにもかかわらず、そのことを知らずに同契約を締結したものであるから、同契約は要素の錯誤により無効である、〔2〕被控訴人が保証契約に違反したから、控訴人と被控訴人との間の信用保証に関する基本契約の定める免責事由に該当し、控訴人は、上記保証契約に基づく債務の履行を免れると主張して,被控訴人の請求を争い、原判決は、上記〔1〕につき要素の錯誤は認められない、上記〔2〕につき免責事由に該当するとは認められないとして、被控訴人の請求を認容したので、控訴人がこれを不服として控訴し、被控訴人が附帯控訴して請求を拡張したところ、差戻し前の控訴審は、控訴を棄却するとともに、附帯控訴に基づき、上記の請求拡張部分を認容したため、控訴人が上告受理申立てをし、最高裁判所は、上告審として本件を受理し、上記〔1〕につき要素の錯誤はないが、上記〔2〕は、被控訴人及び控訴人は、上記基本契約上の付随義務として、個々の保証契約を締結して融資を実行するのに先立ち、相互に主債務者が反社会的勢力であるか否かについてその時点において一般的に行われている調査方法等に鑑みて相当と認められる調査をすべき義務を負い、被控訴人がこの義務に違反して、その結果、反社会的勢力を主債務者とする融資について保証契約が締結された場合には、本件免責条項にいう被控訴人が「保証契約に違反したとき」に当たるとして、この点について更に審理を尽くさせるため、差戻し前の控訴審判決を破棄し、高等裁判所に差戻した事案において、被控訴人の本訴請求は、附帯控訴による請求拡張分も含め理由があるとし、控訴を棄却し、附帯控訴を認容した事例。
2016.06.07
損害賠償請求控訴事件(認知症の男性転落死 施設に賠償命令 遺族側逆転勝訴) 
「新・判例解説Watch」H28.7下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542671/東京高等裁判所 平成28年 3月23日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第5371号
原告(控訴人)らの父P5が、被告(被控訴人)が開設する介護老人保健施設の認知症専門棟に短期入所していたところ、2階食堂の窓から雨どい伝いに降りようとして地面に落下して死亡した事故で、原告らが、父P5の死亡は上記施設における安全配慮義務違反又は上記食堂の窓に係る瑕疵によるものである旨主張し、被告に対し、債務不履行又は不法行為(使用者責任若しくは工作物責任)に基づき、父P5に生じた損害のうち控訴人らの相続分に係る各1177万3741円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、父P5が上記窓から外に出ることの予見は不可能であったなどとして、被告の責任を否定して原告らの請求を棄却したため、原告らが控訴した事案において、上記2階食堂の窓は、その設置又は保存に瑕疵があったというべきであり、ストッパーによる開放制限措置が通常有すべき安全性を欠いていたことと父P5の死亡との間に相当因果関係があることも認められ、原告らの請求を全て棄却した原判決は一部失当であるとして、原判決を変更した事例。
2016.05.31
地位確認等請求事件(定年後の再雇用賃金訴訟:減額は違法) 
LEX/DB25542651/東京地方裁判所 平成28年 5月13日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第27214号 等
被告(一般貨物自動車運送事業等を目的した会社)を定年退職した後に被告との間で期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を締結して就労している原告らが、原告らと期間の定めのない労働契約を締結している従業員との間に不合理な労働条件の相違が存在すると主張して、主位的には、当該不合理な労働条件の定めは労働契約法20条により無効であり、原告らには一般の就業規則等の規定が適用されることになるとして、被告に対し、当該就業規則等の規定の適用を受ける労働契約上の地位の確認を求めるとともに、労働契約に基づき、当該就業規則等の規定により支給されるべき賃金と実際に支給された賃金との差額及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、予備的には、被告が上記労働条件の相違を生じるような嘱託社員就業規則を制定し、原告らとの間で嘱託社員労働契約書を締結し、これらを適用して本来支払うべき賃金を支払わなかったことは、労働契約法20条に違反するとともに公序良俗に反し、違法であるとして、被告に対し、民法709条に基づき、上記差額に相当する額の損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、嘱託社員と正社員との間に職務の内容、当該職務の内容及び配置の変更の範囲に全く違いがないにもかかわらず、賃金の額に関する労働条件に相違は、不合理なものであり、労働契約法20条に違反するというべきであるとし、原告らの主位的請求を認容した事例。
