2016.07.19
清算金請求事件(民事再生手続開始後の3者間相殺無効)
LEX/DB25448048/最高裁判所第二小法廷 平成28年 7月 8日 判決 (上告審)/平成26年(受)第865号
再生手続開始の決定を受けた上告人(原告・控訴人。証券会社)が、被上告人(被告・被控訴人。信託銀行)との間で基本契約を締結して行っていた通貨オプション取引等が平成20年9月15日に終了したとして、上記基本契約に基づき,清算金11億0811万1192円及び約定遅延損害金の支払を求め、被上告人は、上記再生手続開始の決定後、自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が上告人に対して有する債権(再生債権)を自働債権とし、上告人が被上告人に対して有する上記清算金の支払請求権を受働債権として上記基本契約に基づく相殺をしたことにより、上記清算金の支払請求権は消滅したなどと主張し、原審が本件清算金債権は本件相殺によりその全額が消滅したと認め、原告の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件相殺が民事再生法92条により許容されるとした原審の判断には法令違反があるとして、原判決を変更し、上告人の請求は、被上告人に対し、清算金4億3150万8744円並びに期限前終了日である平成20年9月15日から同年10月1日までの確定約定遅延損害金16万6841円及び上記清算金に対する同月2日から支払済みの前日まで2%を365で除した割合を日利とする各日複利の割合による約定遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余の請求は棄却した事例(補足意見がある)。