注目の判例

民法(財産法)

2014.01.06
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25502319/大阪高等裁判所 平成25年11月14日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第2105号等
インターネット上に開設されたファンサイトやホームページ上などで自費出版した小説の宣伝をしたり、文章や写真等を掲載していた被控訴人(原告)が、控訴人甲が被控訴人をモデルとする小説を執筆し、控訴人乙社が同小説を出版したことにより被控訴人の名誉が毀損され、かつ、プライバシー権が侵害されたと主張して、控訴人(被告)らに対し、損害賠償を請求し、原審が請求を一部認容し、控訴人が敗訴部分を不服として控訴をした事案において、原判決は相当であるとして、各控訴及び附帯控訴をいずれも棄却した事例。
2014.01.06
契約解除意思表示差止等請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25502317/大阪高等裁判所 平成25年10月17日 判決 (控訴審)/平成24年(ネ)第3565号等
適格消費者団体である控訴人(原告)が、不動産賃貸業等を営む事業者である被控訴人(被告)に対し、被控訴人の使用する賃貸借契約書には、賃貸人に無催告解除権を認めた条項等が含まれているところ、これらの条項が消費者契約法9条各号又は消費者契約法10条に該当するとして、消費者契約法12条3項に基づき、同契約書による意思表示の差止め、契約書用紙の廃棄並びに差止め及び契約書用紙廃棄のための従業員への指示を求め、原審が一部認容し、控訴人が敗訴部分について控訴をした事案において、原判決を変更し、無催告解除を認めた条項に係る意思表示の差止めについても認容し、その余を棄却した事例。
2014.01.06
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25502255/東京高等裁判所 平成25年10月10日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3566号
一審原告(被控訴人兼控訴人)が、一審被告A(控訴人兼被控訴人)及び一審被告B(控訴人兼被控訴人)の飼育していた犬の咬傷事故が原因となり、一審原告の賃貸物件の賃借人が退去して得べかりし賃料収入を喪失したなどとして、一審被告A及び一審被告Bに対しては民法718条1項又は民法709条に基づき、上記両名に住居を使用させていた一審被告会社(被控訴人)に対しては民法709条に基づき、損害金の連帯支払を求めた事案の控訴審において、本件賃貸借契約の解約は、賃借人の都合によるものではなく、本件事故のために被害者が本件マンションに居住し続けることが困難な精神状態に陥ったためであり、その結果、本件賃貸借契約を継続させることができなくなったためであって、一審原告にとっては、一審被告A及び一審被告Bの不法行為により本件賃貸借契約の終了を余儀なくされたということができるから、このような場合にまで本件賃貸借契約が前提としていた賃借人の自己都合による解約と同視することは相当ではなく、本件事故により通常生ずべき賃料相当額の損害が生じたものと解することが公平の理念にかなうというべきであるとして、一審原告の控訴に基づき、原判決を変更した事例。
2014.01.06
損害賠償請求事件
LEX/DB25502313/青森地方裁判所 平成25年10月4日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第98号
原告らが、被告(青森県)の設置・管理する県立高校に通っていた原告らの子は、同高校の教員でラグビー部の顧問であった教諭から違法な指導を受け、また、同部でいじめにあっていたところ、同顧問教諭、クラス担任及び校長がいじめを放置するなどして安全配慮義務に違反し、その結果、子が自殺に至ったと主張し、国家賠償法1条1項に基づき、損害賠償を請求した事案において、顧問教諭が違法な指導を行ったということはできないし、同教諭らの安全配慮義務違反も認められないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2013.12.24
損害賠償請求事件(第1162号)、賃料等請求反訴事件(第21号)
LEX/DB25502295/神戸地方裁判所尼崎支部 平成25年10月28日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1162号等
原告が、建物に係る賃貸借契約締結の際、弁護士である被告から同建物内で居住者が自殺した事実を告げられずに契約したことにより、礼金、引越費用等の負担や精神的苦痛等の損害を被ったと主張して、原告が被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償を求め(本訴請求)、被告が原告に対し、原告が平成24年10月分以降の賃料を支払わないと主張して、主位的に賃料請求、予備的に不当利得の返還を求めた(反訴請求)事案において、本件建物には、賃貸借契約の締結を避けることがやむを得ない心理的な瑕疵があり、賃貸人には、信義則上、これを告知すべき義務があるというべきであるから、被告において、原告に対し、故意又は過失によって本件建物に心理的瑕疵があることの説明をしなかった場合には、被告は、原告に対し、本件賃貸借契約の締結によって被った損害を賠償する責任を負うとして、原告の本訴請求を一部認容、一部棄却し、被告の反訴請求を棄却した事例。
