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2016.08.02
特定秘密の保護に関する法律無効確認等請求控訴事件
(秘密保護法訴訟 東京高裁 再び敗訴) 
LEX/DB25542979/東京高等裁判所 平成28年 4月26日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第445号
フリージャーナリスト、フリーライター等である控訴人らが、特定秘密の保護に関する法律が違憲無効な法律であり、特定秘密保護法の立法及び施行により平穏に生活する法的利益が侵害されて精神的苦痛を被ったなどと主張して、特定秘密保護法が無効であることの確認を求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づいて、損害賠償を求めた事案の控訴審において、特定秘密保護法の立法及び施行が取材行為を従前よりも制約していると認めることはできないから、仮に控訴人らの取材活動について、その取材を受ける側の対応に控訴人らが主張するような変化が生じているとしても、特定秘密保護法を正しく理解しないままの対応であるか、特定秘密保護法に藉口しての対応等であって、特定秘密保護法の立法及び施行が控訴人らの取材活動を従前よりも制約していると認めることはできないといわなければならないとして、控訴をいずれも棄却した事例。
2016.07.26
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件
LEX/DB25448064/最高裁判所第二小法廷 平成28年 7月15日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第533号
鳴門競艇従事員共済会から鳴門競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、鳴門市が平成22年7月に共済会に対して補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為であるなどとして、市の住民である上告人らが、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、被上告人市長を相手に、当時の市長の職にあった者に対する損害賠償請求をすることを求めるとともに、被上告人市公営企業管理者企業局長を相手に、当時の市の企業局長及び企業局次長の各職にあった者らに対する損害賠償請求、当時の市企業局競艇企画管理課長の職にあった者に対する賠償命令並びに共済会に対する不当利得返還請求をすることを、それぞれ求めた住民訴訟で、原判決は、離職せん別金が退職金としての性格を有し、本件補助金の交付が実質的に臨時従事員に対する退職金支給としての性格を有していることは否定できないが、臨時従事員の就労の実態が常勤職員に準じる継続的なものであり、退職手当を受領するだけの実質が存在すること等からすれば、本件補助金の交付が給与法定主義の趣旨に反し、これを潜脱するものとはいえず、本件補助金の交付に地方自治法232条の2の定める公益上の必要性があるとの判断が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものであるとは認められないから、本件補助金の交付が違法であるということはできないとし、上告人らの請求を棄却したため、上告人らが上告した事案において、職権による検討で、原判決のうち請求を棄却すべきものとした部分には明らかな法令の違反があるとし、当該部分につき、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、上記請求に係る訴えを却下し、A、B、C及びDの各損害賠償責任の有無並びに共済会の不当利得返還債務の有無につき更に審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2016.07.26
鳴門市競艇従事員共済会への補助金違法支出損害賠償等請求事件
LEX/DB25448065/最高裁判所第二小法廷 平成28年 7月15日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第472号
