注目の判例

刑法

2013.10.08
殺人被告事件
LEX/DB25501465 / 大阪高等裁判所 平成25年 2月26日 判決 (控訴審) / 平成24年(う)第1159号
 実姉を包丁で突き刺して死亡させたというの事案について、第一審で懲役20年を言い渡された事案の控訴審で、原判決は本件犯行にいたった動機や経緯にアスペルガー傷害の影響があった点を過小評価し、また社会においてアスペルガー障害の受け皿がなく、このことと被告人の反省が十分でないことと相まって再犯のおそれが強いなどとして、これらを被告人の刑を重くする方向の一事項として考慮したが、それは誤っているとして原判決を破棄し、懲役14年を言い渡した事例。
2013.10.01
現住建造物等放火、殺人、殺人未遂被告事件
LEX/DB25501589 / 大阪高等裁判所 平成25年 7月31日 判決 (控訴審) / 平成23年(う)第1649号
 犯行時、被告人に妄想はあったものの、被告人の精神症状により、物事の是非善悪を判断し、その判断に従って行動する能力が著しく減退していなかったと認定した原判決の判断は正当であるとし、また、現在我が国で執行されている絞首刑という執行方法が、それ自体、受刑者に不必要な精神的、肉体的苦痛を与えることを内容とするものとして、人道上も残虐と認められる刑罰であるということはできないとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2013.10.01
殺人被告事件
LEX/DB25501585 / 京都地方裁判所 平成25年 7月18日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第50号
 被告人と被害者との夫婦関係修復の意見の違いに起因する殺人事件において、本件の犯情は悪く、被告人の刑事責任は相当重いのであって、子らのために父親が必要である旨の弁護人の主張を踏まえても、本件は酌量減軽をすべき事案とは到底いえないとして、被告人を懲役13年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.10.01
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反(変更後の訴因組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反、銃砲刀剣類所持等取締法違反)、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
LEX/DB25501612 / さいたま地方裁判所 平成25年 7月18日 判決 (第一審) / 平成22年(わ)第343号等
 山口組の直参組員であるとともに、二次団体の首領である被告人が、その傘下組織の構成員が殺害されたことから、報復して二次団体の威信を保つため、配下の暴力団構成員らと共謀の上、二次団体の活動として組織により、対立する暴力団組織に構成員に対しけん銃2丁を発射して殺害し、その際、同けん銃2丁とこれに適合する実包と共に所持したという組織的犯罪処罰法の加重殺人、銃刀法の組織的なけん銃発射及びけん銃の加重所持の事案において、被告人を無期懲役及び罰金3000万円に処した事例(裁判員裁判)。
2013.10.01
殺人、死体遺棄被告事件
LEX/DB25501588 / 大阪地方裁判所 平成25年 7月17日 判決 (第一審) / 平成23年(わ)第6151号等
 被告人は、被害者両名を殺害し、又は暴行を加えて傷害を負わせ、若しくはその他の方法で傷害を負わせて死亡させたものと認められるとした上で、被告人は長男に対し、長男を死亡させる危険性の高い行為をそれと分かって行ったと認められるから、被告人には長男に対する殺意を認めることができるとする一方、長男に対して殺意が認められるからといって妻に対しても殺意が認められるとはいえないとして、被告人を懲役28年に処した事例。
2013.10.01
各傷害致死被告事件
LEX/DB25501584 / 名古屋地方裁判所 平成25年 7月12日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第2078号
 刑法207条を傷害致死罪に適用することは文理上問題がなく、必要性も合理性も認められるとした上で、被告人両名が被害者に対し、それぞれ暴行を加えて死亡させたが、どちらの暴行により死因となった外傷性くも膜下出血が発症したのかを特定することができず、同時傷害の特例の適用により被告人両名に傷害致死罪が成立するとして、被告人両名をそれぞれ懲役5年6か月に処した事例。
2013.10.01
各業務上過失致死被告事件
LEX/DB25501547 / 岐阜地方裁判所 平成25年 7月10日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第63号
 被告人両名の重大な過失により、解体作業中の工場の壁が市道に倒れ、自転車で通行中の女子高生を同壁の下敷きにし、死亡させたという各業務上過失致死の事案において、本件解体工事の際、本件壁を一枚壁の状態にせず側壁を残したまま解体作業をするか、あるいは、本件壁を一枚壁の状態にして解体する場合でも、本件壁にワイヤーロープを張って支えたり、壁を重機でつかむなどすれば本件壁の倒壊を容易に防止できたことは、被告人両名の会社における地位及び解体工事に関する知識経験からして容易に認識できたもので、被告人両名が適切な倒壊防止措置を講じてさえいれば本件事故を回避することができたとして、被告人両名をそれぞれ禁錮1年2か月に処した事例。
