更新日 2023.12.18
株式会社TKC 執行役員 企業情報営業本部 本部長
富永 倫教
当コラムでは、電子インボイスとデジタルインボイスとの違い、そしてペポルインボイスの全体像やメリットなどをできる限り平易に解説します。
当コラムのポイント
- 電子インボイスとデジタルインボイスの違いとは?
- ペポルインボイスとは?
- ペポルインボイスのメリットと導入の手順について
- 目次
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令和5年10月よりいよいよインボイス制度がスタートし、多くの企業で経理業務はさらに複雑になっていることと想定しています。そのような中、今後、自動化やさらなる省力化を図るため、一旦構築したインボイス制度対応実務を見直し、改善する方向にシフトすることが見込まれます。
そこで徐々に「デジタルインボイス」や「ペポル」という単語が注目されていますが、そもそも電子インボイスとデジタルインボイスがどう異なるのか、そしてペポルのネットワークを介したデジタルインボイス(本稿では「ペポルインボイス」と呼称します、以下同じ)は何ができるのか、などが良く分からないという声が多く寄せられています。
そこで、当コラムでは、これらの点についてできる限り平易に解説することにチャレンジしたいと考えています。そのため、厳密には正確性を欠く点や本来であれば詳細な説明が必要な点などもありますが、あくまでイメージ、全体像を理解することを主目的にこの後解説していきますので、よろしくお願いします。
1.電子取引とインボイスについて
インボイスと電子インボイスの違いを説明する前に、電子取引とインボイスについて確認しておきます。
電子取引とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引のことを指し、例えば、EDI取引やインターネット等による取引、Eメールにより取引情報を授受する取引、そしてWebサイトを通じて取引情報を授受する取引などがあげられます。
国税庁ホームページにある「電子帳簿保存法の概要」では、次の説明がありますので、ご確認ください。
次にインボイスですが、こちらは皆様ご存じのとおり、売り手が買い手に正確な適用税率や消費税等を伝える手段であり、具体的には従来の「区分記載請求書」に適格請求書発行事業者の登録番号、適用税率、そして消費税額等の記載が追加された書類です。インボイス制度の開始と同時に、データでのやり取りも認められるようになりました。インボイスに関する解説は国税庁ホームページをはじめ、さまざまなところで情報発信がなされていますので、本稿では詳細な説明は割愛します。
2.インボイスと電子インボイスの違いとは
電子インボイスは電子で授受、保存されるインボイスであり、次の図のとおり電子取引とインボイスが重なる部分、紙により授受、保存されるインボイスではない部分といえます。
上の図で示しているとおり、
・電子取引かつインボイス → 電子インボイス
・電子取引でインボイスでない → 請求書等以外の国税関係書類データ
・インボイスで電子取引でない → 紙により授受・保存されるインボイス
と把握しておくと良いでしょう。
さて、ここまでで、インボイスと電子インボイスの違いについて説明しました。
次の第2回目のコラムでは、電子インボイスとデジタルインボイスの違い、そしてそれ以降でペポルインボイス利用のメリット、ペポルインボイス採用の手順などについて、こちらもできるだけ平易に説明したいと考えています。
この連載の記事
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第6回(最終回) ペポルインボイス採用の手順
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第5回 ペポルインボイス利用のメリット
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第4回 ペポルでの送受信の仕組みとペポルインボイスについて
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第3回 電子インボイスとデジタルインボイスの違いとは(2)
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第2回 電子インボイスとデジタルインボイスの違いとは(1)
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2023.12.18
第1回 インボイスと電子インボイスの違いとは
プロフィール
富永 倫教(とみなが とものり)
株式会社TKC 執行役員 企業情報営業本部 本部長
- 略歴
- 平成14年度の連結納税制度創設当初から、TKC連結納税システム(eConsoliTax)のコンサルティング業務に従事し、以来一貫して20年超にわたり中堅・大企業の税務部門に対する税務システムのマーケティングやコンサルティング業務を行っている。現在、消費税のインボイス制度への対応をきっかけにデジタル化を通じた事業者のバックオフィス業務の効率化を実現することを目的に誕生したデジタルインボイス推進協議会(EIPA)幹事法人のメンバーとして活動している。
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