2024.01.23
傷害致死被告事件
LEX/DB25506588/東京地方裁判所 令和 5年 3月 1日 判決 (第一審)/令和3年(合わ)第99号
被告人が、平成25年2月11日深夜、東京都内の集合住宅の自室で、テレビを見ていたが、隣室に居住するP1が自室のドアを激しくたたいたので、被告人がドアを開けたところ、P1が被告人の胸ぐら辺りをつかむなどして両者は争いになり、被告人は自分の怒りを抑えきれなくなり、被告人は、同日午前2時頃、2階廊下において、その場に仰向けになったP1(当時63歳)の上に馬乗りになり、同人の胸ぐらをつかんだ両手を上下に動かし、その両手を同人の胸ぐらに何度か押し当て、さらに、その脇腹などを拳で複数回殴るなどの暴行を加え、よって、同人に前胸部打撲による多発性肋骨骨折及び上腹部打撲による胆嚢の肝臓からの剥離の傷害を負わせ、同日午後1時43分頃、東京都墨田区の病院で、同人を前記傷害に基づく外傷性・出血性ショックにより死亡させたとして、傷害致死の罪で懲役6年を求刑された事案で、本件犯行当時心神耗弱の状態にあったとの疑いが残るが、心神喪失の状態にはなかったと認められるなどとして、懲役3年、5年間その刑の執行を猶予し、被告人には、社会内で適切な治療を受けながら更生する機会を与えることが相当であると判断した事例(裁判員裁判)。
2024.01.16
年金減額改定決定取消、年金減額改定決定取消等請求事件
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LEX/DB25573213/最高裁判所第二小法廷 令和 5年12月15日 判決 (上告審)/令和4年(行ツ)第275号
国民年金法上の老齢基礎年金及び厚生年金保険法上の老齢厚生年金の一方又は双方の受給権者である上告人(原告・控訴人)らが、厚生労働大臣から、各自の老齢年金の額を改定する旨の処分を受けたことから、被上告人(被告・被控訴人。国)を相手に、その取消し等を求めた事案の上告審において、国民年金法等の一部を改正する法律等の一部を改正する法律(平成24年法律第99号)1条の規定のうち、国民年金法による年金たる給付等の額の計算に関する経過措置等について定める部分は、著しく合理性を欠き、明らかに裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものといえず、年金受給権に対する不合理な制約であるともいえないとし、憲法25条、憲法29条に違反しないとして、本件上告を棄却した事例(補足意見がある)。
2024.01.16
強盗殺人、死体遺棄被告事件
LEX/DB25506587/大阪高等裁判所 令和 5年 5月23日 判決 (控訴審)/令和4年(う)第323号
被告人が、〔1〕被害者P2(当時41歳)を殺害し、同人が代表取締役を務める株式会社P3に対する280万円の債務の返済を免れようと考え、令和2年1月22日午後7時51分頃から午後8時12分頃までの間、大阪市所在の同社において、殺意をもって包丁様の刃物を同人のけい部等に多数回突き刺すなどし、けい動脈切破により失血死させて殺害し、前記債務の返済を免れて財産上不法の利益を得(原判示第1)、〔2〕同月24日、兵庫県西宮市の竹林内にその死体を投棄して遺棄した(原判示第2)として、原判決は、弁論再開後に検察官が追加した本件債務の貸主をP3とする予備的訴因(主位的訴因は、貸主を被害者本人とするもの)に基づき、被告人が、P3に対する280万円の債務を免れる目的で、前記日時・場所・態様により被害者を殺害し、その死体を遺棄したと認定し、被告人を無期懲役に処したため、被告人が控訴した事案で、本件債務のうち230万円分について、被告人にその債務を免れる目的があったと認めた原判決の認定・判断は正当であり、また、被害者P2の妻である証人P4が本件契約を知らず、その具体的内容を把握している者がいなかったこと、同契約については、被害者の殺害によりその債務の履行請求が著しく困難になったことから、被告人が、同契約に係る債務の免除等と同程度の現実的利益を得たと認めた原判決の判断も正当であるとして、本件控訴を棄却した事例。
2024.01.09
過失運転致傷被告事件
LEX/DB25596170/名古屋高等裁判所 令和 5年 9月 5日 判決 (第二次控訴審)/令和5年(う)第74号
