注目の判例

民法(財産法)

2014.06.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25446471/函館地方裁判所 平成26年6月5日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第93号
被告法人が開設する診療所において被告αによる羊水検査を受けた原告β及びその夫である原告γが、その検査結果報告に誤りがあったために原告βは中絶の機会を奪われてダウン症児を出産し、同児は出生後短期間のうちにダウン症に伴う様々な疾患を原因として死亡するに至ったと主張して、被告らに対し、不法行為ないし診療契約の債務不履行に基づき、それぞれ損害賠償金の一部である500万円及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案において、原告らに対する不法行為ないし診療契約上の債務不履行に基づく損害賠償として、原告らそれぞれにつき500万円の慰謝料を認めるのが相当であるとした事例。
2014.06.24
損害賠償請求事件
LEX/DB25503659/静岡地方裁判所沼津支部 平成26年4月16日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第1081号
被告(富士宮市)が設置・運営している被告病院において出生したが、くも膜下出血に起因して約1か月後に死亡した子の両親である原告らが、被告病院の医師等には、原告母の遷延分娩又は分娩停止の原因究明を怠った過失、要件を満たさないまま不適切な手技の吸引分娩を試みクリステレル胎児圧出法を併用した過失、粗暴なクリステレル圧出を行った過失、帝王切開術実施が遅れた過失等があり、これらの過失により、くも膜下出血が発症又は増悪したため子が死亡するに至ったなどと主張して、被告に対し、診療契約の債務不履行又は不法行為に基づき、損害賠償金の支払いを求めた事案において、原告らの主張を一部認容した事例。
2014.06.24
損害賠償等請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25503661/名古屋高等裁判所 平成26年3月27日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第915号等
被控訴人(原告)が、控訴人(被告。出版社)に対し、控訴人が発行した週刊誌に掲載した記事により、被控訴人の名誉が毀損されたと主張して、不法行為に基づき、慰謝料の支払い及び謝罪広告の掲載を求め、原審が、慰謝料請求の一部を認容した事案において、控訴人が意見ないし論評の前提としている事実と、その意見ないし論評との間に合理的な関連性は認められないから、違法性ないし責任が阻却されるということはできないとして、控訴を棄却した事例。
2014.06.03
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25446402/名古屋高等裁判所 平成26年4月24日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第752号
認知症を患った高齢のCが被控訴人(鉄道会社)の駅構内の線路に立ち入り、被控訴人の運行する列車と衝突して死亡した本件事故に関し、被控訴人が、亡Cの妻である控訴人A、子である控訴人B、一審被告D、同E及び同Fらに対し、(1)当該事故当時にCが責任能力を有していなかった場合には、民法709条又は民法714条に基づき、連帯して損害賠償等を求めた(選択的請求1)、(2)当該事故当時において責任能力を有していた場合には、民法709条に基づきCが負担した前記損害賠償金支払義務を控訴人ら及び一審被告らがその相続分に応じて承継したとして、妻である控訴人Aに対して359万円8870万円、子である控訴人B及び一審被告らに対し損害賠償金等を求めた(選択的請求2)、ところ、原審は、当該事故においてCが責任能力を有しなかったと判断した上、控訴人Aに対する請求、控訴人Bに対する請求を全部認容し、一審被告らに対する請求を棄却したため、控訴人らが控訴した事案において、Cと現に同居していた控訴人Aは民法714条の監督義務者に該当するが、控訴人Bは該当しないとした上で、控訴人AがCの監督義務者として賠償責任を負うべき額は、本件事故により被控訴人が被った損害額の5割とするのが相当であるとして、原判決を一部変更した事例。
2014.06.03
違約金条項使用差止等請求事件
LEX/DB25503708/大分地方裁判所 平成26年4月14日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第499号
