注目の判例

民法(財産法)

2016.03.01
損害賠償請求事件 
「新・判例解説Watch」 解説記事が掲載されました
LEX/DB25506535/横浜地方裁判所 平成27年 7月15日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第1591号
被害車両運転の亡Aの相続人である原告(Aの妻及び長女)らが、加害車両運転の被告に対し、〔1〕Aが被告の惹起した交通事故後に続いて行われたI中央病院の脊椎後方固定術による出血性ショックで死亡したが、両加害行為は共同不法行為に該当する旨主張し、損害填補額を控除した残額1030万6342円、〔2〕仮に共同不法行為が認められないとしても、Aが本件事故により傷害を受け、1671万9538円の損害を被った旨主張して、不法行為に基づき、同金額の内金である1030万6342円、〔3〕並びにこれらに対する遅延損害金の支払を求めた事案において、原告らの請求は、本件事故による傷害により原告が被った損害8万2418円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして、一部認容した事例。
2016.02.23
損害賠償請求事件(クワガタ誤配送で死ぬ 日本郵便に賠償命令)
LEX/DB25541710/大阪地方裁判所 平成27年10月30日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第3767号
原告が、被告との間で、クワガタムシをゆうパックで運送することを委託する契約を締結したところ、被告が、同ゆうパックの送り先を誤り、配達希望日時までに配達できず運送を遅延したことによって、クワガタムシが死滅し荷物が毀損したと主張し、被告に対し、前記運送契約の債務不履行に基づき、死滅したクワガタムシの代金相当額の支払を求めた事案において、請求を一部認容した事例。
2016.02.02
損害賠償請求事件(NHK逆転勝訴 台湾統治番組訴訟)
LEX/DB25447710/最高裁判所第一小法廷 平成28年 1月21日 判決 (上告審)/平成26年(受)第547号
被告(被控訴人・上告人。日本放送協会)が、番組内で、1910年の日英博覧会において、台湾南部高士村のパイワン族の男女24名が展示され、そのうちの1人の娘である原告(控訴人・被上告人)Xは今も悲しいと述べているなどと報道されたことにより、名誉やプライバシーが侵害されたとする原告Xやその他の台湾人等のほか、知る権利を侵害されたなどとする視聴者など総勢1万0335人の一審原告らが、被告に対し、不法行為に基づく損害賠償の支払いを求め、第一審では請求を全部棄却し、原告Xを含む42名が控訴し、第二審では第一審判決を変更し、当該番組について原告Xに対する名誉毀損による不法行為の成立を認め、原告の請求を一部認容したため、被告が上告した事案において、当該番組を見た一般の視聴者が、原告Xの父親が動物園の動物と同じように扱われるべき者であり、その娘である原告X自身も同様に扱われるべき者であると受け止めるとは考え難く、したがって当該番組の放送により原告Xの社会的評価が低下するとはいえず、当該番組は、原告Xの名誉を毀損するものではないとし、当該番組について名誉毀損による不法行為の成立を認めた原審の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるとして、原判決中被告敗訴部分は破棄を免れず、原告Xの請求を棄却した第1審判決は正当であり、上記部分につき原告Xの控訴を棄却した事例。
2016.02.02
法人税更正処分取消等請求控訴事件
LEX/DB25541733/東京高等裁判所 平成27年11月26日 判決 (控訴審)/平成27年(行コ)第197号
原告(控訴人)が、平成14年9月27日から平成20年9月26日まで合計11回にわたり,100%子会社であったG社に対する債権を放棄し、貸倒損失として損金の額に算入して確定申告したところ、平成18年3月期以降の債権放棄について、法人税法37条(平成18年3月期につき平成18年法律第10号、平成19年3月期及び平成20年3月期につき平成20年法律第23号による各改正前のもの。)の寄付金に該当するため損金算入限度額を超える部分は損金の額に算入できず、これを益金に算入して所得の金額を計算すべきであるとして、東税務署長から本件各法人税更正処分等を受け、また、本件各課税期間の消費税等についても上記債権放棄を消費税法39条(平成22年法律第6号による改正前のもの。)の貸倒れとしてその税込価格に係る消費税額を課税標準額に対する消費税の額から控除して確定申告をしたところ、消費税課税標準額から控除することはできないとして、東税務署長から本件各更正処分を受けたことから、被告(被控訴人。国)に対し、第1の2項から8項までのとおりその取消しを求め、第一審は原告の請求をいずれも棄却したため、これを不服として原告が控訴した事案において、原判決は相当であるとして、控訴を棄却した事例。
