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2016.05.17
銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件(「違法おとり捜査」再審へ)
LEX/DB25542306/札幌地方裁判所 平成28年 3月 3日 決定 (再審請求審)/平成25年(た)第2号
請求人は、けん銃加重所持罪により懲役2年に処せられ、同判決が確定したところ、確定判決が有罪認定に用いた各種証拠の証拠能力は覆ったとして、再審の請求をした事案において、本件おとり捜査は、およそ犯罪捜査の名に価するものではなく、重大な違法があるのは明らかであるとして、再審開始を決定した事例。
2016.05.17
損害賠償請求控訴事件(緑のオーナー訴訟 控訴審) 
「新・判例解説Watch」H28.6上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25542349/大阪高等裁判所 平成28年 2月29日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第3086号
国有林野に成育している樹木の共有持分を国以外の者に譲渡し、その費用負担者から持分の対価及び当該樹木について国が行う保育及び管理(育林)に要する費用の一部の支払を受け、育林による収益を国と費用負担者が分収するという分収育林制度(緑のオーナー制度)に関し、被告と分収育林契約を締結した費用負担者又はその承継人である原告らが、被告に対し、被告の担当者の違法な勧誘によって分収育林契約を締結し、払込額に相当する損害を被ったとして、主位的に国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求権に基づき、予備的に不法行為又は債務不履行に基づく損害賠償請求権に基づき、各「損害額元本」及び「弁護士費用」の賠償並びに損害額元本に対する「確定遅延損害金」及び遅延損害金の支払を求め、原審が、原告らの請求を一部認容・一部棄却、原告らの請求を全部棄却したため、原告ら及び被告の双方が控訴をした事案において、原判決は、一部異なる限度で相当ではないとし、(1)「認容額一覧表1」及び「認容額一覧表2」の各「原告氏名」欄記載の原告らの控訴に基づき、原判決主文1、2項中同原告らに関する部分を変更し、(2)被告の控訴に基づき、一部原告らに関する被告敗訴部分を取消し、同原告らの請求を棄却し、(3)被告の控訴に基づき、原告亡P4訴訟承継人P5(原告番号54)に関する部分を変更し、(4)その余の原告らの控訴及び被告のその余の控訴を棄却した事例。
2016.05.17
損害賠償請求事件(女性アイドル交際、認める判決) 
LEX/DB25542337/東京地方裁判所 平成28年 1月18日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第1759号
芸能プロダクションである原告が、原告との間で専属マネージメント契約を締結した上で原告に所属する女性アイドルであった被告甲、被告甲と交際していたファンである被告乙、に対しては、同契約の債務不履行又は不法行為に基づき、逸失利益等の損害賠償を、被告甲の父母である被告丙夫妻に対しては、信義則上の管理監督義務違反の不法行為に基づき、損害賠償を請求した事案において、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.05.17
損害賠償、連帯債務履行請求控訴事件
LEX/DB25542340/東京高等裁判所 平成27年 8月27日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1630号
訴外会社の普通社債を取得した一審原告(ケイマン諸島の法律に基づき設立された会社)が、被告銀行を割当先とする同社の転換社債型新株予約権付社債の発行に際して作成された臨時報告書等に、同社が転換社債型新株予約権付社債発行により調達する資金を一審被告銀行との間で締結された2つのスワップ契約に基づく支払いに充てる旨公表しなかったことにより、損害を被ったとして、一審被告銀行及びその100パーセント子会社である一審被告甲社、一審被告甲社から事業を譲り受けた一審被告乙証券に対し、損害賠償を請求し、原審が被告甲社に対する請求を一部認容した事案において、一審原告及び一審被告甲社の控訴をいずれも棄却した事例。
2016.05.10
債務不存在確認等請求本訴,不当利得返還請求反訴事件 
LEX/DB25447923/最高裁判所第一小法廷 平成28年 4月28日 判決 (上告審)/平成27年(受)第330号