鳴門競艇従事員共済会から鳴門競艇臨時従事員に支給される離職せん別金に充てるため、鳴門市が平成23年11月から同24年6月にかけて共済会に対して補助金を交付したことが、給与条例主義を定める地方公営企業法38条4項に反する違法、無効な財務会計上の行為であるなどとして、市の住民である上告人らが、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、被上告人市長を相手に、当時の市長の職にあった者に対する損害賠償請求をすることを求めるとともに、被上告人市公営企業管理者企業局長を相手に、当時の市の企業局長の職にあった者に対する損害賠償請求及び共済会に対する不当利得返還請求をすることを、それぞれ求めた住民訴訟で、原審は、「鳴門市モーターボート競走事業に従事する臨時従事員の給与の種類及び基準に関する条例」の制定経過も踏まえた上で、同条例附則2項及び改正条例附則2項の定めを解釈すれば、平成25年3月26日までに支払われた臨時従事員の退職手当について、鳴門市モーターボート競走事業に従事する臨時従事員の給与の種類及び基準に関する条例12条が遡及的に適用されることは明らかであり、離職せん別金は、市から臨時従事員に直接支払われるものではないが、上記条例の立法趣旨が離職せん別金の支給につき条例上の根拠を明確にする点にあることは、上記条例の制定経過からみて明らかであり、本件補助金を介して支払われた実質的な退職手当としての性格を有する離職せん別金についても、同条は適用され、また、上記条例は、地方公営企業法38条4項にいう「給与の種類及び基準」を定めたものということができるとして、本件補助金を介して支払われた離職せん別金には遡って同項にいう条例の定めがあったことになり、本件補助金の交付は適法であるとし、上告人らの請求(Aによる予算の調製を違法な財務会計上の行為として同人に対し損害賠償請求をすることを求めた請求を除く。)をいずれも棄却したため、上告人らが上告した事案において、原審の判断には明らかな法令の違反があるとし、原判決中、上告人らの請求を棄却した部分は破棄し、A及びEの各損害賠償責任の有無並びに共済会の不当利得返還債務の有無につき審理を尽くさせるため、上記部分につき本件を原審に差し戻すこととした事例。
2016.07.26
業務上過失致死傷被告事件(明石歩道橋事故 元副署長の免訴確定へ)
LEX/DB25448062/最高裁判所第三小法廷 平成28年 7月12日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第747号
被告人(当時兵庫県明石警察署副署長)は、明石市に所在する歩道橋上で平成13年7月21日に発生して死者11名及び負傷者183名を出した事故に係る業務上過失致死傷被疑事件について、不起訴処分を受けたが、検察審査会において起訴相当の議決を受け、公訴提起をされ、第1審判決は、公訴時効が完成しているから、被告人に対し、免訴を言い渡したため、指定弁護士が控訴し、控訴審判決も、第1審判決は正当であるとし控訴を棄却したため、検察官の職務を行う指定弁護人が、上告した事案において、本件事故は、当時明石警察署地域官であったB地域官が平成14年12月26日に業務上過失致死傷罪で起訴され、平成22年6月18日に同人に対する有罪判決が確定しているため、被告人とB地域官は刑事訴訟法254条2項にいう「共犯」に該当し、被告人に対する関係でも公訴時効が停止していると指定弁護人が主張したが、最高裁は、被告人につき、B地域官との業務上過失致死傷罪の共同正犯が成立する余地はないとし、原判決が被告人を免訴とした第1審判決を維持したことは正当であるとして、上告を棄却した事例。
2016.07.26
住居侵入,逮捕監禁,殺人,現住建造物等放火,有印私文書偽造・同行使,ストーカー行為等の規制等に関する法律違反被告事件(山形東京連続放火殺人事件)
LEX/DB25448054/最高裁判所第二小法廷 平成28年 6月13日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第1655号
被告人と同性愛の関係にあった男性Aが、山形市のAの実家に帰り、身体に不具合のある両親の世話と家業を手伝っていたところ、被告人が、Aをその実家から連れ戻す目的で、Aの実家の建物への放火を計画し、同建物内にAの両親がいるかもしれず、同建物に放火すればAの両親が死亡するかもしれないことを認識しながら、同建物付近に灯油をまいた上放火し、同建物を全焼させるとともに、Aの両親を焼死させた事案(山形事件)、また、被告人が、その後同性愛の関係にあった別の男性Bの居所を知るため、同人に対する執ようなストーカー行為等を繰り返したが知るに至らず、居所を教えようとしないBの母親Cに対する逆恨みから同人を殺害し、その犯行を隠蔽するため同人方(集合住宅の一室)に放火することを計画し、被告人の妻と共謀の上、C方に侵入し、帰宅したCの両手足を結束バンドで緊縛するなどして約4時間半にわたって逮捕監禁した後、同人の身体に大型のたらいを覆い被せ、燃焼した炭をその中に入れ、同人を一酸化炭素中毒により死亡させ、その後Bが現に住居に使用していた同居宅の床面に灯油をまいた上で放火し、同居宅を全焼させた事案(東京事件)の上告審において、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、これを是認せざるを得ないとし、上告を棄却した事例。
2016.07.19
