注目の判例

民法(財産法)

2014.03.05
建物使用禁止仮処分命令申立事件
LEX/DB25502764/東京地方裁判所 平成25年10月24日 決定 (第一審)/平成25年(ヨ)第2698号
マンションの管理者である債権者が、同マンションの一室(本件建物)を所有する債務者に対し、債務者が本件建物をいわゆるシェアハウスとして不動産管理会社を通じて入居者を募集し、入居させていることは、同マンションの管理規約に違反し、他の区分所有者の共同の利益に反しているとして、同管理規約又は区分所有法57条に基づき、シェアハウスとしての使用を差し止める旨の仮処分命令を求めた事案において、債務者の使用が他の区分所有者の共同の利益に反するとはいえないとして、申立てを却下した事例。
2014.02.18
出版禁止等請求控訴事件
LEX/DB25502638/東京高等裁判所 平成25年12月25日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第5379号
控訴人(被告)甲社が発行し控訴人乙が編集人を務める雑誌は、控訴人丙が執筆し連載記事を掲載したところ、被控訴人(原告)らは、各連載記事は、いずれも被控訴人らの社会的評価を低下させるものであると主張して、控訴人らに対し、不法行為に基づき、損害賠償金の支払い等を求め、原審は、一部請求を認容した事案において、被控訴人らにおける損害賠償金の支払及びこれに対する遅延損害金の支払について各限度で認容するのが相当であり、これと同旨の原判決は相当であるとして、各控訴を棄却した事例。
2014.02.18
損害賠償請求事件
LEX/DB25502692/横浜地方裁判所 平成25年12月25日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第1052号
原告が、土地を買い受けるに当たりその登記申請を司法書士である被告に依頼したところ、売主が所有者の名をかたった無権利者であったため、売買相当額を騙し取られたことから、被告に対し、債務不履行に基づく損害賠償を求めた事案において、被告が原告から売買契約を締結する以前に売主側と面談をして真の所有者であるか否か確認することも委任されていたとは認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.02.18
損害賠償等請求事件
LEX/DB25502645/東京地方裁判所 平成25年12月20日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第268号
フランス法人である原告協会が、その会員(著作権者又はその承継者)から美術作品(会員作品)の著作権の移転を受け、著作権者として著作権を管理し、原告が亡パブロ・ピカソの作品(ピカソ作品)の著作権について、フランス民法に基づく不分割共有財産の管理者であって、訴訟当事者として裁判上において、同財産を代表する権限を有すると主張した上で、原告らが、被告に対し、被告主催のオークションのために被告が作成したカタログに、原告らの利用許諾を得ることなく、会員作品及びピカソ作品の写真を掲載しているから、原告らの著作権を侵害しているとして、不法行為に基づく損害賠償を請求した事案において、原告らの請求を一部認容した事例。
2014.02.18
損害賠償等請求控訴事件
LEX/DB25502636/東京高等裁判所 平成25年12月19日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第5444号
被控訴人(原審原告)及び原審相原告会社が、控訴人(被告)会社の発刊する週刊誌に掲載された記事によって名誉を毀損されたと主張して、控訴人会社、同誌の編集長、編集次長並びに記事の執筆者である控訴人らに対し、不法行為による損害賠償及び謝罪広告の掲載を求め、原審が、被控訴人の請求を一部認容し、控訴人らが敗訴部分を不服として控訴をした事案において、原判決は相当であるとして、控訴をいずれも棄却した事例。
2014.02.18
損害賠償等請求事件
LEX/DB25502701/盛岡地方裁判所 平成25年12月6日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第259号
東日本大震災における津波で被災した建物を所有していた原告が、原告の承諾なく被告(釜石市)が無断で同建物を解体撤去したなどと主張して、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき損害賠償を求めた事案において、被告には、本件建物を解体するに当たって、原告の意向を慎重に確認すべき義務を怠った過失があったというべきであるから、被告は、国家賠償法1条1項に基づき、原告に生じた損害を賠償する責任を負うとして、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2014.02.18
