2019年7月号Vol.115

【ユーザー事例2】“新生亘理”へ、基幹システムを刷新

基幹系システム > 宮城県亘理町

企画財政課長 大堀俊之 氏 / 企画財政課参事兼企画班長 宍戸和博 氏 / 企画財政課主事 加川直弥 氏

住所
宮城県亘理郡亘理町字下小路7番地4
電話
0223-34-1111
面積
73.60平方キロメートル
人口
33,653人(2019年2月28日現在)
URL
http://www.town.watari.miyagi.jp/
宮城県亘理町

──このほど基幹系システムを再構築され、来年1月から本稼働となります。

宍戸 システム再構築のきっかけは新庁舎の建設です。旧庁舎の老朽化に伴い、1997年から2010年度完成を目標に新庁舎建設を検討していましたが、東日本大震災によりこれを中断。旧庁舎は震災で使用不能となり、以来、復興事業を優先し、仮設庁舎(プレハブ造)のままで業務を続けてきました。そして仮設住宅が全て解消された今、“最後”のプレハブ庁舎となりました。ハード面の復興事業にもようやくめどがついたことで、復興のシンボルとして来年1月に庁舎を新築移転することとなり、これと合わせて基幹系システムも再構築するものです。

大堀俊之 課長

大堀俊之 課長

全事業を一から見直し

大堀 再構築にあたり重視したのは、コストの削減です。国が示す復興・創生期間の終了まで残り2年を切り、これからは将来を見据えた“持続可能なまち”づくりにも注力していかなければなりません。特に人口減少・少子高齢化の問題は亘理町も例外ではなく、年々増加する社会保障関係経費は厳しい財政事情に一層拍車をかけています。そこで昨年度に全ての事務事業を一から見直しました。中でも基幹系システムは、長年のカスタマイズの積み重ねにより運用管理にかかるコストが高止まりしている状況で、その改善が喫緊の課題だったのです。

加川 そのため今回はクラウド版のパッケージをカスタマイズせずに採用することとし、幅広い選択肢から最適なシステムを選ぶため県内で実績のある6社から提案を受けました。TKCのシステムを採用した決め手となったのは、ほぼノンカスタマイズで導入でき、法改正に伴う軽微な改修は利用料の範囲内で対応──などにより、コスト削減効果が期待されたためです。
 さらに〈他団体でのシステムの安定運用〉に加え、〈自社開発のため障害発生時などにも迅速な対応が見込まれる〉ことや、〈ユーザーの要望を採り入れ進化し続けるシステム〉への安心感もありました。

宍戸 職員にデモの感想を聞いたところ、 「かゆいところに手が届くシステムだ」という声も聞かれました。実務で慣れるまでに戸惑うことはあると思いますが、これを基盤としてさらなる業務改善を図っていきます。

宍戸和博 参事兼企画班長

宍戸和博 参事兼企画班長

持続可能なまちの基盤づくりへ

──業務効率化や住民サービス向上について、今後の計画を教えてください。

加川 20年3月から証明書のコンビニ交付サービスをスタートする予定です。現在、本庁舎のほか図書館と3カ所の地区交流センターで証明書の発行業務を行っていますが、仙台市のベッドタウンという地域特性からコンビニ交付サービスは住民の利便性向上につながると考えています。また窓口業務の効率化の点でも期待しています。
 とはいえ、サービスの利用拡大にはマイナンバーカードの普及が鍵となるため、町の広報誌などを通じて改めて取得促進に注力しているところです。

──なるほど。

加川直弥 主事

加川直弥 主事

加川 また、将来的には共同利用も視野に入れています。県南地域では以前、近隣団体が集まって電算化に関して情報交換をしてきた経緯もあり、そうした場も活用しながら今後、共同化に向けた検討ができればと考えています。

宍戸 さらに、20年度には機構改革を予定しています。狙いは福祉支援業務の強化拡充です。
 社会環境やライフスタイルの変化などを背景に近年、複合的な課題を抱える個人・世帯が増加し、福祉課の業務は拡大の一途を辿っています。こうした変化に対応して、われわれも変わっていかなければなりませんよね。
 特に、子どもや高齢者が心豊かに安心して過ごせる環境づくりは重要です。
 すでに17年度からは、〝子ども未来課〟を設置して若い世代が定住し安心して結婚・出産・子育てができるまちづくりを展開しています。今後は高齢者福祉として、生きがいや健康づくりなどの支援に取り組みます。そのため、新庁舎には保健福祉センターを併設し、災害時における町民の安全・安心確保に加え、生涯にわたる総合支援を実現する拠点とする計画です。

最後のプレハブ庁舎となった亘理町

最後のプレハブ庁舎となった亘理町。来年1 月には新庁舎に移転する

大堀 震災から8年。ハード面の復興事業は間もなく終わりますが、被災者の心のケアなどソフト事業はこれからが正念場です。より一層の住民サービスの向上と業務の効率化のためにも、まずは新庁舎で業務を問題なく開始できるよう新しいシステムが無事に稼働することが重要です。財政面ではコスト削減効果にも注目しています。いまや情報システムは、住民サービスの提供になくてはならないインフラといえ、TKCには運用後もしっかりとサポートしてくれることを期待します。

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