清算金請求事件(民事再生手続開始後の3者間相殺無効) 
LEX/DB25448048/最高裁判所第二小法廷 平成28年 7月 8日 判決 (上告審)/平成26年(受)第865号
再生手続開始の決定を受けた上告人(原告・控訴人。証券会社)が、被上告人(被告・被控訴人。信託銀行)との間で基本契約を締結して行っていた通貨オプション取引等が平成20年9月15日に終了したとして、上記基本契約に基づき,清算金11億0811万1192円及び約定遅延損害金の支払を求め、被上告人は、上記再生手続開始の決定後、自らと完全親会社を同じくする他の株式会社が上告人に対して有する債権(再生債権)を自働債権とし、上告人が被上告人に対して有する上記清算金の支払請求権を受働債権として上記基本契約に基づく相殺をしたことにより、上記清算金の支払請求権は消滅したなどと主張し、原審が本件清算金債権は本件相殺によりその全額が消滅したと認め、原告の請求を棄却したため、上告人が上告した事案において、本件相殺が民事再生法92条により許容されるとした原審の判断には法令違反があるとして、原判決を変更し、上告人の請求は、被上告人に対し、清算金4億3150万8744円並びに期限前終了日である平成20年9月15日から同年10月1日までの確定約定遅延損害金16万6841円及び上記清算金に対する同月2日から支払済みの前日まで2%を365で除した割合を日利とする各日複利の割合による約定遅延損害金の支払を求める限度で認容し、その余の請求は棄却した事例(補足意見がある)。
2016.07.19
遺族補償給付等不支給処分取消請求事件(歓送迎会後に残業へ 帰社途中に事故で労災認定) 
LEX/DB25448049/最高裁判所第二小法廷 平成28年 7月 8日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第494号
A社に勤務していた労働者であるBが交通事故により死亡したことに関し、上告人(亡Bの妻)が、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料の支給を請求したところ、行橋労働基準監督署長から、Bの死亡は業務上の事由によるものに当たらないとして、これらを支給しない旨の決定を受けたため、その取消しを求め、原審は、本件歓送迎会が、中国人研修生との親睦を深めることを目的とし、A社の従業員有志によって開催された私的な会合であり、Bがこれに中途から参加したことや歓送迎会に付随する送迎のためにBが任意に行った運転行為が事業主であるA社の支配下にある状態でされたものとは認められないとして、本件事故によるBの死亡は、業務上の事由によるものとはいえないと判断したため、上告人が上告した事案において、本件事故によるBの死亡は、労働者災害補償保険法1条、労働者災害補償保険法12条の8第2項、労働基準法79条、労働基準法80条所定の業務上の事由による災害に当たるというべきであるとし、原審の判断には法令の違反があるとして原判決を破棄し、遺族補償給付及び葬祭料の不支給決定は違法であり、その取消しを求めた上告人の請求は認容されるべきものであるとし、これを棄却した第1審判決を取消し、遺族補償給付及び葬祭料を支給しない旨の決定を取り消した事例。
2016.07.19
株式取得価格決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
「新・判例解説Watch」H28.9中旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448039/最高裁判所第一小法廷 平成28年 7月 1日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第4号等
平成28年(許)第4号抗告人・同第5号ないし第20号相手方(以下「抗告人」)による全部取得条項付種類株式の取得に反対した抗告人の株主である同第4号相手方ら・同第5号ないし第20号抗告人ら(以下「相手方ら」)が、会社法172条1項(平成26年法律第90号による改正前)に基づき、全部取得条項付種類株式の取得の価格の決定の申立てをし、原審は、本件買付価格を本件株式の取得価格として採用することはできないとしたため、抗告人が抗告した事案において、原決定を破棄し、本件株式の取得価格は、抗告人の主張するとおり、原則として本件買付価格と同額となるものというべきであり、本件の一連の取引においてその基礎となった事情に予期しない変動が生じたとは認められないとして、原々決定を取消し、相手方らが有していた別紙保有株式数一覧表記載の抗告人の全部取得条項付種類株式の取得価格をいずれも1株につき12万3000円とすることとした事例(補足意見がある)。
2016.07.19
各詐欺、金融商品取引法違反被告事件(AIJ元社長ら実刑確定) 