2016.01.26
損害賠償等請求事件
LEX/DB25541496/東京地方裁判所 平成27年 9月30日 判決 (第一審)/平成25年(ワ)第20437号
原告が、被告新聞社らがそれぞれ発行する日刊新聞の朝刊に掲載された実名による原告の逮捕事実等に関する記事によって名誉を毀損され、名誉感情及びプライバシーを侵害されたとして、被告新聞社らに対し、共同不法行為に基づく損害賠償請求として、2200万円及びこれに対する遅延損害金の連帯支払を求めるとともに、民法723条に基づき、謝罪広告をそれぞれ掲載することを求めた事案において、原告の請求は、被告b新聞社に対し、55万円及びこれに対する本件b新聞記事の掲載日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとして一部認容した事例。
2016.01.26
発信者情報開示等仮処分命令申立却下決定に対する抗告棄却決定に対する許可抗告申立事件
LEX/DB25541697/東京高等裁判所 平成27年 6月 4日 決定 (許可抗告審)/平成27年(ラ許)第134号
相手方の管理、運営する短文投稿を共有するウェブ上の情報サービス(ツイッター)に本件投稿記事目録1ないし3記載の各ユーザー名に係るアカウントが開設された上,本件目録1のアカウントには原決定本件投稿記事目録4の番号欄1ないし4記載の各投稿内容が掲載され、また、上記各アカウントを用いて本件投稿記事目録の各番号欄記載の投稿(ツイート)がされたため、抗告人が、相手方に対し、本件各情報及び本件各投稿がいずれも抗告人の名誉を毀損するなどと主張して、これらを投稿する際に使用されたアカウントにつき、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、ログインした際のIPアドレス並びにログイン情報が送信された年月日及び時刻の開示を求めるとともに、人格権に基づき、本件各情報の削除を求めたところ、原決定が抗告人の申立てをいずれも却下したため、抗告人がこれを不服として即時抗告をしたが、抗告人の申立てをいずれも却下した原決定は相当であるとして、抗告を棄却したため、抗告人が許可抗告を申立てた事案において、本件許可抗告の申立ての理由には、原決定について、民事訴訟法337条2項所定の事項を含むものとは認められないとして、本件抗告を許可しないとした事例。
2016.01.26
発信者情報開示等仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25541642/東京高等裁判所 平成27年 4月28日 決定 (抗告審)/平成27年(ラ)第579号
相手方の管理、運営する短文投稿を共有するウェブ上の情報サービス(ツイッター)に本件投稿記事目録1ないし3記載の各ユーザー名に係るアカウントが開設された上,本件目録1のアカウントには原決定本件投稿記事目録4の番号欄1ないし4記載の各投稿内容が掲載され、また、上記各アカウントを用いて本件投稿記事目録の各番号欄記載の投稿(ツイート)がされたため、抗告人が、相手方に対し、本件各情報及び本件各投稿がいずれも抗告人の名誉を毀損するなどと主張して、これらを投稿する際に使用されたアカウントにつき、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づき、ログインした際のIPアドレス並びにログイン情報が送信された年月日及び時刻の開示を求めるとともに、人格権に基づき、本件各情報の削除を求めたところ、原決定が抗告人の申立てをいずれも却下したため、抗告人がこれを不服として即時抗告をした事案において、本件本文情報についてこれが流通することによる抗告人の権利侵害が明白であるということはできないとし、また、本件リンク情報がその流通によって抗告人の公衆送信権を侵害するということはできないとし、抗告人の申立てをいずれも却下した原決定は相当であるとして、抗告を棄却した事例。
