2016.12.20
損害賠償等請求事件
LEX/DB25448307/最高裁判所第一小法廷 平成28年12月 8日 判決 (上告審)/平成27年(受)第2309号
上告人(1審被告。国)が日米安全保障条約等に基づき米海軍に使用させ、また、海上自衛隊が使用する厚木海軍飛行場の周辺に居住する被上告人(1審原告)らが、同飛行場において離着陸する米海軍及び海上自衛隊の各航空機の発する騒音等により精神的又は身体的被害等を被っていると主張して、上告人に対し、人格権に基づく航空機の離着陸等の差止め及び音量規制を請求するとともに、国家賠償法2条1項に基づく損害賠償等を求めた上告審の事案において、上記飛行場で離着陸する米海軍及び海上自衛隊の各航空機の発する騒音等により精神的又は身体的被害等を被っていることを理由とする被上告人らの上告人に対する損害賠償請求権のうち事実審の口頭弁論終結の日の翌日以降の分については、その性質上、将来の給付の訴えを提起することのできる請求権としての適格を有しないものというべきであるとして、被上告人らの本件訴えのうち原審の口頭弁論終結の日の翌日以降に生ずべき損害の賠償請求に係る部分は、権利保護の要件を欠くものというべきであって、被上告人らの上記損害賠償請求を平成28年12月31日までの期間について認容した原判決には、訴訟要件に関する法令の解釈の誤りがあり、この違法が判決に影響を及ぼすことは明らかである。したがって、原判決中上記将来の損害の賠償請求を認容した部分は破棄を免れず、上記部分に係る訴えを却下した第1審判決は相当であり、この部分について被上告人らの控訴及び被上告人らの附帯控訴を棄却し、その余の請求に関する上告については、上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例(補足意見がある)。