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2024.04.16
犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求事件new
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年6月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」家族法分野 令和6年6月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25573429/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 3月26日 判決 (上告審)/令4年(行ツ)第318号   等 
上告人(昭和50年生まれの男性)が、平成6年頃に本件被害者(昭和37年生まれの男性)と交際を開始し、同居生活をしていたところ、同人は、平成26年12月22日、第三者の犯罪行為により死亡した。そこで、上告人は、平成28年12月22日、本件被害者の死亡について、上告人は犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(犯給法)5条1項1号括弧書きにいう「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当すると主張して、遺族給付金の支給の裁定を申請した。愛知県公安委員会から、平成29年12月22日付けで、上告人は上記の者に該当しないなどとして、遺族給付金を支給しない旨の裁定を受けたたため、上告人が、被上告人(愛知県)を相手に、上記裁定の取消しを求め、原審は、犯給法5条1項1号が憲法14条1項等に反するとはいえないとして、上告人の請求を棄却したため、上告人が上告及び上告受理申立てをした事案で、犯罪被害者と同性の者は、犯給法5条1項1号括弧書きにいう「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当し得るとし、これと異なる原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり、原判決を破棄し、上告人が本件被害者との間において「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当するか否かについて、更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例(反対意見及び補足意見がある)。
2024.04.16
損害賠償請求控訴事件new
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年5月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
「新・判例解説Watch」家族法分野 解説記事が掲載されました
LEX/DB25598384/札幌高等裁判所 令和 6年 3月14日 判決 (控訴審)/令3年(ネ)第194号 
同性愛者である控訴人らが、民法及び戸籍法が同性者間の婚姻を許容していないのは憲法24条、13条、14条1項に違反すること、国会は必要な立法措置を講じるべき義務があるのにこれを怠っていること(立法不作為)、これにより控訴人らは婚姻することができず、精神的苦痛を被っていることを主張して、被控訴人に対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償として、各人につき100万円等の支払を求めたところ、原審は、民法及び戸籍法の婚姻に関する諸規定(本件規定)が同性者間の婚姻を許容していないことは、憲法24条と13条には違反しないものの、憲法14条1項には違反するとしたが、そのことを国会において直ちに認識することは容易ではなかったから、国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けないとして、控訴人らの請求を棄却したため、控訴人らは、これを不服として控訴をした事案で、本件規定は、異性間の婚姻のみを定め、同性間の婚姻を許さず、これに代わる措置についても一切規定していないことから、個人の尊厳に立脚し、性的指向と同性間の婚姻の自由を保障するものと解される憲法24条の規定に照らして、合理性を欠く制度であり、少なくとも現時点においては、国会の立法裁量の範囲を超える状態に至っていると認め、本件規定は、憲法24条に違反するとし、また、国会が立法裁量を有することを考慮するとしても、本件規定が、異性愛者に対しては婚姻を定めているにもかかわらず、同性愛者に対しては婚姻を許していないことは、現時点においては合理的な根拠を欠くものであって、本件規定が定める本件区別取扱いは、差別的取扱いに当たり、本件規定は、憲法14条1項に違反するとしたうえで、同性婚立法の在り方には多種多様な方法が考えられ、設けるべき制度内容が一義的に明確であるとはいい難いこと、同性婚に対する法的保護に否定的な意見や価値観を有する国民も存在し、議論の過程を経る必要があること等から、国会が正当な理由なく長期にわたって本件規定の改廃等の立法措置を怠っていたと評価することはできないとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.04.09
遺言無効確認等請求事件
LEX/DB25573418/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 3月19日 判決 (上告審)/令4年(受)第2332号 
被上告人が、上告人らに対し、本件不動産について、上告人らの被上告人に対する上告人Y1及び原審控訴人Aへの持分移転登記請求権が存在しないことの確認等を求めた事案の上告審において、相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができるものと解するのが相当であり、このことは、包括受遺者が相続回復請求権を有する場合であっても異なるものではないとして、被上告人は、本件不動産に係る上告人Y1及びAの各共有持分権を時効により取得することができるとして、本件上告を棄却した事例。
2024.04.09
預金払戻控訴事件
「新・判例解説Watch」倒産法分野 令和6年6月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25598133/東京高等裁判所 令和 5年 5月17日 判決 (控訴審)/令4年(ネ)第5851号 
破産者Z株式会社(破産会社)の破産管財人である控訴人(原告)が、金融機関である被控訴人(被告)に対し、破産会社と被控訴人との間の預金契約に係る預金払戻請求権に基づき、破産会社の預金等としての金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審が控訴人の請求を棄却したことから、控訴人が控訴した事案で、本件合意が財産処分契約に該当すると解したとしても、本件別段預金は顧客からの振込入金によって被控訴人が負担した本件普通預金債務の取引条件等が変更されたものに過ぎないから、被控訴人が本件合意をすることにより破産会社に対して債務を負担したものとみることはできず、本件合意については、破産法71条1項2号に規定する場合には当たらないというべきであって、本件相殺は有効であると認められるところ、控訴人の請求を棄却した原判決は相当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.04.02
共通義務確認請求事件
LEX/DB25573400/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 3月12日 判決 (上告審)/令4年(受)第1041号 
特定適格消費者団体である上告人が、被上告人らが本件対象消費者に対して虚偽又は実際とは著しくかけ離れた誇大な効果を強調した説明をして商品を販売するなどしたことが不法行為に該当すると主張して、被上告人らに対し、平成29年法律第45号による改正前の消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律3条1項5号又は同改正後の同項4号に基づき、被上告人らが本件対象消費者に対して上記商品の売買代金相当額等の損害賠償義務を負うべきことの確認を求め、同法2条4号所定の共通義務確認の訴えをしたところ、原審は、本件訴えを却下したため、上告人が上告した事案で、過失相殺及び因果関係に関する審理判断を理由として、本件について、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律3条4項にいう「簡易確定手続において対象債権の存否及び内容を適切かつ迅速に判断することが困難であると認めるとき」に該当するとした原審の判断には、同項の解釈適用を誤った違法があり、他に予想される当事者の主張等を考慮し、個々の消費者の対象債権の存否及び内容に関して審理判断をすることが予想される争点の多寡及び内容等に照らしても、本件対象消費者ごとに相当程度の審理を要するとはいえないとして、原判決を破棄し、第1審判決を取消し、更に審理を尽くさせるため、本件を第1審に差し戻した事例(補足意見がある)。
