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2016.11.15
損害賠償請求事件 
LEX/DB25543851/宇都宮地方裁判所 平成28年 9月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第173号
被告(建設会社)のために施工図作成業務を行っていた亡Gが、被告が元請であった会社の技術研究所の現場事務所で倒れているのを発見され、脳幹出血で死亡し、亡Gの相続人である原告らは、亡Gは被告の労働者であり、被告は亡Gに対し安全配慮義務を負っているところ、これを怠ったため亡Gは死亡したとして、債務不履行に基づく損害賠償として、亡Gの妻である原告Aが1688万5680円及び遅延損害金の支払、亡Gの子である原告B、同C、同D及び同Eが、それぞれ1556万3518円及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らの請求を一部認容した事例。
2016.11.15
面会交流審判に対する抗告事件 
LEX/DB25543835/東京高等裁判所 平成28年 4月14日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第142号
妻である原審申立人が、夫である原審相手方との間にもうけた長女である未成年者(12歳)について、その監護をしている原審相手方に対して面会交流を求めたところ、原審判が、未成年者の福祉に配慮し、月1回5時間の面会交流を実施し、手紙による通信及び贈り物を送ることを認めたことに対し、双方が抗告した事案において、原審判を一部変更し、(1)当事者や未成年者の病気や未成年者の学校行事等やむを得ない事情により、日程を変更する必要が生じたときは、上記事情が生じた当事者が、他方当事者に対し、速やかにその理由と共にその旨を電子メールによって通知し、原審申立人及び原審相手方は、未成年者の福祉を考慮して代替日を決める。(2)原審相手方は、原審申立人が、未成年者に対し、原審相手方の勤務する事務所を送付先とする方法によって、社会的に相当な範囲内の贈り物を送付することを妨げてはならず、原審申立人が未成年者宛てに送付した贈り物を受領した時は、速やかに当該贈り物を未成年者に交付しなければならないとした事例。
2016.11.15
面会交流申立事件 
LEX/DB25543834/東京家庭裁判所 平成27年12月11日 審判 (第一審)/平成26年(家)第10152号
妻である申立人が、夫である相手方と同居している夫妻の子の未成年者(12歳)との面会交流を求める調停の申立てをし、不成立となって審判手続に移行した事案において、申立人と未成年者との面会交流について、未成年者の福祉に配慮し、相手方に対し、月1回5時間の面会交流を実施し、手紙による通信及び贈り物を送ることを認めるのが相当であるとした事例。
2016.11.08
保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告事件 
LEX/DB25448235/最高裁判所第一小法廷 平成28年10月25日 決定 (特別抗告審)/平成28年(し)第607号
公訴提起後の第1回公判期日前に弁護人が申請した保釈請求却下の裁判に対する準抗告棄却決定に対する特別抗告審において、原々審の裁判官が、検察官の意見書について弁護人に謄写を許可しなかった点は是認できないとした事例。
2016.11.08
損害賠償請求事件(相続税対策で損害 税理士法人に賠償命令)
LEX/DB25543800/東京地方裁判所 平成28年 5月30日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第26327号
原告が、原告の顧問税理士であった被告に対し、〔1〕被告は、原告の前代表者Cの相続税対策としてデット・エクイティ・スワップ(DES)を提案するに際し、当該DESにより原告に多額の債務消滅益が生じることを説明せず、このため原告は課税リスクを認識することなくDESを実行したが、多額の法人税等の納付義務を生じ、本来支払う必要のなかった法人税等相当額計2億9309万3200円の損害を被った、〔2〕被告は、税務代理人として原告の税務申告書を作成、提出した際、事実と異なりDESはなかったとする前提の申告をしたため、原告はその後修正申告を余儀なくされ、延滞税等計516万5800円の損害を被った、〔3〕被告は、役員事前確定届出給与制度についての助言指導を怠ったために、原告は役員給与について同制度を利用できず、不要な納税義務が生じ、計85万7200円の損害を被った、〔4〕以上の被告の不法行為により本件訴訟に係る弁護士費用2991万1620円の支出を余儀なくされたと主張して、税務顧問契約の債務不履行又は不法行為に基づき、上記損害額合計3億2902万7820円及びその内金である上記〔1〕、〔2〕の小計2億9825万9000円に対する催告の日の翌日から、同じく上記〔3〕、〔4〕の小計3076万8820円に対する訴状送達の日の翌日から、各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案において、原告の請求が全部認容された事例。
