注目の判例

民法(財産法)

2013.08.27
各不正競争行為差止等請求,承継参加申立事件
LEX/DB25445761 / 東京地方裁判所 平成25年 7月 9日 判決 (第一審) / 平成21年(ワ)第40515号等
 携帯型ゲーム機で実行されるゲーム等のプログラムが記録された記録媒体を販売している原告らが、被告らによるDS用マジコンの輸入、販売等が不正競争防止法2条1項10号に掲げる不正競争に該当するとして、上記各製品の譲渡、輸入等の差止め及び廃棄を求めるとともに、損害賠償を求めた事案において、本件DS用マジコンは、いずれもDS本体におけるプログラムの実行を営業上用いられている技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有するプログラムを記録した記録媒体に当たると認められるとして、原告らの請求をいずれも認容した事例。
2013.08.20
報酬金支払請求控訴事件
LEX/DB25501408 / 東京高等裁判所 平成25年 3月27日 判決 (控訴審) / 平成24年(ネ)第7437号
 原告(控訴人)が、被告(被控訴人)との間の事業承継に関するアドバイザリー契約の終了後、被告がZ石油に事業承継したことによって、同契約に基づき成功報酬が発生したなどと主張して、被告に対し、報酬金を請求したところ、請求が棄却されたため、控訴した事案において、本件アドバイザリー契約における「基本合意」とは、少なくとも、本件事業継承の枠組み、譲渡金額の基準などを内容とする合意と解するのが合理的であるところ、本件事業承継成就に至る経緯に照らせば、本件事業承継が成就したことから、直ちに、本件事業承継が成就する前において、被告とZ石油との間に、本件アドバイザリー契約における「基本合意」が締結されたことを認めるに足りず、本件報酬条項を適用又は準用することはできないとし、控訴を棄却した事例。
2013.08.20
定額貯金請求事件
LEX/DB25445750 / 大分地方裁判所 平成25年 4月19日 判決 (第一審) / 平成24年(ワ)第57号
 原告らが、訴外日本郵政公社の事業を承継した被告に対し、定額郵便貯金の解約払戻金の支払を求めた事案において、原告の夫の兄の子(甥)であるAに対する定額郵便貯金の解約払戻しについて、原告がAに代理権を授与したとは認められず、また、応対した郵便局員にはAの権限の確認を怠った過失があるから債権の準占有者に対する弁済は成立しないとして、原告の請求を認容した事例。
2013.08.20
各損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25501377 / 東京高等裁判所 平成25年 4月17日 判決 (控訴審) / 平成23年(ネ)第2230号
 原告ら(控訴人)が、本件MBOは、被告(被控訴人)役員らがそれぞれ取締役又は監査役として旧A社に対して負う善管注意義務に違反して行われたものであり、本件MBOにより、旧A社の株式を低廉な価格で手放すことを余儀なくされ損害を被ったと主張して、被告らに対し、損害賠償を求めたところ、請求が棄却されたため、控訴した事案において、被告取締役らが、本件賛同意見表明の段階において、本件情報及びこれによって生じるであろう株価操作の疑いを払拭する情報を開示しなかった点については、適正情報開示義務違反があったと認めるのが相当であるが、これにより、原告らに損害が発生したと認めることはできないとし、控訴を棄却した事例。
2013.08.20
損害賠償請求事件
LEX/DB25445754 / 名古屋地方裁判所 平成25年 2月 8日 判決 (第一審) / 平成23年(ワ)第6962号
 弁護士である原告が、被告に対し、原告が申し出て行われた弁護士法23条の2に基づく照会(弁護士会照会)に対して被告又はその従業員が必要な事項を報告しなかったのは違法であるなどと主張して、民法709条又は民法715条に基づき、損害賠償を求めた事案において、原告の主張する被侵害利益の要保護性が特に強いとはいえず、原告の不利益の程度が大きいとはいえず、被告による不作為の態様が悪質であるなどともいえないから、本件照会に応じることによる被告の負担や不利益が特段大きいものでないことを考慮しても、被告が、本件照会事項について、不法行為法上も報告義務を負っており、これについて報告しなかったことが原告の法律上保護される利益を侵害したものと評価することはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2013.08.06