2024.04.02
損害賠償請求事件
LEX/DB25597024/神戸地方裁判所 令和 5年12月14日 判決 (第一審)/令3年(ワ)第1804号 
原告は、被告・兵庫県が設置運営する病院の整形外科において、同病院のd医師により診療を受けた者であるが、原告が、上記診療のために実施されたミエログラフィー(脊髄造影検査)により、原告に脊髄損傷に伴う左下肢麻痺等の障害が残存した事故に関して、d医師には、〔1〕本件ミエログラフィーの際に、脊髄損傷の高度の危険性がある第1腰椎第2腰椎間レベル(L1/2)の穿刺を行った過失がある、〔2〕脊髄損傷の高度の危険性があることについて説明することなく、L1/2の穿刺を行ったことにつき、説明義務違反があるなどと主張して、使用者責任又は診療契約の債務不履行に基づき、損害賠償金等の支払を求めた事案で、d医師は、L1/2の穿刺にあたって、本件ミエログラフィーの必要性と、L1/2の穿刺による危険性との衡量や代替手段の有無等について、熟慮することなく、その必要性についての判断を誤ったものであり、その判断に過失があったといえるうえ、当初予定していなかったL1/2に穿刺する前に、その方法による脊髄損傷のリスクなどに関する具体的な説明を何らしていないのであるから、説明義務を尽くしたということはできないところ、原告の請求は、本件事故と相当因果関係のある損害賠償を求める限度で理由があるとして、請求を一部認容した事例。
2024.03.26
工作物の建築等の不許可処分取消請求事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和6年5月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597844/高知地方裁判所 令和 6年 1月23日 判決 (第一審)/令3年(行ウ)第10号 
原告らが四万十川流域における太陽光発電設備の建築等の許可申請をしたところ、四万十市長(処分行政庁)が、原告らの許可申請をいずれも不許可とする旨の処分をしたため、原告らが、被告(四万十市)に対し、本件各不許可処分の取消しを求めた事案において、本件太陽光発電施設には、四万十川の本件土地が浸水した場合には、設備が流出するなどして、水害を発生させる具体的なおそれが存在しているとし、本件太陽光発電施設について高知県四万十川の保全及び流域の振興に関する基本条例13条2項に定めるおそれがあるとした処分行政庁がした判断に裁量の逸脱濫用があるとは認めることはできないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2024.03.26
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25596756/札幌高等裁判所 令和 5年12月26日 判決 (控訴審)/令5年(ネ)第216号 
賃貸物件の管理業務等を業とする控訴人(原告)会社が、元従業員である被控訴人(被告)に対し、退職後の競業禁止を合意していたところ、退職直後に競業会社に就職し、退職前後に顧客に虚偽の事実を述べるなどして、当該顧客と控訴人の管理委託契約を解約させ、競業会社との間で同契約を締結させたとし、競業避止義務違反の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償金等の支払を求め、原審が控訴人の請求をいずれも棄却したことから、控訴人が控訴した事案で、被控訴人は控訴人に対し、本件合意のうち、控訴人が本店を置く市内において、退職後6か月の間、競業会社に就職して控訴人在職時に担当していた顧客に対して営業活動を行わないとの範囲で競業避止義務を負っていたと認められるところ、被控訴人にはそれに違反する行為があったといえるから、控訴人の請求は、被控訴人の競業避止義務違反による債務不履行と相当因果関係のある損害賠償を求める限度で認容すべきであるとして、原判決を変更した事例。
2024.03.19
性別の取扱いの変更申立事件(性別の取扱いの変更申立て訴訟)
LEX/DB25597294/静岡家庭裁判所浜松支部 令和 5年10月11日 審判 (第一審)/令3年(家)第335号 
