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2017.02.14
措置命令取消等請求事件(断熱フィルムメーカー敗訴 消費者庁の措置命令取消等請求事件) 
LEX/DB25544720/東京地方裁判所 平成28年11月10日 判決 (第一審)/平成27年(行ウ)第161号
原告らが、窓ガラスに貼って使用する「シーグフィルム」という名称の商品の販売等を行い、そのリーフレットやウェブページで、本件商品を窓ガラスに貼付すると、夏季における遮熱効果及び冬季における断熱効果があり、冷暖房効率を向上させる旨を具体的な数値を挙げるなどして表示していたところ、消費者庁長官から、本件各表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出がされておらず、不当景品類及び不当表示防止法4条2項により同条1項1号に該当する優良誤認表示とみなされるとして、不当景品類及び不当表示防止法6条に基づき、本件各表示が法に違反するものであることを一般消費者に対して周知徹底すること等を命ずる各措置命令を受けたため、原告らは合理的根拠資料を提出しており、本件各措置命令は違法であるなどと主張して、本件各措置命令の取消しを求めるとともに、国家賠償法1条1項に基づき、被告(国)に対し、原告らが本件各措置命令により受けたと主張する損害金の一部支払を求めた事案において、本件各措置命令に国家賠償法上の違法があるとはいえなどとして、請求を棄却した事例。
2017.02.14
損害賠償請求事件(受刑者に新聞閲覧禁止は違法) 
LEX/DB25530502/東京地方裁判所 平成27年 6月24日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第17759号
原告が、刑務所に収容されていた期間に同刑務所に備え付けられていた回覧用の日刊新聞紙(以下「備付回覧用新聞」という。)の閲覧を同刑務所職員により制限された行為は違法であると主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料及び遅延損害金の支払を求めた事案で、時事の報道に接する機会の重要性に鑑みれば、刑事施設の長が備付回覧用新聞の閲覧の方法等に関する定めを設けた場合には、当該刑事施設の被収容者はそれに定められたところに沿って備付回覧用新聞を閲覧する機会を与えられるべきであり、国家賠償法1条1項の適用上、法的保護に値する利益となり得るものと解され、法の定める懲罰手続を経ることなく、実質的な懲罰として本件閲覧制限を行うことは、刑務所職員が原告に対して負担する職務上の義務に違背したものとして、同項の適用上違法であることなどを理由に、原告の請求の一部を認容した事例。
2017.02.07
養子縁組無効確認請求事件 
LEX/DB25448430/最高裁判所第三小法廷 平成29年 1月31日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1255号
被上告人ら(亡Aの長女と二女)が、上告人(亡Aの長男であるBとその妻であるCとの間の長男で、亡Aと養子縁組をした)に対して、養子縁組は縁組をする意思を欠くものであると主張して、その無効確認を求め、原審は、養子縁組は専ら相続税の節税のためにされたものであるとした上で、かかる場合は民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとして、被上告人らの請求を認容したため、上告人が上告した事案において、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに当該養子縁組について民法802条1号にいう「当事者間に縁組をする意思がないとき」に当たるとすることはできないとし、被上告人らの請求を認容した原審の判断には、法令の違反があるとして、原判決を破棄し、被上告人らの請求を棄却した第1審判決は正当であるとして、被上告人らの控訴を棄却した事例。
2017.02.07
クロレラチラシ配布差止等請求事件 
LEX/DB25448403/最高裁判所第三小法廷 平成29年 1月24日 判決 (上告審)/平成28年(受)第1050号
