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2017.07.11
不当利得返還請求事件
(平成29年4月27日大阪高等裁判所(平成29年(ネ)第57号)の原審) 
LEX/DB25545766/大阪地方裁判所 平成28年11月29日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第7286号
原告が、被告から購入したゴルフ会員権の退会手続をとったところ、同ゴルフ場運営者から被告に同会員権の預託金が送金され、被告がこれを不当に利得したと主張して、被告に対し、不当利得返還請求権に基づき金員の返還を求めた事案において、請求を棄却した事例。
2017.07.04
伊方原発3号機運転差止仮処分命令申立事件(第1事件、第2事件)
LEX/DB25545650/広島地方裁判所 平成29年 3月30日 決定 (第一審)/平成28年(ヨ)第38号 等
伊方原発3号機の運転差止仮処分命令を申立てた第1事件及び第2事件の各債権者らにおいて、債務者が設置、運転している発電用原子炉施設である伊方発電所3号炉及びその附属施設は、地震、火山の噴火、津波等に対する安全性が十分でないために、これらに起因する過酷事故を生じる可能性が高く、そのような事故が起これば外部に大量の放射性物質が放出されて債権者らの生命、身体、精神及び生活の平穏等に重大かつ深刻な被害が発生するおそれがあるとして、債務者に対し、人格権に基づく妨害予防請求権に基づき、本件原子炉の運転の差止めを命じる仮処分を申し立てた事案において、基準地震動の策定、耐震設計における重要度分類、使用済燃料ピット等の安全対策、地すべりと液状化現象による危険性の評価、制御棒挿入に係る危険性の評価、基準津波の策定、火山事象の影響による危険性の評価、テロリズム対策、シビアアクシデント対策のそれぞれにつき、新規制基準の定めが不合理であるということはできないし、本件原子炉施設が上記の各点につき新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断が不合理であるともいえないなどとし、第1事件及び第2事件の各債権者らの申立てをいずれも却下した事例。
2017.07.04
仮処分命令認可決定に対する保全抗告事件
LEX/DB25545751/大阪高等裁判所 平成29年 3月28日 決定 (抗告審)/平成28年(ラ)第677号
滋賀県内に居住する相手方(債権者)らが、原子力発電所を設置している抗告人(債務者。電力会社)に対し、各原発が耐震性能に欠け、津波による電源喪失等を原因として周囲に放射性物質汚染を惹起する危険性を有する旨主張して、人格権に基づく妨害(予防)排除請求権に基づき、各原発を仮に運転してはならないとの仮処分を申し立て、これを認容する原決定をがなされたため、抗告人が保全異議の申立てをし、原審が原決定を認可したのに対し抗告人が保全抗告をした事案において、各原発の安全性が欠如していることの疎明があるとはいえないとして、原決定を取り消し、相手方らの仮処分申立てを却下した事例。
2017.06.27
業務上過失致死傷被告事件 
LEX/DB25448725/最高裁判所第二小法廷 平成29年 6月12日 決定 (上告審)/平成27年(あ)第741号
乗客が多数死亡したJR福知山線の脱線事故について、神戸地方検察庁が不起訴とした後、神戸第一検察審査会による2度の「起訴相当」判決を受けて業務上過失致死傷罪で強制起訴された、JR西日本の歴代社長3人に対する裁判で、第1審は被告人らに対し無罪を言い渡し、原判決も検察官の職務を行う指定弁護士の控訴を棄却したため、上告した事案において、JR西日本の歴代社長である被告人らが、鉄道本部長に対しATSを曲線に整備するよう指示すべき業務上の注意義務があったということはできないとし、被告人らに無罪を言い渡した第1審判決を是認した原判断は相当であるとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2017.06.27
損害賠償請求事件 
LEX/DB25545810/さいたま地方裁判所 平成29年 5月24日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第2274号
原告らが,原告A(被告が管理運営する拘置所に収容されている死刑確定者)と原告弁護士23名らとの再審請求ないし国家賠償請求訴訟等の準備を目的とする別紙面会状況表記載の253回の各面会について、拘置所の職員の立会いのない秘密面会を許さず、また、面会時間を30分に制限した拘置所長の措置が違法であると主張して、被告国に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めた事案において、拘置所長が、上記各面会の一部を除き、秘密面会を許さなかったことにつき、職務上通常尽くすべき注意義務を尽くさなかったものとして、過失があったことは明らかであるとし、本件再審請求等に向けた打合せを目的とする面会につき、面会時間を一律に30分に制限した拘置所長の措置は、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して上記各面会をした原告A及び原告弁護士らの面会の利益をいずれも侵害したものとして、国家賠償法1条1項の適用上違法となるなどとして、原告Aの請求については認容し、原告弁護士20名らの請求については、請求額を減額したうえで一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2017.06.27