生物学的な性別は女性であるが心理的な性別は男性である申立人が、生殖腺除去手術を受けていないため、性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の定める性別の取扱いの変更の要件のうち、同法3条1項4号の規定の定める要件(「生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること」)を満たさないものの、本件規定は、性同一性障害者(同法2条)が性別の取扱いの変更を認められるために、その意思に反する場合でも生殖腺除去手術を余儀なくされる点で、性同一性障害者について憲法13条の保障する性自認のとおり性別を尊重される権利、身体への侵襲を受けない権利、家族を維持形成する権利を侵害するほか、性自認と生物学的性が不一致の性同一性障害者をそれが一致している者に比して不合理に差別するものである点で、性同一性障害者について憲法14条1項の保障する平等権を侵害し、違憲無効であるなどと主張して、特例法に基づき、性別の取扱いを女性から男性に変更することを求めた事案で、本件規定の立法目的のうち親子関係等に関わる問題の発生とこれに伴い社会に混乱を生ずるおそれに配慮するという目的を踏まえても、本件規定の定める要件を不要とした場合に生じ得る親子関係に関わる問題発生の可能性や程度は限定的なものであって、それを理由に性同一性障害者の意思に反して身体への侵襲を受けない自由を一律に制約することは、人権制約の手段・態様として必要かつ合理的なものとは言い難いこと、また、本件規定の立法目的のうち社会の急激な変化に配慮するという目的を踏まえても、社会的状況は、国内外の動向に沿って変化が進んできているところであって、現在、上記のような配慮の必要性は相当小さくなっているといえること等を総合較量すると、本件規定の目的を達成するために本件規定による制約を課すということは、もはやその必要性・合理性を欠くに至っているというべきであるから、本件規定は、憲法13条に違反し、違憲無効であると解するのが相当であるとして、申立人の性別の取扱いを女から男に変更するとした事例。
2024.03.19
廃棄物の処理及び清掃に関する法律違反被告事件
「新・判例解説Watch」環境法分野 令和6年5月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597541/横浜地方裁判所 令和 5年 7月11日 判決 (第一審)/令2年(わ)第1424号 等
被告人P3(被告会社の実質的経営者で業務全般の統括管理者)及び被告人P2(被告会社の代表取締役で中間処理施設の業務の統括管理者)は、被告会社の業務に関し、被告会社の従業員であるP4、P5及びP6と共謀の上、中間処理施設において、同施設から公共下水道内に産業廃棄物である汚泥及び一般廃棄物である汚水合計約3万6849.58トンを放流させ、廃棄物を捨てた(判示第1)、被告人P3及び被告人P2は、被告会社の業務に関し、P4と共謀の上、中間処理施設において、被告会社が他社から中間処理の処分を受託した産業廃棄物である汚泥の運搬をP10有限会社ほか2社に委託し、同産業廃棄物を引き渡すに当たり、その都度、産業廃棄物管理票合計406通に虚偽の内容を記載し、同管理票を前記P10ほか2社に交付した(判示第2)、被告人P3及び被告人P2は、被告会社の業務に関し、P4と共謀の上、被告会社が社会福祉法人P13ほか1社から中間処理の処分を受託した産業廃棄物である汚泥につき、有限会社P14ほか1社から同汚泥の運搬を受けるとともに産業廃棄物管理票の回付を受けていたところ、同産業廃棄物である汚泥の中間処理の処分が終了していないのに、同産業廃棄物の中間処理の処分が終了した旨の内容が記載された産業廃棄物管理票写し合計81通を、前記P14ほか1社を介し、排出事業者であるP13ほか1社に送付した(判示第3)として、被告会社に対し罰金1億円、被告人P3に対し懲役4年及び罰金1000万円、被告人P2に対し懲役3年を求刑された事案で、不法投棄行為を3年半余りもの長期にわたって継続的に実行し、廃棄した廃棄物の量は合計で約3万6800トン余りと大量であるばかりか、適正に処理していないことを隠ぺいするために、産業廃棄物管理の柱となるマニフェストについて虚偽の内容を記載して関係業者に交付又は送付を継続したり(判示第2及び第3の犯行)、行政当局への発覚を免れるための種々の工作をしたりしていたのであって、巧妙かつ組織的な犯行で、廃棄物の適正な処理を図るという廃棄物処理法の趣旨を蔑ろにすること甚だしいというほかなく、犯情は相当悪質であるなどとして、被告会社を罰金5000万円に処し、被告人P3及び被告人P2をそれぞれ懲役3年に処し、被告人P3に対し5年間、被告人P2に対し4年間の刑の執行を猶予するとした事例。
2024.03.12
殺人被告事件(元警官妻子3人殺害事件) 