各損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25502633/東京高等裁判所 平成25年11月28日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第666号
被控訴人(被告。日本放送協会)が、番組内で、1910年の日英博覧会において、台湾南部高士村のパイワン族の男女24名が展示され、そのうちの1人の娘である控訴人(原告)甲は今も悲しいと述べているなどと報道されたことにより、名誉やプライバシーが侵害されたとする控訴人甲やその他の台湾人等のほか、知る権利を侵害されたなどとする視聴者など総勢1万0335人の一審原告らが、被控訴人に対し、不法行為に基づく損害賠償の支払いを求め、原審が請求を全部棄却し、控訴人甲を含む42名が控訴を提起した事案において、原判決を変更し、控訴人甲についての請求を一部認容、一部棄却し、その余の控訴を棄却した事例。
2014.02.18
損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25502634/東京高等裁判所 平成25年11月28日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第1162号等
平成19年に開催されたF1グランプリに観戦チケットを購入して観戦を行うなどした一審原告ら(控訴人を含む)が、主催者である一審被告(被控訴人)に対し、適切な観戦環境を提供する義務に違反する等した旨主張し、債務不履行及び不法行為責任による損害賠償の支払いを求め、原審が、一部を認容した事案において、一審被告の附帯控訴に基づき、一審被告の弁済の抗弁を認め、一審被告の敗訴部分を取り消し、控訴人らの請求を棄却した事例。
2014.02.10
受信料等請求控訴事件
LEX/DB25502686/東京高等裁判所 平成25年12月18日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第4864号
被告(被控訴人)がテレビジョン受信機を設置したにもかかわらず、日本放送協会放送受信規約を内容とする放送受信契約締結の手続をせず、放送受信料を支払わなかったとして、放送法に基づき設立された法人である原告(控訴人。日本放送協会)が、被告に対し、主位的請求として、放送受信契約に基づき未払受信料の支払いを求め、予備的請求として、被控訴人には放送受信契約の申込みに対する承諾義務があるとして、控訴人のした同申込みに対する承諾の意思表示を求めるとともに、未払受信料の支払いを求め、また、不当利得返還請求権に基づき未払受信料相当額の支払いを求めた事案において、放送法64条1項を含む関係法令及び受信規約は、控訴人の受信契約の申込みの意思表示について受信契約成立の法律効果が生ずる形成権として定めていないなどとして、原判決を一部取り消し、予備的請求に基づく請求を全部認容した事例。。
2014.02.10
 
LEX/DB25502568/最高裁判所第二小法廷 平成25年11月20日 決定 (上告審)/平成22年(オ)第1943号
(1)Aの法定相続人一審原告B及び一審原告Cが、Aの法定相続人一審被告らに対し、土地の持分72分の3がAの遺産であることの確認を求めると共に、(2)一審原告らが一審被告らに対し、前記土地の共有物分割として、Aの遺産である持分を一審原告Dに取得させて、その価格をその余の一審原告ら及び一審被告らに賠償させる全面的価格賠償を求めたところ、(1)の訴えは確認の利益がないとして却下し、(2)の請求は形式的競売による分割が相当であるとしたため、双方がいずれも控訴し、(3)一審被告らが一審原告らに対し、前記土地の持分72分の21がAの遺産であることの確認を求め附帯控訴(反訴)した事案で、(2)については原判決を一審原告の請求のとおり変更し、一審被告らの控訴を棄却し、(3)については請求を却下・棄却したため、一審被告らが上告した事案において、一審被告らの本件上告を棄却した事例。
2014.02.04
損害賠償等本訴請求事件(第1969号)、リース料反訴請求事件(第606号)
LEX/DB25502493/京都地方裁判所 平成25年12月20日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1969号等