2016.01.26
発信者情報開示仮処分命令申立却下決定に対する抗告事件
LEX/DB25541644/東京高等裁判所 平成27年 4月28日 決定 (抗告審)/平成27年(ラ)第578号
相手方の管理、運営する短文投稿の情報サービス(本件サイト)に本件投稿がされたところ、本件投稿には別のウェブページ(中間ウェブページ)へのリンクが張られており、中間ウェブページには更に別のウェブページ(本件ウェブページ)のリンクが張られていて、抗告人は、本件投稿が中間ウェブページを介して本件ウェブページと一体となって抗告人の名誉を毀損していると主張して、相手方に対し、本件投稿の送信の際のアカウントへのログイン時に用いられたIPアドレスのうち、仮処分決定が相手方に送達された日の正午(日本標準時)時点で最も新しいものを仮に開示するよう求める仮処分を申し立てたが、原決定は、上記申立てを却下したため、抗告人が即時抗告した事案において、本件申立てを却下した原決定は相当であるとして、即時抗告を棄却した事例。
2016.01.26
発信者情報開示等仮処分命令申立事件
LEX/DB25541641/東京地方裁判所 平成27年 3月10日 決定 (第一審)/平成26年(ヨ)第4144号
債務者の管理、運営する短文投稿の情報サービス(ツイッター)に本件投稿記事目録1ないし3記載の各ユーザー名に係るアカウントが開設された上、本件目録1のアカウントには本件投稿記事目録4の番号欄1ないし4記載の各投稿内容が掲載され、また、上記各アカウントを使用して、それぞれ別のウェブサイトへのリンクを張った本件投稿記事目録の各番号欄記載の投稿(ツイート)がされているところ、債権者は、本件各情報及び本件各投稿がいずれも債権者の名誉を毀損すると主張して、これらを投稿するに際して使用されたアカウントにつき、ログインした際のIPアドレス並びにログイン情報が送信された年月日及び時刻の開示を求めるとともに、本件各情報の削除を求めた事案において、債権者の本件各情報の削除請求及び本件各情報による権利侵害を理由とする発信者情報の開示請求は、いずれも理由がないとして、本件申立てをいずれも却下した事例。
2016.01.26
発信者情報開示仮処分命令申立事件
LEX/DB25541643/東京地方裁判所 平成27年 3月10日 決定 (第一審)/平成26年(ヨ)第4033号
債務者の管理、運営する短文投稿の情報サービス(ツイッター)に本件投稿記事目録記載の投稿(ツイート)がされ、本件投稿には別のウェブページ(中間ウェブページ)へのリンクが張られており、中間ウェブページにもさらに別のウェブページ(本件ウェブページ)へのリンクが張られているところ、債権者は、本件投稿が中間ウェブページを介して本件ウェブページと一体となって債権者の名誉を毀損すると主張して、債務者に対し、本件投稿を投稿するに際して使用されたアカウントへのログイン時に用いられたIPアドレスのうち、債務者に送達された日の正午(日本標準時)時点で最も新しいものを仮に開示するよう求める仮処分を申し立てた事案において、本件投稿が、中間ウェブページ及び本件ウェブページと一体性を有するという債権者の主張は採用することができないとし、本件投稿それ自体によって債権者の権利が侵害されたことが明らかであると認めることはできないとして、債権者の本件申立てを却下した事例。
2016.01.19
保証債務請求事件
LEX/DB25447695/最高裁判所第三小法廷 平成28年 1月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第1351号
銀行である原告(被控訴人・被上告人)が、信用保証協会である被告(控訴人・上告人)に対し、原告がA社に金銭を貸し付け、被告がこのA社の借入れによる債務を保証したとして、保証契約に基づき、6378万1192円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、これに対し、被告は、主債務者であるA社が反社会的勢力に関連する企業であったにもかかわらず、被告において、そのような企業ではないとの認識の下に上記保証契約を締結したものであるから、同保証契約は、錯誤により無効であるなどと主張して、原告の請求を争っていたところ、第一審では、原告の請求を認容したため、被告が控訴し、原告が附帯控訴(第一審判決認容額のほか、請求額を追加)し、控訴審では、原告の請求は、控訴審で拡張された部分も含めて理由があるので、附帯控訴に基づき原告の当審における拡張請求を認容し、被告の控訴を棄却したため、被告が上告した事案において、原審の被告の本件各保証契約の意思表示に錯誤があったとはいえないとの判断は是認することができるとし、他方、本件各貸付けについて、本件免責条項にいう原告が「保証契約に違反したとき」に当たらないとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるとし、原判決を破棄し、高等裁判所へ差し戻しを命じた事例。