LEX/DB25573352/最高裁判所第三小法廷 令和 5年12月 8日 判決 (上告審)/令3年(あ)第1399号 
事件当時現職の警察官であった被告人が、自宅で、妻(当時38歳)、長男(当時9歳)及び長女(当時6歳)を、頚部圧迫又は絞頚により窒息死させて殺害したとして殺人の罪により、第1審判決は死刑に処し、原判決も死刑判決を維持したため、被告人が上告した事案において、被告人の刑事責任は極めて重大であるといわざるを得ず、前科前歴がないことなど、被告人のために酌むべき事情を十分に考慮しても、原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は、やむを得ないものとして是認せざるを得ないとし、本件上告を棄却した事例。
2024.03.12
生活保護基準引下げ処分取消等請求控訴事件 
「新・判例解説Watch」行政法分野 令和6年5月上旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597542/名古屋高等裁判所 令和 5年11月30日 判決 (控訴審)/令2年(行コ)第31号 
〔1〕原審第1事件原告らが、原判決別紙処分一覧表1の「処分行政庁」欄記載の各処分行政庁から、「処分の名宛人」欄記載の各原審第1事件原告を名宛人とする各保護変更決定処分(本件各処分1)は、憲法25条の理念を受けた生活保護法3条、8条等に違反し、生活扶助を健康で文化的な最低限度の生活を維持するに足りない水準とするものであるから違法であるなどと主張して、本件各処分1の取消しを求め(原審第1事件・取消訴訟)、〔2〕原審第2事件原告らが、原判決別紙処分一覧表2の「処分行政庁」欄記載の各処分行政庁から、「処分の名宛人」欄記載の各原審第2事件原告を名宛人とする各保護変更決定処分(本件各処分2)には本件各処分1と同様の違法事由があるなどと主張して、本件各処分2の取消しを求め(原審第2事件・取消訴訟)、さらに、〔3〕原審原告らが、本件各処分の根拠となった生活扶助基準の改定は、国家賠償法1条1項の適用上違法であるなどと主張して、被控訴人国に対し、それぞれ損害賠償金の支払等を求め、原審は、原審原告らの請求をいずれも棄却したため、控訴人ら(原審原告らの一部)が、これを不服として控訴した事案(なお、なお、控訴人13(原審第2事件原告)は、控訴状によれば、当審において、被控訴人国に対する損害賠償請求についての附帯請求の起算日を、原審における平成26年4月1日から平成25年8月1日に変更しており、当審において附帯請求の拡張をしたものと解される。)で、控訴人らの原審における請求はいずれも理由があり、これらを棄却した原判決は相当でなく、本件各控訴はいずれも理由があるから、原判決を取消し、控訴人らの上記請求をいずれも認容し、また、控訴人13の当審における拡張請求は、理由がないとして棄却した事例。
2024.03.05
難民の認定をしない処分取消等請求、訴えの追加的変更申立控訴事件 
「新・判例解説Watch」国際公法分野 令和6年4月中旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597228/名古屋高等裁判所 令和 6年 1月25日 判決 (控訴審)/令5年(行コ)第38号 
ミャンマーで出生した外国人男性である控訴人(一審原告)が、平成27年(2015年)2月17日、法務大臣に対し出入国管理及び難民認定法61条の2第1項の規定に基づき難民の認定を申請したところ(本件難民認定申請〔1〕)、平成28年6月16日、難民の認定をしない旨の処分(本件難民不認定処分〔1〕)を受けたため、被控訴人(一審被告。国)を相手として、本件難民不認定処分〔1〕の取消し及び上記規定に基づく難民の認定の義務付けを求めるとともに(第1事件)、令和3年(2021年)2月15日、法務大臣に対し同項の規定に基づき難民の認定を申請したところ(本件難民認定申請〔2〕)、令和4年1月24日、難民の認定をしない旨の処分(本件難民不認定処分〔2〕)を受けたため、被控訴人を相手として、本件難民不認定処分〔2〕の取消し及び上記規定に基づく難民の認定の義務付けを求め、原審が、本件訴えのうち、本件各義務付けの訴えをいずれも却下し、控訴人のその余の請求をいずれも棄却したところ、控訴人がこれを不服として控訴した事案で、本邦にある外国人である控訴人は、難民に該当するから、本件難民不認定処分〔1〕は違法なものであるとして、控訴人の本件難民不認定処分〔1〕の取消しを求めた請求を認容し、本件難民認定申請〔1〕に係る義務付けの請求も認容すべきであり、そうすると、第2事件のうち本件難民不認定処分〔2〕の取消しを求める部分は訴えの利益がないことになるからその訴えを却下すべきであり、第2事件の義務付けの訴えは訴訟要件を欠き不適法であるから却下すべきであるところ、原判決の第2事件の義務付けの訴えを却下した部分は結論において相当であるが、その余の部分は不当であるとして、原判決を変更した事例。