本訴は、原告(神社)が、被告(リース等を業とする株式会社)に対し、第1次的にファイナンス・リース契約の解除、取消し若しくは無効による不当利得返還請求権に基づく不当利得金の支払、第2次的に販売店従業員の不法行為に起因する使用者責任、共同不法行為又は単独不法行為による損害賠償請求権に基づく損害金の支払を請求し、反訴は、被告が、原告らに対し、上記契約及び連帯保証契約に基づき、連帯して上記契約に基づくリース料の未払分の支払を請求した事案において、本件契約は、本件対象物件の種類・性質、本件契約が神社における防犯を目的としていること及び本件協定の内容に照らすと、上記のファイナンス・リース契約に該当することが明らかであって、被告の承諾により被告本社において成立したものと認められる一方、その効力発生について本件対象物件の引渡しを要件とすべき法律上の根拠は見当たらないとして、原告の本訴請求をいずれも棄却し、被告の反訴請求を認容した事例。
2014.01.28
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25502419/名古屋高等裁判所 平成25年11月27日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第737号
死刑確定者である控訴人が、名古屋拘置所の職員により、控訴人と同所被収容者との信書の発受など同職員が職務上知った情報を他の同所被収容者に漏えいされ、精神的被害を被ったとして、被控訴人国に対し、国家賠償を求めた事案の控訴審において、2件の情報漏えいに対する慰謝料の額はそれぞれ2万5000円と認めるのが相当であることは原判決の説示するとおりであるとして、本件控訴を棄却した事例。
2014.01.28
損害賠償請求事件
LEX/DB25502353/松山地方裁判所 平成25年11月7日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第1399号
宅地建物取引業者である被告の仲介より本件土地を取得した原告らが、被告に対し、前記土地が事故物件であることを知らされていなかったとして、不法行為による損害賠償の支払を求めた事案において、本件土地上で過去に自殺があったとの事実は、本件売買契約を締結する否かの判断に影響を及ぼす事実であるとともに、本件売買契約締結後の売買契約につき、その効力を解除等によって争うか否かの判断に重要な影響を及ぼす事実であるとし、被告は、原告らに対し、前期事実の説明義務違反(不法行為)と相当因果関係のある損害を賠償すべき責任を負うとして、請求を一部認容した事例。
2014.01.28
共有登記手続等請求事件(第71号、第150号)、源泉地共有登記等請求事件(第42号)
LEX/DB25502352/大分地方裁判所日田支部 平成25年10月11日 判決 (第一審)/平成22年(ワ)第71号等
温泉付き分譲別荘地の購入者336名の原告らが、被告の管理会社等に対して源泉地の共有登記手続等を求めた事案において、分譲初期に広告等で「源泉地や付帯施設等、敷地は共有登記する」との記載や説明があったとして、一定時期までに別荘地を購入した168名の原告らの請求を一部認容した事例。
2014.01.21
土地建物所有権移転登記抹消登記等請求控訴事件
LEX/DB25502122/東京高等裁判所 平成25年5月22日 判決 (控訴審)/平成24年(ネ)第3762号
本件各不動産の所有者であった控訴人が、本件抵当権に基づく担保権の実行としての競売手続において、本件各不動産を競落した被控訴人A、同社から本件各不動産の一部を買い受けた被控訴人B、更にBが買い受けた不動産の共有持分を、同社からを買い受けたDの破産管財人である被告Cに対し、本件抵当権設定契約は公序良俗に反し無効であるから、競売による被告Bへの所有権移転も無効であるとして、それぞれ各被告名義の所有権移転登記等の抹消登記手続等を求めた事案の控訴審において、本件抵当権設定契約は、マンション用地乗っ取り計画のための1つの手段として締結されたものであり、公序良俗に反し無効であると評価すべきであるが、被控訴人Aが本件抵当権設定契約が公序良俗に反して無効であることを了知していながら、買受申出をしたものと評価することは困難というほかないとして、控訴を棄却した事例。
2014.01.14
 
LEX/DB25502560/最高裁判所第一小法廷 平成25年12月5日 判決 (上告審)/平成23年(オ)第2135号等
主な症状として小下顎、舌根沈下、上気道閉塞(狭窄)の3つが見られ、一般に気管内挿管が容易ではないピエールロバン症候群を発症していた男児である一審原告(被控訴人、上告人兼申立人)Aと両親が、一審被告(愛媛県。控訴人、被上告人兼相手方)が開設する病院に入院中、呼吸状態を悪化させて低酸素脳症の重篤な後遺障害を残したことについて、病院の医師が適切な処置をしなかった過失があるなどとして、一審原告が一審被告に対し、不法行為又は診療契約上の債務不履行による損害賠償請求権に基づき損害額の支払を求めた等の事案において、原々審が医師の過失を認め、請求を一部認容したところ、愛媛県が控訴し、男児と両親が附帯控訴した原審では、最終手段と位置づけられている気管切開以外の方法で気道確保ができない状況にあったとまではいえないから、早期に気管切開を行うべき義務があったとはいえず、また気管内挿管にこだわらずにラリンゲアルマスクや輪状甲状靱帯穿刺を行うべき義務があったとは認められないなどと判断し、一審被告側の過失を否定して、一審原告らの請求を全部棄却したため、一審原告らが上告及び上告受理を申立てたが、本件上告を棄却し、上告審として受理しないとした事例。