2016.01.19
保証債務履行請求事件
LEX/DB25447696/最高裁判所第三小法廷 平成28年 1月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第266号
原告(控訴人・上告人)が被告(被控訴人・被上告人)に対し、主債務者をA社とする消費貸借契約の各貸金債務及び主債務者をB社とする消費貸借契約の各貸金債務について、〔1〕主位的請求として、原告が被告との間で締結していた保証契約に基づき、その保証債務の履行として、未払の残元金並びに約定の期間に対応する利息及び遅延損害金の合計額の支払を求めたところ,被告が主債務者は暴力団が実質的に経営していた会社であるとして、錯誤による保証契約の無効、原・被告間で締結された約定書の保証条件違反による保証人の免責を主張し、〔2〕予備的請求として、被告は反社会的勢力を主債務者とする保証契約を締結しないよう注意すべき義務があるのに、これを怠り保証契約を締結した結果、原告は被告から代位弁済を受けることができると誤信して貸付けを行い、損害を受けたとして、不法行為に基づく損害賠償として、貸付金から弁済額を控除した金員及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、第一審は、保証契約においては主債務者であるA社及びB社が反社会的勢力でないことが契約の要素となっていて、この点について被告に錯誤があったから保証契約は無効であり、また、被告には保証契約を締結したことについて原告に対する注意義務違反はないなどとして、原告の請求を棄却したため、原告が控訴し、控訴審は、原告の主位的請求及び予備的請求をいずれも棄却した原判決は相当であるとし、控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、被告の本件各保証契約の意思表示に要素の錯誤があるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるとして、原判決を破棄し、被告の保証債務の免責の抗弁等について更に審理を尽くさせるため、原審に差し戻しを命じた事例。
2016.01.19
貸金等請求事件
LEX/DB25447697/最高裁判所第三小法廷 平成28年 1月12日 判決 (上告審)/平成26年(受)第2365号
被告(被控訴人・被上告人)との間で保証契約を締結していた原告(控訴人・上告人)が、主債務者が期限の利益を喪失したこと等から、被告に対し、保証契約に基づき、主債務に関する貸付残元金等の支払を求め、第一審では原告の請求を棄却したため、原告が控訴し、第二審では、主債務者が反社会的勢力関係者でないことが本件信用保証に係る法律行為の要素であったといえ、本件信用保証に係る契約書等の文書に明文の条項が設けられていなかったからといって、被告において、錯誤の主張ができないということにはならないと示し、上記保証契約において主債務者が反社会的勢力関係者でないことが法律行為の要素になっていたにもかかわらず、実際には、主債務者が反社会的勢力関係者であったことから、被告に錯誤があったと認められるとし、上記保証契約は民法95条本文により無効であるなどとして原告の請求を棄却した原判決を相当であるとして、控訴を棄却したため、原告が上告した事案において、被告の本件保証契約の意思表示に要素の錯誤があるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があるとし、原判決を破棄し、被告の保証債務の免責の抗弁等について更に審理を尽くさせるため,原審に差し戻しを命じた事例。
2016.01.19
貸金返還請求事件
LEX/DB25447698/最高裁判所第三小法廷 平成28年 1月12日 判決 (上告審)/平成25年(受)第1195号