2016.11.01
損害賠償請求事件 (愛知県弁護士会の転居先照会拒否 損害賠償請求認めず) 
LEX/DB25448208/最高裁判所第三小法廷 平成28年10月18日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1036号
弁護士法23条の2第2項に基づく照会を本件会社に対してした弁護士会である被上告人(原告・控訴人)が、本件会社を吸収合併した上告人(被告・被控訴人。日本郵政)に対し、主位的に、本件会社が23条照会に対する報告を拒絶したことにより被上告人の法律上保護される利益が侵害されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求め、予備的に、上告人が23条照会に対する報告をする義務を負うことの確認を求めたところ、原審が、被上告人の主位的請求を一部認容したため、上告人が上告した事案において、23条照会に対する報告を拒絶する行為が、23条照会をした弁護士会の法律上保護される利益を侵害するものとして当該弁護士会に対する不法行為を構成することはないとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分を破棄し、被上告人の主位的請求は理由がなく、これを棄却した第1審判決は正当であるから、上記部分につき、被上告人の控訴を棄却し、被上告人の予備的請求である報告義務確認請求については、更に審理を尽くさせる必要があるとして、原審に差し戻しを命じた事例(補足意見がある)。
2016.11.01
選挙無効請求事件 
LEX/DB25448209/最高裁判所第三小法廷 平成28年10月18日 判決 (上告審)/平成28年(行ツ)第115号 等
千葉県議会議員の定数及び選挙区等に関する条例に基づいて平成27年4月12日に施行された千葉県議会議員一般選挙で、千葉市稲毛区選挙区、千葉市若葉区選挙区、千葉市美浜区選挙区、市川市選挙区、船橋市選挙区、野田市選挙区、習志野市選挙区、柏市選挙区、市原市選挙区、流山市選挙区、浦安市選挙区、八街市選挙区及び印西市選挙区の選挙人である原告ら(上告人)が、被告(被上告人。千葉県選挙管理委員会)に対し、上記条例のうち各選挙区で選挙すべき議員の数を定める規定が公職選挙法15条8項に違反するとともに憲法14条1項に違反して無効であるから、これに基づき施行された上記選挙の上記各選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙無効訴訟で、原審が、請求を棄却したため、原告らが上告した事案において、上記選挙当時における上記定数配分規定は、公職選挙法15条8項に違反していたものとはいえず適法であるとし、また、上記定数配分規定が憲法14条1項の規定に違反していたものとはいえないとし、上記各請求をいずれも棄却した原審の判断は、是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.11.01
放送受信料請求事件 
LEX/DB25543802/奈良地方裁判所 平成28年 9月23日 判決 (第一審)/平成28年(ワ)第3号
原告(NHK)が、被告との間の放送受信契約に基づき、被告に対し、平成24年12月1日から平成27年9月30日までの放送受信料4万3980円及びこれに対する約定遅延損害金の支払を求めた事案において、放送法4条1項に定める放送内容に関する義務は、原告が個々の契約者との関係で放送受信契約に基づき負担する義務ではなく、放送に際して一般的抽象的に負担する義務であるというべきであり、上記義務は、被告が負担する放送受信料支払義務と牽連関係にないものと解するのが相当であるなどとして、原告の請求を認容した事例。
2016.11.01
銃砲刀剣類所持等取締法違反、傷害被告事件
(弁護士の下腹部切断 元法科大学院生に懲役4年6月) 
LEX/DB25543578/東京地方裁判所 平成28年 7月 5日 判決 (第一審)/平成27年(刑わ)第2208号
当時法科大学院の学生であった被告人が、包丁とはさみを携帯し、妻と共に、妻の勤務先の法律事務所に向かい、その途中、地下鉄駅構内で携帯していた包丁をゴミ箱内に投棄したものの、はさみは携帯したまま同事務所に赴き、妻がその専属の事務員を務める弁護士と面会した際、同人を殴打し、その陰茎をはさみで切断したという銃砲刀剣類所持等取締法違反、傷害の事案において、被告人は、本件犯行の約5日前、妻から、被害者との間に性的関係があったことを打ち明けられて強い衝撃を受け、そして、妻の話しぶりなどから、妻が意に沿わない性交渉に応じさせられていたと考え、被害者に強い憎悪を抱いたものであり、被告人が犯行動機を形成するに至った経緯には、一定程度酌むべき事情は認められるものの、被告人の刑事責任は相当に重いといわなければならないとして、被告人を懲役4年6月に処した事例。