2014.01.14
損害賠償請求事件
LEX/DB25502340/東京地方裁判所 平成25年11月6日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第32681号
原告らが、被告C、被告E及び被告Fにおいて濫用的な目的で訴外会社の民事再生手続開始の申立てをすることを取締役会で決議し、訴外会社に本件申立てを行わせたことは、悪意又は重過失による任務懈怠に当たるなどと主張して、会社法429条1項又は民法709条、民法719条に基づくなどして、被告らに対し、原告らがそれぞれ損害賠償の支払を求めた事案において、本件申立てが民事再生法21条1項前段の要件に該当し、否認目的を目的の一つとしていることをもって濫用的なものといえず、民事再生法25条4号に該当せず、民事再生法上適法であることなどから、訴外会社による本件申立ては民事再生手続開始の申立権の適法かつ適切な行使であり、社会的にみて許容されない行為でもないから、権利の濫用に当たらず、不法行為を構成しないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2014.01.14
保証債務履行請求控訴事件
LEX/DB25502339/東京高等裁判所 平成25年10月31日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3408号
控訴人が、Z1社及びZ2社に貸し付けた金銭債権について信用保証をした被控訴人に対し、主位的請求として保証契約に基づき、貸金残元金等の合計の支払を求め、予備的請求として、仮にZ1及びZ2が反社会的勢力であることにより、保証契約が無効となったり、被控訴人が約定により免責されるとしても、被控訴人において反社会的勢力を主債務者とする保証契約を締結しないよう注意すべき義務を怠って信用保証をした結果、控訴人は保証契約により代位弁済を受けられるものと信頼して貸付けを行い、被控訴人の義務違反によって回収不能となった貸金相当額の損害を被ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審において、控訴人の主張をしん酌しても、本件各保証が要素の錯誤により無効であるとの結論を左右しないと示したほか、控訴人の本件各請求はいずれも理由がないとして、これらを棄却した原判決を支持して、本件控訴を棄却した事例。
2014.01.14
建物収去土地明渡等請求控訴事件
LEX/DB25502281/東京高等裁判所 平成25年9月27日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第2017号
被控訴人らの共有である本件土地の上に控訴人所有の本件建物が存在するところ、被控訴人が控訴人に対し、本件土地の所有権に基づく妨害排除請求として、本件建物の収去と本件土地の明渡しを求めた事案の控訴審において、控訴人は、父の死亡時に同人による従前の使用収益の形態を変えることなく本件土地の使用収益を開始し、以後本件土地の使用収益を継続してきたから、控訴人については、同日以降、使用借権者と同等の使用収益が外形的事実として存在し、かつ、その使用収益は本件土地の借主としての権利行使の意思に基づくものであると認められ、控訴人は、この状況の中で、本件建物について敷地の使用借権があるものと信じ、そう信じることに特段の過失がなく占有を開始し、本件建物の敷地である本件土地を使用借人として10年間占有を継続してきたから、本件土地の使用借権を時効取得したとして、原判決を取り消して、被控訴人の請求を棄却した事例。
2014.01.14
共益債権請求控訴事件
LEX/DB25502120/大阪高等裁判所 平成25年6月19日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第508号
控訴人が、被控訴人に対し、担保不動産競売手続において要した費用の費用請求権は、小規模個人再生手続において共益費用に当たるとして、その支払を求めた事案の控訴審において(なお、控訴人の申立に係る担保不動産競売手続は、いわゆる巻き戻し(民事再生法204条)が生じたために取り消されている)、仮に本件手続費用の請求権が本件抵当権の被担保債権であるとしても、民事再生法が共益債権の範囲について詳細な規定を有しており、競売手続が巻き戻しによって取消になった場合の競売手続費用については、それらの規定のいずれの要件にも当てはまらないことから、これを共益債権と解することができないというべきであるとされた事例。