2013.12.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25502307/大阪地方裁判所 平成25年9月11日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第6299号
被告が経営する被告病院で出生した原告Aが重度の後遺障害を負ったのは、被告病院の医師においてカンガルーケアについての説明義務を怠り、カンガルーケアを行うに当たり安全性を確保する措置を講じなかったか、窒息を防止すべき注意義務に違反するなどしたことが原因であるなどと主張して、被告に対し、債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償金の支払を求めるとともに、原告Aの両親である原告B及び原告Cが精神的苦痛を被ったと主張して、債務不履行又は不法行為に基づき、それぞれ損害賠償金の支払を求めた事案において、原告Aに発症した低酸素脳症がカンガルーケアの実施に伴う危険性が発現したものではなく、他の原因によるものであったというのであれば、カンガルーケアに危険性があるということから導かれる義務に違反することがあったとしても、そのことと他の原因により生じた低酸素脳症の発症という事実との間に、法的な意味での関連性があるとはいえないとし、また、母児同室下における授乳に当たり、当該母に授乳の際に鼻腔を閉塞しないようにすべきことを理解する能力がないなどの特段の事情のない限り、被告病院ないしその医療関係者に、授乳の際における児の鼻腔の閉塞による窒息を防止すべき法的義務があるとまではいえないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2013.12.24
損害賠償等請求事件
LEX/DB25502159/神戸地方裁判所 平成25年7月4日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第2572号
歩行者である原告Aと被告の子であるFが運転する足踏み式自転車とが衝突した事故について、原告Aが損害を被ったとして、Fの唯一の親権者である被告に対し、監督者責任に基づく人的損害賠償金等の支払を求め、損害保険会社である原告保険会社が、原告Aの人的損害に係る人身傷害補償保険金を支払ったことにより、原告Aの被告に対する損害賠償請求権を代位取得したとして、同人に対し、求償金等の支払を求めた事案において、本件事故は、Fが自転車運転者としての基本的注意義務を尽くさなかったことにより発生したとし、そして、Fは、本件事故当時11歳の小学生であったから、未だ責任能力がなかったといえ、本件事故により原告Aに生じた損害については、Fの唯一の親権者で、Fと同居してその監護に当たり、監督義務を負っていた被告が、民法714条1項により賠償責任を負うものといえるとして、原告らの請求をそれぞれ一部認容した事例。
2013.12.16
共有物分割等請求事件
LEX/DB25446054/最高裁判所第二小法廷 平成22年11月29日 判決 (上告審)/平成22年(受)第2355号
被上告人らが、上告人らに対し、被上告人らと上告人らとの共有に属する土地の共有物分割を求めた事案の上告審において、共有物について、遺産共有持分と他の共有持分とが併存する場合、共有者(遺産共有持分権者を含む。)が遺産共有持分と他の共有持分との間の共有関係の解消を求める方法として裁判上採るべき手続は民法258条に基づく共有物分割訴訟であり、共有物分割の判決によって遺産共有持分権者に分与された財産は遺産分割の対象となり、この財産の共有関係の解消については民法907条に基づく遺産分割によるとした上で、裁判所は、遺産共有持分を他の共有持分を有する者に取得させ、その者に遺産共有持分の価格を賠償させてその賠償金を遺産分割の対象とする価格賠償の方法による分割の判決をする場合には、遺産共有持分権者に支払われる賠償金は、遺産分割によりその帰属が確定されるべきものであるから、賠償金の支払を受けた遺産共有持分権者は、これをその時点で確定的に取得するものではなく、遺産分割がされるまでの間これを保管する義務を負うところ、その判決において、各遺産共有持分権者において遺産分割がされるまで保管すべき賠償金の範囲を定めた上で、遺産共有持分を取得する者に対し、各遺産共有持分権者にその保管すべき範囲に応じた額の賠償金を支払うことを命ずることができるとして、原判決中共有物分割請求に関する部分についての上告を棄却した事例。
2013.12.16
損害賠償請求事件
LEX/DB25502191/東京地方裁判所 平成25年9月20日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第14034号
被告(日本郵便)が、被告は、訴外人らと共謀して、定期刊行物に広告を同封する等した郵便物を有料販売条件を欠いているにもかかわらず、心身障害者用低料郵便物として違法に差し出したとして、原告が、被告に対し、不法行為に基づき、正規郵便料金と実際に支払いを受けた額との差額の支払いを求めた事案において、被告らは、郵便物が、有料販売条件を満たしていないことを知りながら、低料郵便物として郵送したものであり、不法行為を構成するとして、原告の請求を全部認容した事例。