被上告人らが、死亡共済金及び死亡保険金の各請求権が上告人Y1又はAの各破産財団に属するにもかかわらず、上告人Y1が金員を費消したことは、上告人Y1において金員を法律上の原因なくして利得するものであり、また、上告人Y2には上告人Y1が金員を費消したことにつき弁護士としての注意義務違反があると主張して、上告人Y1に対しては不当利得返還請求権に基づき、上告人Y2に対しては不法行為による損害賠償請求権に基づき、被上告人X1において800万円及び遅延損害金等の連帯支払を、また、被上告人X2において200万円及び遅延損害金等の連帯支払を求め(本訴請求)、上告人Y1が、上記保険金等請求権が上告人Y1の破産財団に属しないにもかかわらず、被上告人X1が法律上の原因なくその一部である1400万円を利得していると主張して、被上告人X1に対し、不当利得返還請求権に基づき、1400万円及び遅延損害金の支払を求め(反訴請求)、原審は、上記保険金等請求権は,破産法34条2項にいう「破産者が破産手続開始前に生じた原因に基づいて行うことがある将来の請求権」に該当するものとして、各破産財団に属することになるから、上告人Y1が本件金員を費消したことは、上告人Y1において金員を法律上の原因なくして利得するものであり、また、上告人Y1が本件金員のうち800万円を費消したことについて、上告人Y2に弁護士としての注意義務違反が認められるとして、被上告人らの本訴請求のうち上告人Y1に対する請求を認容するとともに上告人Y2に対する請求を一部認容し、上告人Y1の反訴請求を棄却すべきものとしたため、上告人Y1、同Y2が上告した事案において、当該生命共済契約及び生命保険契約はいずれも本件各開始決定前に成立し、当該生命共済契約に係る死亡共済金受取人は上告人Y1及びAであり、当該生命保険契約に係る死亡保険金受取人は上告人Y1であったから、上記保険金等請求権のうち死亡共済金に係るものは本件各破産財団に各2分の1の割合で属し、上記保険金等請求権のうち死亡保険金に係るものは上告人Y1の破産財団に属するとして、原審の判断は正当として是認することができるとし、上告を棄却した事例。
2016.05.10
株式取得価格決定に対する抗告、同附帯抗告事件 
LEX/DB25542515/東京高等裁判所 平成28年 3月28日 決定 (抗告審)/平成27年(ラ)第991号 等
東宝による利害関係参加人を完全子会社化する取引の一環として、利害関係参加人の株式の公開買付け後にされた利害関係参加人による全部取得条項付種類株式の全部の取得について、原審申立人らが、会社法172条1項に基づき、保有していた利害関係参加人の全部取得条項付普通株式の取得価格の決定を求め、原審は、上記株式の取得価格は、1株につき835円とすると決定し、原審申立人ら及び利害関係参加人が抗告し、附帯抗告人が附帯抗告した事案において、裁判所が裁量により取得価格を決定するに際し、公正な手続を実質的に履践して定められたと認められる公開買付価格に依拠せずに、新たに価格を決定し直すべき特段の事情はないものと思料されるとして、上記株式の取得価格は1株につき735円と定めるのが相当であるところ、これと異なり1株につき835円と定めた原決定は不当であるとし、原決定を変更した事例。
2016.05.10
立替金等請求控訴事件(安藤・間VS新潟大学) 
LEX/DB25542516/東京高等裁判所 平成28年 3月10日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第3355号
A建設の権利義務を包括的に承継した控訴人が、被控訴人に対し、主位的には、A建設において米国法人であるO社との間で、A建設を買主、O社を売主として、米国ロマリンダ大学の保有する特許技術に係る陽子線がん治療機器等について購入、導入、メンテナンス等を内容とする国立大学の陽子線がん治療センター 物品の購買・設置・メンテナンス及びライセンスに関する基本契約を締結することを前提に、被控訴人との間で、上記契約上のA建設の買主たる地位を被控訴人に譲渡すること、当該譲渡実行日までに上記契約に基づいてA建設が支払い又は負担した売買代金、費用等相当額を被控訴人がA建設に支払うことなどを内容とする合意をし、その後上記契約を締結してその地位を被控訴人に譲渡したと主張して、当該合意の補償請求権に基づき、〔1〕A建設が上記契約に基づいてO社に支払った代金(頭金)、立替金利及び送金等手数料の合計16億7932万6987円並びにこれに対する遅延損害金、〔2〕A建設が負担した費用である7493万5635円及びこれに対する遅延損害金、〔3〕本件訴訟に係る弁護士費用と訴訟提起手数料の合計額1億5442万3795円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、予備的には、被控訴人の副学長兼学長室長が被控訴人の事業の執行として被控訴人学長作成名義の本件合意に係る「損害等補償及び契約上の地位譲渡等に関する合意書」を偽造してこれをA建設に交付したことにより、A建設が上記契約を締結し、上記