適格消費者団体である上告人(原告・被控訴人)が、健康食品の小売販売等を営む会社である被上告人(被告・控訴人)に対し,被上告人が自己の商品の原料の効用等を記載した新聞折込チラシを配布することが、消費者契約の締結について勧誘をするに際し消費者契約法4条1項1号に規定する行為を行うことに当たるとして、被上告人が自ら又は第三者に委託するなどして新聞折込チラシに上記の記載をすることの差止め等を求め、第一審は、上告人の請求を認容したが、控訴審は、消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」には不特定多数の消費者に向けて行う働きかけは含まれないところ、本件チラシの配布は新聞を購読する不特定多数の消費者に向けて行う働きかけであるから上記の「勧誘」に当たるとは認められないと判断して、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、事業者等による働きかけが不特定多数の消費者に向けられたものであったとしても、そのことから直ちにその働きかけが消費者契約法12条1項及び2項にいう「勧誘」に当たらないということはできないとした事例。
2017.02.07
特許権侵害差止請求控訴事件  
「新・判例解説Watch」H29.5月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448401/知的財産高等裁判所 平成29年 1月20日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第10046号
「オキサリプラティヌムの医薬的に安定な製剤」と称する特許権者の一審原告が、一審被告の製造販売に係る一審被告各製品は、本件特許の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る発明の技術的範囲に属し、かつ、存続期間の延長登録を受けた本件特許権の効力は、一審被告による一審被告各製品の生産、譲渡及び譲渡の申出(生産等)に及ぶ旨主張して、一審被告に対し、一審被告各製品の生産等の差止め及び廃棄を求め、本件特許権の効力が一審被告各製品の生産等に及ぶか否かが争われ、原判決は、その効力が一審被告各製品の生産等には及ばないとして一審原告の請求をいずれも棄却したため、一審原告がこれを不服として控訴した事案において、一審原告の請求を棄却した原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.02.07
損害賠償請求控訴事件(野外コンサート落雷死 原告控訴棄却)
LEX/DB25544618/大阪高等裁判所 平成28年11月10日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第1738号
原告ら(控訴人)が、被告ら(被控訴人)は、音楽イベントについての公演参加契約に付随する安全配慮義務を怠り、本件落雷事故により原告らの娘亡P5を死亡させたと主張して、損害賠償を求めたところ、請求が棄却されたため、控訴した事案において、被告らが亡P5に対して安全配慮義務又は条理上の保護義務を負っていたと認められるのは、当該場所についての利用・管理の状況、先行行為を含む被告らと亡P5との関係、予見可能性の有無やその具体性等の諸般の事情を総合考慮して、被告らに対し、亡P5を落雷の危険から保護する義務を負わせることが相当といえる客観的状況が存在する場合に限られると解させるところ、本件において、被告らが亡P5に対して安全配慮義務及び条理上の保護義務を負っていたとは認められないとし、控訴を棄却した事例。
2017.01.31
各刑の執行猶予の言渡し取消し決定に対する各即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件 
LEX/DB25448397/最高裁判所第二小法廷 平成29年 1月16日 決定 (特別抗告審)/平成29年(し)第8号
申立人(被請求人)が、(1)平成26年1月28日、窃盗罪により懲役2年・執行猶予3年を言い渡され、(2)平成27年5月14日、窃盗未遂罪により懲役1年・保護観察付き執行猶予4年を言い渡され、さらに、(3)平成28年6月から7月の間、3件の窃盗罪で、平成28年11月21日、懲役6月を言い渡された(控訴審係属中)中で、検察官が、前記(1)(2)の各刑の執行猶予の言渡し取消しを請求したところ、原々審は、前記(3)の窃盗3件と同一の事実を認定し、保護観察に付せられた者が遵守すべき事項を遵守せず、その情状が重いと認め、前記(2)の刑の執行猶予の言渡しを取消し、前記(1)の刑の執行猶予の言渡しを取り消す各原々決定をしたが、各原々決定の謄本を、いずれも検察官と原々審で申立人が選任した弁護人2名のうち主任弁護人に対して送達したものの、申立人に対して送達しなかったことにより、申立人が、前記弁護人2名を原審の弁護人として改めて選任し、各原々決定に対してそれぞれ即時抗告を申し立てたが、原審が、本件各即時抗告をいずれも棄却したため、申立人が特別抗告した事案において、刑事訴訟規則34条は、「裁判の告知は、公判廷においては、宣告によつてこれをし、その他の場合には、裁判書の謄本を送達してこれをしなければならない。