主債務者から信用保証の委託を受けた被上告人と保証契約を締結していた上告人が、被上告人に対し、同契約に基づき、保証債務の履行を求め、上告人の融資の主債務者は反社会的勢力である暴力団員であり、被上告人は、このような場合には保証契約を締結しないにもかかわらず、そのことを知らずに同契約を締結したものであるから、同契約は要素の錯誤により無効であると主張して争っている事案の上告審において、被上告人の本件各保証契約の意思表示に要素の錯誤があるとした原審の判断には、法令の解釈適用を誤った違法があり、この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかであるとし、原判決を破棄し、上告人の請求は、479万7471円及びうち477万9000円に対する本件各保証契約に基づく保証債務につき履行遅滞に陥った日である平成23年9月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるとし、原判決を変更した事例。
2015.12.29
損害賠償等請求事件(本訴)、損害賠償反訴請求事件(反訴)(太陽光発電所 反対住民勝訴)
LEX/DB25541478/長野地方裁判所伊那支部 平成27年10月28日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第13号等
原告(反訴被告。建設会社)が、被告(本訴原告)に対し、太陽光発電設備設置に関する住民説明会における被告の発言が原告の名誉及び信用を毀損する違法なものであり、かつ、被告がこれらの発言や反対運動により原告に太陽光発電設備の設置を断念させたと主張して、不法行為に基づき、損害賠償の請求をし(本訴)、これに対し、被告が、本訴請求の訴え提起が違法であると主張して、不法行為に基づき、慰謝料の支払いを求めた(反訴)事案において、被告の言動は、いずれも平穏な言論行為であって、何ら違法と評価すべきものはないとして、本訴請求を棄却し、反訴請求については、訴えの定期は裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くものと認め、一部認容、一部棄却した事例。
2015.12.29
ロケット打ち上げ差止等請求事件
LEX/DB25541390/鹿児島地方裁判所 平成27年 9月29日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第1004号
被告が設置、管理するロケットの射場である種子島宇宙センターの隣接地にリゾートホテルを所有する原告が、被告(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)に対し、所有権、人格権及び人工衛星等打上げ基準2条に基づき、ロケットの打ち上げの差止めを求めるとともに、不法行為に基づき逸失利益等の損害賠償を求めた事案において、ロケットの打ち上げにより原告ホテルに具体的危険は生じておらず、原告の所有権、人格権、営業の自由が侵害され、又はそのおそれがあるということはできないとして、原告の請求をいずれも棄却した事例。
2015.12.22
退職一時金返還請求事件
LEX/DB25447646/最高裁判所第一小法廷 平成27年12月14日 判決 (上告審)/平成26年(オ)第77号等
被上告人が昭和49年に電電公社を退職した際に日本電信電話公社共済組合(旧共済組合)から退職一時金として14万1367円を受給したところ、被上告人が満60歳となり旧共済組合の組合員であった期間を計算の基礎とする老齢厚生年金及び退職共済年金の受給権を有するようになったため、旧共済組合の権利義務を承継した上告人が、被上告人に対し、当該退職一時金として支給を受けた上記の額に利子に相当する額を加えた額に相当する金額66万0460円及びこれに対する遅延損害金の支払を求め、原審が、上告人の請求のうち退職一時金利子加算額の利子相当額に係る部分を棄却したため、上告人が上告した事案において、厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う国家公務員共済組合法による長期給付等に関する経過措置に関する政令4条2項の利率の定めが無効であるとした原審の判断には、憲法解釈の誤り及び結論に影響を及ぼすことが明らかな法令解釈の誤りがあるとし、原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れないとし、上告人の請求には理由があるから、これを認容した第1審判決は正当であり、上記部分につき被上告人の控訴を棄却した事例。