補償協定上の地位確認請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.9月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545811/大阪地方裁判所 平成29年 5月18日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第11819号
水俣病の認定を受けたd及びeの各相続人である原告らが、水俣病を発生させた企業である被告と水俣病患者東京本社交渉団との間で昭和48年7月9日に締結された水俣病補償協定に基づき、被告に対し、本件協定に基づく補償を受けられる等の協定上の権利を有する地位にあることの確認を求めた事案において、本件協定の本文第三項の「認定された患者」に該当するためには、その文言のとおり水俣病の認定を受けたことのみで足り、それ以外の要件は付されていないというべきであるとし、dらは、本件協定の本文第三項の「認定された患者」に該当し、dらの権利義務を承継した原告らは、受益の意思表示をしていることから、被告に対して本件協定に基づく補償給付を求めることができる地位を有すると認め、原告の請求を認容した事例。
2017.06.27
損害賠償請求事件  
LEX/DB25545773/静岡地方裁判所浜松支部 平成29年 4月24日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第403号
歯科医師として歯科医院を開業している原告が、被告会社で行っていた信用取引は、適合性原則違反、実質一任売買又は過当取引に当たる違法なものであったと主張して、被告らに対し、被告会社の従業員である被告担当者については民法709条及び719条に基づき、被告会社については民法715条に基づき、連帯して、損害賠償金の支払を求めた事案において、被告担当者は、本件信用取引全体に対して共同不法行為責任を負い、被告会社は、被告担当者の使用者として使用者責任を負うとして、請求額を減額したうえで、一部認容した事例。
2017.06.20
入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為毒の処罰に関する法律違反、公契約関係競売入札妨害被告事件(官製談合 亘理町 元課長に有罪判決)
LEX/DB25545587/仙台地方裁判所 平成29年 3月27日 判決 (第一審)/平成28年(わ)第608号
土木建築設計施工請負等を業とする株式会社の取締役営業部長であり同社の入札業務等を担当していた被告人が、宮城県亘理郡の企画財政課長として同町が発注する工事の入札を執行する職務等に従事していた共犯者らと共謀し、工事の条件付一般競争入札に関し、他の復旧・復興建設工事共同企業体が落札したにもかかわらず、工事の入札を執行し直して、前記入札金額より高い金額で別の復旧・復興建設工事共同企業体に入札させたとして、入札談合等関与行為の排除及び防止並びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法律違反で起訴された事案において、懲役1年、執行猶予3年を言い渡した事例。
2017.06.20
損害賠償請求事件(第1事件、第2事件、第3事件、第4事件、第5事件)
(みずほ証券等に対する粉飾決算損害賠償請求事件) 
LEX/DB25545277/東京地方裁判所 平成28年12月20日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第36767号 等
半導体製造装置の制作販売会社であるF社が、架空の売上げを計上して粉飾決算を行い、虚偽記載のある有価証券届出書を提出して東京証券取引所の市場であるマザーズへの上場を行ったところ、その後上記粉飾決算の事実が明らかになったことから、上場時の募集若しくは売出しに応じ、又は上場後の取引所市場においてF社株式を取得した原告らが、F社の役員、同社株式の募集又は売出しを行った元引受証券会社及び販売を受託した証券会社、当該売出しに係る株式の所有者並びに東京証券取引所等を被告として、金融商品取引法21条1項1号、2号、4号、22条1項及び17条、会社法429条2項又は民法上の不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案において、被告役員らの金商法上の責任を認めたほか、本件上場手続に関与した被告M証券について、A類型原告らの金商法21条1項4号に基づく請求及び同法17条に基づく請求はいずれも理由があるなどとした事例。
2017.06.20
損害賠償等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.10月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448539/大阪地方裁判所 平成29年 1月12日 判決 (第一審)/平成27年(ワ)第718号