2013.10.01
覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25501551 / 金沢地方裁判所 平成25年 7月 9日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第104号
 被告人は、法定の除外事由がないのに、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン又はその塩類若干量を自己の身体に摂取し、もって覚せい剤を使用したものであるとして、被告人を懲役1年6か月(執行猶予3年)に処した事例。
2013.10.01
被告人両名に対する保護責任者遺棄(変更後の訴因保護責任者遺棄致死)被告事件
LEX/DB25501611 / 名古屋地方裁判所岡崎支部 平成25年 6月17日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第740号
 被告人両名は、被害女児の親権者として、同児を保護する責任を負っていたものであるが、平成24年4月ころには同児が低栄養状態に陥っていること及び歩行困難等になっていることを認識しながら、共謀の上、同年9月20日までの間、同児に十分な食事を取らせず、適切な医療措置を受けさせずに放置し、同児を衰弱死させたとの保護責任者遺棄致死の事案において、不保護の態様は悪質であること、4歳の女児を死亡させたという結果は重大であること等を考慮し、被告人両名をそれぞれ懲役6年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.10.01
詐欺、電磁的公正証書原本不実記録、同供用、詐欺各被告事件
LEX/DB25501546 / さいたま地方裁判所 平成25年 6月10日 判決 (第一審) / 平成23年(わ)第71号等
 被告人両名が、共謀の上、土木建築工事の設計・施工及び請負・管理等を目的とする株式会社アーバンエステートが経営破綻状態であり、契約を履行できる見込みがほとんどないにもかかわらず、顧客との間で建設工事請負契約を締結して契約金等を受領したという詐欺、被告人Aが同社の架空増資を行ったという電磁的公正証書原本不実記録、同供用の各事案において、被害者らは、念願のマイホームを手に入れるため、何とか金策をして契約にこぎ着けたにもかかわらず、それから一月も経たないうちに業者が倒産するという憂き目にあったもので、その驚愕、悲嘆の気持ちは察するに余りあるとして、被告人Aを懲役4年に、被告人Bを懲役2年8か月に処した事例。
2013.10.01
傷害致死被告事件
LEX/DB25501550 / 和歌山地方裁判所 平成25年 5月31日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第431号
 被告人が、被害者が窓枠をつかんでいる認識を有しながら自動車を加速させたのは、被害者に対する暴行に当たるというべきところ、かかる行為が被害者を負傷させる危険の高い行為であることは明らかであって、犯行現場の道幅が狭いことや、石垣があることも被告人において認識していたことからすると、被告人には、傷害の未必的故意が優に認められるから、被告人には、傷害致死罪が成立するとして、被告人を懲役3年(執行猶予5年)に処した事例。
2013.09.24
危険運転致死傷,道路交通法違反事件
LEX/DB25445842 / 札幌地方裁判所 平成25年 6月21日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第995号
 被告人が、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自車を走行させたことにより、電柱に自車を衝突させて横転させ、同乗者A(当時1歳)を車外に放出させて脳挫傷の傷害を負わせ、同人を前記傷害によって死亡させるとともに、同乗者B(当時4歳)に右側胸部裂傷等の傷害を負わせた事案において、運転席に乗り込んで運転を開始した際の被告人は、酒の影響でひどく人が変っていたといえ、正常に判断する能力は著しく低く、このことは、当時の被告人の血中アルコール濃度が高濃度であったことからも裏付けられており、被告人が負うべき責任は相当限定されているが、当時の被告人が完全に別人格であったとはいえないとし、懲役3年を言い渡した事例(裁判員裁判)。
2013.09.17
住居侵入、強盗強姦、強盗殺人被告事件
LEX/DB25501531 / 東京高等裁判所 平成25年 7月18日 判決 (控訴審) / 平成25年(う)第31号
 被告人が、深夜、空き巣目的で被害者方に侵入したところ、在室していた被害者(当時24歳)に気付かれたため、被害者に包丁を示すなどしてキャッシュカードを強取した上、畏怖している被害者を強いて姦淫し、さらに、被害者を包丁で刺突し、タオルで首を絞めるなどして殺害したという事案の控訴審において、被告人の自白は信用できるのであって、上記各調書を含む関係証拠により被告人が被害者を殺害したことを認定した原判決に事実の誤認はないとした上で、原判決が、被告人に対し無期懲役刑を選択した上、少年法により有期懲役刑の上限である懲役15年に処したのは相当であって、これが重過ぎて不当であるとはいえないとして、被告人の控訴を棄却した事例。
2013.09.17
自動車運転過失傷害被告事件
LEX/DB25501533 / 東京高等裁判所 平成25年 7月18日 判決 (控訴審) / 平成23年(う)第2281号