被告人が過失運転致傷の罪で起訴され、第1審が、事故態様について、本件交差点の東側に設置されている横断歩道を進行した被害者自転車が対向する歩行者を避けて本件交差点先の本件車道に進出し、本件車道左端を走行し、脇の雑草を避けようとしてハンドルを右に切ったところ、被害者自転車の右側と被告人車両の左側が接触したと認定したうえ、検察官が過失の前提として主張する回避可能性を認めるには合理的な疑いが残るから、被告人の過失は認められないとして無罪を言い渡したところ、検察官が控訴し、控訴審が、裁判所としては、検察官に対し、注意義務を課す根拠となる具体的事実、注意義務の内容、過失の態様を確認し、どの地点及び時点におけるどのような過失を問題としているのかを明確にするよう釈明を求め、過失内容を一義的なものとすべきであったのに、こうした措置を採らずに結論を導いた原審判決には訴訟手続の法令違反があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかであるとして、原審判決を破棄し、事件を当裁判所に差し戻した事案で、差し戻し後の第1審では、結果回避可能性があったとするには合理的な疑いが残り、また、予備的訴因については予見可能性がなく、いずれも過失があったとはいえないとして、被告人には無罪を言い渡されたが、控訴審では、被告人が前方を注視さえしていれば、被害者自転車が対面歩行者集団を避けるため車道上に進入したことに気付くと同時に、被害者自転車がそのまま車道を走行するであろうことを認識でき、本件車道の狭さから、被害者自転車を安全に追い抜くことはできず、そのまま走行すれば被害者自転車と接触し、あるいは衝突するおそれがあることも予見できたとして、原判決を破棄し、被告人を禁錮6月(執行猶予3年間)に処した事例。
2024.01.04
不当利得返還請求事件
LEX/DB25573204/最高裁判所第三小法廷 令和 5年12月12日 判決 (上告審)/令和4年(行ヒ)第317号
上告人が、市会議員であった被上告人に対し、本件有罪判決が確定したため、被上告人の当選は公職選挙法251条の規定により無効となり、被上告人は遡って市会議員の職を失ったなどとして、本件議員報酬等相当額及び本件政務活動費相当額の不当利得の返還等を求めたところ、原審は、上告人は本件会派の唯一の所属議員であった被上告人に対し本件政務活動費相当額の不当利得返還請求権を有するなどとした上で、被上告人の相殺の抗弁を一部認めて、上告人の不当利得返還請求を相殺後の残額の限度で認容したため、上告人が上告した事案で、上記市会議員の職を失った当選人は、上告人に対し、市会議員として行った活動に関し、不当利得返還請求権を有することはないとし、被上告人は、上告人に対し、相殺の抗弁に係る不当利得返還請求権を有するものということはできないとし、相殺の抗弁は全部認められないところ、これを一部認めた原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決を変更した事例(反対意見及び補足意見がある)。
2024.01.04
暴行、建造物損壊、器物損壊被告事件
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LEX/DB25596404/神戸地方裁判所 令和 5年11月27日 判決 (第一審)/令和4年(わ)第843号
被告人は、令和4年9月20日午前3時10分頃から同日午前3時16分頃までの間に、神戸市の被害者V1方で、被害者V1に対し、その左頬を手拳で殴打する暴行を加え(判示第1)、同日午前3時16分頃から同日午前3時22分頃までの間に、3階廊下で、同所に設置されたV2所有の消火器を噴射し、V2が所有する本件建物の3階廊下、壁面及び玄関扉等に消火剤を付着させて汚損(損害額4万8000円)するとともに、同消火器を使用不能にさせて損壊(損害額4300円)し、もって他人の建造物及び他人の物を損壊した(判示第2)として、懲役1年6月を求刑された事案において、被告人の本件行為は、器物損壊罪にいう「損壊」、建造物損壊罪にいう「損壊」に当たり、被告人には器物損壊及び建造物損壊の各罪が成立するとして、被告人を懲役1年2月に処した事例。