LEX/DB25542870/最高裁判所第一小法廷 平成28年 4月12日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第537号
内外の有価証券等に係る投資顧問業務等を目的とするA社の代表取締役であった被告人a、同社の取締役であった被告人b及び同社が実質的に支配するB社の代表取締役であった被告人cが共謀の上、27回にわたり、17の年金基金の担当者らに対し、ファンドの虚偽の運用実績を示すなどして合計約248億円をだまし取るなどした詐欺、金融商品取引法違反の事件で、原判決は、1審判決には事実誤認や法令適用の誤りがなく、量刑も追徴の点も相当であるとして控訴を棄却したため、被告人らが上告した事案において、いずれも刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、各上告を棄却した事例。
2016.07.19
時間外手当等請求事件(寺に賠償命令 長時間過酷労働で) 
LEX/DB25542794/京都地方裁判所 平成28年 4月12日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第3844号
宗教法人である被告との間で労働契約を締結し、被告が運営する宿泊、飲食施設で調理の業務に従事していた調理人である原告が、時間外労働を行ったにもかかわらず時間外手当が支払われていない、就業規則所定の期末手当が支払われていない、安全配慮義務又は注意義務に違反した異常な長時間労働を強制されたことにより抑うつ神経症を発症して勤務不能となったため、その後の賃金及び期末手当請求権は失わない(民法536条2項)などと主張して、労働契約に基づき、未払いの時間外手当、賃金、期末手当の支払い、付加金の支払いを求め、また、長時間労働を強制されたため、抑うつ神経症を発症し、後遺障害が残存することになったと主張し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求めた事案において、原告の請求を一部認容した事例。
2016.07.12
損害賠償請求事件(接見妨害訴訟 国に11万円 賠償命令) 
LEX/DB25542966/佐賀地方裁判所 平成28年 5月13日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第365号
(1)弁護士の原告P1が少年刑務所で被疑者との接見中に被疑者の写真撮影を行っていたところ、刑務所の職員によって写真撮影を制止され接見を一時停止させられた等と主張するとともに、刑務所の面会室には面会内容が常時外部に漏出しているという瑕疵が存在する旨主張し、国家賠償法1条1項又は国家賠償法2条に基づき、慰謝料等を求めた事案、及び、(2)弁護士の原告P2が少年刑務所で被疑者との接見を申し出たところ、刑務所の職員により原告らが面会の際に写真撮影を行おうとしていることを理由に接見を拒絶された旨主張し、慰謝料等を求めた事案において、原告P1に生じた損害額11万円とするのが相当であるとし、原告P1の請求を一部認容し、その余の原告P1の請求及び原告P2の請求を棄却した事例。
2016.07.12
(HIV解雇訴訟 原告勝訴) 
LEX/DB25542736/最高裁判所第三小法廷 平成28年 3月29日 決定 (上告審)/平成27年(受)第910号
申立人(被告、控訴人。医療法人)が経営する病院の看護師であり、他の病院でHIV陽性と診断された相手方(原告、被控訴人)が、同病院の医師から同情報を取得した申立人病院の医師及び職員が相手方の同意なく他の職員らに伝達して情報を共有したことが個人情報の保護に関する法律23条1項及び16条1項に反し、相手方のプライバシーを侵害する不法行為であり、その後に申立人病院が行った相手方との面談においてHIV感染を理由に就労を制限したことが相手方の働く権利を侵害する不法行為であるとして、使用者である申立人に対し、民法715条に基づき、損害賠償金の支払いを求め、1審が請求を一部認容し、2審が原判決を変更し認容額を減額して一部認容した事案において、上告審として受理しないことを決定した事例。
2016.07.05
不当利得返還等請求行為請求事件 
LEX/DB25448026/最高裁判所第三小法廷 平成28年 6月28日 判決 (上告審)/平成25年(行ヒ)第562号