2016.11.01
損害賠償請求事件 
LEX/DB25543808/福島地方裁判所 平成28年 5月24日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第17号
福島県知事から産業廃棄物処理施設の設置許可を受けた原告(産業廃棄物処理会社)が、被告水利組合、被告A、被告B、被告Cに対し、被告らが福島地方裁判所相馬支部に対して原告を債務者とする上記産業廃棄物処理施設の建設工事の続行差止めを求める仮処分の申立てを違法に行い、上記建設工事の続行を禁止する仮処分命令が発令されたため、原告が1518日間にわたって事業の停滞を余儀なくされ、事業停滞期間の借地料、一般経費及び利益金の運用収益の合計4億3404万8616円の損害を被ったと主張して、被告らの共同不法行為に基づき、連帯して上記損害及び内金3159万3510円につき平成20年3月26日から、内金917万8705円につき平成20年3月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに、被告B以外の被告に対し、処分場設置につき同意をしたにもかかわらず、これを撤回し反対運動を行ったことが債務不履行に該当するとして、同額の支払を求めた事案において、被告らが上記仮処分申立てを行ったことに過失があると認めることはできず、また、被告ら(被告Bを除く。)が本件同意に反して仮処分申立てを行ったとしても、それにより債務不履行責任が生じるとも認めることができないこととし、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2016.10.25
賃金等、損害賠償請求控訴事件  (別職種で再雇用は違法 名古屋高裁 トヨタに賠償命令)
LEX/DB25543730/名古屋高等裁判所 平成28年 9月28日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第149号
被告(被控訴人)会社で、60歳に達して定年退職を迎える従業員について、再雇用の選定基準を満たした者は定年後再雇用者就業規則に定める職務を提示し、当該基準を満たさない者はパートタイマー就業規則に定める職務を提示することとされているところ、被告会社に雇用されていた原告(控訴人)は、被告会社に対し、原告に対する再雇用拒否の通告は無効であると主張し、原告と被告会社との間のスキルドパートナーとしての再雇用契約に基づいて原告が雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、定年退職の日の翌日からの賃金、及び、一時金並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求め、(2)被告会社には使用者として労働者である原告の健康を配慮する義務を含む安全配慮義務等があるにもかかわらず、上記義務に違反したとして、雇用契約上の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償として、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた甲事件、また、原告が、被告会社で組織的ないじめを受けたと主張し、被告会社の代表取締役はこれを防止するべき任務を負い、又は原告に対してこれを防止するべき債務を負うにもかかわらず、その任務懈怠又は債務不履行があったと主張して、被告会社の代表取締役に対し、会社法429条1項又は債務不履行に基づく損害賠償として、慰謝料及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた乙事件で、原審が、甲及び乙事件の原告の請求をいずれも棄却したため、原告が控訴した事案で、原告の被告会社に対する請求は、127万1500円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとし、これと異なる原判決を変更することとし、原告の被告会社の代表取締役に対する控訴は棄却した事例。
2016.10.25
LEX/DB25541829/大阪高等裁判所 平成26年12月17日 決定 (抗告審)/平成26年(く)第564号
少年Aは、Cと共謀の上、深夜、本件現場において、過去に少年に暴行を加えたことのある被害者に対し、少年が伸縮式警戒棒を伸ばして被害者の左顔面を殴打し、前記Cが鉄棒で被害者の頭部を殴打するなどの暴行を加え、同人に約1週間の安静及び通院加療を要する見込みの頭部外傷、顔面裂傷の傷害を負わせ、原決定の中等少年院送致に対し、少年Aが抗告した事案において、少年らの行為は誤想防衛に該当するとし、傷害罪は成立せず、少年に傷害の犯罪事実があると認めた原決定には重大な事実の誤認があるとして、原決定を取り消し、本件を大阪家庭裁判所に差し戻すこととした事例。
2016.10.18
地位確認等反訴請求控訴事件 (元職員逆転敗訴 労災休職者の解雇有効)