損害賠償請求事件
LEX/DB25500968 / 佐賀地方裁判所 平成25年 2月14日 判決 (第一審) / 平成24年(ワ)第273号
 原告が、婚姻直後、前夫である被告において婚約中から婚姻成立後も他の特定の女性との間で男女関係を継続していたことを知ってしまったことから協議離婚を余儀なくされたことについて、婚約当事者の負うべき守操義務に違反するとして、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案において、原告と被告はそれぞれ婚約相手と異なる人物と性的関係を持たないという守操義務を負っていたところ、原告の被告に対する信頼を被告が裏切ったことは明らかであり、原告が被告の不貞の事実を婚約中に知ったのであれば、被告との婚約を破棄し、結婚式を挙げることはせず、新婚生活を送るために準備もしなかったであろうことから、原告は、婚約中の被告の不貞を理由にして、不法行為に基づき、損害賠償を求めることができるとして、原告の請求を一部認容した事例。
2013.08.06
損害賠償請求事件
LEX/DB25501346 / 東京高等裁判所 平成25年 3月15日 判決 (第一審) / 平成22年(ワ)第11号
 原告(熱海市)が、原告の新清掃工場建設工事の指名競争入札に参加した被告らに対し、被告会社らが、平成17年法律第35号による改正前の独占禁止法3条に違反して被告Aを同工事の受注予定者とすることを合意し、同被告において他の入札参加者の協力を得て、同工事の落札価格を不当に引き上げて同被告に同工事を受注させ、原告に公正な競争入札において形成された価格を上回る請負工事代金を支払わせたと主張して、独占禁止法25条1項の損害賠償請求権に基づき、上記代金と公正な競争入札において形成された価格の差額を連帯して支払うよう求めた事案において、訴訟物を異にする本件訴えを提起して上記損害賠償請求権を裁判上主張することが原告の住民が提起した本件住民訴訟を不当に蒸し返すものであるとか、訴訟上の信義則に反するものであるということはできないとした上で、本件落札価格は、被告らが本件基本合意及び本件個別合意をし、他の入札参加者の協力を得て、競争を実質的に制限することにより形成されたものであって、本来自由競争により形成されるべきであった価格(本件想定価格)を上回るものであると認められるから、原告は、被告らの本件違反行為により、本件想定価格と本件落札価格の差額に相当する損害を被ったものというべきであるとして、原告の請求を一部認容・一部棄却した事例。
2013.08.06
出版一時差止・損害賠償(甲事件)、損害賠償(乙事件)請求控訴事件
LEX/DB25445730 / 広島高等裁判所 平成25年 5月30日 判決 (控訴審) / 平成24年(ネ)第354号
 いわゆる光市母子殺害事件で死刑判決を受けた甲事件原告(18歳当時)に対し、甲事件被告Dが、面会などに基づき甲事件原告に関する事柄を記載した本件書籍を執筆し、甲事件被告Aが出版したことにおいて、甲事件原告が、本件書籍の出版によってプライバシー権などの人格権等が侵害されたとして、(ア)甲事件被告らに対し、本件書籍の出版、販売等の差止め及び甲事件被告Aが開設している本件ウェブサイトに掲載されている本件書籍の紹介記事の削除を求め、(イ)甲事件被告Aに対し、本件ウェブサイトに掲載された甲事件原告に関する記事の削除及び本件ウェブサイトに甲事件原告の実名を含む記事を掲載することの禁止を求め、(ウ)甲事件被告らに対し,共同不法行為や債務不履行に基づく損害賠償請求の支払等を求めた事案(甲事件)、甲事件被告らが、本件書籍をめぐる甲事件原告、本件刑事事件における甲事件原告の弁護人であった乙事件被告らの発言等により、名誉が毀損されたとして、共同不法行為に基づき、甲事件原告、乙事件被告らに対し、甲事件被告Dと甲事件被告Aが、それぞれ損害賠償請求の支払等を求めた事案(乙事件)で、原判決は、甲事件について、本件書籍や本件ウェブサイトの記事により、甲事件原告のプライバシー権、肖像権などが侵害されたとして、甲事件被告らに対し、甲事件原告に支払うよう命じ、その余の甲事件原告の甲事件請求を棄却し、甲事件被告らの乙事件請求をいずれも棄却したので、双方が控訴したが、甲事件被告らの控訴は一部理由があるとし、原判決を取消し、取消しに係る甲事件原告の請求もいずれも棄却し、甲事件被告らのその余の控訴を棄却した事例。