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。」と規定しているところ、刑の執行猶予の言渡し取消し請求において、同条により刑の執行猶予の言渡し取消し決定の謄本の送達を受けるべき者は、検察官及び猶予の言渡しを受けた者(被請求人)であり、また、同謄本が、被請求人の選任した弁護人に対して送達されたからといって、被請求人に対する送達が行われたものと同じ法的な効果は生じないと解するのが相当であるとし、原決定を取り消し、各原々決定の謄本が申立人に対して送達された後、各即時抗告に対する判断が行われるのが相当であるから、各事件を原裁判所である高等裁判所に差し戻しを命じた事例。
2017.01.31
電子マネー不正使用金返還請求事件
(電子マネー不正利用被害 サービス提供会社に賠償命令 東京地裁(平成29年1月18日東京高裁判決の原審)) 
LEX/DB25536610/東京地方裁判所 平成28年 8月30日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第30818号
スマートフォンである携帯電話にインストールされたアプリケーションを用いて被告Y1の提供するプリペイド型電子マネーのサービスを利用し、電子マネーの発行を受けたときの決済方法として被告Y2発行するクレジットカードを利用していた原告が、当該携帯電話を紛失し又は何者かにより窃取されたところ、携帯電話の回線を停止したにもかかわらず、第三者が当該携帯電話を用いてクレジットカード決済により電子マネーを申し込んでその発行を受けたため、原告が当該電子マネーの発行対価を被告Y2に支払ったことについて、原告にはかかる支払義務がないとして、被告Y1がクレジットカード決済により被告Y2から上記発行対価と同額の支払を受けたこと及び被告Y2が原告から同額の支払を受けたことはいずれも法律上の原因のない利得であると主張し、被告らに対し、それぞれ不当利得金の返還を求めるとともに、予備的に、被告Y1がクレジットカードでの決済により電子マネーの発行を行うサービスを提供し、被告Y2が同サービスでクレジットカード決済を行うという役割を担うに当たり、被告らは、電子マネーの不正な発行申込み及び使用によりクレジットカードが不正使用されることを防止する注意義務を共同して負っていたところ、同注意義務に反した結果、原告が電子マネーの発行対価の支払を余儀なくされたと主張して、被告らに対し、それぞれ発行対価相当額の支払を求めた事案において、原告の被告らに対する主位的請求及び予備的請求は、理由がないとして棄却した事例。
2017.01.31
離婚等請求事件 
LEX/DB25544411/千葉家庭裁判所松戸支部 平成28年 3月29日 判決 (第一審)/平成24年(家ホ)第19号
離婚等請求事件の事案において、原告(妻)と被告(夫)の婚姻関係は、共にプライドの高い原告と被告が、事ごとに衝突を繰り返した結果、険悪な状態となって別居するに至り、その後、長女の監護者を巡る紛争を繰り広げるうちに相互不信が募り、遂に破綻するに至ったものと認められるから、婚姻破綻の原因は双方にあり、いずれか一方に特に非があるということはできないから、原告の離婚請求は理由があるが、慰謝料請求は理由がないというべきであると示したほか、長女の親権者については、被告と指定するのが相当であるとして、その理由として、今後、長女が身を置く新しい環境は、長女の健全な成長を願う実の父親が用意する整った環境であり、長女も現在に比べて劣悪な環境に置かれるわけではないことなどを挙げ、原告と長女との面会交流の要領を定め、原告と被告との間の年金分割についての按分割合を定めた事例。
2017.01.24
未払通勤手当請求控訴事件 
LEX/DB25544597/東京高等裁判所 平成28年12月21日 判決 (控訴審)/平成28年(行コ)第243号