陽子線がん治療機器等の代金(頭金)を支払うなどの損害を被ったと主張して、不法行為の使用者責任に基づく損害賠償として上記と同額を求め、原審は、上記合意書の被控訴人学長名義部分が真正に成立したと認めることはできず、A建設と被控訴人との間で上記合意が成立したとは認められないから、控訴人の上記合意の補償請求権に基づく請求は理由がなく、また、副学長が上記合意書の被控訴人学長名義部分を偽造したという事情を知らずに上記合意書を締結し、その上で上記契約を締結するに至ったとしても、A建設代表者がそのことを知らなかったことにつき重大な過失があるから、控訴人が使用者責任に基づく損害賠償を請求することはできないなどとして、控訴人の請求をいずれも棄却し、これを不服とする控訴人が控訴した事案において、学長証明書の体裁及び内容が不自然であることに加え,学長証明書と合意書とに押印された印影が異なっているにもかかわらず、合意書の成立の真正に疑いを抱かずに何らの確認をもしなかったA建設の対応をもって、A建設には合意書の成立の真正を信じたことについて重過失があると評価する根拠とした原判決の認定は相当であり、これを不当とする控訴人の上記主張も採用できないとし、控訴人の被控訴人に対する請求はいずれも理由がなく、それらをいずれも棄却した原判決は相当であり、控訴を棄却した事例。
2016.05.10
損害賠償請求事件(勾留中「鼻から栄養剤」で負傷、男性逆転敗訴) 
LEX/DB25447917/最高裁判所第一小法廷 平成28年 4月21日 判決 (上告審)/平成26年(受)第755号
被告(被控訴人・上告人。国)が、原告(控訴人・被上告人)に対し、原告の当時の身体状態に照らして不必要であった鼻腔経管栄養補給処置を実施したことが、拘置所に収容された被勾留者に対する診療行為における安全配慮義務に違反し、債務不履行を構成するなどと主張して、損害賠償を求め、第1審は、原告の請求を棄却したため、原告が控訴し、控訴審は、第1審判決を変更し、原告の請求を一部認容したため、被告が上告した事案において、国は、拘置所に収容された被勾留者に対して、その不履行が損害賠償責任を生じさせることとなる信義則上の安全配慮義務を負わないというべきであるとし、これと異なる原審の判断は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分を破棄し、これを棄却した第1審判決は是認することができるから、上記部分に関する原告の控訴を棄却した事例。
2016.05.10
損失填補請求事件、独立当事者参加事件
(全九州電気工事業厚生年金基金VS日本トラステイ・サービス信託銀行ほか) 
LEX/DB25530845/東京地方裁判所 平成27年 7月 3日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第32336号 等
厚生年金基金である原告が、金融機関である被告らに対し、被告らの委託を受けた証券業者が偽装等の不正を行っていたのに、これに気付かずに運用を任せ原告が運用損を被ったのは、原告との間の年金特定信託契約及び三者間合意に基づく被告らの信託事務の処理に任務懈怠(監査報告書確認義務違反、報告説明義務違反、名義登録義務違反)があったことによるものであるとして損害賠償等を求めた事案につき、任務懈怠があるというには、証券業者の運用が明らかに不当で原告に重大な損失が生ずる危険性が高いことを被告らが認識していたか又は容易に認識し得た一方、委託者である原告においてはそれを認識し得なかったのに、被告らが原告にそのことを告げなかったなどの例外的な事情が認められる場合に限られ、本件においてそのような事情は認められず、また被告らがその任務を怠った事実を認めることもできないとして、請求を棄却した事例。
2016.04.26
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件(組合活動アンケート 二審も大阪市に賠償命令) 
LEX/DB25542305/大阪高等裁判所 平成28年 3月25日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第1608号 等