京都府内に主たる事務所を有する特定非営利活動法人である被上告人が、平成14年度から同18年度までの間に、府が京都府議会の4会派に対し、会派運営費として補助金を交付したことは違法であるから、上記各会派は府に対して上記補助金に相当する金員を不当利得として返還すべきであるのに、上告人はその返還請求を違法に怠っているなどとして、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上告人に対し、上記各会派に対して上記不当利得の返還請求をすべきこと等を求めたところ、原審は、被上告人の請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、会派運営費について、地方自治法100条旧12項の「調査研究に資するため必要な経費」以外の経費を対象とするものであるか否か、また、仮にそのように認められる場合に地方自治法232条の2に定める「公益上必要がある場合」の要件を満たすものであるか否かについて判断することなく、会派に対する補助金の交付であることをもって直ちにこれを同法100条旧12項及び232条の2に反し違法であるとした原審の判断には法令の違反があるとし、原判決のうち上告人敗訴部分を破棄し、同部分につき原審に差し戻した事例。
2016.07.05
損害賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」H28.9上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448021/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月27日 判決 (上告審)/平成26年(受)第1813号 等
司法書士法3条2項各号のいずれにも該当する認定司法書士である甲(第1事件上告人・第2事件被上告人)に依頼した債務整理につき、亡A(X2及びX3が亡きAの本件訴訟に係る権利を継承。第1事件被上告人・第2事件上告人)が、甲に対し、甲は認定司法書士が代理することができる範囲を超えて、違法に裁判外の和解を行い、これに対する報酬を受領したなどとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき上記報酬相当額の支払等を求めた事案の上告審において、認定司法書士の甲は、本件各債権に係る裁判外の和解について代理することができないにもかかわらず、違法にこれを行って報酬を受領したものであり、不法行為による損害賠償として報酬相当額の支払義務を負うとし、他方、本件各債権以外の本件各取引に係る各債権については、その価額がいずれも140万円を超えないから、認定司法書士の甲は、当該各債権に係る裁判外の和解について代理することができ、これに対する報酬の支払を受けたとしても、不法行為による損害賠償義務を負わないとし、これと同旨の原審の判断は正当として是認できるとした事例。
2016.07.05
不当利得返還等を求める住民訴訟事件 
LEX/DB25448022/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月27日 判決 (上告審)/平成26年(行ヒ)第321号
大洲市が大洲市土地開発公社との間で土地の売買契約を締結し、これに基づき市長が売買代金の支出命令をしたところ、市の住民である被上告人(1審原告)らが、上記売買契約の締結及び上記支出命令が違法であるなどとして、市の執行機関である上告人(1審被告。大洲市長)を相手に、地方自治法242条の2第1項4号に基づき、上記売買契約の締結及び上記支出命令をした当時の前市長の相続人らに対して不法行為に基づく損害賠償の請求をすること等を求めた住民訴訟で、原判決が、売買契約のうち隣接地に係る部分に財務会計法規上の違法はないとする一方で、同契約のうち土地に係る部分につき、前市長の相続人らに対する損害賠償の請求を求めた被上告人らの請求を一部認容すべきものとしたため、上告人が上告した事案において、上記公社との間で本件売買契約を締結した前市長の判断は、その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用するものとして違法ではなく、前市長は、市に対して損害賠償責任を負わないとし、これと異なる原判決は法令の違反があるとし、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、同部分に関する被上告人らの請求はいずれも理由がなく、同部分につき第1審判決を取消し、同請求をいずれも棄却した事例。
2016.07.05
児童福祉法違反被告事件 
LEX/DB25448016/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月21日 決定 (上告審)/平成26年(あ)第1546号
原判決が是認した第1審判決が認定した性交は、被害児童(当時16歳)を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような者を相手とする性交であり、同児童が通う高等学校の常勤講師である被告人は、校内の場所を利用するなどして同児童との性的接触を開始し、ほどなく同児童と共にホテルに入室して性交に及んでおり、被告人は、単に同児童の淫行の相手方となったにとどまらず、同児童に対して事実上の影響力を及ぼして同児童が淫行をなすことを助長し促進する行為をしたと認められるとして、被告人の行為は、児童福祉法34条1項6号にいう「児童に淫行をさせる行為」に当たり、同号違反の罪の成立を認めた原判断は、正当であるとして、被告人の上告を棄却した事例。