2024.03.05
旅券発給拒否取消等請求事件 
「新・判例解説Watch」憲法分野 令和6年4月下旬頃解説記事の掲載を予定しております
LEX/DB25597235/東京地方裁判所 令和 6年 1月25日 判決 (第一審)/令2年(行ウ)第10号 
原告は、外務大臣に対して一般旅券の発給申請をしたところ、外務大臣から、トルコへの入国が認められない者であるから旅券法13条1項1号に該当するとして、旅券発給拒否処分を受けた。本件は、原告が、〔1〕上記旅券発給拒否処分の取消しを求めるとともに、〔2〕主位的に全ての地域を渡航先として記載した一般旅券の発給の義務付け、予備的にトルコ以外の全ての地域を渡航先として記載した一般旅券の発給の義務付けを求め、また、〔3〕外務大臣が上記旅券発給拒否処分をしたことが国家賠償法上違法であるとして、同法1条1項に基づく損害賠償金及び遅延損害金の支払を求めた事案において、原告は、旅券法13条1項1号は、憲法22条及び13条並びに自由権規約12条2項に違反しないとしたうえで、本件旅券発給拒否処分は、トルコ及びトルコと地理的に近接する国を除く地域に原告が渡航することによって、トルコと我が国との二国間の信頼関係が損なわれる蓋然性がないにもかかわらず、これらの地域への渡航を制約する態様でされたものであるから、外務大臣が裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したもので違法であり、本件旅券発給拒否処分は取り消されるべきものであるとして一部認容し、その余の請求を棄却した事例。
2024.02.27
窃盗被告事件 
LEX/DB25597068/高松地方裁判所 令和 6年 1月23日 判決 (第一審)/令5年(わ)第276号 
被告人が、株式会社D社の店舗において、同店店長L管理の財布1個(販売価格8800円)を窃取したとして、懲役1年6月を求刑された事案で、本件全証拠によっても、不法領得の意思を合理的な疑いを超えて認めるに足りないというべきであって、本件公訴事実については犯罪の証明がないから、刑事訴訟法336条により、被告人に対し無罪の言渡しをした事例。
2024.02.27
短期売買利益提供請求事件(東京機械製作所からの主要株主に対する短期売買利益提供請求事件)
LEX/DB25597111/東京地方裁判所 令和 5年12月 6日 判決 (第一審)/令4年(ワ)第13836号 
上場会社である原告が、原告の主要株主である被告が原告発行の株式を自己の計算において買い付けて、その後6か月以内にこれを売り付けて利益を得たと主張して、被告に対し、金融商品取引法164条1項に基づき、当該利益及び遅延損害金の支払を求めた事案で、本件売付けは、信用取引によって買い建てていた原告株式162万0100株を売却したものであり、同法164条1項の「売付け等」に当たるとし、また、被告は本件売付けにより「利益を得た」というべきであるとし、さらに、本件売付けは類型的適用除外取引に当たらないというべきであるとしたうえで、本件利益関係書類によれば、被告は、本件売付けにより、19億4342万3161円の短期売買利益を得たことが認められるとして、原告の請求を認容した事例。
2024.02.20
再審請求棄却決定に対する異議申立て棄却決定に対する特別抗告事件(名張毒ぶどう酒殺人事件第10次再審請求特別抗告棄却決定) 
LEX/DB25573300/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 1月29日 決定 (特別抗告審)/令4年(し)第206号 
申立人の兄である被告人(当時35歳。事件本人)は、妻(当時34歳)と愛人(当時36歳)との三角関係の処置に窮し、両名を殺害してその関係を清算しようと考え、昭和36年3月28日、事件本人及び両名らが所属する生活改善クラブの年次総会と懇親会が開催される三重県名張市内の公民館に女子会員用のぶどう酒を運び入れた上、公民館に誰もいなくなった隙に、女子会員らが死亡するかもしれないことを十分認識しながら、本件ぶどう酒を開栓して、竹筒に入れて忍ばせて持参していた有機燐テップ製剤である農薬ニッカリンTを4ないし5cc注入し、替栓(内蓋)を元どおりかぶせるなどし、同日午後8時頃、懇親会に出席した女子会員20名に提供させ、これを飲んだ17名につき、有機燐中毒により、妻と愛人を含む5名を死亡させて殺害し、12名に傷害を負わせ、3名については飲ませるに至らなかったとする殺人、殺人未遂事件につき、事件本人は、確定審において、犯人ではないと主張したが、確定判決は、事件本人に対し無罪を言い渡した第1審判決を破棄し、事件本人が犯人であると認定して、事件本人を死刑に処した。