消費者契約法2条4項の定める適格消費者団体である原告が、事業者である被告に対し、被告が設置・運営している大学受験予備校において、一定期間経過後に在学関係が解除された場合には消費者に校納金を全額返還しないとする不返還条項が定められていることに関し、当該不返還条項のうち解除後の期間に対応する授業料に関する部分は消費者契約法9条1号により無効であると主張して、消費者契約法12条3項に基づき、当該不返還条項を内容とする意思表示等の差し止めを求めた事案において、請求を全部認容した事例。
2014.05.27
書籍出版頒布禁止等請求控訴事件
LEX/DB25503684/東京高等裁判所 平成26年3月26日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第6376号
ユニクロのブランドを用いてカジュアル衣料品の製造型小売業を運営する控訴人(原告)らが、被控訴人(被告)の発行した週刊誌及び書籍において、控訴人らの店舗の店長らが苛烈な労働環境にあり、控訴人らが取り扱っている製品の製造を委託している海外生産工場において劣悪で過重な労働が行われているにもかかわらず、控訴人らがこれらを黙認しているという事実が摘示され、これにより控訴人らの名誉及び信用が毀損されたと主張して、控訴人らの名誉・信用に係る権利に基づき、書籍の発行頒布に禁止及び回収を求め、民法723条の名誉回復処分として、新聞紙上における取消広告の掲載を求め、不法行為に基づく損害賠償金の支払いを求め、原審が回収請求を却下しその余を棄却した事案において、本件記事に記述された控訴人らの店長や中国工場の工員の長時間労働の実態に関する記述について、控訴人らの主張を採用することができないとして、控訴人らの控訴を棄却した事例。
2014.05.27
預金払戻等請求控訴事件
LEX/DB25503275/大阪高等裁判所 平成26年3月20日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3130号
亡Aの三女である控訴人が、亡Aが被控訴人の支店に開設した普通預金に係る預金債権について、Aの死亡により法定相続分2分の1の割合で上記預金債権を分割取得したとしてその払戻を求めたところ、被控訴人がそれを拒絶したのは不法行為を構成するとして、損害賠償を求めた事案の控訴審において、被控訴人は、その業務が公共性を有する銀行でありながら、控訴人が本件預金の2分の1の払戻を受ける正当な権限を有し、法律上控訴人の本件預金分割払戻請求を拒むことができないことを十分認識していながら、控訴人の本件預金分割払戻請求に対し、後日の紛争を避けたいとの自己都合から、他の共同相続人であるBの同意ないし意思確認ができない限り応じられないという到底正当化されない不合理な理由を構えて頑なに拒絶し、殊更故意に控訴人の本件預金に対する権利侵害に及び、控訴人をして、本来不必要であるはずの本件訴訟の提起等を余儀なくさせ、財産上の損害を与えたものであるから、不法行為の成立要件に何ら欠けるところはないとされた事例。
2014.05.27
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25503316/東京高等裁判所 平成26年3月13日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第6174号
控訴人(原告)が、被控訴人(被告。銀行)の店舗出入口に敷設された足拭きマットの管理が適切にされていなかったことから、同マットに足を乗せた途端にマットがまくれ上がって転倒し、頸部捻挫等の傷害を負い、左半身の感覚鈍麻その他の後遺障害が残ったと主張して、不法行為による損害賠償請求権に基づき、被控訴人に対し、損害賠償金の支払いを請求し、第一審が請求を棄却した事案において、被控訴人の注意義務違反を認め、原判決を取り消し、控訴人の請求を一部認容した事例。
2014.05.20
売買代金返還等請求控訴事件
LEX/DB25503236/東京高等裁判所 平成26年3月12日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第5735号
原告(控訴人)が、Aら所有の本件各土地を買い受ける旨の契約をしたB社から右各土地を買い受け、被告C(被控訴人)が原告及びAを代理して所有権移転登記手続をしたが、売主として名乗った者がAらとは別人であり、Aら本人は本件土地をB社に売却しておらず、無断で登記手続の申請がされたとして、上記申請が却下されたことにつき、控訴人が、被告C及び原審被告Dに対し、損害賠償を求めたところ、被告Dに対する請求が認められ、被告Cに対する請求が棄却されたため、原告が控訴した事案において、被告Cにおいて、不動産登記法令所定の本人確認の方法を行うことに加えて、自宅訪問による占有状況等の確認等をすべき注意義務があると解すべき事情があることを認めるに足りる証拠はなく、被告Cにおいて、自称Aらの本人確認をするに当たり、法の求める注意義務を怠った過失があるとは認められないとし、控訴を棄却した事例。
2014.05.20
境界確定等(第1事件本訴)、所有権確認等(第1事件反訴)、損害賠償(第2事件)請求控訴事件