 本件における被告人の過失行為は、被告人が前方左右を注視せず、時速約75kmで進行し、被告人車を進路左側土手上に逸脱させ、右に急転把して被告人車を対向車線に進出させ、さらに、左に急転把した過失ということになるから、本件の過失を最高速度を超える約65km毎時で漫然と進行し、考え事をしていて前方を注視しなかったことにより、同所が右に緩やかにカーブしているのを見過ごして、自車を進路左側土手上に逸脱させ、狼狽して、ブレーキを踏むことなく、さらに右に急激にハンドルを切ったため、自車の走行の自由を失わしめた過失とした原判決の判断には、過失行為の重要部分に関する判断に事実の誤認があり、この誤認は、量刑も含めて判決に重大な影響を及ぼすことが明らかであるとして、原判決を破棄し、被告人を禁錮2年6か月に処した事例。
2013.09.17
恐喝,覚せい剤取締法違反被告事件
LEX/DB25445823 / 横浜地方裁判所 平成25年 7月17日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第1906号等
 被告人A及び被告人Bが、退職を申し出た従業員を脅迫して借金返済の名目で同人に交付した給料を喝取し、被告人Aが覚せい剤を使用したとして、起訴された事案において、脅迫があった可能性はかなり高いとはいえるが、被害者の供述に、現金交付につながる脅迫があったと認定するには合理的な疑いを差し挟まない程度に脅迫があったと確信させるほどの、すなわち本件恐喝を認定し得るほどの高い信用性は肯定し難いとして、恐喝については被告人両名に無罪を言い渡し、覚せい剤使用については被告人Aを懲役1年10月とした事例。
2013.09.17
殺人、殺人未遂、現住建造物等放火被告事件
LEX/DB25501526 / 札幌地方裁判所 平成25年 7月11日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第108号等
 被告人は、借金を膨らませ、今後の生活は全く立ち行かないから、無理心中を実行しようと決意し、被告人方において、妻(当時36歳)と次女(当時10歳)に対し、殺意をもって、文化包丁で、突き刺し、よって、出血性ショックにより死亡させ、また、長女(当時15歳)に対し、殺意をもって、全治約7日間を要する右手切創の傷害を負わせた後、焼身自殺をするため、被告人方住宅に放火しようと考え、ライターを点火して衣類及び掛け布団にそれぞれ火を放ち、よって、同住宅を焼損させたとして、被告人を懲役26年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.09.17
危険運転致死傷被告事件
LEX/DB25445816 / 千葉地方裁判所 平成25年 5月23日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第1330号
 被告人(当時19歳)が、友人らを乗せて自動車を運転中に、車内の雰囲気を盛り上げるため、太鼓橋状の道路を時速82キロメートルを上回る高速度で通過し、激しい上下動などにより、自車の制御が困難となって自車を滑走させ、歩行者1名を死亡させ、同乗者2名に傷害を負わせた行為について、危険運転致死傷罪の成立を認め、被告人を懲役7年に処した事例(裁判員裁判)。
2013.09.17
自動車運転過失傷害被告事件
LEX/DB25445817 / 千葉地方裁判所 平成25年 4月18日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第10183号
 自動車事故の原因が、被告人の罹患する心臓疾患に伴う意識消失によるものある可能性を排斥することはできず、被告人の過失によるものであることについて合理的な疑いを容れない程度の立証はないとして、被告人に無罪を言い渡した事例。
2013.09.10
殺人未遂被告事件
LEX/DB25501515 / 鹿児島地方裁判所 平成25年 7月 5日 判決 (第一審) / 平成25年(わ)第39号
 被告人が抵抗できない乳児(当時生後3か月)の首を両手で少なくとも1分間は絞め続けて殺そうとしたという事案であって、その犯行自体は危険なものであるが、被害者が負った怪我は全治約5日間と軽いものであったし、そもそも、被告人が、本件犯行を決意したのは、場当たり的に問題をやり過ごそうとする人格特性だけでなく、必ずしも被告人のせいとはいえないストレスによって適応障害が悪化し、意識野が狭窄していたからであり、そして、被告人は、本件犯行後、速やかに罪悪感に目覚めて自首し、被害者は早期に救助されたとして、被告人を懲役3年(執行猶予4年)に処した事例(裁判員裁判)。
2013.09.10
殺人、死体損壊、死体遺棄、器物損壊、暴行、脅迫、建造物損壊被告事件
LEX/DB25501516 / さいたま地方裁判所 平成25年 7月 5日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第1789号等
 自己中心的で身勝手な動機から被害者殺害を決意し、その方法等を入念に検討し、凶器や殺害後の解体道具等を準備し、言葉巧みに被害者を自宅内に招き入れて無防備な状態にした上、その後頭部をハンマーで複数回強打し、被害者が息絶えると、その犯行発覚を免れるなどのために、被害者の遺体を解体した上、その胴体部分を実母方敷地内の土中に埋め、その他の遺体部分も細かく粉砕し分散して捨てるなどしており、計画的で強固な殺意に基づいた残虐かつ残忍で悪質な犯行というほかないとして、被告人を懲役22年に処した事例(裁判員裁判)。