2017.03.07
不正競争防止法による差止等請求本訴、商標権侵害行為差止等請求反訴事件
LEX/DB25448483/最高裁判所第三小法廷 平成29年 2月28日 判決 (上告審)/平成27年(受)第1876号
A社(米国法人)との間で同社の製造する電気瞬間湯沸器につき日本国内における独占的な販売代理店契約を締結し、「エマックス」、「EemaX」又は「Eemax」の文字を横書きして成る被上告人使用商標を使用して本件湯沸器を販売している被上告人が、上記湯沸器を独自に輸入して日本国内で販売している上告人に対し、被上告人使用商標と同一の商標を使用する上告人の行為が不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争に該当するなどと主張して、その商標の使用の差止め及び損害賠償等を求めた事案(本訴)、上告人が、被上告人に対し,各登録商標につき有する各商標権に基づき、上記各登録商標に類似する商標の使用の差止め等を求めた事案(反訴)の上告審において、商標法4条1項10号該当を理由とする商標登録の無効審判が請求されないまま商標権の設定登録の日から5年を経過した後であっても、当該商標登録が不正競争の目的で受けたものであるか否かにかかわらず、商標権侵害訴訟の相手方は、その登録商標が自己の業務に係る商品等を表示するものとして当該商標登録の出願時において需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であるために同号に該当することを理由として、自己に対する商標権の行使が権利の濫用に当たることを抗弁として主張することが許されると解するのが相当であるとし、本件各登録商標につき同号該当性を認めた原審の判断には、法令の適用を誤った違法があるとし、原判決中、本訴請求のうち不正競争防止法に基づく請求に関する部分及び反訴請求に関する部分は破棄し、破棄部分については、被上告人による上記湯沸器の具体的な販売状況等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻し、その余の上告は、上告受理申立ての理由が上告受理の決定において排除されたので、棄却した事例(補足意見がある)。