2013.12.10
損害賠償等請求事件
LEX/DB25502134/名古屋地方裁判所 平成25年10月18日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第8391号
原告が、被告発行に係る週刊誌である「週刊朝日」が平成20年9月12日付誌面に掲載した記事の記載によって原告の名誉が毀損されたと主張して、被告に対し、不法行為による損害賠償請求権に基づき、慰謝料3000万円及びこれに対する遅延損害金の支払、並びに民法723条に基づき、名誉を回復するための謝罪広告の掲載を求めた事案において、本件記事のうち、「懲りない浮気癖」との記載について、原告に対する名誉毀損が成立し、その違法性ないし被告の故意又は過失は阻却されないとした上で、本件記事の掲載により原告に生じた精神的損害につき、被告が支払うべき慰謝料額は、10万円と認めるのが相当であるとし、金銭賠償に加えて、謝罪文の掲示を必要とするまでの事情は認められないとして、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2013.12.10
損害賠償等請求控訴事件
LEX/DB25502144/福岡高等裁判所 平成25年9月26日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第200号
市長である一審原告が、一審被告出版社の発行する雑誌に掲載された本件記事は、虚偽の事実を摘示したものであって、一審原告の名誉を著しく毀損するものであり、これにより精神的苦痛を被ったとして、一審被告らに対し、民法719条1項、民法709条に基づく損害賠償を求めるとともに、一審被告出版社に対し、民法723条に基づく原告の名誉回復するための処分として謝罪広告の掲載を求めた事案の控訴審において、本件各摘示事実については、一審被告らが真実であると信ずるについて相当な理由があると認められるから、一審被告らについて不法行為は成立しないとして、原判決中一審被告らの敗訴部分を取り消し、一審原告の請求を棄却した事例。
2013.12.10
損害賠償等請求事件
LEX/DB25502143/福岡地方裁判所 平成25年2月7日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第2821号
市長である原告が、被告出版社の発行する雑誌に掲載された本件記事は、虚偽の事実を摘示したものであって、原告の名誉を著しく毀損するものであり、これにより精神的苦痛を被ったとして、本件記事を雑誌に掲載決定した被告Y1と本件記事を執筆者した被告Y2に対し、民法719条1項、民法709条に基づく損害賠償を求めるとともに、被告出版社に対し、民法723条に基づく原告の名誉回復するための処分として謝罪広告の掲載を求めた事案において、本件摘示事実3については、真実であるか、被告らが真実であると信ずるにつき相当な理由があると認められるが、本件摘示事実1、2、4及び5については、いずれも真実であるとも、被告らが真実であると信ずるについて相当な理由があるとも認められないとして、請求の一部を認容した事例。
2013.12.03
求償債権等請求事件
LEX/DB25446030 / 最高裁判所第一小法廷 平成25年11月21日 判決 (上告審)/ 平成24年(受)第105号
再生会社に対して債権を有する上告人(原告・控訴人)が、当該債権は共益債権に当たると主張して、承継前被上告人(被告・被控訴人)に対し、再生手続によらないで、その支払を求めた訴訟の上告審において、民事再生法上の共益債権に当たる債権を有する者は、当該債権につき再生債権として届出がされただけで、本来共益債権であるものを予備的に再生債権であるとして届出をする旨の付記もされず、この届出を前提として作成された再生計画案を決議に付する旨の決定がされた場合には、当該債権が共益債権であることを主張して再生手続によらずにこれを行使することは許されないとして、上告を棄却した事例。
2013.12.03
損害賠償等請求本訴事件、損害賠償請求反訴事件
LEX/DB25501709 / 仙台地方裁判所 平成25年8月29日 判決 (第一審)/ 平成22年(ワ)第1314号等
研究者であり国立大学の総長である原告(反訴被告)が、被告(反訴原告)が代表する会のホームページ上において、原告が過去に発表した論文にねつ造ないしは改ざんがあるとして大学に対し原告を告発する旨の被告ら作成の文書が掲載された結果、原告の名誉が毀損されたと主張し、被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償の支払いを求め、また、名誉回復処分として、記事の削除及び謝罪文の掲載を求め(本訴)、これに対し、被告らが、原告による本訴提起が不当提訴に当たるなどと主張して、不法行為に基づく損害賠償等を請求した(反訴)事案において、原告の損害賠償請求を一部認容し、その余の請求及び反訴請求を棄却した事例。
2013.11.26
詐欺被告事件
LEX/DB25502071 / 大阪地方裁判所 平成25年8月29日 判決 (第一審) / 平成24年(わ)第6767号等
