2025.09.30
懲戒処分取消請求事件 

LEX/DB25574508/最高裁判所第三小法廷 令和 7年 9月 2日 判決(上告審)/令和6年(行ヒ)第214号
糸島市消防本部の職員であった被上告人(原告・被控訴人)が、他の職員に対するハラスメント行為を行ったことなどを理由として、処分行政庁により、停職6か月の懲戒処分を受けたところ、本件処分が違法であると主張して、上告人糸島市(被告・控訴人)に対し、本件処分の取消しを求め、第一審が被上告人の請求を認容したため、上告人が控訴し、控訴審が、処分行政庁の判断は、重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超えるものとして違法と評価せざるを得ず、被控訴人の請求を認容した原判決は相当であるとして、上告人の請求を棄却したことから、上告人が上告した事案で、本件各行為は指示や指導としての範ちゅうを大きく逸脱し許容される余地はないのであって、上告人の消防組織の秩序や規律に看過し難い悪影響を及ぼすものであり、被上告人には本件処分以外に懲戒処分歴がないこと等の事情があるとしても、停職6か月という本件処分の量定をした消防長の判断は、懲戒の種類についてはもとより、停職期間の長さについても社会観念上著しく妥当を欠くものであるとはいえず、懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできず、本件処分が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用した違法なものであるとした原審の判断には、懲戒権者の裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があるというべきであるとして、原判決を破棄し、第1審判決を取り消して、被上告人の請求を棄却した事例。