2013.08.06
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25501382 / 東京高等裁判所 平成25年 6月27日 判決 (控訴審) / 平成24年(ネ)第1450号等
 一審原告(サブフランチャイザー)は、一審被告(マスターフランチャイザー)との間で、持ち帰り弁当販売事業に関するフランチャイズ契約を締結し、「ほっかほっか亭」の名称を用いて上記事業を行っていたところ、やむを得ない事由があるとはいえないにもかかわらず、一審被告から上記契約の更新を拒絶されたため、新たに別の名称(ほっともっと)で持ち帰り弁当販売事業を立ち上げなければならなくなったと主張して、一審被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償金の一部及びこれに対する遅延損害金の支払を求めた事案の控訴審において、「本件更新拒絶がされた時点では、既に当事者間の信頼関係が著しく破壊され、本件各契約に基づき共同して事業を継続的に推進していくことは最早困難な状況となっており、そのような認識に基づく本件更新拒絶には信義則上正当な事由があったものと認めるのが相当である」として、一審被告の控訴に基づき、原判決中、一審被告の敗訴部分を取り消した上で、一審原告の請求をすべて棄却するとともに、一審原告の附帯控訴を棄却した事例。
2013.08.06
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25501383 / 東京高等裁判所 平成25年 7月 3日 判決 (控訴審) / 平成25年(ネ)第1862号
 被控訴人(被告)が設置する高等学校及び同校における部活動である柔道部に1年生として在籍していた控訴人(原告)が、神奈川県高等学校柔道大会兼関東高等学校柔道大会の県予選会の前に行われたウォーミングアップ練習において他の柔道部員に投げられた際、急性硬膜下血腫を発症した事故に関し、柔道部の顧問教諭に当該事故の発生を未然に防止すべき指導上の注意義務違反があったとして、不法行為による損害賠償請求権に基づき、被控訴人に対し、控訴人らが損害損害金の支払を求めた事案の控訴審において、教諭において、上述したような指導をした形跡はなく、本件大会当日も、本件練習を見ることができない場所におり、控訴人が準備運動すらしないまま本件練習に参加することを見逃した結果、同練習において、控訴人が他の柔道部員から全力で投げられて、受傷(急性硬膜下血腫)したのであるから、教諭は、本件注意義務に違反したといえ、かつ、当該注意義務違反とこれによる控訴人の受傷との間には相当因果関係が認められるとして、原判決を取り消し、控訴人らの請求を一部認容・一部棄却した事例。
2013.08.06
損害賠償請求,民訴法260条2項の申立て事件
LEX/DB25445729 / 最高裁判所第二小法廷 平成25年 7月12日 判決 (上告審) / 平成22年(受)第1163号等
 亡Aの相続人である被上告人らが、Aは勤務先の建物の壁面に吹き付けられた石綿(アスベスト)の粉じんを吸入したことにより悪性胸膜中皮腫に罹患し、自殺したと主張して、上記建物の所有者である上告人に対し、民法717条1項ただし書の規定に基づく損害賠償を求めた事案の上告審において、壁面に吹き付けられた石綿が露出している建物が通常有すべき安全性を欠くと評価されるようになった時点を明らかにしないまま、同建物の設置又は保存の瑕疵の有無について判断したことには審理不尽の違法があるとして、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻した事例。
2013.08.06
 
LEX/DB25501345 / 最高裁判所第一小法廷 平成25年 6月27日 決定 (上告審) / 平成25年(受)第821号
 一審被告(申立人)が経営するY病院でAが原告X1を出産後、別の病院に転院し死亡したことにつき、Aの相続人である一審原告(相手方)らが、本件病院の医師ないし看護師に注意義務違反があったと主張して、一審被告に対し、不法行為に基づく損害賠償を求めたところ、原判決が一審原告らの控訴に基づき第一審判決を変更し、一審被告の附帯控訴を棄却したため、一審被告が、上告受理を申し立てた事案において、本件申立ての理由によれば、民事訴訟法318条1項により受理すべきものとは認められないとし、本件を上告審として受理しないとした事例。