更新日 2010.04.19
TKCシステム・コンサルタント 税理士 畑中 孝介
平成22年度税制改正においてグループ法人税制が創設されました。そこで、皆さんが気になる制度の概要や連結納税制度との相違点、比較検討のポイントなどを全10回にわたって連載いたします。
2010年4月19日掲載
平成22年度税制改正で新たにグループ法人税制が創設されました。
独占禁止法の改正による持株会社の解禁を契機として、約10年間で急速にグループ経営をめぐる法整備が進展しました。これに対し、税制もグループ経営に対応する必要が高まっていましたが、連結納税制度・組織再編税制創設以来大きな改正が行われておらず、実態とのかい離が広がっていたため、平成22年の税制改正でグループ法人税制を創設し、実態に合わせた整備を図ることとなりました。また、実態とのかい離を悪用した租税回避行為への対応という側面もあるようです。
グループ法人税制、連結納税制度、その他グループに関する税制を合わせて「資本に関係する取引等に係る税制」と呼んでいます。
改正のポイントは下記の点になります
- グループ法人税制の創設
- グループ内での一定の資産の譲渡損益の繰延
- グループ内の寄附金の全額益金不算入
- グループ内の受取配当等全額益金算入
- 連結納税制度の見直し
- 子法人の欠損金を連結加入時に持ち込み可能とする
(子法人の個別所得金額を限度) - 承認申請期限の短縮(6月前⇒3月前)
- 子法人の欠損金を連結加入時に持ち込み可能とする
- その他資本に関係する税制の見直し
- 自己株式として取得されることを予定して取得された株式について受取配当等の益金不算入制度の適用を除外する
- 清算所得課税を廃止し、通常の所得課税へ移行
(期限切れ欠損金について損金算入制度を整備)
【グループ法人税制の概要】
(対象法人)
対象法人は100%支配関係のグループ内国法人すべてに適用されます。
(原則として(注)発行済株式全部を直接または間接に保有する関係)
連結納税とは異なり内国法人だけでなく、外国法人・個人・個人及び特殊関係人に支配されている法人も含まれます。(組織再編税制等と同様6親等の範囲になります)。
連結納税では従業員持株会及びストックオプションによって保有される株式が5%未満である場合それを除いて100%かどうかで判定することになっていますがグループ法人税制も同様になります。
(適用開始事業年度)
平成22年10月1日以降から適用開始。ただし、受取配当等や中小法人への軽減措置など事業年度単位で適用する項目については平成22年4月1日以後開始事業年度から適用されます。
(主な内容)
- グループ内での一定の資産の譲渡損益の繰延
- グループ内の寄附金の全額益金不算入
- グループ内の受取配当等全額益金不算入
- 大会社(資本金5億円以上)傘下の完全子法人への中小特例の不適用
詳細については第4回から6回において詳述いたします。
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第5回 受取配当等の益金不算入制度と寄附金に関する実務上のポイント
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第4回 グループ法人間の譲渡取引に関する実務上のポイント
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第3回 連結納税制度の改正(概要)
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第2回 グループ法人税制とは?(概要)
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第1回 グループ法人税制と連結納税制度の比較検討のポイント
テーマ
プロフィール
税理士 畑中 孝介(はたなか たかゆき)
TKC全国会 中堅・大企業支援研究会 幹事
TKC企業グループ税務システム普及部会会員
TKC企業グループ税務システム小委員会委員
TKC全国会中央研修所租税法小委員会委員
- 略歴
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ビジネス・ブレイン税理士事務所所長、株式会社ビジネス・ブレイン代表取締役CEO
大手・上場企業の連結納税コンサルティング業務や組織再編アドバイザー業務を行う。上場企業から中小企業・ベンチャー企業・ファンドまで幅広い企業の税務会計顧問業務に従事。TKC企業グループ税務システムの専門委員、中堅・大企業支援研究会幹事等に就任。 - 著書等
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- 『消費税インボイス制度の実務対応』(TKC出版)
- 『令和6年度 すぐわかるよくわかる 税制改正のポイント』(TKC出版)
- 『企業グループの税務戦略-グループ法人税制・連結納税制度の戦略的活用-』(TKC出版)
- 『CFOのためのサブスクリプション・ビジネスの実務対応』(中央経済社)
- 「旬刊・経理情報」「税務弘報」などにも執筆
- システム・コンサルティング事例
- ホームページURL
- ビジネス・ブレイン税理士事務所
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