原告出版社が、被告出版社及び被告印刷会社に対し、原告書籍を出版した際に製作された印刷用のデータを使用して、被告書籍を印刷・製本し、出版したと主張して、損害賠償を求めた事案において、被告印刷会社に本件写真データを使用して被告書籍の印刷・製本をさせた被告出版社の行為は、原告が被告印刷会社に対して有する債権侵害としての不法行為を構成すると認められ、被告出版社は、原告に生じた損害について、不法行為による損害賠償責任を負うとして、原告の請求を一部認容した事例。
2017.06.20
児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反,強制わいせつ,犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件 
LEX/DB25448670/大阪高等裁判所 平成28年10月27日 判決 (控訴審)/平成28年(う)第493号
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強制わいせつ、犯罪による収益の移転防止に関する法律違反被告事件の控訴審において、強制わいせつ罪の保護法益は被害者の性的自由と解され、同罪は被害者の性的自由を侵害する行為を処罰するものであり、客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ、行為者がその旨認識していれば、強制わいせつ罪が成立し、行為者の性的意図の有無は同罪の成立に影響を及ぼすものではないと解すべきであるとし、控訴を棄却した事例。
2017.06.13
詐欺、詐欺未遂、窃盗、殺人被告事件(首都圏連続不審死事件) 
LEX/DB25448669/最高裁判所第二小法廷 平成29年 4月14日 判決 (上告審)/平成26年(あ)第639号
被告人が、正業に就くこともないまま、ぜいたくな暮らしをするため、結婚相手を探すウェブサイトで知り合った男性らから、真剣な交際を装うなどして多額の金銭を受け取るなどしていたところ、その返済や嘘が発覚して追及されることを免れる等の目的で、あらかじめ練炭コンロ及び練炭を準備し、半年余りのうちに3名の男性を次々と殺害した殺人3件のほか、同ウェブサイトで知り合った男性らを被害者とする詐欺3件、同未遂3件及び窃盗1件からなる事案の上告審において、被告人の刑事責任は極めて重大であるというほかなく、原判決が維持した第1審判決の死刑を是認し、上告を棄却した事例。
2017.06.06
市町村長の処分に対する不服申立て却下の審判に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448658/最高裁判所第二小法廷 平成29年 5月17日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第49号
相手方らが、その子らに係る戸籍法104条1項所定の日本国籍を留保する旨の届出等を抗告人にしたところ、抗告人からこれらを受理しない旨の処分を受けたため、同法121条に基づき、抗告人に本件届出等の受理を命ずることを申し立てたところ、原審は本件各国籍留保の届出が戸籍法104条3項所定の期間内にされたものであるとして、本件申立てを却下した原々審判を取消し、抗告人に本件各届出の受理を命じたため、抗告人が許可抗告した事案において、戸籍法104条1項所定の日本国籍を留保する旨の届出について同条3項にいう「責めに帰することができない事由」があるとした原審の判断は、法令の違反があるとし、原決定を破棄し、本件各届出をいずれも不受理とした抗告人の処分に違法はなく、本件申立てを却下した原々審判は相当であるとし、これに対する相手方らの抗告を棄却した事例。
2017.06.06
嘉手納基地爆音差止等請求事件 
「新・判例解説Watch」H29.6月下旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25545477/那覇地方裁判所沖縄支部 平成29年 2月23日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第245号
本件飛行場の周辺に居住し、若しくは居住していた者又はその相続人である原告らが、本件飛行場において離着陸するアメリカ合衆国の航空機の発する騒音により健康被害を受けていると主張して、日米安保条約及び日米地位協定に基づいてアメリカ合衆国に本件飛行場を提供している被告に対し、人格権、環境権又は平和的生存権に基づき、毎日午後7時から翌日午前7時までの間における本件飛行場における航空機の離発着禁止等を求めた事案において、本件飛行場の航空機の運航等によって、原告らは相当に大きな騒音に曝露され、少なくとも本件コンター上、W75以上を超える区域に居住する原告らについては法的保護に値する重要な利益の侵害があると認められること等、特に本件コンター上W95以上の地域については、航空機騒音対策緊急指針において緊急に対策を講じるべきとされた強度の騒音曝露状況が現在も続いている等として、原告の請求を一部認容した事例。
2017.05.30
債権差押命令取消及び申立て却下決定に対する抗告審の取消決定に対する許可抗告事件 
LEX/DB25448653/最高裁判所第二小法廷 平成29年 5月10日 決定 (許可抗告審)/平成28年(許)第26号