被告(大阪市。控訴人)の職員あるいは職員であった原告(被控訴人)らが、被告が第三者に委託して実施したアンケートは、原告らの思想・良心の自由、政治活動の自由、労働基本権、プライバシー権又は人格権を侵害するなど違憲・違法なものであるから、前市長が、原告らに対し、業務命令をもって上記アンケートに回答することを命令したことは、国家賠償法上違法であるとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、原告らに生じた精神的損害に対する賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、原告ら各自につき6000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で原告らの請求を認容したため、被告が控訴し、原告らが附帯控訴した事案において、原告らの本件請求は、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、それぞれ5000円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからそれぞれ認容し、その余の請求については、いずれも棄却すべきであるとし、よって、被告の控訴に基づき、上記と一部結論を異にする原判決を変更し、原告らの附帯控訴を棄却した事例。
2016.04.26
自動車運転過失傷害被告事件(無罪) 
LEX/DB25542447/大津地方裁判所彦根支部 平成28年 3月 8日 判決 (第一審)/平成26年(わ)第45号
被告人は、早朝、普通乗用自動車を運転し、滋賀県近江八幡市路上で、信号機により交通整理の行われている交差点を直進するに当たり、同交差点の対面信号機の信号表示に留意し、これに従って進行すべき自動車運転上の注意義務があるのにこれを怠り、考え事に気を取られ、同信号表示に留意せず、同信号機が赤色の灯火信号を表示していたのを看過したまま漫然時速約60キロメートルで進行した過失により、折から右方道路から青色信号に従って同交差点に進入してきたW運転の普通乗用自動車に気付かないまま同車左側面部に自車前部を衝突させ、自車同乗者V(当時74歳)に加療約63日間を要する右股関節脱臼骨折の傷害を負わせた事案において、被告人の捜査段階における、上記事故当時の対面信号が赤色であった旨の供述には疑問を入れる余地があり、また、自己の対面信号が青色であった旨のWの供述についても、それと相反する被告人の公判における、自己の対面信号が青色であった旨の供述に信用性が認められること、それ以外にWの供述を裏付ける証拠が存在しないことからすれば、そのまま信用するには疑問が残るとし、上記各交差点の信号サイクルからすれば、被告人は対面信号が青色の状態で上記交差点に進入した可能性は大きく、本件公訴事実については、いまだ合理的な疑いを越えない程度の証明がないとして、被告人に対し、無罪を言い渡した事例。
2016.04.26
損害賠償請求事件(日本生命への請求棄却 顧客から詐取 元外交員に賠償命令) 
LEX/DB25542103/静岡地方裁判所浜松支部 平成28年 2月 1日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第598号
被告P12に金銭を貸し付けた原告らが、本件各貸付は被告P12の詐欺により行われたものであると主張した上で、被告P12に対しては、不法行為に基づき、被告N生命に対しては、本件各貸付の際に被告N社から契約貸付を受けたと主張する原告らが、被告P12の不法行為は雇用主たる被告N社の事業の執行の範囲に含まれると主張して、使用者責任に基づく等して、それぞれ損害賠償を求めた等の事案において、被告P12は、原告らに対し、真実は借りた金銭を原告らに伝えた用途で使う意思も、約束通り返済する具体的見込みもその能力もないのに、嘘を述べ、原告らにその旨誤信させて本件各貸付を行わせたと認定する一方、被告N社が原告らに対し、被告P12の詐欺行為について使用者責任を負うことはないと示し、原告らが被告P12が被告P13に対して有する不法行為に基づく損害賠償請求権を代位行使することは認めた事例。
2016.04.26
詐欺被告事件(オレオレ詐欺の被告 逆転有罪)
LEX/DB25542022/大阪高等裁判所 平成28年 1月29日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第639号
被告人は、共犯者らと共謀の上、被害者(当時70歳)に電話をかけてうそを言うなどして現金1000万円を交付させたとして、詐欺により起訴され、原審では故意及び共謀が認められないとして無罪を言い渡され、検察官が控訴をした事案において、被告人には詐欺の故意及び共謀が認められるとして、一審判決を破棄し、被告人に対し、懲役2年4月を言い渡した事例。
2016.04.26
各不正競争防止法違反被告事件(転職先に企業秘密漏洩で4人有罪判決) 
LEX/DB25542109/横浜地方裁判所 平成28年 1月29日 判決 (第一審)/平成27年(わ)第628号 等
被告会社の従業員である被告人らが、被告会社の業務に関し、eが被害者会社から領得していた被害者会社の営業秘密である設計図面のファイルデータの開示を受け、そのファイルデータを複写して新たな図面に貼り付けるなどして、被告会社が受注した包装機械の設計図面を作成し、被害会社の営業秘密を使用したという被告人両名及び被告会社の各営業秘密侵害罪の事案において、本件各犯行において使用された各設計図は、被害者会社の技術面での優位性や高いオリジナリティーのある営業秘密であるとまでいうことはできないが、効率的な設計・製造を可能にするという点で有用性の認められるものであると示し、被告人らのみならず被告会社の刑事責任も相応に重いとして、被告人aを懲役1年6月及び罰金80万円に、被告人bを懲役1年2月及び罰金60万円に、被告会社を罰金1400万円に処した事例(a、bとも執行猶予3年)。
