注目の判例

民法(財産法)

2014.12.09
 
LEX/DB25504979/最高裁判所第二小法廷 平成26年9月5日 決定 (上告審)/平成25年(行ツ)第388号等
町議会議員であった原告(控訴人、被上告人兼相手方)が、除名処分を受けたところ、同処分は違法であるとしてその取消しを求めるとともに、同処分により名誉を毀損されたとして、被告(被控訴人、上告人兼申立人)に対し、損害賠償等を求めたところ、原判決が、請求を棄却した第一審判決を変更し、請求を一部認容したため、被告が上告した事案において、民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民事訴訟法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとし、上告を棄却した事例。
2014.12.02
損害賠償請求控訴事件
LEX/DB25504905/福岡高等裁判所 平成26年9月4日 判決 (控訴審)/平成22年(ネ)第1172号
腸重積により死亡したα(12歳)の父母である控訴人(原告)らが、αは、PJS(ポイツ・イエーガー症候群)に伴う腸重積を発症して死亡したものであるところ、αを診察した、被控訴人(被告)βないしγの開設している各医療機関の担当医らは、PJSに伴う腸重積の発症を疑い、高次医療機関に搬送すべきであったのにこれを怠ったなどとして、被控訴人らに対し、債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償を求めた事案の控訴審において、Aが最初に受診した被控訴人Bの担当医ら及びその半日後に受診したCの担当医には、αに対する血液検査を行い、その所見に基づき高次医療機関へ転送すべき義務があったのにこれを怠った過失があるというべきであるから、被控訴人βは不法行為責任を、被控訴人γはαがその死亡時点においてなお生存していた相当程度の可能性を侵害されたことによって被った損害を賠償すべき不法行為責任を負うとして、原判決を取り消し、控訴人らの請求の一部を認容した事例。
2014.11.25
損害賠償等請求事件(性同一性障害で入会拒否)
LEX/DB25504840/静岡地方裁判所浜松支部 平成26年9月8日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第627号
性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律3条1項に基づき女性への性別の取扱いの変更の審判を受けた原告甲及び同人が代表取締役を務める原告会社が、株主会員制のゴルフ場を経営する被告会社及び同ゴルフ場の運営団体である被告クラブに対し、原告甲の性別変更を理由とする被告らの一連の行為は、憲法14条1項の趣旨等を包含する公序良俗に反し違法であると主張して、共同不法行為に基づき、損害賠償金の支払いを求めた事案において、被告らによる入会拒否及び株式譲渡承認拒否は、憲法14条1項及び国際人権B規約26条の趣旨に照らし、社会的に許容し得る限界をこえるものとして違法であるとして、原告甲の請求を一部認容し、その余の請求及び原告会社の請求を棄却した事例。
2014.11.25
災害弔慰金不支給決定処分取消請求事件(胃がんで死亡 災害関連死とまでは言えない)
LEX/DB25504833/仙台地方裁判所 平成26年9月9日 判決 (第一審)/平成26年(行ウ)第3号
原告は、亡夫が胃がんにより死亡したのは、東北地方太平洋沖地震により、同人が余震に怯えるなどして不安を抱え不眠症になった上、アルコールを多飲するようになって食欲が低下したことによって死期が早まったものであるから、同人は震災により死亡したものであるとして、処分行政庁である被告(仙台市)市長に対して災害弔慰金の支給を請求したが、不支給とする決定を受けたとして、処分の取消しを求めたとの事案において、震災が同人の胃がんの発症又はその進行に影響を及ぼしたとまで認めることはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.11.11
吉本興業株式会社 VS 株式会社講談社
LEX/DB25504786/最高裁判所第三小法廷 平成26年8月26日 決定 (上告審)/平成25年(オ)第1897号等