LEX/DB25543681/東京高等裁判所 平成28年 9月12日 判決 (差戻控訴審)/平成27年(ネ)第3505号
業務上の疾病により休業し労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受けている被控訴人(1審反訴原告)が、控訴人(1審反訴被告。学校法人)から打切補償として平均賃金の1200日分相当額の支払を受けた上でされた解雇につき、被控訴人は労働基準法81条にいう労働基準法75条の規定によって補償を受ける労働者に該当せず、上記解雇は労働基準法19条1項ただし書所定の場合に該当するものではなく同項に違反し無効であるなどと主張して、控訴人を相手に、労働契約上の地位の確認等を求めたところ、上告審が、本件解雇が労働基準法19条1項に違反し無効であるとした原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして原判決を破棄し、本件解雇の有効性に関する労働契約法16条該当性の有無等について更に審理を尽くさせるため、控訴審に差し戻した事案において、本件解雇が、客観的に合理的理由がなく、社会通念上相当でないということはできず、解雇権の濫用に当たるとは認められないから、本件解雇は有効であるというべきであるとし、地位確認を求める被控訴人の請求は理由がなく棄却すべきところ、これと結論を異にする原判決は失当であるとして、本件控訴は理由があるから、本件控訴に基づき原判決中控訴人敗訴部分を取り消した事例。
2016.10.18
遺族補償給付等不支給処分取消請求控訴事件 (コンビニ店長自殺 労災認定)
LEX/DB25543680/東京高等裁判所 平成28年 9月 1日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第24号
原告(控訴人)が処分行政庁に対し、原告の子であるdが過重な業務に従事したことにより精神障害を発病して自殺したと主張して、労働者災害補償保険法に基づく遺族補償一時金及び葬祭料を請求したところ,処分行政庁がdには労働基準法施行規則別表第1の2第9号に定める疾病が発病していないとして、上記遺族補償一時金及び葬祭料を支給しない旨の処分をしたため、原告が被告(被控訴人。国)に対し、本件処分の取消しを求めたところ、原審は、dの自殺には業務起因性が認められないため、上記処分は適法であると判断し、原告の請求をいずれも棄却したことから、これを不服とする原告が控訴した事案において、平成20年12月中旬頃に発病した精神障害及びその影響下における自殺には、業務起因性が認められるということができるとし、上記処分は違法であり、本件控訴は理由があるから、原判決を取消し、上記処分を取り消した事例。
2016.10.18
解雇無効確認等請求控訴事件 (東芝解雇訴訟 東芝に6000万円賠償命令)
LEX/DB25543679/東京高等裁判所 平成28年 8月31日 判決 (差戻控訴審)/平成26年(ネ)第2150号
1審被告の従業員であった1審原告が、鬱病に罹患して休職し、休職期間満了後に1審被告から解雇されたことにつき、上記鬱病は1審被告における過重な業務に起因するものであるから、上記解雇は労働基準法19条1項本文等に違反する無効なものであると主張して、1審被告に対し、安全配慮義務違反等による債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求としての休業損害や慰謝料等の支払及び1審被告の会社規程に基づく見舞金等の支払を求め、上告審が、損害賠償の額を定めるに当たり、各金員の額を控除した原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決中損害賠償請求に関する1審原告敗訴部分は破棄を免れず、また、原判決中見舞金支払請求に関する1審原告敗訴部分についても、これを破棄し、同部分につき本件を差し戻した控訴審の事案において、1審原告の請求のうち、〔1〕損害賠償(休業損害を除いた慰謝料等)請求は、損害賠償金603万4000円及びこれに対する平成16年12月10日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、〔2〕損害賠償(休業損害)請求は,平成28年6月20日までの損害賠償金(休業損害)と確定遅延損害金を合わせた5186万0526円及びうち損害賠償金3528万5995円に対する遅延損害金の支払を求める部分並びに同月25日から本判決確定の日まで,毎月25日限り月額47万3831円の損害賠償金及びこれらに対する各月26日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める部分について、〔3〕見舞金支払請求は、見舞金160万円及びこれに対する平成22年7月22日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で、いずれも認容し、他方で、上記各請求に係るその余の部分は棄却した。これに対し、1審被告の控訴は棄却した事例。