2016.04.19
損害賠償請求事件 
LEX/DB25447903/最高裁判所第三小法廷 平成28年 4月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第754号
死刑確定者として拘置所に収容されている原告(控訴人・被上告人)が、信書の発信を拘置所長が許さずこれを返戻した行為が違法であると主張して、被告(被控訴人・上告人。国)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求め、原審は、本件各信書がA弁護士に対する信書であり、刑事収容施設法139条1項所定の信書には該当しないとした上で、原告の請求を一部認容すべきものとしたため、被告が上告した事案において、大阪拘置所長が、刑事収容施設法139条2項の規定により発信を許すことができないものとし、原告に対し本件各信書を返戻した行為は、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえないとし、原審の判断には法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分を破棄し、原告の請求を棄却した第1審判決は正当であり、原告の控訴を棄却した事例。
2016.04.19
損失填補請求控訴事件 
LEX/DB25542150/東京高等裁判所 平成28年 1月21日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第4127号
厚生年金基金である原告(控訴人)が、原告との間で年金特定信託契約を締結したR信託銀行の承継人である被告(被控訴人)R銀行及び同契約に関する信託事務の処理につき被告R銀行と同一の責任を負うことを三者間で合意した被告(被控訴人)T信託銀行に対し、控訴人との間で年金投資一任契約を締結して被告らに信託財産の運用につき指示した投資一任業者であるAIJが運用実績の偽装等の不正を行っていたのに、これに気付かずにAIJに資産の運用を任せたことにより、原告が約28億6000万円の運用損を被ったのは、原告との間の年金特定信託契約及び三者間合意に基づく被告らの信託事務の処理に任務懈怠(監査報告書確認義務違反、報告説明義務違反、名義登録義務違反)があったことによるものであり、また、被告らの上記任務懈怠は、委託者である原告に対する債務不履行及び不法行為にも当たると主張して、被告らに対し、〔1〕主位的に、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として、連帯して21億円等の金員を控訴人に支払うことを求め、〔2〕予備的に、信託法40条に基づく損失填補として、上記と同額を原告の信託財産に支払うことを求めるとともに、〔3〕被告R銀行に対し、被告R銀行の信託事務の処理には重大な債務不履行があるので、原告は被告R銀行に対する信託報酬の支払義務を負わないと主張して、不当利得返還請求権に基づき、既に支払った信託報酬相当額である452万0764円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審は、被告らについて任務懈怠が認められないとして、各請求をいずれも棄却したため、原告が控訴した事案において、原告が当審において主張する監査報告書の確認義務違反及び口座管理に関する説明義務違反はいずれも認められないとし、本件請求をいずれも棄却した原判決は相当であり、控訴を棄却した事例。
2016.04.19
損害賠償等請求事件 
LEX/DB25542149/東京地方裁判所 平成27年12月25日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第23164号
厚生年金基金である原告が、原告との間で年金特定信託契約を締結して信託事務の処理を受託した被告U信託銀行及び上記信託事務の処理を被告U信託銀行と共同受託した被告M信託銀行に対し、被告らが上記年金特定信託契約等に基づいて負う義務を怠ったために、原告が投資一任業者であるAIJによる運用成績の粉飾等の不正にも気付くことができないままに同社に資産の運用を任せたことにより、少なくとも32億9000万円の運用損を被ったと主張して、主位的に、信託法40条1項1号に基づき、連帯して、上記運用損の一部である30億円及びこれに対する遅延損害金を信託財産に損失填補することを求め、予備的に、債務不履行又は不法行為に基づき、連帯して、上記と同額の損害賠償金及び遅延損害金を原告に支払うことを求めた事案において、被告らが信託事務を処理するに当たりその任務を怠った事実を認めることはできないとし、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.04.19