LEX/DB25503232/広島高等裁判所岡山支部 平成26年2月27日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第28号
一審原告国が、本件「境界確定協議書」により成立した本件各協議は、いずれも各民有地とこれに隣接する国有海浜地との所有権界を確定したものではなく、海陸の境界を確認したにすぎないものであり、本件各協議を前提としてされた本件各登記は無効であるなどと主張して、一審反訴原告らに対し、本件土地と本件国有海浜地との筆界の確定等を求め、一審反訴原告らが、一審原告国に対し、一審反訴原告らが本件係争地のうちの各部分の所有権を有することの確認等を求めたところ、一審反訴原告らの請求が一部認容され、双方が、控訴した事案において、本件筆界については、一審反訴原告ら主張線とすべきであり、一審反訴原告らの一審原告国に対する所有権確認請求は理由があるが、一審原告国の一審反訴原告らに対する所有権確認請求は理由がない等とし、本件各控訴を棄却した事例。
2014.05.20
損害賠償等請求事件
LEX/DB25503233/東京地方裁判所 平成26年2月26日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1837号
原告が、被告会社が発行する週刊誌の記事により原告の名誉が侵害されたと主張して、損害賠償及び謝罪広告の掲載を求めた事案において、本件記事は、一般読者に対し、あたかも県知事であった原告が議員と結託して、自己の親族企業を諫早湾干拓地に入植させようと企図し、その政治力を背景に選考基準及び手続を歪曲し、農業振興公社をして親族企業を入植者として選定させたかのような印象を与え、原告の社会的評価を低下させるとし、請求を一部認容した事例。
2014.05.13
謝罪広告等請求控訴事件
LEX/DB25503230/広島高等裁判所 平成26年2月28日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第267号
原告ら(控訴人)が、被告(被控訴人)A社が制作・放送するテレビ番組の中における被告Bを含む出演者の発言が、原告らに対する名誉毀損や懲戒請求扇動という独立の不法行為に該当するなどと主張して、被告らに対し、損害賠償等を求めたところ、請求が棄却されたため、原告らが控訴した事案において、本件番組における発言者の発言は、表現行為の一環であり、意見ないし論評の表明として名誉毀損についての違法が認められず、原告らの刑事事件の弁護人としての社会的立場等も考慮すれば、本件番組における発言によって原告らが名誉感情を侵害されたとしても、原告らが名誉感情の侵害により被った精神的苦痛は社会通念上受忍すべき限度を超えるものではなく、不法行為上の違法なものと認めるのは相当ではないとし、控訴を棄却した事例。
2014.05.07
損害賠償請求事件
LEX/DB25446378/大阪地方裁判所 平成26年3月27日 判決 (第一審)/平成21年(ワ)第16790号
普通地方公共団体である原告が、信託業務を営む銀行である被告との間で、原告を委託者兼受益者、被告を受託者、原告所有の本件土地を信託財産として本件土地上に建物を建設し、これを賃貸することを目的として本件土地及び本件建物を管理運営する旨の本件信託契約を締結し、甲駅周辺土地区画整理事業用地土地信託事業を実施したところ、被告の本件信託契約上の義務違反により損害を被ったと主張して、損害賠償を求めた事案において、本件事業計画において表示していた入居率を実現すべき義務など、原告主張に係る債務不履行は認められないとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.05.07
入会権確認請求事件
LEX/DB25503176/鹿児島地方裁判所 平成26年2月18日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第852号
原告らが、本件各土地は、本件集落の住民を構成員とする入会集団の入会地であり、原告らと被告A社を除く被告らとは本件入会集団の構成員であると主張して、被告らに対し、原告ら及び被告住民らが本件各土地につき共有の性質を有する入会権を有することの確認を求めた事案において、本件各土地の使用実態の変化及び小組合員と本件各土地の持分権利者との関係の変化によれば、本件共有入会権の実施は遅くとも昭和61年時点で既に失われて、本件各土地の集団的管理は消滅したと認められるから、本件共有入会権は、遅くとも同61年前には解体し、通常の共有権に変化したと認められるとし、請求を棄却した事例。
2014.04.30
立替金等請求事件(第1事件、第2事件、第9事件)、立替金請求事件(第3事件、第4事件、第5事件、第6事件、第7事件、第8事件)
LEX/DB25503223/旭川地方裁判所 平成26年3月28日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第108号