2015.12.22
損害賠償請求事件
LEX/DB25541520/東京地方裁判所 平成27年10月8日 判決 (第一審)/平成24年(ワ)第36690号
補助参加人の株主である原告らが、補助参加人が行ったESI社の株式の取得及び3度にわたるA社の株式の取得について、各取得時における補助参加人の取締役又は当時取締役であった被告らは、ESI社及びA社の事業の将来性、企業の継続性及び取得条件の合理性を十分に調査、検討することなく、ESI社及びA社の株式を取得する決定をしたものであり、その判断は著しく不合理であるから、同被告らには、それぞれが関与したESI株式の取得及びA社の株式の取得について善管注意義務違反ないし忠実義務違反があり、各取得時における補助参加人の監査役又は当時監査役であった被告らには、それぞれが関与した上記各株式の取得について適切に監査権限を行使しなかった善管注意義務違反があり、これにより補助参加人が損害を被ったと主張して、会社法847条3項に基づき、被告らに対し、ESIの株式の取得については平成17年法律第87号による改正前の商法266条1項5号に基づく損害賠償請求として、A社の株式の取得については会社法423条1項に基づく損害賠償請求として、これに対する補助参加人に支払うことを求める株主代表訴訟の事案において、原告らの主張はいずれも理由がないとし、棄却した事例。
2015.12.22
ビットコイン引渡等請求事件
LEX/DB25541521/東京地方裁判所 平成27年8月5日 判決 (第一審)/平成26年(ワ)第33320号
破産手続開始決定を受けた本件破産会社が運営するインターネット上のビットコイン取引所を利用していた原告が、本件破産会社の破産管財人である被告に対し、原告が所有しており、したがって本件破産会社の破産財団を構成しないビットコイン458.8812618btcを被告が占有していると主張して、同ビットコインの所有権を基礎とする破産法62条の取戻権に基づき、その引渡しを求めるとともに、被告が原告に対し上記ビットコインの引渡しをしないことにより、ビットコインを自由に使用収益あるいは処分することを妨げられ、766万5580円の損害を被ったとして、不法行為に基づく損害賠償として上記損害額と同額の金員の支払を求めた事案において、原告の請求はいずれも理由がないとし、棄却した事例。
2015.12.15
寄附行為変更無効確認等請求事件
LEX/DB25447635/最高裁判所第三小法廷 平成27年12月 8日 判決 (上告審)/平成25年(受)第2307号
宗教法人である1審原告(控訴人・被控訴人、被上告人)が、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(整備法)による改正前の旧民法の規定に基づく財団法人として設立され、平成20年に整備法40条1項により一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定による一般財団法人(特例財団法人)として存続することとなり、平成23年に整備法45条の認可を受けて通常の一般財団法人に移行した1審被告(被控訴人・控訴人、上告人)に対し、1審被告の寄附行為に加えられた1審判決別紙寄附行為変更目録記載1から4までの各変更は、設立者の意思に反し、根本的事項を変更するものであるから無効であるなどと主張して、その各変更の無効確認等を求め、第1審は、本件確認の訴えにつき、確認の利益及び1審原告の当事者適格を認めた上で、1審被告の目的とする事業に納骨堂の経営を追加する変更については、寄附行為の同一性を失わせる根本的事項の変更とはいえず無効ではないと判断し、その余の変更(1審判決別紙寄附行為変更目録2ないし4)については、当初の寄附行為との同一性を失わせる基本的事項の変更に当たり、無効であると判断したため、双方が控訴し、控訴審は、本件変更2から4までの無効確認を求める限度で1審原告の請求を認容すべきものとしたため、1審被告が上告した事案において、原判決中、本件各変更の無効確認請求に関する部分はいずれも破棄を免れず、同部分につき第1審判決を取消し、本件変更1及び3の無効確認請求に係る1審原告の訴えを却下し、本件変更2及び4の無効確認請求を棄却した事例。