控訴人(1審被告。東京都)の非常勤教員であった被控訴人(1審原告)が、2年間の通勤手当に未払分が発生したことにつき、〔1〕主位的に、被控訴人が勤務していた中学校の給与事務担当者等は、通勤手当の金額を適正かつ正確に算出する職務上の注意義務を負っているところ、これに違反し、バス運賃相当分の通勤手当の算出を行わず、その結果、控訴人から被控訴人に対してバス運賃相当分の支給がされず、バス運賃に相当する交通費及び慰謝料に相当する精神的損害を被ったとして、国家賠償法3条1項に基づき、費用負担者である控訴人に対し、相当額の支払を求め、〔2〕予備的に、通勤手当請求権に基づき、費用負担者である控訴人に対し、未払通勤手当の支払を求め、原判決が、主位的請求については、請求額を一部減額したうえで認容し、その余の主位的請求は棄却し、予備的請求については判断を要しないとしたため、控訴人が、敗訴部分を不服として控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.01.24
保険金請求控訴事件 
LEX/DB25544457/大阪高等裁判所 平成28年12月 9日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第1257号
控訴人(被告。損害保険会社)との間で自動車保険契約を締結していた被控訴人(原告。車両の使用者)が、控訴人に対し、車両が火災により焼損したとして、保険金650万円、全損時諸費用保険金20万円及び被控訴人が支払った車両運搬費用5万7750円の合計である675万7750円の支払を求め、原判決が、被控訴人の請求を認容したため、控訴人が控訴した事案において、〔1〕上記車両火災は、被控訴人のたばこの吸い殻の火又は本件自動車内の火元となり得る箇所からの出火によるものであると認めることができない以上、何者かが、燃え上がり箇所に火を付けたことによるものとしか考えられないこと、〔2〕被控訴人以外の第三者による放火という事態は考えがたいこと及び〔3〕被控訴人が本件自動車に放火することは容易であり、かつ、その動機も了解が可能であることなどの各事実が認められ、上記車両火災は、被控訴人の故意によるものと認めるのが相当であるとし、火災による損害については、その余の争点(本件火災が被控訴人の重過失によるものか)について検討するまでもなく、保険契約所定の支払拒絶事由(被控訴人の故意によって生じた損害であること)が認められるから、原判決を取消し、被控訴人の保険金請求を棄却した事例。
2017.01.24
面会交流申立事件 
LEX/DB25544598/名古屋家庭裁判所 平成28年 8月31日 審判 (第一審)/平成27年(家)第1913号 等
婚姻中の夫婦間で、申立人(夫)が、相手方(妻)に対し、現在相手方の下で監護養育されている未成年者A(長女)及び同B(長男)について、面会交流を求めた事案において、相手方が主張する性的虐待等の存在につき、これを基礎付ける具体的な根拠は認められないから、未成年者Aについて面会交流を禁止制限する事由は認められないなどとし、未成年者A及びBと申立人との間の面会交流を認めるべきであるとした事例。
2017.01.24
賃料減額等請求事件
LEX/DB25530861/東京地方裁判所 平成27年 7月 9日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第7008号
建物の一部分を賃借する原告が、当時の賃貸人であった被告D社に対して賃料減額請求の意思表示をしたとして、D社及びその後賃貸人の地位を承継した被告E社に対し、既払賃料のうちの適正額超過分の支払を求めた事案において、たしかに、本件建物から最寄りの標準地における公示地価は、平成21年時点では、1平方メートルあたり99万5000円であったのが、平成23年時点では、1平方メートルあたり86万円となっている事実は認められるが、現行の家賃が定められてから相当期間が経過していることが不相当性判断における極めて大きな要素であるところ、契約締結から減額の意思表示までわずか2年が経過したに過ぎない本件について、この間の地価の変動のみを理由に賃料の不相当性を判断するのは不合理であり、経済事情の激変といった特別な事情もない本件では、賃料が不相当とは言えないなどとして、請求を棄却した事例。
2017.01.24
貸金等請求事件 
LEX/DB25530863/東京地方裁判所 平成27年 7月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第34270号