事件本人が上告を申し立てたが棄却され、上記確定判決は確定した。事件本人は、これまで9回にわたり再審請求に及んだが、確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生じさせるものではないと判断され、いずれの再審請求も棄却された。本件は、事件本人(平成27年10月4日死亡)の妹を申立人とする第10次再審請求で、再審請求棄却決定に対する異議申立て棄却決定に対する特別抗告した事案で、本件再審請求において提出された各新証拠を併せ考慮してみても、確定判決の有罪認定に合理的な疑いを生ずる余地はないというべきであり、新証拠はいずれも確定判決の認定に合理的な疑いを生じさせるものではないという原々決定を是認した原決定は正当であるとして、本件抗告を棄却した事例(反対意見がある)。
2024.02.20
出席停止処分差止め請求事件 
LEX/DB25596863/奈良地方裁判所 令和 6年 1月16日 判決 (第一審)/令4年(行ウ)第14号 
香芝市議会は、市議会議員である原告の香芝市教育福祉委員会における発言が懲罰事由に当たるとして、原告に対して陳謝の懲罰を科したが、原告は、陳謝文の朗読を拒否した。市議会は、その朗読拒否を懲罰事由として新たに原告に陳謝の懲罰を科したが、原告が陳謝文の朗読を拒否し、市議会が更に原告に陳謝の懲罰を科すということが繰り返された。市議会は、合計5回の陳謝の懲罰を原告に科した後の令和4年12月5日、5回目の陳謝の懲罰に係る陳謝文の朗読拒否を懲罰事由として、原告に対し、4日間の出席停止の懲罰の処分をした。本件は、原告が、本件出席停止処分が違法であると主張して、被告(香芝市)に対し、国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料等の支払を求めた事案で、陳謝の拒否を理由にした出席停止処分について、市議会が裁量権の範囲を逸脱し、または濫用したもので違法であるとして、請求額を減額した内容で一部認容した事例。
2024.02.13
裁決取消請求事件 
LEX/DB25573296/最高裁判所第三小法廷 令和 6年 1月30日 判決 (上告審)/令5年(行ヒ)第2号 
上告人(原審原告)が、職務上の過失によって海難を発生させたとして門司地方海難審判所から裁決をもって小型船舶操縦士の業務を停止する懲戒を受けたため、被上告人(原審被告。海難審判所長)を相手に、裁決の取消しを求めたところ、原判決は本件裁決の取消請求を棄却したため、上告人が上告した事案で、原審は、上告人が、甲船が海上衝突予防法所定の灯火を表示し、乙船の動静を監視していれば衝突を回避することができたことを認定説示していないものといわざるを得ず、上記灯火を表示せずに甲船を進行させ、乙船を視認した後にその動静を十分に監視することなく甲船を左転させるなどした行為をもって、本件事故に係る海難につき上告人に職務上の過失があるものということはできないとして、原判決を破棄し、本件事故に係る海難が上告人の職務上の過失によって発生したものであるか否か等について更に審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻した事例。
2024.02.13
強制わいせつ、建造物侵入、栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、窃盗被告事件 
LEX/DB25596585/横浜地方裁判所 令和 5年12月 6日 判決 (第一審)/令和4年(わ)第687号 等 
小学校教師であった被告人が、勤務先の小学校の女子児童に対して行った、強制わいせつ1件、窃盗1件並びに盗撮による児童ポルノ製造5件及び建造物侵入、迷惑防止条例違反1件の各犯行につき、懲役4年を求刑された事案において、被告人の責任は重いといわざるを得ないが、被告人が反省の弁を述べ、既に児童に関わる仕事からは離れていること、前科のないこと、被告人の罹患するADHDの本件各犯行への影響について否定まではできず、被告人が治療を受け続けると述べていることなどを考慮し、懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年間を言い渡した事例。