根抵当権設定登記抹消登記手続等請求、 貸金請求控訴事件
(山陰合銀訴訟 山陰合同銀行が逆転勝訴) 
LEX/DB25542028/広島高等裁判所松江支部 平成28年 1月13日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第49号
本件各不動産を所有している控訴人会社らが、いずれも根抵当権者である控訴人銀行が本件各不動産について競売による差押えを申し立てた後に被担保債権である各債権を譲り受けた被控訴人会社に対し、主位的に、本件各根抵当権の設定契約の無効を主張した等の根抵当権設定登記抹消登記手続等請求、貸金請求控訴事件の控訴審において、既に弁済期にある自働債権と弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには、受働債権につき、期限の利益を放棄することができるというだけでなく、期限の利益又は喪失等により、その弁済期が現実に到来していることを要し、また、時効により消滅した債権を自働債権とする相殺をするためには、消滅時効が援用された自働債権は、その消滅時効期間が経過する以前に自働債権と相殺適状にあったことを要すると示して、控訴人会社らによる相殺の主張を斥ける等して、原判決を取り消し控訴人会社らの請求を棄却した事例。
2016.04.12
詐欺,証拠隠滅被告事件 
LEX/DB25447891/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月31日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1857号
被告人が、Aと共に警察署を訪れ、同署刑事課組織犯罪対策係所属のB警部補及びC巡査部長から,暴力団員である知人のDを被疑者とする覚せい剤取締法違反被疑事件について参考人として取り調べられた際、A、B警部補及びC巡査部長と共謀の上、C巡査部長において、「Aが、Dが覚せい剤を持っているのを見た。Dの見せてきたカバンの中身をAがのぞき込むと、中には、ティッシュにくるまれた白色の結晶粉末が入った透明のチャック付きポリ袋1袋とオレンジ色のキャップが付いた注射器1本があった」などの虚偽の内容が記載されたAを供述者とする供述調書1通を作成し、他人の刑事事件に関する証拠を偽造したという事案において、前記行為は、単に参考人として捜査官に対して虚偽の供述をし、それが供述調書に録取されたという事案とは異なり、作成名義人であるC巡査部長を含む被告人ら4名が共同して虚偽の内容が記載された証拠を新たに作り出したものといえ、刑法104条の証拠を偽造した罪に当たるとし、被告人について、A、B警部補及びC巡査部長との共同正犯が成立するとした原審の判断は正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.04.12
供託金払渡認可義務付等請求事件 
LEX/DB25542292/最高裁判所第一小法廷 平成28年 3月31日 判決 (上告審)/平成27年(行ヒ)第374号
宅地建物取引業の免許の有効期間が満了した原告(控訴人・上告人)が、宅地建物取引業法25条1項に基づき供託した営業保証金につき,宅地建物取引業法30条1項に基づき取戻請求をしたところ、東京法務局供託官から、本件保証金の取戻請求権の消滅時効が完成しているとして、上記取戻請求を却下する旨の決定を受けたため、被告(被控訴人・被上告人。国)を相手に、本件却下決定の取消し及び上記取戻請求に対する払渡認可決定の義務付けを求め、原審は、原告の本件却下決定の取消請求を棄却し、本件保証金の払渡認可決定の義務付けの訴えを却下すべきものとしたため、原告が上告した事案において、原告につき宅建業の免許の有効期間が満了し本件保証金の取戻事由が発生したのは平成10年4月1日であるところ、その後原告は取戻公告をしていないため、本件取戻請求権の消滅時効は同日から10年を経過した時から進行し、本件保証金の取戻請求がされたのはその約5年6か月後である同25年9月20日であるから、本件取戻請求権の消滅時効が完成していないことは明らかであるとし、原審の判断には法令違反があるため、原判決を破棄し、本件却下決定は取り消されるべきものであり、上記義務付けの訴えは適法であり、東京法務局供託官が本件保証金の払渡認可決定をすべきであることも明らかで、原告の請求はいずれも理由があるとし、上記取消請求を棄却し上記義務付けの訴えを却下した第1審判決を取消した上、その請求をいずれも認容することとした事例。