個別信用購入あっせん等を業とする会社である原告が、原告と加盟店契約を締結していた訴外有限会社から商品を購入し、その購入代金の支払いにつき原告と立替払契約を締結した被告らに対し、各立替払契約に基づき、割賦金合計から既払金を控除した残額及び遅延損害金の支払い等を求めた事案において、被告らは、売買契約を錯誤により取り消したものと認め、または、虚偽表示による無効を原告に対抗することができるなどとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2014.04.30
立替金請求事件
LEX/DB25503224/旭川地方裁判所 平成26年3月28日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第229号
個別信用購入あっせん等を業とする会社である原告が、原告と加盟店契約を締結していた訴外有限会社から商品を購入し、その購入代金の支払いにつき原告と立替払契約を締結した被告らに対し、各立替払契約に基づき、割賦金合計から既払金を控除した残額及び遅延損害金の支払い等を求めた事案において、被告らは、売買契約を錯誤により取り消したものと認め、または、虚偽表示による無効を原告に対抗することができるなどとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2014.04.30
請負代金等本訴、損害賠償反訴請求控訴、同附帯控訴事件
LEX/DB25503191/東京高等裁判所 平成26年1月15日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3952号等
被控訴人が,控訴人との間で控訴人の次期情報システムについて,控訴人を委託者、被控訴人を受託者とする業務委託基本契約を締結した上で注文を受けたソフトウェア開発個別契約等に基づく委託料等の支払を求め,反訴として控訴人が、被控訴人の仕事に瑕疵があるためソフトウェア開発個別契約を解除したとして、債務不履行又は瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審において、ソフトウェア開発個別契約上に導入支援契約を解除することはできないが、上記システムに多数の不具合・障害という瑕疵を生じさせたのは被控訴人であるとして、過失相殺の法理により4割の減額をした上で控訴人の損害賠償請求を認容した事例。
2014.04.22
損害賠償請求事件
LEX/DB25503171/山形地方裁判所 平成26年3月11日 判決 (第一審)/平成21年(行ワ)第616号
当時県立高校の2年生であった亡Aが校内の渡り廊下の屋根から地面に飛び降りてまもなく死亡した本件事故につき、亡Aの両親である原告らが、亡Aの自殺の原因はいじめであり、同校の校長及びクラスの担任教諭はいじめ発見・予防義務を怠ったことにより、本件事故を防止できなかったなどとして、被告に対し、損害賠償を求めた事案で、本件全証拠を総合しても、亡Aに対するいじめが、誰がいつ頃、どのような態様で、いかなる表現方法をもって行っていたか不明であって、現状ではこれを具体的に特定することができない以上、予見可能性及び結果回避可能性の存在を基礎づける具体的な事実関係を認めるに足りないといわざるを得ないなどとして、請求を棄却した事例。
2014.04.22
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25503164/福岡高等裁判所 平成26年2月24日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第420号
カネミ油症患者と認定された者ないしその相続人である控訴人らが、原因事業者である被控訴人会社及びカネミ油症事件発生当時の同社代表者の相続人であるその余の被控訴人らに対し、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審において、控訴人らの請求はいずれも民法724条後段所定の除斥期間を経過した後になされたものであるから、控訴人らの請求はいずれも理由がないとして、控訴を棄却した事例。
2014.04.22
 
LEX/DB25503135/最高裁判所第二小法廷 平成26年2月7日 判決 (上告審)/平成24年(オ)第1357号等
被上告人兼相手方(原告、被控訴人)らの長女である亡患者が上告人兼申立人(国立大学法人。被告、控訴人)の開設する病院において、大腸全摘、回腸嚢肛門吻合及び回腸人工肛門造設手術を受けた後、腹腔内感染症に罹患したにもかかわらず、担当医師らがこれを見落とし、またはこれに対する適切な治療を行わなかったために、敗血症により死亡したとして、被上告人兼相手方らが、不法行為又は診療契約上の債務不履行に基づく損害賠償として、上告人兼申立人に対し、損害賠償金等の支払いを求め、第一審が原告らの請求を一部認容し、第二審が控訴人の控訴を棄却した事案において、上告を棄却し、上告審として受理しないことを決定した事例。