2016.07.05
傷害、殺人、殺人未遂、未成年者略取、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
(石巻事件上告審判決) 
LEX/DB25542988/最高裁判所第一小法廷 平成28年 6月16日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第452号
被告人(当時18歳の少年)が、元交際相手(被害者)の態度に腹を立て2日間にわたって暴行を加えて傷害を負わせたという傷害事件(第1事実)、被告人から被害者を引き離して守ろうとした同人の姉(被害者姉)やその友人(被害男性)、被害者の友人(被害者友人)を、それぞれ殺意をもって、牛刀で突き刺し、被害者姉や被害者友人を殺害し、被害男性には重傷を負わせたが、殺害目的を遂げなかったという殺人、殺人未遂事件(第2事実)、その後、被害者を無理矢理連れ帰ろうとして、被害者の足を牛刀で切り付けて、連れ出したという未成年者略取、傷害事件(第3事実)、第2事実及び第3事実の際、正当な理由なく刃の長さ約18cmの牛刀1丁を携帯したという銃砲刀剣類所持等取締法違反事件(第4事実)で、第1審判決及び控訴審判決も死刑を言い渡したため、被告人が上告した事案において、被告人の刑事責任は極めて重大で、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑を是認せざるを得ないとして、上告を棄却した事例。
2016.07.05
社債償還請求事件(大塚家具 社債償還訴訟 父側勝訴) 
LEX/DB25542981/東京地方裁判所 平成28年 4月11日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第28394号
被告(原告の長女が役員を務める不動産の管理業等を目的とした株式会社)の社債権者である原告が、被告に対し、社債の償還期限が経過したとして、社債償還請求権に基づき、社債元本及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、被告は、原告に対し、社債元本(15億円)と償還期限の翌日以降の遅延損害金を支払う義務があるとし、原告の請求を全部認容した事例。
2016.07.05
共有物分割請求控訴事件 
LEX/DB25542989/東京高等裁判所 平成27年 1月28日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第4929号
原告(控訴人)らが、被告(被控訴人)に対して、原告ら及び被告3名の共有に係る土地建物(原告Aの持分60分の43、原告Bの持分60分の15、被告の持分60分の2)について、被告の持分を原告らに取得させて、その価格を原告らに賠償させる全面的価格賠償の方法による分割を求めたところ、原判決は、共有物分割の方法として形式的競売の方法による分割を命じたことから、原告らがこれを不服として控訴した事案において、上記土地建物に係る被告の持分30分の1を原告らにそれぞれ60分の1ずつ取得させ、原告らが被告に対してそれぞれ59万5834円ずつの価格賠償をするという全面的価格賠償の方法によることが相当であるとし、これと異なる原判決を変更し、原告らの控訴を認容した事例。
2016.06.28
遺族補償給付不支給処分決定取消請求控訴事件 
LEX/DB25542690/東京高等裁判所 平成28年 4月27日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第320号
海外に事業展開する運送会社である訴外会社の従業員で、中国の上海において急性心筋梗塞により死亡した亡甲について、亡甲の妻で亡甲の死亡の当時その収入によって生計を維持していた控訴人(原告)が、亡甲の死亡は業務上の死亡に当たると主張して、被控訴人(被告。国)に対し、中央労働基準監督署長が控訴人に対してした労災保険法に基づく遺族補償給付及び葬祭料を支給しない旨の処分の取消しを求め、原審が請求を棄却した事案において、亡甲については、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず、国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮命令に従い勤務する労働者である海外出張者に当たるというべきであるから、海外派遣者を対象とする特別加入手続がされていないことを理由に、亡甲を労災保険法上の保険給付の対象から除外することは相当でないとして、原判決を取り消し、不支給処分を取り消した事例。