かつてお笑いタレント業に従事していた一審原告C及び同人が所属していた芸能プロダクションであるY社の親会社である一審原告会社が、一審被告会社が、一審被告Dが編集長を務める本件雑誌に本件記事を掲載する等して販売する等したことによって、一審原告らの社会的評価が低下したとして、一審被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償及び民法723条に基づく謝罪広告の掲載等を求めた事案の上告審において、民事事件について最高裁判所に上告することが許されるのは、民事訴訟法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告理由は、理由の不備・食違いをいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しないとして、本件上告を棄却し、また、本件を上告審として受理しないとした事例。
2014.11.11
損害賠償等請求事件(インターネットの大手検索サイト 検索結果の表示差止請求訴訟)
LEX/DB25504803/京都地方裁判所 平成26年8月7日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第2893号
原告が、インターネット上で検索サービス等を提供するウェブサイトを運営する被告に対し、前記サイトで原告の氏名を検索語として検索を行うと、原告の逮捕に関する事実が表示されるところ、これにより原告の名誉毀損及びプライバシー侵害が行われているとして、不法行為に基づき損害賠償の支払を求めるとともに、人格権に基づき、前記サイトにおける原告が逮捕された旨の事実の表示及び同事実が記載されているウェブサイトへのリンクの表示の各差止めを求めた事案において、請求をいずれも棄却した事例。
2014.11.11
結婚式場解約金条項使用差止等請求事件
LEX/DB25504802/京都地方裁判所 平成26年8月7日 判決 (第一審)/平成23年(ワ)第3425号
消費者契約法13条に基づき内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体である原告が、婚礼及び披露宴に関する企画及び運営等を業とする株式会社である被告に対し、被告が消費者との間で挙式披露宴実施契約を締結する際に現に使用し又は今後使用するおそれのある、同契約の解除時に消費者が負担する金銭(キャンセル料)に関する条項につき、同条項は同法9条1号所定の平均的な損害の額を超える損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるものであるから、当該超える部分は無効であるとして、同法12条3項に基づき、前記キャンセル料に関する条項を内容とする意思表示の差止め及び同条項が記載された契約書用紙の破棄等を求めた事案において、請求をいずれも棄却した事例。
2014.11.11
解約金返還請求事件
LEX/DB25504801/京都地方裁判所 平成26年8月19日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第3004号
原告らは、冠婚葬祭互助会事業を行う会社である被告A及び旅行互助事業を行う会社である被告Bとの間で、代金を前払して将来一定の役務の提供を受けるという契約を締結し、分割での前払金の支払途中で契約を解除したところ、契約条項のうち、途中解約の場合に原告らが解約料の支払義務を負うとの条項が消費者契約法9条1号又は10条により無効であると主張し、不当利得の返還として、被告らに対し、徴収した解約料相当額の支払を求めた事案において、請求を一部認容した事例。
2014.11.04
不当利得返還等請求事件
「新・判例解説Watch」H27.1月上旬頃 解説記事の掲載を予定しています
LEX/DB25446721/最高裁判所第三小法廷 平成26年10月28日 判決 (上告審)/平成24年(受)第2007号
破産者株式会社A社の破産管財人である原告(控訴人・上告人)が、被告(被控訴人・被上告人)と破産会社との間の契約が公序良俗に反して無効であるとして、当該契約により破産会社から金銭の給付を受けた被告に対し、不当利得返還請求権に基づき、上記の給付額の一部及びこれに対する遅延損害金の支払を求めたところ、原告の請求が棄却されたため、原告が控訴したが、本件配当金の給付が不法原因給付に当たり、原告は民法708条の規定によりその返還を請求することができないと判断し、控訴が棄却されたため、原告が上告した事案で、被告が、原告に対し、本件配当金の給付が不法原因給付に当たることを理由としてその返還を拒むことは、信義則上許されないと解するのが相当であるとして、原判決を破棄し、本件配当金に相当する2133万2835円及びこれに対する返還の催告後である平成23年6月4日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の請求には理由があり、これを棄却した第一審判決を取消し、原告の請求を認容した事例(補足意見あり)。