原告が、被告Cの連帯保証のもと被告Bに対して金銭を貸し付けたとして、被告Bに対しては金銭消費貸借契約に基づく貸金返還請求及び利息支払請求として、被告Cに対しては連帯保証契約に基づく保証債務履行請求として、連帯して、貸金残金の支払を求めた事案において、原告は、本件貸金債権を担保するために被告ら所有の不動産に設定した根抵当権に基づき不動産競売を申し立てたことが認められるので、消滅時効は申立日に中断したと解すべきであって、その後、民事執行法63条2項に基づく無剰余取消がされたことは権利実行の意思を否定するものではなく、「権利者の請求により又は法律の規定に従わないことにより取り消されたとき」(民法154条)には当たらないとして、請求を認容した事例。
2017.01.17
損害賠償請求事件 
LEX/DB25544474/大阪地方裁判所 平成28年12月 9日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第363号
原告が、大阪府警察署の留置施設に収容されていた際、警察官が原告を違法に留置保護室に収容しようとしたこと、警察官から暴行を受けたこと、防衛のために警察官に暴力を振るったにもかかわらず、警察官が内容虚偽の調書を作成し、公務執行妨害、傷害の事実で起訴された上、警察官が刑事裁判の公判期日において偽証をしたことによって精神的損害を被ったと主張し、被告大阪府に対し、国家賠償法1条に基づき、慰謝料等の支払を求めるとともに、上記公務執行妨害、傷害の捜査を担当していた検察官が故意に警察官に内容虚偽の供述調書を作成させたか又は必要な捜査を怠り、公判を担当していた検察官が故意に警察官に偽証させたか又は必要な注意義務を怠り、それによって精神的損害を被ったと主張し、被告国に対し、国家賠償法1条に基づき、被告大阪府と連帯して、慰謝料等の支払を求めた事案において、巡査長による違法な暴行があったとは認めらず、巡査長が原告を留置保護室に収容しようとしたことが違法であったとはいえないとし、また、副検事及び検事の行為が国家賠償法上違法ではないとしたが、大阪府警察の警察官が、巡査長及び巡査に働きかけるなどして両名の供述とは一部異なる内容が記載された供述調書を作成したことについては、被告大阪府は、原告に対し、慰謝料を支払う義務を負うとし、請求額を減額したうえで、認容した事例。
2017.01.10
離婚、損害賠償請求控訴事件、損害賠償等請求反訴事件、損害賠償請求附帯控訴事件
LEX/DB25544250/札幌高等裁判所 平成28年11月17日 判決 (控訴審)/平成27年(ネ)第226号 等
夫である被控訴人(当審反訴被告)甲が、妻である控訴人(当審反訴原告、附帯被控訴人)乙との間の婚姻関係は既に破綻しているとして、控訴人乙に対し、民法770条1項5号に基づいて離婚を請求するとともに、長男及び長女の親権者をいずれも控訴人甲と定めることを求め(第1事件)、また、控訴人乙が、被控訴人(附帯控訴人)丙に対し、被控訴人らの不貞行為により精神的苦痛を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき、賠償金の支払いを求め(第2事件)、原審が第1事件については、被控訴人甲の離婚請求を認容し、子らの親権者をいずれも控訴人乙と定め、第2事件については、請求を一部認容した事案において、原判決を変更し、控訴人乙の請求を一部認容し、被控訴人丙の賠償額を増額させた事例。
2017.01.10
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反被告事件(美瑛官製談合 1審判決支持) 
LEX/DB25544203/札幌高等裁判所 平成28年10月 4日 判決 (控訴審)/平成28年(う)第142号
町立病院の放射線係長であった被告人が、本件医療機器の購入契約に係る本件指名競争入札に先立ち、公務員としての職務に反し、上記医療機器の製造会社の従業員に対して特定の納品会社に落札させるように指示したほか、同従業員と共謀し、特定の入札指名業者に対して町長の定めた予定価格を下回る仕切価格が記載された見積書を、残る5業者にそれを上回る仕切価格が記載された見積書を、それぞれ送付した結果、上記特定の指名業者に落札させて入札構成侵害行為に及んだとされた事案の控訴審において、被告人に前科がないことなど、原判決指摘の酌むべき事情を考慮しても、本件の罪質や犯情等に照らして、本件が罰金刑で処断すべき軽微な事案とはいえず、原判決の量刑は、刑期及び執行猶予期間の点を含め、重すぎて不当であるとはいえないとして、控訴を棄却した事例。