輸入業者である抗告人から依頼を受けてその輸入商品に関する信用状を発行した銀行である相手方が、抗告人につき再生手続開始の決定がされた後、上記輸入商品に対する譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、抗告人が転売した上記輸入商品の売買代金債権の差押えを申し立てた事案の上告審において、本件商品の輸入について信用状を発行した銀行である相手方は、抗告人から占有改定の方法により本件商品の引渡しを受けたものと解するのが相当であるとした上で、相手方は、抗告人につき再生手続が開始した場合に本件譲渡担保権を別除権として行使することができるというべきであるから、譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、本件転売代金債権を差し押さえることができるとし、原審の判断を是認することができるとして抗告を棄却した事例。
2017.05.30
退職金請求控訴事件 
LEX/DB25545529/大阪高等裁判所 平成29年 4月20日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第2993号
中学校及び高等学校を設置する被控訴人学校法人(原審被告)の教諭であった控訴人(原審原告)らが、退職金が減額されることになる就業規則の変更が控訴人らを拘束しないとして、それぞれ、変更前の就業規則に基づく退職金額と既払退職金額との差額等の支払を求め、原審は、控訴人らの請求をいずれも棄却したため、同人らがこれを不服として控訴を申し立てた事案において、原判決の判断は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.05.30
損害賠償請求控訴事件 
LEX/DB25545528/名古屋高等裁判所金沢支部 平成29年 4月19日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第249号
被控訴人学校法人(原審被告)の運営する医科大学の教授であった控訴人(原審原告)が、被控訴人C学長(原審被告)によって文部科学省等の運営する科学研究費助成に関する応募を違法に妨害され、学問の自由や期待権が侵害されたなどと主張して、被控訴人らに対し、不法行為に基づく損害賠償請求として、連帯して慰謝料及び弁護士費用等の支払を求め、原審は、控訴人の請求をいずれも棄却したため、控訴人が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.05.30
地位確認請求控訴事件 
LEX/DB25545521/大阪高等裁判所 平成29年 4月14日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第3119号
控訴人(原告)は、被控訴人学校法人(被告)との間で労働契約を締結し、被控訴人学校法人の設置、運営する被控訴人大学の人文科学研究所で教授として研究教育活動に従事する者であり、満65歳に達した年度の3月31日は平成30年3月31日であるところ、控訴人が、被控訴人の就業規則附則1項に規定する「大学院に関係する教授」(大学院教授)と同様に70歳まで定年延長を受ける権利があるなどと主張して、被控訴人に対し、平成30年4月1日から平成35年3月31日まで労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め、原審が、本件訴えは確認の利益を欠き不適法であるとして却下したため、これに不服の控訴人が控訴した事案において、本件訴えを却下した原判決は正当であるとして、控訴を棄却した事例。
2017.05.30
わいせつ物陳列,わいせつ電磁的記録等送信頒布,わいせつ電磁的記録記録媒体頒布事件
「新・判例解説Watch」H29.8月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25448616/東京高等裁判所 平成29年 4月13日 判決 (控訴審)/平成28年(う)第1100号
漫画家兼芸術家である被告人が、アダルトショップにおいて、被告人ほか2名の女性器を象った石膏ようの造形物3点を展示したほか、自己の女性器の三次元形状データファイルが保存されたURL情報等を送信し、同データファイルが記録されたCD-Rを発送したとして、わいせつ物陳列やわいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪に問われた事案の控訴審において、上記造形物は刑法175条の「わいせつ物」に該当しないが、上記三次元形状データは刑法175条の「わいせつな電磁的記録」に該当するとした原判決を維持し、本件各控訴を棄却した事例。
2017.05.30
損害賠償請求控訴事件 
LEX/DB25545520/東京高等裁判所 平成29年 3月23日 判決 (控訴審)/平成28年(ネ)第2387号
被控訴人(原審原告)が、控訴人(原審被告)に対し、控訴人が運営する病院で、看護師が、甲状腺右葉半切除手術の準備として被控訴人の左前腕に点滴ルートを確保するために、被控訴人の左手関節から4ないし5センチメートル付近に末梢静脈留置針を穿刺した際、同看護師が十分な注意を払わなかったなどの過失があり、被控訴人は、橈骨神経浅枝の損傷を受け、複合性局所疼痛症候群(CRPS)を発症し、後遺障害を負ったなどと主張して、不法行為又は債務不履行に基づき、損害賠償金等を請求したところ、原審は、穿刺行為を行った看護師の過失を認め、これにより被控訴人はCRPSに罹患したなどとして、被控訴人の請求を一部認容したため、控訴人がこれを不服として控訴した事案において、原判決が判断した損害賠償金を減額することで変更し、その余の被控訴人の請求を棄却した事例。