2014.11.04
預金通帳名義変更等請求控訴事件
LEX/DB25504752/東京高等裁判所 平成26年8月27日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第2312号
第1事件原告A及び控訴人はいずれも都営住宅の住民であり、被控訴人は同住宅の住民の自治会であるところ、第1事件では、Aが控訴人に対し、Aが被控訴人の会長の地位にあることの確認及び本件各預金口座の名義の変更手続をすることを求め、第2事件では、被控訴人が、控訴人に対し、本件変更手続をすること、本件地位確認並びに控訴人が本件変更手続をしないことにより被った損害の賠償を求めた事案の控訴審において、Aが被控訴人の会長の地位にあるか否か自体は、Aが本件規約に従って解消に選任されたか否かを審理することによって判断ができるのであり、司法判断に適する等と示し、被控訴人の代表者が誰であるかという紛争は、裁判所が公権的に介入するのが適切な社会的紛争に当たる等として、本件控訴中、原判決中原告自治会の請求を棄却する部分の取消しを求める部分を却下し、その余の本件控訴をいずれも棄却した事例。
2014.11.04
保険金請求控訴事件
LEX/DB25504480/大阪高等裁判所 平成25年7月30日 判決 (控訴審)/平成25年(ネ)第3707号
自動車を運転中に他車に衝突されて受傷した原告(控訴人)が、原告運転の自動車を被保険自動車とする自動車保険契約の保険者である被告(被控訴人)に対し、同保険契約に基づき弁護士費用等補償保険金、医療保険金及び後遺障害保険金の支払を求めたところ、原判決は請求を一部認容し、その余を棄却したため、原告が控訴した事案において、控訴を棄却した事例。
2014.10.28
保険金請求事件
LEX/DB25504728/東京地方裁判所 平成26年9月26日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第9622号等
亡甲の相続人である原告らが、被告(独立行政法人郵便貯金・簡易生命保険管理機構)に対し、亡甲と被告との間の終身保険契約に基づく生命保険金及び遅延損害金の支払いを求めた事案において、原告らは各保険契約の死亡保険金受取人に当たるものと認めることはできないとして、原告らの請求をいずれも棄却した事例。
2014.10.28
動産引渡等請求控訴事件
LEX/DB25504742/横浜地方裁判所 平成26年6月27日 判決 (控訴審)/平成26年(レ)第18号
被控訴人(原告)は、控訴人(被告、引越会社)との間で、鏡を含む家財道具等の動産の運送を内容とする契約を締結し、搬送のため、これらを被告に引き渡したところ、控訴人の責めに帰すべき事由で同鏡を落下させ、ガラス製の鏡部分を破損し、被控訴人への引渡しが履行不能となったとして、同鏡の価額相当額の支払いを、また、不法行為に基づき慰謝料及び弁護士費用相当額の支払いを請求し、原審が請求を一部認容、一部棄却した事案において、原判決を変更し、損害額を減少して認定し、被控訴人の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2014.10.28
損害賠償請求事件
LEX/DB25504743/札幌地方裁判所 平成25年9月25日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第2385号
モンゴル人である原告が、被告の過失により交通事故に遭い損害を被ったと主張して、不法行為に基づき、損害賠償を求めた事案において、損害額を認定し、原告の請求を一部認容、一部棄却した事例。
2014.10.21
損害賠償請求事件
LEX/DB25504686/福岡地方裁判所 平成26年9月4日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第3043号
被告(久留米市)が設置運営する久留米市立南筑高等学校に在学し、同校柔道部に所属していた原告が、同じく同校に在学し、同校柔道部に所属していた分離前相被告らから暴行を受けたものであるところ、被告及び同校の職員である柔道部の顧問(監督)は、上記暴行を事前に防止するための適切な措置を講じるべき安全配慮義務(事前措置義務)を怠ったなどと主張し、被告に対し債務不履行又は国家賠償法1条1項に基づき、1100万円(慰謝料1000万円、弁護士費用100万円)の支払を求めるとともに、被告及び同校の教師らは、上記暴行の発覚後も十分な調査、再発防止のための教育的指導、被害回復等を行うべき義務(事後措置義務)を怠ったなどと主張し、被告に対して債務不履行又は国家賠償法1条1項に基づき、慰謝料300万円の支払を求めた事案において、被告は、原告に対し、債務不履行責任又は国家賠償法1条1項に基づく責任を負わないとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2014.10.21