被告人の指示の下、共犯者らが難病女児への支援を装って通行人から金銭を詐取したという募金詐欺の事案において、期間は1年以上に及んでおり常習的な犯行である上、手の込んだ細工をしている点で卑劣かつ悪質であること、被告人は、首謀者として主導的な役割を果たしていたこと、被告人に反省の態度は全く認められないことなどを考慮し、被告人に対し、懲役5年6月を言い渡した事例。
2013.11.26
損害賠償請求事件
LEX/DB25502035 / 福岡地方裁判所小倉支部 平成25年3月21日 判決 (第一審) / 平成20年(ワ)第741号等
カネミ油症患者と認定された者ないしその相続人である原告らが、原因事業者である被告カネミ倉庫株式会社及び同事件発生当時の同社代表者の相続人であるその余の被告2名に対し、不法行為に基づいて、損害賠償を求めた事案において、カネミ油症は、当該不法行為により発生する損害の性質上、加害行為が終了してから相当の期間が経過した後に損害が発生する場合には該当しないというべきであるから、本件における除斥期間の起算点は、加害行為の時、すなわち原告患者らがカネミライスオイルを摂取した時であり、遅くとも昭和44年12月31日ということになるとして、除斥期間の経過により、原告らの損害賠償請求権はいずれも消滅しているとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2013.11.19
受信料等請求控訴事件
LEX/DB25502100 / 東京高等裁判所 平成25年10月30日 判決 (控訴審) / 平成25年(ネ)第4466号
控訴人(原告、日本放送協会)が、被控訴人(被告)に対して、主位的に控訴人と被控訴人との間に成立している放送受信契約に基づき、予備的に被控訴人による同契約締結承諾の意思表示を求めると共に、同意思表示によって成立する受信契約に基づき(予備的請求1)、さらに予備的に不当利得に基づき(予備的請求2)、受信料又は受信料相当額の支払いを求め、原審が控訴人の主位的請求を棄却し、予備的請求1を認容したところ、控訴人が主位的請求の認容を求めて控訴した事案において、放送法64条に規定する受信者の受信契約締結義務の効果として、控訴人が受信契約締結の申込みを行った場合は、通常必要と考えられる相当期間を経過した時点で受信契約が成立するとして、原判決を取り消し、控訴人の主位的請求を全部認容した事例。
2013.11.19
発信者情報開示請求事件
LEX/DB25445972 / 東京地方裁判所 平成25年10月22日 判決 (第一審) / 平成25年(ワ)第15365号
原告が、氏名不詳者により被告の提供するインターネット接続サービスを経由してインターネット上のウェブサイトに掲載された動画が原告の著作権を侵害していると主張して、被告に対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、被告が保有する発信者情報の開示を求めた事案において、本件動画を作成して本件サイトに投稿する行為は、原告動画のうち少なくとも原告動画の部分1及び4についての複製権及び公衆送信権を侵害するものということができるとして、原告の請求を認容した事例。
2013.11.19
損害賠償等請求控訴事件
LEX/DB25445956 / 知的財産高等裁判所 平成25年10月16日 判決 (控訴審) / 平成25年(ネ)第10052号
被控訴人らが、控訴人が被控訴人らを被写体とする写真を掲載した書籍を出版、販売し、これにより、被控訴人らの肖像等が有する顧客吸引力を排他的に利用する権利(パブリシティ権)及びみだりに自己の容貌等を撮影されず、また、自己の容貌を撮影された写真をみだりに公表されない人格的利益が侵害されたと主張して、不法行為による損害賠償を求めるとともに、上記侵害のいずれかに基づく上記各書籍の出版及び販売の差止め並びにその廃棄を求めた事案の控訴審において、控訴人が上記各写真を上記各書籍に掲載する行為は被控訴人らのパブリシティ権を侵害するものであるとして、本件控訴を棄却した事例。
2013.11.19
受信契約締結承諾等請求事件
LEX/DB25501824 / 東京地方裁判所 平成25年10月10日 判決 (第一審) / 平成24年(ワ)第3922号
原告が、原告のテレビジョン放送を受信することのできる受信機を設置したが、放送受信契約を締結しない被告に対し、主位的には、放送法64条1項等によって原告と被告との間で放送受信契約が成立していると主張して、放送受信契約に基づき、上記受信機を設置した月から現在までの受信料の支払を求め、予備的には、上記放送受信契約が成立していないことを前提として、被告は放送受信契約締結義務を負うと主張して、原告からの上記放送受信契約の申込みに対する承諾の意思表示と、上記申込み及び承諾の意思表示によって成立する放送受信契約に基づき、上記受信料の支払を求めた事案において、被告による承諾の意思表示がない以上、原告と被告との間で放送受信契約が締結されたものとは認められないから、原告の主位的請求は理由がないとする一方、放送法64条1項が定める受信機設置者に対する放送受信契約を締結すべき私法上の義務につき、民法414条2項ただし書に基づき、放送受信契約の締結の承諾の意思表示を命じることができ、承諾の意思表示に代わるべき裁判をもって放送受信契約を成立させることができるとした事例。