2016.10.11
賃金請求控訴事件(富山大学給与削減訴訟 原告控訴棄却) 
LEX/DB25543398/名古屋高等裁判所金沢支部 平成28年 7月27日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第20号
被控訴人(被告。国立大学法人富山大学)の職員である控訴人(原告)らが、被控訴人が「国立大学法人富山大学職員の給与の臨時特例に関する暫定規則」を制定して就業規則を変更し、被控訴人の職員の賃金を削減したことについて、就業規則の変更には合理的な理由がなく、職員にとって不利益変更となる同規則の制定は労働契約法9条、労働契約法10条に反し、違法無効であると主張して、被控訴人に対し、労働契約に基づく賃金請求として、賃金削減相当額及び遅延損害金の支払いを求め、原審が、就業規則の変更には合理的な理由があるとして請求を棄却した事案において、原判決は正当であるとして、控訴を棄却した事例。
2016.10.11
住居侵入、窃盗、建造物侵入、覚せい剤取締法違反、窃盗未遂被告事件
(令状なしGPS捜査 2審も違法)
LEX/DB25543439/名古屋高等裁判所 平成28年 6月29日 判決 (控訴審)/平成28年(う)第48号
被告人が、侵入盗4件及び侵入盗未遂1件並びに覚せい剤の自己使用及び所持各1件で起訴されたところ、警察官は、被告人使用車両に無断でGPS端末を設置して、その位置情報を取得する捜査を行い、証拠収集を行ったとして、違法な捜査により収集された証拠について証拠排除を求めたところ、原審は、検証許可状等を得ることなく行ったGPS捜査は違法であるが、弁護人が違法収集証拠として排除を求める各証拠は、GPS捜査との関連性を有しないものであるか、関連性を有するとしても、その証拠収集過程に違法はないか、重大な違法まではないものであって、いずれも違法収集証拠に当たらず、これらの証拠能力が否定されることはないとして、被告人に対して懲役6年を言い渡したため、被告人が、違法な捜査を理由とする証拠排除をしなかったことに関する訴訟手続の法令違反及び量刑不当を主張して控訴した事案において、各証拠についていずれも証拠能力を認めて事実認定に供した原判決の判断に違法はないとし、また、原判決の量刑は不当であるとはいえないとし、控訴を棄却した事例。
2016.10.11
「新・判例解説Watch」H28.12月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25543348/最高裁判所第三小法廷 平成28年 6月 7日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第235号
被告人は、設備を設けて客にダンスをさせ、かつ、客に飲食をさせるクラブを経営するものであるが、共犯者と共謀の上、大阪府公安委員会から風俗営業の許可を受けないで、不特定の来店客にダンスをさせ、かつ、酒類等を提供して飲食させ、許可を受けないで風俗営業を営んだとして、風営法違反により起訴されたが、第1審判決は、無罪を言い渡したため、検察官が控訴し、控訴審判決も第1審判決を結論において正当であるとしたため、検察官が上告した事案において、刑事訴訟法405条の上告理由に当たらないとして、検察官の上告を棄却した事例。
2016.10.03
覚せい剤取締法違反被告事件 
LEX/DB25543388/東京地方裁判所 平成28年 5月31日 判決 (第一審)/平成28年(特わ)第247号 等
被告人が、知人から覚せい剤を有償で譲り受け、覚せい剤を吸引して使用し、残りの覚せい剤を所持した事案において、被告人は、前科前歴がないのはもとより、甲子園球場を沸かせ、その後もプロ野球を代表する打者として活躍するなど、野球界において社会的貢献をしてきたが、本件が大きく報道されるなどして厳しい社会的制裁を受けていることなども、被告人のために酌むべき事情と考えられるとして、被告人を懲役2年6月、執行猶予4年を言い渡した事例。
2016.10.03
非現住建造物等放火被告事件 
LEX/DB25543550/大阪高等裁判所 平成28年 3月15日 判決 (控訴審)/平成27年(う)第1103号
本件建物とその南側駐車場を挟んで南西に位置する自宅で弟夫婦と同居していた被告人が、本件建物に放火して全焼させたとして起訴され、原判決は有罪(懲役3年)としたため、被告人が本件建物に放火したことはなく無罪であるとして控訴した事案において、原審検察官らの行動が、証人の事前面接の域を相当に逸脱した不当なものといわざるを得ないとし、弟には、原審公判供述当時、自らが罪に問われるのを免れるため、検察官に迎合し、虚偽の供述をする動機があったというべきであるとし、原判決が、弟夫婦の証言との整合性を被告人の自白の信用性を肯定する理由の1つとしたことは是認できないが、被告人の自白の信用性を肯定し被告人が本件の犯人と認定したこと自体は、結論として、正当として是認できるとし、控訴を棄却した事例。