2016.05.31
詐欺被告事件 
LEX/DB25447960/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月23日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1870号
第1審判決が認定し、原判決が是認した詐欺事件の事実関係の下において、第1審判決が判示第1(平成19年1月12日から平成22年1月26日までの145回にわたる振込入金にかかる各所為)と判示第2(平成22年2月22日から平成25年9月27日までの70回にわたる振込入金にかかる各所為)を併合罪として処断したのは、罪数に関する法令の適用を誤ったものというべきであるが、本件事案に照らせば、いまだ刑事訴訟法411条を適用すべきものとは認められないとして、上告を棄却した事例。
2016.05.31
損害賠償請求事件  
「新・判例解説Watch」H28.7下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25447956/札幌地方裁判所 平成28年 3月18日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第2188号
東日本大震災に伴い福島第一原子力発電所から放射性物質が放出される事故により福島県内における5店舗の閉店等を余儀なくされた原告が。福島第一原発を設置、運転していた被告に対し、原子力損害の賠償に関する法律3条1項本文に基づき、原子力損害として、〔1〕休業損害7077万3163円、〔2〕9年分(上記事故の10年後まで)の逸失利益10億0608万2962円、〔3〕違約金損害7195万1734円、〔4〕有形固定資産の損害4808万1616円及び弁護士費用5000万円の合計12億4688万9475円及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の請求は、〔1〕損害金元本1億8590万9472円と、〔2〕上記〔1〕に対する平成23年3月11日から平成26年5月16日までの確定遅延損害金の残額1648万5888円(〔1〕と〔2〕の合計は2億0239万5360円)、〔3〕上記〔1〕に対する平成26年5月17日から支払済みまでの遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして、請求を一部認容した事例。
2016.05.31
傷害致死被告事件  
「新・判例解説Watch」H28.7下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542490/横浜地方裁判所 平成28年 3月14日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第638号
被告人(犯行当時17歳1か月)が、Aからカッターナイフを受け取り、当時13歳の被害者に対して殺意を有していたA及び傷害の限度でAと共謀していたCとの間で、傷害の限度で共謀の上、被告人が被害者の頸部を前記カッターナイフで3回切り付ける等の暴行を加え、被害者に頸部切創、頸部刺切創及び前額部挫創の傷害を負わせ、前記頸部刺切創に基づく出血性ショックにより死亡させたとされた傷害致死の事案において、被告人ら3名による本件犯行は誠に悪質なものであり、本件に顕れた諸事情を考慮しても、被告人が自ら本件犯行の契機を作出した危険が大きい上に、被告人が被害者に加えた暴行も危険性、悪質性の高いものであることに照らせば、被告人について、その凶悪性、悪質性を大きく減じて保護処分を許容し得るまでの「特段の事情」があるということはできないとして、被告人を懲役4年以上6年6月以下に処した事例(裁判員裁判)。
2016.05.31
原発再稼働禁止仮処分申立事件
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LEX/DB25542439/大津地方裁判所 平成28年 3月 9日 決定 (第一審)/平成27年(ヨ)第6号
滋賀県内に居住する債権者らが、福井県大飯郡において原子力発電所である高浜発電所3号機及び同4号機(本件各原発)を設置している債務者に対し、人格権に基づく妨害予防請求権に基づき、本件各原発を仮に運転してはならないとの仮処分を申し立てた事案において、債務者の保全段階における主張及び疎明の程度では、新規制基準及び本件各原発に係る設置変更許可が、直ちに公共の安寧の基礎となると考えることをためらわざるを得ないなどとして、本件各原発の運転差止めを命じた事例。