損害賠償、求償金請求控訴事件(加害元少年に賠償命令 両親の責任は認めず)
LEX/DB25504705/大阪高等裁判所 平成26年8月28日 判決 (控訴審)/平成26年(ネ)第814号
亡Aが被控訴人Eに殺害された事件について、亡Aの両親である控訴人B及び控訴人CとAの兄である控訴人が、本件事件の加害者である被控訴人Eに対し、不法行為に基づく損害賠償を求め、被控訴人Eの親権者である被控訴人両親に対し、被控訴人Eを監督すべき義務があったのに、これを怠ったために本件事件が発生したなどと主張して、不法行為に基づく損害賠償を求めた等の事案の控訴審において、被控訴人両親は、被控訴人Eが広汎性発達障害であることを認識していなかったのであるから、同被控訴人に対する監督義務の内容として、同被控訴人の傷害に配慮した対応をとるべき注意義務があったということはできない等として、本件各控訴をいずれも棄却した事例。
2014.10.07
不当利得返還請求控訴事件(裁判所ウェブサイト掲載判例の原審)
LEX/DB25504619/名古屋高等裁判所 平成24年10月25日 判決 (控訴審)/平成24年(ネ)第405号
貸金業者である控訴人(一審被告)との間で継続的に借入れと返済を繰り返してきた被控訴人(一審原告)が、支払った弁済金のうち、利息制限法所定の制限利率を超える部分を元本に充当すると、借入金債務が完済されている上に過払金が発生しており、また控訴人は悪意の受益者であると主張して、控訴人に対し、不当利得返還請求権に基づき、過払元金と利息の支払いを求め、原審が原告の請求を一部認容した事案において、被控訴人と控訴人との間で、無担保連続取引により発生した過払金を不動産担保取引に基づく借入金債務に充当する旨の合意が存在すると認めることはできず、同過払金は不動産担保取引に基づく借入金債務には充当されないとし、同過払金の一部が時効消滅したことを認め、控訴を一部認容し、原判決を変更した事例。
2014.09.30
損害賠償請求事件(福島原発避難者自殺訴訟)
LEX/DB25504617/福島地方裁判所 平成26年8月26日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第102号
甲の相続人である原告らが、福島県伊達郡山木屋地区に居住していた甲が、平成23年3月11日に被告(東京電力)が設置、運転する福島第一原発において発生した放射性物質の放出事故により避難を余儀なくされたこと等が原因となって同年7月1日に自死するに至ったと主張し、被告に対し、原子力損害の賠償に関する法律3条1項本文に基づき、損害賠償として、原告らが相続した甲の逸失利益及び慰謝料、原告らに直接生じた葬儀費用、慰謝料等の支払いを求めた事案において、甲の自死と本件放出事故との相当因果関係を認め、原告らの請求を一部認容、一部棄却した事例。
2014.09.22
不当利得返還請求事件
LEX/DB25446573/横浜地方裁判所 平成26年7月11日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第839号
中小企業者等に対する金融の円滑化を図ることを目的とする信用保証協会法に基づいて設立された法人である原告が、訴外A社の被告に対する貸金債務についての保証契約は錯誤により無効であり、また、被告のA社への貸付けについて被告の保証契約違反によって免責されると主張して、不当利得返還請求権に基づき、代位弁済金の支払を求めた事案において、A社が中小企業者であること及び資金使途が事業資金であることが、本件各保証契約の内容になっていたということはできず、本件錯誤が要素の錯誤に該当すると認めることはできないとして、原告の請求を棄却した事例。
2014.09.16
放送受信料請求事件
LEX/DB25446598/最高裁判所第二小法廷 平成26年9月5日 判決 (上告審)/平成25年(受)第2024号
上告人(日本放送協会)の放送の受信契約における受信料は、月額又は6箇月若しくは12箇月前払額で定められ、その支払方法は、1年を2箇月ごとの期に区切り各期に当該期分の受信料を一括して支払う方法又は6箇月分若しくは12箇月分の受信料を一括して前払する方法によるものとされており、上告人の前記契約に基づく受信料債権は、年又はこれより短い時期によって定めた金銭の給付を目的とする債権に当たり、その消滅時効期間は、民法169条により5年と解すべきであるとして、本件上告を棄却した事例。