2016.12.27
地方自治法251条の7第1項の規定に基づく不作為の違法確認請求事件 
LEX/DB25448341/最高裁判所第二小法廷 平成28年12月20日 判決 (上告審)/平成28年(行ヒ)第394号
日本国とアメリカ合衆国との間で返還の合意がされた沖縄県宜野湾市所在の普天間飛行場の代替施設を同県名護市辺野古沿岸域に建設するための公有水面の埋立事業につき、沖縄防衛局が、前知事から公有水面の埋立承認を受けていたところ、被告(上告人。県知事)が本件埋立承認は違法であるとしてこれを取り消したため、原告(被上告人。国土交通大臣)が、沖縄県に対し、本件埋立承認取消しは違法であるとして、地方自治法245条の7第1項に基づき、本件埋立承認取消しの取消しを求める是正の指示をしたものの、被告が、本件埋立承認取消しを取り消さず、法定の期間内に地方自治法251条の5第1項に定める是正の指示の取消しを求める訴えの提起もしないことから、地方自治法251条の7第1項に基づき、被告が上記指示に従って本件埋立承認取消しを取り消さないことが違法であることの確認を求め、原審は、被告が、適法な指示に従わず、本件埋立承認取消しを取り消さないのは違法であるとし、原告の請求を認容したため、被告が上告した事案において、被告が上記指示に係る措置として本件埋立承認取消しを取り消さないことは違法であるとし、原告の請求を認容した原審の判断は、結論において是認することができるとして、上告を棄却した事例。
2016.12.27
遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448337/最高裁判所大法廷 平成28年12月19日 決定 (許可抗告審)/平成27年(許)第11号
Aの共同相続人である抗告人(Aの弟の子でAの養子)と相手方(Aの妹でAと養子縁組をしたB(平成14年死亡)の子)との間におけるAの遺産の分割申立てをし、原審は、本件預貯金は、相続開始と同時に当然に相続人が相続分に応じて分割取得し、相続人全員の合意がない限り遺産分割の対象とならないなどとした上で、抗告人が不動産を取得すべきものとしたため、上告した事案において、共同相続された普通預金債権、通常貯金債権及び定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当であるとし、最高裁平成15年(受)第670号同16年4月20日第三小法廷判決・裁判集民事214号13頁の判例の変更をすべきとした上で、本件預貯金が遺産分割の対象とならないとした原審の判断には、裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとし、原決定を破棄し、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻しを命じた事例(補足意見、意見がある)。
2016.12.27
不当利得返還請求事件 
LEX/DB25448335/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月19日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1394号
主債務者から信用保証の委託を受けて上告人と保証契約を締結し、主債務者の借入金債務を上告人に代位弁済した被上告人が、主債務者は一定の業種に属する事業を行う中小企業者の実体を有する者でなく、被上告人は、このような場合には保証契約を締結しないにもかかわらず、そのことを知らずに同契約を締結したものであるから、同契約は要素の錯誤により無効であると主張して、上告人に対し、不当利得返還請求権に基づき、代位弁済金の返還及び遅延損害金の支払を求めたところ、原審が、上告人の請求を、遅延損害金請求の一部を除いて認容したため、上告人が上告した事案において、牛乳等の小売業を営んでいたA社が中小企業者の実体を有することという被上告人の動機は、それが表示されていたとしても、当事者の意思解釈上、保証契約の内容となっていたとは認められず、被上告人の保証契約の意思表示に要素の錯誤はないとし、原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中上告人敗訴部分は破棄し、被上告人の請求は、破棄部分に関する第1審判決中上告人敗訴部分を取消した上、上記取消部分に関する被上告人の請求を棄却し、かつ、上記破棄部分に関する被上告人の控訴を棄却した事例。